00年11月4日                      〈毎週水・土曜日発行〉
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          ☆小説の作り方!41号★彡 
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 生まれつき文章がうまく書ける人なんていないのです。書くのがうまくなり
たければ練習するしかないのです。出版に値するものが書けるようになるまで、
ある一定の枚数を書かなければならないのです。しかし、それが何枚なのかは
誰にも分からないのです。「そのとき」が来れば、それが分かります。しかし、
そこまで行くのにどれだけの年月がかかるかは分かりません。
                          ラリー・ブラウン
      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:

 こんにちは。
「視点」ということを考えたいとおもいます。

 今回はどうメルマガを書けばいいのか悩みました。
 ぼくは初心者で自分の描き方も手に入れていない。それで文章を作るのに一
番の基本となる視点の問題を考えるのが難しかったのです。
 でもこんな初心者だからこそ、読んでくださるあなたと問題を共有できるか
もしれない……

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■「話者と視点」を考える■         
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

-----------------------------------------------------------------------
             視点とは?
-----------------------------------------------------------------------
 広辞苑で引いてみます。
        
1 絵画の遠近法で、画面と直角な視線が画面と交わる点。絵画の上で平行線
  が1点に交わる点。
2 視線の注がれるところ。また、ものを見る立場。観点。「――が定まらな
  い」「――を変えて論ずる」

の意味があります。
 1は、小説を書く場合ではないので、2の意味です。


 小説で言われる「視点」は、「見る」ということだけでなく「聞く」「考え
る」「感じる」という要素も含んで使われます。身体的、感覚的です。

┌────────────────────────────────┐
│視点は、「考える」と「感じる」ということを小説世界に持ち込みます│
└────────────────────────────────┘

 どう、持ち込むかというと――
 小説を書くときに、どの登場人物の立場で、その小説世界を見るか、感じる
か、考えるか――

        ┌───────┐
 具体的にいうと│視点を担う人物│の視点で小説世界は見られているわけで
す。      └───────┘
                 
 その視点人物が見たこと、感じたこと、考えたことが小説世界の見え方を読
者に提示するわけです。


-----------------------------------------------------------------------
       もうひとつの重要なこと――語り手(話者)
-----------------------------------------------------------------------

 小説を書くという作業には、常に「何を書くか」と「いかに書くか」という
二つの問題点がつきまといます。
 この「いかに書くか」のときに「誰が、どの視点で語るのか」が重要なんで
す。

 小説は「語り手」という「誰か」がいないと成立しません。

 作者は背景を設定し、登場人物を作り出します。小説を語り始める準備を整
えます。

 語り手は、作者とはまた別な存在です。
 作者が小説を作り語っている(書いている)のだと誤解されやすいのですが
違います。
 ドラマを語るには話者という人格を持たないが同化する能力を持っているも
のが必要なのです。

「話者」が、どの「視点」で語るか、を決定しなくてはドラマは始まりません。


-----------------------------------------------------------------------
            いろんな話者
-----------------------------------------------------------------------

 小説を書く者は、ほんとうに自然に話者を決定しています。
 よく「一人称で書こうか、三人称で書こうか」って話したりしますよね。
 ここで、視点人物を登場人物の誰にするかが決定されたりします。
 でも、人称で考えるよりも「どういう語り手でいこうか」と考えたほうがい
いかもしれません。

「もう一度だけ、新人賞の獲り方おしえます」を参考に種類を挙げてみます。

■一人称の視点■
┌─────────┐
│作者(=神)の視点│
└─────────┘
 作者が語ります。
 作者はすべてを知っていますし、説明することができます。
 作者の視点は、すべてのものを自由に書くことができ、登場人物すべての心
理や感覚を描写することができます。
「Aは思った。Bも同じように思った。それを聞いてCはこう感じた」 とい
う表現で描かれてある小説ですね。
 作者はその世界の神ですからなんでもわかるので、読者に対して何でも説明
し解説できるわけです。

 膨大な登場人物が出てくるトルストイの「戦争と平和」などは、この人間た
ちを神のように高みから見下ろしている視点がなければ書けなかったのです。
 たしかに神の視点だと全体を描くのに適しています。
 登場人物は作者が精緻に拵えた人形というわけです。
 ただ、この作者がなんでもわかる神の視点は、現代では古い手法だといわれ
ています。
 現代では、人間の位置は世界よりも圧倒的に小さくなってしまいました。
 それで、神の視点で世界を把握することが難しくなってしまったのです。

 そこで20世紀になって等身大の人物の視点で描くことが出てくるのです。
 そのほうが現実を捉えることができるからです。

 この視点の欠点は、今読んでいる話がたんなるお話にしか過ぎないことを意
識させられることです。それで感情移入することが難しくなりしらけてしまう
ことです。

1) 作者の視点では、読者が登場人物に感情移入する度合いは少なくなりま
   す。

2) 大河小説などを書くときに適しています。

3) また、ファンタジーや異世界、ある種のホラーなどの強烈な世界を作者
   が持っている場合に適した視点だといえます。


 
┌───────────────┐
│主人公の視点(いわゆる一人称)│
└───────────────┘
 主人公である「私」が、モノローグで語る形式ですね。
 事件の当事者が話者として登場するわけです。

 人間は主観的です。ですから、ここで語られる事実や現実は、当事者の主観
によって報告された歪められた事実、現実といえます。真実は果たして何なの
かはわかりません。思い込み、錯覚、または勘違いということもあり得ます。

 一人称には一つの視点しかありません。ですから、作者が主人公になりき
れば簡単に書けそうにみえます。
 しかし、上記のこともあり意外と難しいのです。

 主人公の人格、個性にあった語り方をしなければなりません。
 リアリティが必要ですね。
 子供は大人の知識を持って世界を理解することはないし、老人は老人の世界
を持っています。
 ハードボイルドの探偵はハードボイルド的な見方、話し方で語るでしょう。
 女高生なら女高生の話し方で語ります。(橋本治の「桃尻娘」ですね)

 欠点は自分を描写することができないということです。
 普通の人は「自分はこうで……」なんて他人には簡単に説明する機会がない
とおもうんです。それで、プロットのなかでこの主人公の外見や性格を読者に
わからせる工夫をしなければなりません。
 主人公がこういう人物であるらしいとわからせるためには、主人公以外の第
三者の登場人物の目が必要です。つまり、会話やシーンのなかでさりげなくわ
からせることです。


