ハンムラビ法典(推定紀元前1750年バビロニアの法典)全文現代日本語訳
はじめに
 ハンムラビ法典は約4000年前のバビロニアの法典で、1901年12月から翌年にかけて、フランス人モルガンによりイランのスーサにてその碑文が発見されたものです。各分野で部分的には条文が紹介されているものの、全条文の平易な現代日本語訳によるものは存在しないか、あるいは入手が困難であるようなので、横溝達志氏所有・提供の資料(原田慶吉氏「楔形文字法の研究」1949,杉勇氏「楔形文字入門1968」)から全文の現代日本語訳を試みているものです。

 紀元前1750頃の作成と推定されるこの法典を読むと、まず「約4000年前のもの」である点が衝撃的ですし、「眼には眼を、歯には歯を」なんて簡単ものではなくて、人民の福祉や孤児寡婦の権利を守ることをも理念とした、先進的な内容だったということがわかり、驚きをもたらしてくれる「古典」だと思います。

 そしてこの法典の再発見から約100年になろうとしている現代にあって、現代を生きる同世代人の心をより豊かにする何らかのヒントになればいいと願って、なるべく平易に読めるように、現代日本語訳にして、このファイルを作成しました。お気付きの点がありましたらお知らせいただければ幸いです。匿名のご指示が無い限り、もし修正版をリリースする際には謝辞に御名前を記載させていただく場合があります。なお当方は専門の研究者ではなく、職域の任意のメンバーです。情報処理やプロジェクト/レビューに関する技術を有しており、この法典の再読の試みは、意義があるのではないかと話し合って試みたものです。ご質問等には、当方の時間や資源の制約により反応が困難な場合がありますので予めご承知おきください。
 July 1999 ハムラビ法典現代日本語訳プロジェクト : first release,July 1999 written by t.uraki/all rights reserved

下記の下線付きの項目をクリックすると関連条文までジャンプします。(分類及び見出し語は、当ファイルの便宜上つけたもので原文にはありません)

裁判盗人奴隷家屋侵入強盗従軍耕作借家商人運搬債権人質穀倉寄託虚偽貞操・婚姻・相続

[後半へ](争議/医師/理髪師/大工/船大工/船頭/牛・蓄産・他

前文「要約」(「逐語訳」は後掲)

神々がバビロン市の主権を世界最高のものとして確立した。私ハンムラビ国王は下記の目的で神々から支配権を委任された。
 

  • 委任者:
  • 基本理念:
  • 目標:
  • 私ハンムラビ国王は、法律と正義を、以下のようにアッカド語で規定することによって人々の福祉を増進させた。

     条文

    裁判(このページの先頭へ)

     1、もし人が、人に罪を負わせて殺人行為の責任を彼に負わせたのに、彼に確証しなかった時は、彼に罪を負わせた者は殺される。

     2、もし人が、魔術の責任を人に負わせて、彼に確証しなかった時は、彼は河神に行き、潜る。そして河神が彼の罪を捕らえれば、人が彼の家を取る。もし河神が彼を免責して白日の身となった時は、人は殺され、彼は人の家を取る。

     3、もし人が訴訟に於いて犯罪証言の為に出廷し、言った言葉を確証できない時は、もしその訴訟が生命の訴訟の時は、人は殺される。

     4、もし穀物または銀の証言の為に出廷した時は、その訴訟の罰を負わせる。

     5、もし裁判官が判決・裁決を下し、捺印証書を作成し、その後に彼の判決を変更した時は、変更を確証した後に、その訴訟での請求額の12倍とし、かつ彼を会合に於いても裁判官という栄誉ある椅子から追放し、決して元に戻ることも他の裁判官と共に訴訟に加わることもない。

    盗人(このページの先頭へ)

     6、もし人が、神または官廷の物を盗んだ時は殺される。また盗品を彼の手より受け取った者も殺される。

     7、もし人が、銀・金、奴隷・女奴、牛・羊・ロバ、あるいはいかなる物でも、自由人あるいは人の奴隷の手より証人と書面の契約なくして買い、あるいはまた寄託に受け取った時は、その者は盗人であり、殺される。

     8、もし人が、牛・羊・ロバ・豚、あるいは船であっても、これを盗んだ時は、もしそれが神殿や官廷のものである時はその30倍を賠償する。もしそれが臣民ものである時はその10倍を賠償する。もし盗人が賠償出来ない時は殺される。