 まとめると――

1) 短編を書くのに向く。

2) しかし、長編では主人公の一視点だけでは単調。客観的な描写ができる
   三人称で書く方がいい。

3) 主人公が見たこと、聞いたこと、考えたこと、感じたことが描かれるの
   で、読者を主人公に感情移入させやすいのが利点。主人公に一体化させ
   やすい。

4) ただ、主人公自身の描写や主人公の目に届かない場所の描写がしにくい
   という欠点もあります。主人公が見ていないこと、聞いていないこと、
   考えていないこと、感じていないことは、書けない、ということになり
   ます。

5) もちろん、他の人物の直接的な心理描写もできません。他人の心理はわ
   からないからです。
   その時は「彼は腹立たしく思っているようだった」「彼は怒っているよ
   うに見えた」と推測で書かなければなりません。不自由です。

6) 最大のメリットは自分の心理の描写がしやすいこと。
   しかしそのために自分のことばかりになってしまって人物の厚みが出に
   くくなる。

7) この主観的な視点では、世界は主人公の見たこと、知ったこと、に規定
   されます。また主人公の知識、人格に規定されます。それを通過した情
   報しか読者に与えられないのです。
   ここに一人称で世界を描く難しさがあります。

8) 主人公が動ける場所の範囲しか語れないので、小説世界の範囲が狭まる
   という欠点がある。

9) 構成のウルトラCとしては、章を変えて、語る主人公に違う者をもって
   くるという手法もあります。(リチャード・ハル「叔母殺人事件」)
   しかし、これは高等技術のようにおもいます……(^_^; 

10) 記憶喪失などで自分が誰かわからないという設定の小説があります。
   そういう時にこの視点は非常に有効です。



┌────────┐
│事件の脇役が話者│
└────────┘
 脇役が主人公を語るという視点。
「シャーロック・ホームズ」シリーズのワトソン博士などがこれです。

 読者はその脇役が主人公に対して抱いている崇拝や憧憬を通じて、主人公に
出会うことになります。

1) このパターンは恋愛小説にも応用されています。


 そしてその変わり種として
 ------------------------
 
 人間以外のもの。例えば猫、例えば風や木、の視点で描かれる小説がありま
す。(「吾輩は猫である」夏目漱石 「千日の瑠璃」丸山健二)

 これによって脇役の関心があるテーマが追求されるわけなんです。


┌──────┐
│二人称の視点│
└──────┘
「君」「あなた」が主語の視点ですね。こういう小説はなかなか無いです。
 二人称の小説は……現代では「無い」と言いきっていいです。特別な場合だ
けなので、これは考えないようにしておきましょう。

 ここでの話者(「君」と呼びかける者)は、じつは、人格を持たない三人称
の時の話者と変わりないのです。



■三人称の視点■

 三人称の話者は、人格を持たず事件に関わる主体ではない客観的傍観者の立
場の語り手といえます。

 ですから自由にその事件を語れます。

 この視点はあらゆる意味で自由です。すべての登場人物の心、気持ちに入り
込めます。ありとあらゆる場所に同時に存在することができます。
 時間からも自由なので、事件が終わった時点から語ることもできるし、進行
中の現場に立ち会うこともできるのです。

 つまりドラマを語る立場にいる視点なんです。

 ですから、どういう描写も可能にする視点なんです。

 作者=神の視点に比べてもほんとうに自由です。
 何故かというといちいち登場人物の心理や行動に責任を持つ必要はないので
すから。この三人称の視点は傍観的語り手の視点なので、自由に登場人物の心
理に立ち入り、そこから離れることができるのです。


 ですが、あまりにこの自由を行使すると、読者は混乱してしまいます。それ
でどこかに焦点を合わして語っていくことが必要なんです。

┌────────────┐
│人物の心理を描かない視点│
└────────────┘
 描写するのは行動、会話、人物の表情や服装などの外から見ることができる
ものだけにする。それで読者に人物の心理を想像させる。
 いわゆるカメラとしての視点(片岡義男の一連の小説)ですね。

┌────────────┐
│ある特定の登場人物の視点│
└────────────┘

 焦点を合わすために、その「シーン」の登場人物を視点人物にします。その
時だけその人物の心理に同化するんです。
 そうすることで、等身大の視点を確保することができます。

 登場人物が視点人物であることによって、上記の一人称一視点の3〜7の内
容に縛られますが……。ですから、極端に言うと、その登場人物の名前を「私」
と変えても文章表現上は齟齬を生じません。

 このように一人称的な不便さも生まれるわけですが、こうするには秘密があ
ります。

「私は」ではなく登場人物固有の名前を付けることで、登場人物と語り手との
距離が生まれるんです。この距離が描写を登場人物の主観にとらわれないもの
にします。三人称の自由を生み出します。語り手はフリーになります。

 語り手は登場人物の心理や感覚、知識や人格のレベルに同化しながら、それ
からも自由になれる立場で語るわけです。

 語り手はさまざまな登場人物に同化することができる立場です。
 それぞれの登場人物の心理、感覚、人格、に自由に出入りをくり返すことが
できるんです。
 ある時はaとして、ある時はbとして、ある時はcとして……

 それによって一人称的世界よりも広がりが生まれるんです。


 おうおうにして、最後まで視点人物がいっしょの場合もあるでしょう。
 それがそのドラマの主人公の役割を果たします。


┌───────────────────────────────┐
│★注意★ 登場人物に同化する時はシーン、章を変えて!     │
│     そうでないと視点がぶれるというまずいことになります!│
└───────────────────────────────┘

 視点のぶれは、三人称、登場人物の視点で描写しているのに、つい勇み立っ
て作者=神の視点に立ってしまうことによって起こります。

  一つのシーンでは一人の人物の視点でとおす、ということが三人称の決ま
りになっています。このことを常に意識してください。


-----------------------------------------------------------------------

 うーん、うまく説明できたかなあ、というのが本音ですね。
 なんとか「話者と視点」について書けました……
 詳しくは「もう一度だけ、新人賞の獲り方おしえます」徳間書店 久美沙織
を読んでください。わかりやすく書いてあります。

 次回は「段落とシーン」を考えます。
 では、また。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 雨が降っていますね。
 自転車がパンクしました。昨日、図書館からの帰りに。もう6年も乗ってい
るのでタイヤがすり切れて……でも、いいや。これからは歩くことにします。
 
…………………………………………………………………………………………
  ☆ミ         ★☆彡     ☆ミ       
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 00年11月8日                      〈毎週水・土曜日発行〉
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 大きなことをなし遂げようと思ったら、安全など望んではいけません。
                         タキトゥス

      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】
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 こんにちは。
 前号で「話者と視点」というテーマで書きましが「最後までうまく言い切れ
たかな」という反省がありました。