     9、もし何かを紛失した人がそれを持つ人を取り押さえ、「証人の前で私は買った」と言われ、紛失主も「私の紛失品であることを知る証人を出す」と言い、当事者を各差し出した時は、裁判官は彼らの言葉を検討し、当事者も神の面前で証言する。売主が盗人であり殺される。紛失品の主は彼の紛失品を取り、買主は売り主の家より彼が支払った銀を取る。

     10、もし買主が、売主と売買時の証人を差し出さず、唯一、紛失品の主が、彼の紛失品だと知っている証人を差し出した時は、買主は盗人であり、殺される。紛失品の主は、彼の紛失品を取る。

     11、もし紛失品の主が、彼の紛失品だと知っている証人を差し出せない時は犯罪人であり、中傷行為を働いた者であり、殺される。

     12、もし売主が死亡した時は買主は売主の家からその訴訟の請求額をその5倍取る。

     13、もしその者に彼の証人が近辺にいない時は、裁判官は期間を6カ月まで彼に定め、そして、もし6ケ月内に彼の証人を連れて行かない時は、その者は犯罪人であり、その訴訟の罰を負わせる。

     14、もし人が年少の自由人を盗んだ時は殺される。

    奴隷(このページの先頭へ)

     15、もし人が宮廷の奴隷・女奴・臣民の奴隷・女奴について、市の門を立ち去らせた時は殺される。

     16、もし人が逃亡中の奴隷、女奴について、宮廷あるいは臣民の者を、彼の家の中に留め隠して、大告知人の告知にも拘わらず立ち去らせた場合はその家の主は殺される。

     17、もし人が逃亡中の奴隷、女奴について、これを野の中にて取り押さえて、その主にこれを連行した時は銀2シクルを、奴隷の主は彼に払う。

     18、もしその奴隷が彼の主を名指ししない時は、宮廷に彼を連れて行き、その背後に潜む事情が審査され、その後、彼の主に彼を返す。

     19、もしその奴隷を彼の家の中に留め置き、その後奴隷が彼の手の中に取り押さえられた時は、その者は殺される。

     20、もし奴隷が彼の捕らえ人の手から逃げ去った時はその者は奴隷の主に対し、神のもとに誓って放免される。

    家屋侵入(このページの先頭へ)

     21、もし人が家に侵入した時は、彼の進入場所の面前に於いて、彼を殺し、その後、彼を埋める。

    強盗(このページの先頭へ)

     22、もし人が強盗を働いて取り押さえられた時は、その者は殺される。

     23、もし強盗が取り押さえられない時は、強奪された者は、紛失中の彼の何物かを神の前に証明し、その後、自己の地と区域の中で、強盗が働かれた町とその長は紛失中の彼の何物かを彼に賠償する。

     24、もし問題となっているものが生命である時は町とその長は銀1マヌーをその相続人に支払う。

     25、もし人の家に火が焚き付けられて、消火するために赴いた者が家の主の物に目を向けて家の主の物を取った時は、その者はその火の中に投じられる。

    従軍(このページの先頭へ)

     26、もし兵士・捕手が、王の出征に従軍を命じられたものが従軍せず、あるいは賃金労働者を雇って彼の代理人を使わせた場合は、兵士・捕手であっても殺され、彼に賃借されたものは、彼の家を取る。

     27、もし兵士・捕手が、王の武装勤務中に捕虜となった者がいて、彼の原と園を他人に与え、もし彼が帰還した時は、彼の原と園を彼に返して彼が正しく赴く。

     28、もし兵士・捕手が、王の武装勤務中に捕虜となった者がいて、彼の子が赴くことにした時は、原と園が彼に与えられて、彼の父の封を行使する。

     29、もし彼の子が年少で、彼の父の封を行使する能力がない時は、原と園の1/3が彼の母に与えられて、彼の母が彼を養育する。

     30、もし兵士・捕手が、彼の原・園・家を封の負担から投げ出したため、他人が3年占有した時、彼が帰還して返還を請求しても、彼に与えられることはなく、彼の封を行使している者が引き続き封を行使する。

     31、もしただ一年去っていて帰還した時は彼の原・園・家は彼に与えられて彼が正しく彼の封を行使する。

     32、もし兵士・捕手が、王の出征中捕虜となって、商人が彼を彼の町に請け戻した時は、彼の家で出来れば彼が正しく自身を請け戻す。出来ない時は、彼の町の神殿で請け戻す。出来なければ、宮廷が彼を請け戻す。彼の原・園・家は彼の請戻しの為には与えられることはない。