 視点というのは描写し文体を作るときに重要なので、追加の号を作りました。

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■「話者と視点」を考える(2)■         
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

┌───────────┐
│視点とは「視線」のこと│
└───────────┘
 前号ではこう書きました。

    ★具体的にいうと「視点を担う人物」の視点で小説世界は見られてい
     るわけです。

 この言い方はわかりにくいですね。
 ですから、小説を書くときの具体的なことでいうと「視点人物の視線」でい
いとおもいます。目のやり場のことです。

 小説でいう視点という言葉は、その「見る者の思い、こうありたいという心
理」を含んでいるからです。
 登場人物の視線は、登場人物の心理を表します。

 視点人物はあるシーンに立ちます。
 ほんらい登場人物は何を見てもいいのですが、その見るべき周囲の多くのも
のの中から一つを選んで見ているんです。今、自分の心が感じているものを見
るわけです。興味のあるものを見る。それが「視線」です。

 話者は誰にでも同化できるので、その視点人物に成り代わり、その心理と視
線の行き先を語るわけです。


┌────────────────┐
│誰を視点人物にするか?が、問題だ│
└────────────────┘

 話者が「どういうふうに語るか」によって小説世界が「いかに見えるか」を
読者に与えることができます。読者はこの「窓」を通じてしか世界に出会えな
いのです。

 話者が同化する視点人物を意地の悪い人物に設定したら、その世界世界を皮
肉っぽく解釈することができるでしょう。
 優しい心の人物に設定したら、美しい世界が描けるでしょう。
 子供っぽい人物にしたら、子供っぽい世界しか描けません。
 老人にしたら、老人の視点でこの世界を見ることになるでしょう。
 探偵なら探偵の目でこの世界を見ます。
 視点人物の目で小説世界を見ることになるんです。

 視点人物を誰にするかによって、その小説世界の見え方の内容は変わります。
 そのことによって、小説世界の魅力がさまざまに変化するわけなんです。

 読者は語られたことしか受け取れません。
 ですから視点人物が何を思い、何を感じるかということがダイレクトに読者
の中に入ってくるわけなんです。
 そこで共感できたら○、共感できなかったら……もう読むのを投げ出してし
まいます。
┌────────────────────────────┐
│視点人物の見方によって小説世界の見え方が決定されてしまう│のですから、
└────────────────────────────┘
慎重に誰を視点人物にするかを見極める必要があります。


1) 作者=神の視点では、話者は登場人物の誰にも肩入れしません。
   登場人物を冷静に見、その心理状態を解説、説明することができます。
   彼らが起こす行動も心理もわかっているのです。
   むしろ、ここでは作者の独自の人間観、世界観が読者に与えられる見え
   方だといえます。


2) 問題なのは主人公の視点で語る場合です。「私」「ぼく」がこの世界を
   語るという方法です。
   誰を主人公にするか――が、世界の見え方を決定する、重要な問題にな
   ってくるのです。
   一人称で書く場合は、読者にとって魅力的な人物が主人公でなければな
   りません。
   視点人物が小説世界を見る、感じる、思うということが読者にとっての
   世界の見え方なんですから。
   
   ここでは主人公が軽薄では困るでしょう。
   おっちょこちょいでも困る。
   よく考え、テーマを追求し、なおかつ他者も愛せる主人公でなければ世
   界は広がらないでしょう。
   ぼくの好みとしては、深刻で悩んでばかりの主人公だと魅力がないな。
   優しさと愛を素直に出せる主人公だといいな。(これ、好み(^_^; )


3) そして、三人称。登場人物によりそった視点をもった話者の語り。

   全編を通じて視点人物の行動と心理を中心に描かれていると、その人が
   その小説の主人公です。一人称の小説に非常に近いものになります。
   その場合は(2)に書かれたような注意が必要でしょう。

   章を変えて、さまざまな登場人物を視点人物にする場合、その小説世界
   はそれらの視点人物の思いと行動で表され、小説世界に広がりを持たせ
   ることができます。

   人物に同化でき、かつ、またすぐ離れることも可能なこの語りの在り方
   はすごく自由なようにおもいます。お奨め。
 
【例文】      ……………………………
 今朝、学校に行ったら、女の子たちがサイン帖をまわしていた。もうすぐお
わかれだね、とか、さみしいね、とか、そんなことばかり話していた。ひとり
が、恭介のところにもサイン帖を持ってきた。
「俺、書かないよ」
「どうして」
「だって、さみしくねぇもん」
 女の子はきまり悪そうにそこに立っていた。
「何だよ。書きたくないんだからいいだろ」
「もういいわよ。暮林くんになんかたのまない」
 女の子はサイン帖をかかえたまま、小走りで自分の席にもどった。みんなの
視線が恭介にあつまる。
「ちぇっ、何だよ」
 恭介はどすんと椅子にすわった。机の上に、一時間めの教科書と、ノートと、
ふでばこをだす。ちぇっ、あいつも見ていた。ななめ前の方から、暮林くんの
いじわる、という顔をして、恭介を見ていた。一時間めは算数だった。担任の
大島は男らしくない、と恭介は思う。たとえば今日だって、
「問五、暮林くん、やってみてくれるかな」
 なんて言う。――

「僕はジャングルに住みたい」(江國香織「つめたいよるに」新潮文庫から)
          ……………………………

 ★視点人物は恭介です。
  今朝の教室の様子から始まります。
  話者は女の子の行動を描写します。
  そしてひとりの女の子との会話。対立を描きます。
  みんなの視線が恭介に集まってから、恭介の行動を描写します。ここでは
  まだ視線は恭介を外側から見ていますね。
  恭介がふでばこを出してからあとは、話者は恭介の心理に同化します。
  一時間目は算数だという説明では、少しそこから離れますが、また担任の
  大島のことを思うと恭介の心理に入っていくのですね。

  このように三人称の話者は自由に視点人物に近づいたり、離れたりできる
  んですね。恭介が視点人物なので恭介を巡って語るという制約はあります
  が。


■描写について、そのポイントを書いておきます。

1 シーンは臨場感があるようにする。
2 空間的な描写をする。
3 色。要するにビジュアルに描写すること。
4 部屋の場合は、家具の配置がわかるように。
5 人の位置関係がわかるように。どの方向から見ているか。
6 心理の動きが伝わるように人物の表情を基本に描写する。
┌───────────────┐
│7 視線の移動の理由とスピード│
└───────────────┘
 読者はそこで描写されているものを、「ある人物の目」を通してみたものだ
とおもって読みます。
 ですから何にフォーカスを当てていくのか、が重要になるわけです。

 読者が読みとるのはイメージです。
 文字情報を映像に置換して読みますから、視線が動きすぎると、混乱してし
まいます。
「なぜ、そう見えるのか」ということが大事なんです。

 フォーカスの当て方とその順番。

 アクションシーンではその行動の目的にあった視点の移動とスピードが必要
でしょう。たとえば喧嘩のシーン。
 相手の表情、拳。息づかい、が聞こえるはずです。足の動き、体の反らし方。
攻撃的な動きが集中的に起こるでしょう。
 走っているシーン。目に映る風景は後に飛び去るはずです。
 また、記憶が一時的にとぎれたり、瞬間的に考えたり。

 視線の動きは、登場人物が何を思っているか、感じているか、考えているか
によってさまざまなものを映し出すでしょう。
 それを描写の内容にすることなんです。



┌──────────────────┐
│付録です。人間以外の脇役と二人称小説│
└──────────────────┘


 私は氷原だ。
 俘虜としてシベリアの冬を体験した男が、全面結氷したうたかた湖から追想
する、めくるめく氷原だ。私を前にしてこちこちに凍って死んだ仲間に、男は
あらためて弔意を表し、牢記して忘れないと幾度も誓った骨髄に徹する恨みを
懐かしむ。この四十数年のあいだ彼は、思いを晴らすことができなかった。―
―
                   (丸山健二「千日の瑠璃」)



 仮死状態の街。
 君は深夜の東京のことをそう呼んでいる。走っていると、活動を停止した大
脳の溝の中にいるような気さえしてくる。走りながら見る夜の景観は、手ぶれ
した白黒写真に近い。白い月、白い息、白い幻影、光りが線となって君の網膜
に焼きついていく。
 確かなものは君白身の肉体を受けとめるアスファルトの固さだけで、君は走
ることで自らの存在を確認しようとしているかのようだ。――

      (「ゴーストライター」辻仁成『グラスウールの城』の中から)


-----------------------------------------------------------------------

 一人称小説はありふれていますよね。
 神の視点で描かれた小説を探したのですが、ぼくの本棚では見つからなかっ
た。また、いいものを知っていたら教えてください。
 いろんな本を紹介しているから、その文章を挙げてみようかとおもった。で
もメルマガが長文になるのでやめます。興味があれば何かのときにぺらぺらと
めくってみてください。


 視点の乱れというのは、読んでいるとわかります。例を挙げるほど難しい問
題ではない。
「Aは思った」「Aは思った」とAを巡って続いている文脈に急に「Bは思っ
た」が入ってきます。それで変だな〜と感じます。
 一つのシーンでは一人の視点人物の心理にしか同化してはいけないんだ、っ
てこと、常に意識してください。

 次回は、ほんとうに「段落とシーンについて」書いてみます。
 では、また。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 自転車のパンクは昨日、直しに行きました。2800円。タイヤとチューブを換
えてですよ。意外と安いものだな、とおもいました。自転車屋さんって、手間
のかかるわりに儲かりませんね。誠実な商売なんだ。(#^.^#)
 ぼくの住んでる下町ではときどき豆腐屋さんがまだ自転車で売りに来るんで
すよ。
 
…………………………………………………………………………………………
  ☆ミ         ★☆彡     ☆ミ       
            ☆ミ                           ☆ミ
    SAO  ヾ(^^ )
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 00年11月11日                      〈毎週水・土曜日発行〉
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          ☆小説の作り方!43号★彡 
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:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 ライターの自分に対する知識は、一生に渡ってそこから引き出さなければな
らない電気エネルギー貯蔵庫のようなものです。正しく1ボルトをかけると、
登場人物が一人生きてきます。
                      グレアム・ブリーン
      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:

 こんにちは。
 今回は段落やシーンをどう作るか、について書いてみます。


   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■「段落とシーン」を考える■         
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┌─────────────────┐
│段落は何のために作られているのか?│って意識したこと、あります?
└─────────────────┘
 答えは、

「論説文においてはひとつの意味をもった固まりであり、読者がその全体の内
容を読みとりやすくするために作られるもの」
          「文章を書く技術」(現代教養文庫 平井昌夫)

 そうですね、文章が作者の考えの思うがままに書かれていたら読みづらいで
すから。それで、読者にわかりやすく読みとってもらうために一字下げしてあ
る、そういう作者の配慮なんです。

 論説文については納得しました。
 では、小説などの文章については――

1)「小説や物語などでは、時間や場面や動作や人物が変わったときに、一つ
   の段落にする」
2)「会話文では、話し手が変わるときに新しい段落にする」

 そう、何かが変わったときに段落を作って、読者に「変わったぞ」って知ら
せる役割があるわけです。


 ですから、

1) 時間が変化したとき
2) 場面が変わるとき
3) 動作が変わったとき
4) 人物が変わったとき
         に新しく書き始めるということです。

┌─────────────┐
│段落を意識的に無視するとき│
└─────────────┘

1) 「意識の流れ」という手法。
   そこでは句点、読点が無視されたりします。
   登場人物の心理の中に入り込んでしまうと、上記の時間、場面、動作、
   人物という外側から見た客観的な法則が無視されてしまうんです。

2) 地の文の中に「会話」を埋め込むということもあります。「語り」の中
   に会話を埋め込む。登場人物同士の会話という独立性を否定して物語と
   いう視点の流れに入れてしまう。語るもののほうが優先してるんです。
   そのほうがこういう話なんだぞということがわかりやすいからです。

┌─────────────────┐
│ドラマのテンポ、スピードと関係する│
└─────────────────┘
 あえて言わなくてもいいことなんでしょうか?