    33、もし上士官・下士官が、賎民を取得し、または、王の出征中に賃金労働者を代理人として受け取って、連れて行った時は、その上士官・下士官は殺される。

     34、もし上士官・下士官が、兵士の物を取り、虐げ、賃金の為に使い、訴訟で強者に寄付し、王が兵士に与える報酬と取った時は、上士官・下士官は殺される。

     35、もし人が、王が兵士に与える牛または、小家畜を兵士の手より買った時は、彼の代償を失う。

     36、もし兵士・捕手・兵役の物である原・園・家は、銀の為に売却されることはない。

     37、もし人が兵士・捕手・兵役の物である原・園・家を買った時は、彼の証書は廃棄され、かつ彼の銀を失い、その原・園・家はその主に帰る。

     38、もし人が兵士・捕手・兵役にある者は、彼の封のものである原・園・家の中から、彼の妻または娘の為に書面の処分を行うことはなく、また彼の債務の為に決して売却されない。

     39、もし彼が買って取得する原・園・家の中から、彼の妻または娘の為に書面の処分を行い、また彼の債務のためにも売却する。

     40、もし尼僧、商人、特別受封者は、彼の原・園・家を銀の為に売却する。買主は買う所の原・園・家の封を行使する。

     41、もし人が兵士・捕手・兵役にある者の物である原・園・家を交換し、かつ補足金を与えた時は、兵士・捕手・兵役にある者は彼の原・園・家に帰り、かつ補足金受領者に与えれれた補助金を取る。

    耕作(このページの先頭へ)

     42、もし人が耕作の為に小作人に原の中に穀物を作せる時は、作業済みの耕作地を彼に確証し、穀物を彼の隣人の割合に従い、原の主に支払う。

     43、もし原を耕作せずに投げ出した時は、穀物を彼の隣人の割合に従って原の主に支払い、かつ彼が投げ出した原に畦を掘り、地をならして原の主に返す。

     44、もし人が未開墾の原を3年間開墾した時は,第4年には原に畦を掘り,耕を使って地をならして,原の主へ返し,かつ1イクーにつき穀物10クールを量る。

     45、もし人が彼の原を地代の為に耕作人に与えて彼の原の地代を受け取り、その後、原に気候の神アダッドが氾濫しあるいは津波が凌いだ時は損害は正しく耕作人のものである。

     46、もし彼の原の地代を受け取らず,収穫の1/2の小作,あるいは1/3の小作の為に彼の原を与えた時は,原で出来た穀物を,耕作人と原の主が割合に従って分配する。

     47、もし耕作人が前年度に於いて彼の採算が取れないとの理由で,他人が原を耕作できるという時は,原の主は拒否できず,新耕作人は彼の原を耕して収穫時に彼の契約に従って穀物を取る。

     48、もし人に利息債務があり,彼の原に気候神アダットが氾濫し、あるいは津波が凌い,あるいは水が無いため穀物が出来なかった時は,その年度分は穀物を彼の利息債務の主に返さず,彼の証書を変更し,加算しない。

     49、もし人が銀を商人より借りて穀物や胡椒の耕作地を与えて、商人に刈り取ってよいと言った時は,収穫時に原の主が正しく取って,商人より借りた彼の銀とその利息分の穀物,並びに耕作の費用を商人に支払う。

     50、もし耕作済の穀物あるいは胡椒の原を与えた時は、出来た穀物あるいは胡椒を原の主が正しく取って,銀とその利息分の穀物,を商人に返す。

     51、もし返済する銀が無い時は、穀物または胡椒を王の価格標準表の文言に従って、商人より借りた彼の銀とその利息に相応する価格関係に従って商人に与える。

     52、もし耕作人が、原で穀物あるいは胡椒が出来なかった時は、商人は彼の契約を変更することがない。

     53、もし人が、原の土手を堅固にすることを投げ出して堅固にせず、その結果彼の土手の中に裂け目が出来て、水が田野を凌わした時は、彼は喪失させた穀物を賠償する。

     54、もし穀物を賠償することが出来ない時は、彼と彼の動産を銀の為に売却して、自分の穀物を水が凌いだマルク団体民は売上代金を分配する。

     55、もし人が彼の溝を灌漑の為に開き、彼の隣人の原に水を凌がせた時は、穀物を彼の隣人の割合に従って量る。

     56、もし人が水を開いて、彼の隣人の原の耕作物を、水を凌がせた時は1イクーに付き、穀物10クールを量る。

     57、もし牧人が、草を小家畜に食べさせるにあたり、原の主と合意しないで行った時は、原の主は彼の原を刈り取り、牧人はその他なお、1イクーに付き穀物20クールを原の主に支払う。

     58、もし小家畜が牧場より脱出して、全畜群が市の門の内部に閉じ込められた後、牧人が小家畜を原に連れて行き小家畜に原を食べさせた時は、牧人は食べさせた原を見守って、収穫時に1イクーに付き、穀物60クールを原の主に量る。