★センテンスを短くし、段落を多くするとスピード感が出るし、読みやすい。

 で、具体的には――
 初心者のうちは400字一枚につき、4つの段落が自然です。
 これぐらいを目安にすればいい。
 5行で一段落ですね。

 映画を例にとればいい。
「一つの段落は一つのカット(ショット)」って考えればいいんじゃないでし
ょうか。
 もちろん、映画と小説とは違うけど、そのフォーカスの当て方。
 映画では見て欲しいものにフォーカスを当てます。
 小説だって読んで欲しいから、それを記述するわけです。

 力の入れ加減なんですね。
 細部の緻密な描写をやるところ、さらっと流すところ、読者の想像力に任せ
るところ。
 簡潔な説明。あるいは核心部分は丁寧な説明。
 そんなふうに意識して文章の流れを作っていく。

★ひとつの段落は、一つのカット、フォーカスが当たっているところです★

-----------------------------------------------------------------------
 ――余談ですが、あるポルノ作家やあるハードボイルド作家などはほとんど
一行ごとに段落変えしています。
 なんか読んでいて損をしたような気になりますが((^_^; )これには意味が
あるとおもうんです。
 文の後の空白、それが読者に想像させる余地を与えるんです。一拍おいてい
るんですね。そして次のものに焦点が移っていく。それで読みやすいのです。
-----------------------------------------------------------------------




 で、次は、
┌─────────┐
│シーンをどう描くか│
└─────────┘

 シーンは場所です。
 登場人物が集まっている場所、集まってくる場所。

 群衆のシーンを描くなら別だけど、読者の理解度っていうものがありますか
ら、ひとつの場所に登場人物が4〜5名以上いると描きにくいのです。
 そんなときはそのシーンの目的を代表する人物を選んでフォーカスを当てま
す。プロットに貢献する人物だけを選んで描く。

 目安としてはじっくり描くシーンには、原稿用紙10枚ぐらいがいいんじゃな
いでしょうか。もちろん、作者のやり方がありますからいちがいにはいえない
のですが……それぐらいにおもっていたほうが、構成を立てやすいということ
があるとおもいます。


 ところで、いつも言っているように――
★シーンは読者にとって魅力的でなければならない★とおもいます。

1) 読者が体験したことがないシーン。
   (どきどきしますね)
2) 読者が行ったことがないシーン。
   (魅力的です)
3) 読者が新しい知識が得られるシーン。
   (主に会話で)
4) 読者の胸躍るシーン。
   (わくわくします)


┌─────────────────┐
│プロットと関係しないものは描かない│
└─────────────────┘

 常識的なシーンというのは描く必要はないのです。
 つまり、プロットと関係ないものはなるべく省く。

 例をあげましょう。
 ある男がドアを開けて部屋に入ってきます。もちろん動作が描写されますよ
ね。人間の動きというのは流れていますから、それが次の動作を生み出します。
それからどうするでしょうか?
 靴を脱いで、背広を脱ぎ捨て、それから顔を洗いに洗面所に行くでしょうか?
 独身のサラリーマンならそういう日常ですね。

 でも、そのシーンでは死体を発見することがプロットで決まっていたとしま
す。それならドアを開けた瞬間に異変を感じるべきです。たとえ、現実にはそ
の男がまず新聞受けの新聞を手に取り、靴を脱ぐことを習慣にしていたとして
もです。

 小説ではプロットと関係ないものは描かなくていいのです。

 これもフォーカスの当て方なのです。
「そのシーンの中で作者が描きたいこと」だけを描けばいい。もちろん、リア
リティを増すために日常を描くことはあります。それはそういうプロットなん
です。

 続いて、男が死体を発見し、困り果てて友人に電話をしたとします。
 そのとき作者は友人のあわてぶり、家を出てタクシーを拾う様子や、男のマ
ンションの玄関に走り込んでくる様子を描くでしょうか?
 いえ、いえ、そうはしないはずです。
「男の友人がやってきた。男は手短に状況を説明した」と書くはずです。
(なんて稚拙な文章! ごめんなさいm(_ _)m)

 作品のテーマやプロットと関係のない現実は無視してもいいのです。
 読者がわかっているものをくどくどと説明したり描写することは読者を飽き
させるだけなのですから。


       ---------------------------------------------

 ひとつのシーンの次にどんなシーンを持ってくるかは考えるところですね。
 
1) プロットという時間のながれによって。
2) 場所の移動という空間的近接関係によって。
3) もうひとつの方法としては、アナロジー。イメージの近接関係によって。

 3は純文学などに使われる方法……でもないか……ある物や言葉や場面から
登場人物の記憶や心理が蘇り想起されます。
 映画でもよく使われますね。


-----------------------------------------------------------------------
 次回は、「小説に流れる時間」というものを意識して、再びシーンの描き方、
場面転換の方法を考えてみたいとおもいます。

1 会話は、読者にとって現在の時間。
2 描写は(いろんな描写があるでしょうが、アクションのようなスピード感
  がある描写も含めて)読者にとって、現実より遅く感じられる時間。
3 説明は、読者にとっては加速された時間。

 なのです。
 これと絡めて、「どう書いたら読者が読みやすいのか」を考えたいとおもい
ます。
 では、また。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ■編集雑記■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★この小説作法基本編はあと10号ぐらいで終わる予定です。
 このあと、風景、人物、心理描写、説明のやり方、会話、そして文章の表現
の技法……と書いていって、少し全体をまとめるかもしれませんが、それで終
わりです。
 だいたいそれでぼくの考えていたことがまとまったということになります。

 そのあとはさまざまな「作家の文体」を考えたいとおもいます。
 だいたい週に一回の発行を予定しています。
 基本編は一般的に書いたけれど、「文体」のほうは、ぼくの好きな作家を取
りあげる予定なので少し純文学に偏るかもしれません。
 でも「文体」を分析するっていうほどのたいした知識も能力も持っていない
ので、ぼくが作家の文章を読んでいておもうことだと考えてください。
 よければ続いて購読を。来年初頭から始めます。(もう今年も終わりなんで
すね、2ヶ月もない)
 のんびりとやりましょう。自分の書きたい小説を書くために。(^_^; 

★伝言板の名前を変えました。「ちょっと聞いてよ」伝言板。
 こんなテレビでやっているような名前をつけるなって。(^_^; おかしい、と
いうご意見があるならまた変えます。酔っていたもので……また、アイディア
をください。
 ぼくはべつに皆が仲良しになる必要はないとおもっているんだけど、せっか
く、まあ、こうして、ネットの上とはいえ出会っているんだから、いろんな意
見が聞けたらいいな、とおもっているんです。
 小説に関することで本音で話し合えたらいいですけれど。
 今はぼくの日記ページみたいになっているからちょっと寂しい。
 話題を提供する能力がない管理者のほうの問題なんだけれどもね。
 また、よかったら書き込んでください。なんでもいいですよ。アドレスもい
らないし。では。ありがとう。

…………………………………………………………………………………………
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 00年11月15日                      〈毎週水・土曜日発行〉
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
          ☆小説の作り方!44号★彡 
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 高貴なものに触れなさい。不機嫌になって自分を見失わないように。やる気
がすぐになくなってしまうから。
                  シオドア・ワイス
      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:

 こんにちは。
 また「小説の作り方」を考えていきましょう。

 前号の「段落を意識的に無視するとき」の技法で、その(1)の「意識の流
れ」という手法について「どういうものですか?」ってメールをいただいたの
で、ここで補足説明しておきますね。