     59、もし人が、園の主の同意なくして、人の園の中にて樹を伐り倒した時は、銀半マヌーを量る。

     60、もし人が、原を園(開墾地)として裁植する為、園丁に与え、園丁が栽植した時は、4年園を成長させ、第5年には園の主と園丁は平等に分配し、園の主は彼の分け前を選択して取る。

     61、もし園丁が、原に栽植するにあたって、全部を成し遂げずに未栽植地を残した時は、未栽植を彼の分け前として彼に置く。

     62、もし彼に与えられた原を園となるように栽植しない時は、もし開墾地である時は、投げ出された年の原の地代を園丁は原の主に彼の隣人の割合に従って量り、かつ原を栽植地に設えて原の主に返す。

     63、もし未開墾地である時は、原を栽植地に設えて原の主に返し、かつ1イクーに付き穀物10クールを1年分として量る。

     64、もし人が、彼の園の園丁に栽植の為に与えた時は、園丁は園を占有している間は園の収穫の中より2/3を園の主に与え、1/3を彼自ら取る。

     65、もし園丁が、園を栽植せずして収穫を減少させた時は、園丁は園の収穫を隣人の土地の割合に従って量る。

     66、もし人が、銀を商人から借りて、商人が督促した時に彼に返す物がなく、栽植済みの彼の園を商人に与えて、生産物を銀の為に運び去りなさい、と言う時は、商人は同意してはならず、生産物は園の主が取り、証書の銀と利息を返済し、残余は園の主が正しく取る。

     67、−70、*欠落により未解読*

      71、もし穀物、銀または動産を、隣人の家の物にして自ら買う所の封の家の為に与える時は、与える物はこれを失い、家はその主に還る。もしその家に封が伴わない時はその家を買い、その家の為に穀物、銀または動産を与える。

     72、−77、*欠落により未解読*

    借家(このページの先頭へ)

     78、もし・・借家人1年分の全家賃を家の主に与えるのにあたり、家の主が借家人に彼の借家日数が満了しない内に移転を申し渡した時は、家の主は、借家人が彼に与えた銀を失う。

     79、−87、*欠落により未解読*

    商人(このページの先頭へ)

     88、もし商人が、穀物を利息債務の為に与えた時は、穀物1クールに付き60クーの利息を取る。もし銀を利息債務の為に与える時は、銀1シクルに付き1/6シクルと6シェの利息を取る。

     89、もし利息債務が有る人が、返済できる銀は無くても、穀物が有る時は、王の価格表に従って商人は彼の利息に・・を取る。

     90、もし商人が違反して1クールに対し60クーの利息あるいは1銀シクルに対し1/6シクルと6シェの利息を超過して取った時は、彼が与えた物を失う。

     91、もし商人が穀物または銀を、利息として取って、銀、穀物・・の全利息を取って・・「その利息である穀物、銀は決して・・」と言った時は、・・。

     92、*欠落により未解読*

     93、もし銀または穀物を受け取った商人が、受け取った金額を控除せずに新契約書を書かず、あるいは利息を元本に付け加えた時は、その商人は彼が取った全穀物を2倍にして返す。

     94、もし商人が、穀物または銀を利息債務の為に与えて、銀を小さな秤石にて、または穀物を小さな桝にて与え、そして受け取った時は、銀を大きな秤石にて、穀物を大きな桝にて受け取った時は、その商人は受け取った物を失う。

     95、*欠落により未解読*

     96、もし人が、穀物または銀を商人より借りて、返済できる穀物または銀が無いが、動産は有る時は、彼の手に有るものを証人の前に運び、商人に与える。商人は決して拒まずに受け取る。

     97、*欠落により未解読*

     98、もし人が人に、銀を組合の為に与えた時は、生じた利益と損失を神の前にて平等に分配する。

     99、*欠落により未解読*

     100、もし赴いた所で利得を発見した時は、取った銀全額の利息を記入し、かつその日数を計算してその商人に返済する。

     101、もし赴いた所で利得を発見出来なかった時は、取った銀を2倍にして営業補助者は商人に与える。

     102、もし商人が営業補助者に銀を好意貸の為に与え、赴いた所で損害を被った時は、銀の元本を無利息にて商人に返す。

     103、もし旅行に赴く途上に、敵がいかなる物でも荷物を投げ出させた時は、営業補助者は神の元に誓って、放免される。

     104、もし商人が営業補助者に、穀物、羊毛、油または何らかの動産を取引の為に与えた時は、営業補助者は銀を記入して、商人に返し、営業補助者は商人に与える銀の捺印受取証書を取る。