「内的独白」ともいわれています。イギリスの作家ジェイムズ・ジョイスの代
表作『フィネガンズ・ウェイク』(1939年)の「ダロウェイ婦人」で試みられ
ている方法です。前衛的な現代小説の表現方法。
 登場人物の心に浮かんだことをそのまま書いていく――たぶん、シュールレ
アリズムの影響もあるのでしょう――登場人物の独白という形式。

 村上龍がよく利用しているので、短編集の『トパーズ』の中から「イルカ」
の最後の部分を例に引いてみますね。

『オバサンの悲鳴が聞こえてあたしのあそこからゲロを吐くような音でバイブ
レーターが抜けて目を上げるとオバサンはソファの上にあったナプキンをデブ
メガネの耳の後側に当ててそのナプキンがあっという間に真っ赤になっていっ
てテーブルの上は赤インクをこぼしたみたいになっていてあたしがなわをほど
いて下さいと言うとオバサンがあたしの頬を張ってデブメガネは目をいっぱい
に開いて何か言おうとしたが何も言えなくてヒューヒューという変な音がする
だけでオバサンが電話をしに行って……』

 これは行動描写ばかりなので厳密にいうと「意識の流れ」じゃないのですが、
イルカの記憶の中にあるものがそのままの形で表れているので、内部の心理が
そのまま書き表されたものということもできるとおもいます。
 まあ、こういうものですね。例が悪かったかな。

 では、今回のテーマです。

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
        ■「小説の中の時間、とシーン」を考える■       
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 小説は「時間の芸術」なので、その中でどんな時間が流れているのかを意識
しておくことは大事なことです。

┌─────────────┐
│小説の中に流れる時間とは?│
└─────────────┘

 前号の終わりにこう書きました。

1 会話は、読者にとって現在の時間。
2 描写は(いろんな描写があるでしょうが、アクションのようなスピード感
  がある描写も含めて)読者にとって、現実より遅く感じられる時間。
3 説明は、読者にとっては加速された時間。
               ――これを考えたいとおもいます。

     ----------------------------------------------
 つまり、いいたいことはこうです。
1 読者は作者が書いた文章を読みます。
2 その読んで内容を理解する現実の時間と、書かれた文章が表している時間
  にはくい違いがある。もちろんですよね。文章表現のなかではどんな表現
  も可能です。「――それから3年経った」と書けば、事件から3年の年月
  が流れたことになります。
3 その時間の差異は読者にどう作用するか。

 くどくどと分析せずに結論を書きます。

「会話」は読者の目の前で展開されているように感じます。
 読者はそれをそのまま現実のものとして受け取ることになります。

「描写」はそこにフォーカスが当てられているので、読者の時間はそこに縛ら
れます。じっくりと「観る」ということになる。もちろん、読者はその描写を
そのまま受け取るわけではなく、一方で批評しながら読む。「これはどういう
ことを意味しているのか」とか「作者はこう描いているが、ぼくはこう感じる」
と考えながら読むわけです。

「説明」は、読者にとっては作者の「要約」(まとめ)を受け取ることになる
ので、自由に感想を持つことが困難です。「それから――こうなった」「それ
はこうなのだ」と書かれたらそれを事実として受け入れるしかない。考え、批
評するという時間があまりないのです。

     ----------------------------------------------

 そこで、大、大、大結論!

1) 会話と説明だけで作られた小説は、読者にとってはスピード感にあふれ
   た読みやすいものですが、おうおうにして単調な印象になります。

2) 作者はプロットを考えドラマを語ります。
   それは現実の行為としては、事件を説明しまとめ、述べ語る行為です。
   ですから、小説というのはそのままでは読者が関与することなく、速い
   速度で流れていくひとつの客観的な話なんですね。

3) それに「ちょっと待てよ」とブレーキをかけるのが描写なんですね。
   ようするに加速状態にメリハリをつけるんです。
   描写によって読者が参加する時間が生まれるんです。
   虚構のおもしろさはそこにあるとおもうのです。

 ですから、「描写を!」ですね。描写が小説を形作ります。
 メリハリをつける、というのは――具体的には、描写をどう入れるか、なの
です。

 うん、これを言ったことで、今回のメルマガのテーマはもうほとんど伝えた
とおもいますね。うん、これを言いたかったんです。
 人が何かを見るということ――視線というものの複雑さ。
 それに込められた思い――
 読者と共有できる何か――

 描写は作者独自のものですが、それによって小説世界の見え方を読者に与え
ることができる……



-----------------------------------------------------------------------

 で、43号の続きになりますが、シーンのことです。
┌───────────┐
│どんなシーンが魅力的か│
└───────────┘

 シーンというのは一つの場所、一つの場面ですから、「これを描こう」と作
者がおもったときに、描くというのは簡単にできるとおもうんです。
 でも、小説全体を省みたときに、そのシーンが必要か、という疑問が湧いて
きたり、シーンを並べてみて単調に感じる、ということもあるとおもうんです。
 どうすればいいんでしょうか?

 結論的には前号で言ったとおり、

1 読者が体験したことがない
2 読者が行ったことがない
3 新しい知識が得られる
4 読者の胸踊る
       シーンを描くようにすればいいのです。

 それには同じようなジャンルの小説を読んで、今までとは違うものを描こう
という意気込みが作者に必要です。


       ───────────────────
       シーンはどのようにして考え出されるか?
       ───────────────────
 これ、小説を書こうとするぼくにとっては、すごく大事なことです。
┌────────┐
│プロットによって│
└────────┘

 事件の因果関係を語る流れ(プロット)によってシーンを作る。
 これはプロットを忠実に考えていくと自然にできてくるというシーンです。
────
小説は
────
 小説は「事件を時間の軸の上に並べてそれを語ること」です。
 テーマに関係する事件、人物、エピソード、背景の情報を並べること。
 小説は「その並べ方」です。

 そのなかで、不安や緊張感や暗示するもの(伏線)を作っておくこと。

 そして、読者が予期、予想できない意外な展開を作り出すこと。

──────
プロットとは
──────
 プロットとは何でしょうか?
 起承転結です。
 人間の行動、考えることはすべて、起承転結によって作られています。
 原因→結果、です。


         ───────────────────
 具体的にいうと「Aはこうした。→(なぜならば)だからこうなった」がプ
ロットですから、このAの行動を追うこと、描写することによってシーンを作
っていくんだ、という方法。
 
 これは小説を書く場合、普通に自然にぼくらがやっている方法ですよね。
 まず、主人公を作り、どういうふうに事件に巻き込まれていくかを考え、ど
ういうふうに事件が解決したかを考える。その主人公が立ち寄る場所がシーン
というわけです。これは考えやすい。

┌──────┐
│場所によって│
└──────┘

 2つ目は、場所の空間的近接関係によって、です。

 小説には主人公の他に多くの登場人物がいます。
 その彼らにも生活があり、小説の表面には記述されない隠された人生があり
ます。
 つまり、主人公が体験する時間軸に平行に登場人物の時間も流れているわけ
です。

 小説は登場人物の一人の視点から書くと、一つの物語をたどっていくという
書き方になることが多いのですが、これを複数の登場人物の視点からたどって
みます。
 クロス・カッティング方式と呼ばれるものです。

 Aという場所で起こっている事件と、Bという場所で起こっている事件を交
互に語り継いで、最後には一致するという描き方です。
 場所は最初は離れているのですが、クライマックスの場面では近づく。
 これはフロベールが小説の技法として持ち込んだのですが、今では当たり前
に使われています。
 そうですね、スティーブン・キングの本を読んでください。
 学ぶべきものはいっぱいあります。その細かな描写のやり方、小説の展開、
構成のやり方、話のおもしろさ、テーマ……


 いかにシーンを作るか、というところで、物語る方法を意識しているんです
ね。そしてそれは読者にとって心地よい。構成、展開をおもしろくすることは、
読者の小説を読む楽しみを増すからです。
 読者が何を求めているのか、そういう意識が作者にあるからです。
 


┌────────┐
│イメージによって│
└────────┘
 もうひとつの方法としては、イメージの近接関係によってシーンを作ってい
くという方法があります。
 こういう言い方は抽象的ですね。
 ある物や言葉や場面から登場人物の記憶や心理が蘇り、シーンに入っていく
という方法。カットバックをするときです。

 シーンに入るきっかけはアナロジーです。これとこれは似ている、という関
係です。

 映画などの映像の分野では、モンタージュ理論で知られるセルゲイ・エイゼ
ンシュテインが確立した技法です。
 詳しくは、
http://db3.ntticc.or.jp/g/archive/data/articles/T3d00337.htm
                を見てください。


「小説はプロットに基づいて、時間をカットバックして、謎を探っていく作業
だ」という言葉があります。
 つまり「過去」が現在の原因なのですから、カットバックによってテーマを
追求していくことは小説の常道なのです。

 主人公の心理の中に入っていくとき、カットバックは自然に使っていますよ
ね。ですから難しくはないです。その人物の置かれている心理というものを考
えればカットバックのきっかけはいつでもあります。


-----------------------------------------------------------------------
 うまく説明できたかな、とおもいますが、まあまあでしょう。
 シーンを作るということと小説の中の時間をどうするかということは構成す
るときに大事ですから考えておく必要があったのです。

 次回からいろんな描写のやり方について考えていきたいとおもいます。
 では、また。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 寒くなってきました。
 寒いのは嫌いです。前に「暑いのは嫌い」って言っていたんですけど……
 ご自愛してください。
…………………………………………………………………………………………
  ☆ミ         ★☆彡     ☆ミ       
            ☆ミ                           ☆ミ
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 00年11月18日                      〈毎週水・土曜日発行〉
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
          ☆小説の作り方!45号★彡 
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 長編を完成させる方法は、毎日最初のイマジネーションの衝動に触れること
です。それはとても強烈なので、書いている最中に消えてしまうことは決して
ありません。
               ポール・ホーガン
      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:

 こんにちは。
 ぼくは今、秋田にいます。
 こちらは寒いです。大阪にいると感じないけど、冬ですね。

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■「表現の技術」を考える(1)■         
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┌────────────┐
│イメージが、まずあること│
└────────────┘
 イメージが描写をするときに大事になるでしょう。
 イメージを結晶させるにはどうしたらいいのでしょうか。

 曖昧表現は絶対にやめなければいけない。曖昧表現について書かれた文章を
引用します。

『それから、とくに一人林で書くときにそういう表現が無自覚に流れ出るので
要注意です。例えば「せいぜい五、六本の木があるにすぎないように思えた」
は「五、六本の木がある」でいい。「せいぜい」「ように」「思えた」、すべ
てむだで、イメージを濁らせる作用しかない。あるいは、「何を思ったのか、
こちらへ向かって」という表現は、エッセーなどで、ある種のユーモアを生み
だす文体になっていればいいけれども、そうじゃない場合には言葉の流れを停
滞させます。「何を思ったのか」は相手の心中の付度ですから、「こちらへ向
って」という具体的なアクションの足を引っばる。また、「だいたい」「おお
よそ」「そういえば」「だったかもしれない」といった類の表現は、書いてい
るほうがそんなふうだったら、ますます読むほうはそのイメージをしっかりと
頭に描くことはできません。
 基本的に物語を構築し、各場面のイメージを鮮明にする作業を、書き始める
前に、書いている最中に、何度でも頭の中でやってみてください。そのなかで、
最後にキー・イメージが結晶するというか、決定的なイメージが例え一個でも
出てくれば、それで小説は成立するわけで、文章を削って整えないと、このイ
メージの突出が成立しないんです』
                     「小説家になる!」(メタローグ) 中条省平


1) つまり、言葉で作ろうとしてはいけないということです。
   言葉で考えるな。

2) 言葉にならないイメージがまずあって、それを伝えようとするから言葉
   が出てくるので、逆さじゃないんです。「こうじゃないな」「こうでも
   ないな」と自分のなかにあるイメージを探っていく。

3) 何を伝えたいのか、という核があるはずです。そこからイメージが湧い
   てくる。

 そのためにはどうすればいいか?

     ------------------------------------------------
     ★細部を描け。そして決定的に削る努力をすること★
     ------------------------------------------------
 前に細密な描写をすることは、けっしてお奨めの方法じゃないと言いました。
 実際そうなんです。
 作者の独りよがりに陥りやすいんですね、このイメージというものは。

 しかし、自分独自の文体や、イメージを持とうとするときには、細部にこだ
わるという意識が必要なんです。
 それで伝えられているかどうか、なんです。
 書き込み、削るということをして、どこまで自分の文体が確立できるかとい
うことだとおもうんです。


 もう一度、引用します。
        ------------------------------
        ★風景や行為に意味づけしない★
        ------------------------------
「それと、自分の見ている風景が、ある特殊なフィルターを通してみる、普通
の現実とは異質な風景だとは思わないでください。自分の風景とか行為の特権
化には根拠がないんです。もしも自分が見ている風景がいかに特殊なものであ
るかを表現したいのなら、それをきちんと文脈に即して説明するべきなんです。
 小説というのは、人間の内面に立ち入って心理を書くことは自由だけれども、
最終的には外に現れた行為によって表現していく芸術ですから、自分が見てい
る物とか風景とか自分が行っている行為にいちいち内面的な意味づけをやって
いったらきりがないんです」
                「小説家になる!」メタローグ 中条省平



 つまり、小説の言葉というものは、詩で使う言葉ではないんですね。
 言葉としては同じだけれど、もっと客観的なものとして使われている。
 小説の言葉の使われ方は「伝えられたらいい」ので表現として自立を目指し
たものじゃないんです。

 まるで詩のように、いちいち、思い入れたっぷりに描かれると、読むほうが
疲れてしまいます。
 大切なのは、言葉そのものの響きや語感に陶酔することではなくて、ストー
リーを語ることなんです。


┌───────┐
│表現への考え方│
└───────┘
 極端な言い方でいうと、
          ------------------------
          ★名文を書こうとするな★
          ------------------------

 名文でなくていいんです。
 表現もうまくなくていい。
 自分が伝えたいものを伝えられる文章、があればいい。
 それさえ考え続ければ、自分にぴったり合う好きな文章の形というものが
見つけだせるでしょう。

 もちろん、先達のすばらしい作家の文章を模倣するということもあるでしょ
う。
 でもそれは、その表現の底にある考え方、感じ方、ものへの見方を学ぶので
あって、同じ感覚を模倣していいというものではない。
「すごい、まいったな」と感心する表現はあります。
 でもそれは、先輩たちが為した結果であって、これからの目標じゃない。


★文章を書く基本にいつも立ち返りましょう。
------------------------------------------
 書くということは、5W1Hです。

 なんのために書くか。→目的
 どんな立場で書くか。→視点
 どんな文章を書くか。→表現


 人物、事件、背景、それが書くときの基本の要素です。
 それを思い描いて書いてください。
 まず、イメージがあるはずです。

1) それを静かに観察すること。
2) それを注意深く見つめること。
3) それの新しい面を発見すること。
4) それに対しての先入観を捨てること。
5) それに対して、世界に同じものは二つとないとおもうこと。


┌─────┐
│表現の技術│
└─────┘

 文章のねじれへの注意は――

「文章表現の技術」(講談社現代新書)植垣節也
「原稿の書き方」 (講談社現代新書)尾川正二
「レトリック感覚」( 講談社文庫 )佐藤信夫
「悪文」     ( ちくま新書 )中村 明

 などの本を読んでいただくとして、ここでは基本的なことを述べてみます。



         ------------------------
           比喩を多用しない
         -------------------------
 比喩は便利です。
 抽象的なものもイメージとして、読む人の心に植え付けてしまうことができ
ます。それほど文学的なのです。
 だからといって多用してしまうと全体の力を弱めてしまいます。
 いちばん伝えたいときに、それまでの比喩の賑やかさに紛れてしまうのです。
 ですから注意してください。

 村上春樹は別格です。
 春樹ワールドを築くならそうだってできる、ということなんだとおもってい
ます。


         ------------------------
            副詞は削ろう
         -------------------------

「いったい」「まるで」「何か」「決まって」「実に」「あまり」「何も」
「ゆっくり」「しばらく」「しだいに」「いつもより」「たぶん」「もう」
「やがて」「まるで」「みるみる」……などの副詞的表現があります。

 これらは文章を濁すだけで効果を上げません。
 自分が描こうとするイメージに自信を持っていないから副詞でごまかしてい
るんです。
 これらの文章の頭に来る語句は独特の悪いリズムを作ってしまいます。
 ほんとうはそういう言葉でリズムを作っては行けないんです。
(いえ、ぼくの文章もそうなんですが……(^_^; )


         ------------------------
           形容詞は削ろう
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 形容詞ってわかりますよね。「きれい」とか「美しい」とかの語句です。
 なるべく使わないようにしたいものです。

 形容詞ってイメージとしては何も伝えてないんですよ。
 言葉としては伝えられたという気がするだけで。


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           体言止めは使わない
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 体言止めはきっぱりとした効果を出す方法です。
 でもね……
 安易なやり方であるともいえます。

「動詞を使ってきっちり書ききれないときにやる人が多い。列挙するときに、
あまりにも動詞が煩雑だから体言止めで処理するといった場合には許されるけ
れど、それでも非常に安っぽいシナリオのト書きみたいになることを覚悟のう
えで体言止めを使ってください」
                「小説家になる!」メタローグ 中条省平


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            語尾について
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「だった」という過去形で書いていくと単調になります。
 ときどき現在形を併用して書いた方がいいです。
 そのほうが話者と読者との距離が近づくし、迫力がでます。
 でも、それはケースバイケースということで。


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          自由間接話法について
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「地の文の中で、登場人物の内心とかしゃべった言葉を書いてしまう方法とし
て、由由間接話法があります。「ヨシオは立ちあがる。そして、こんなことで
はいけないと思う」を「ヨシオは立ち上がる。こんなことではいけないんだ」
と、「思う」という枠組でくくらずに記述を進めていく。この方法の良い点は
「と思う」「と言う」が入らないから、その分スピーディになります。それと、
登場人物の内面や言葉をじかに書くことができるから、読むほうとしては、う
まく感情移入ができさえすれば、すらすら読めるし、その人物と一体化するこ
とができる。ところが、これを間違って使うと垂れ流し的になって、何か事が
起こるたぴに主人公の心の中を、必要もないのに延々と書いていくといったパ
ターンになるわけです。気をつけてください」
                「小説家になる!」メタローグ 中条省平


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           擬人化による描写を
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「身分を証明するものはあるのか」
 含み笑いをしながら警官は哲也に近づいてきた。心臓に向かって血が逆流す
るのがわかる。しびれる手は爪の先でポケットの中の偽造したパスポートを探
り当てようとする。

 ――と下手な文章を作りましたが、ときどき主格を人物以外にすると効果が
上がるとおもうんですが……(おそまつです(^_^; )

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 どうだったでしょうか?
 表現というのは作者が自分で作っていくものですが、基本のお約束はあると
おもうんですね。
 それと、こうしておいたほうが読みやすい、というルール。
 中条省平さんの文章を多数引用させていただきました。お礼申し上げます。

 次回も表現の技術を考えたいとおもいます。
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     ■編集雑記■
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 寒いですね。
 ご自愛してください。
 出張に行っていると伝言板に書き込みできないかもしれませんがよろしくお
願いします。読むことは読んでいるので。

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            ☆ミ                           ☆ミ
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