     105、もし営業補助者が怠慢にして、商人に与えた銀の捺印受取証書を取らなかった時は、捺印受取証書の無い銀は、計算に決して置かれることがない。

     106、もし営業補助者が銀を商人より取って、商人と争った時は、商人は神と証人の前に於いて、銀の借用について営業補助者に確証し、その後、営業補助者は取った銀総額の3倍を商人に与える。

     107、もし商人が営業補助者に委託し、商人が彼に与えた物を、彼が商人に返した時に争いがある時は、彼は神と証人の前に於いて、商人に確証し、商人は取った物の6倍を彼に与える。

    酒(このページの先頭へ)

     108、もし居酒屋の女が、酒の代償に穀物を受取らずに大きな秤石で銀を受取り、又は穀物の分量に対する酒の分量を少なくした時は、その女に確証して、その女を水に投げる。

     109、もし居酒屋の女がいて、犯罪人達がその女の家の中に集合したのに、犯罪人達を取り押さえず、宮廷に連れて行かない時は、その居酒屋の女は殺される。

     110、もし尼僧院に滞在中のナディトムまたはエントムの高位の尼僧が、居酒屋を開き、あるいは酒の為に居酒屋に赴いた場合は、その者を焼き殺す。

     111、もし居酒屋の女が60クーのピーフム酒を信用貸に与えた時は、収穫時に於いては穀物50クーを取る。

    運搬(このページの先頭へ)

     112、もし人が旅行中に銀、金、輝石または動産を人に渡して運搬をさせた時、その者が運搬出来るものを運搬しないで、横領した時は、運搬主は、そのことを彼に確証し、その者はその5倍を運搬品の主に支払う。

    債権(このページの先頭へ)

     113、もし人が人の上に穀物または銀の債権を持っており、穀物の主の同意が無いのに穀倉または貯蔵所より穀物を取った時は、そのことについて彼に確証し、債権者は取りたる全穀物を返し、かつ如何なる物でも得た物は全て失う。

     114、もし人が人の上に、穀物または銀の債権を有していないのに、彼の人質を質に取った場合は、1人の人質につき、銀1/3マヌー支払う。

     115、もし人が人の上に、穀物または銀の債権を有していて、彼の人質を質に取った時に、人質がその質取主の家に於いて、その人質の運命の結果死亡した時は、その場合は請求権は決してない。

    人質(このページの先頭へ)

     116、もし人質がその質取主の家に於いて、殴打の結果、あるいはまた酷使の結果死亡した時は、質主は彼の商人に確証し、もし人の子の時は、彼の子を殺し、もし人の奴隷の時は銀1/3マヌーを支払い、かつ如何なる物でも得た物は全て失う。

     117、もし人を責任が捕らえて、妻、息子、娘を銀の為に売却し、あるいは質にした時は、3年彼らの買主または彼らの占有主の家にて彼に奉公し、第4年には、彼らの解放が行われる。

     118、もし奴隷あるいは女奴を質にして、商人が期間を経過した時は、銀の為に売却する。彼または彼の女は決して取り戻しを請求されることはない。

     119、もし人を責任が捕らえて、その債務者が、彼に子供を生んだ彼の女奴を、銀の為に売却した時は、商人が支払った銀を女奴の主は支払って、彼の女奴を請け戻す。

    穀倉(このページの先頭へ)

     120、もし人が穀物を貯蔵のため、人の家の中に貯め、あるいは家の主が穀倉を開いて穀物を取り、穀物を争って、その為に穀倉に損失が出た時は、穀物の主は、神の前にて彼の穀物を証明し、その後家の主は、取った穀物を2倍にして穀物の主に与える。

     121、もし人が人の家の中に穀物を貯めた時は、年に穀物1クールに付き穀物5クーを穀物の借料として与える。

    寄託(このページの先頭へ)

     122、もし人が人に、銀、金、または如何なる物でもこれを寄託した時は、寄託物はすべて証人に見せ、契約証書を定めて、寄託する。

     123、もし証人と契約証書なしに寄託したのに、寄託した所にて受寄者が彼に否認した時は、その場合は請求権は決してない。

     124、もし人が人に、銀、金、または如何なる物でも証人の前で寄託した時、受寄者が彼に争った時は、寄託者はその者に確証し、その後受寄者は否認した物は2倍にして与える。

     125、もし人が彼の何物かを寄託し、あるいは押え込み、壁穴破りの結果によって、彼の何物かが家の主の何物かと共に紛失した時は、不注意に紛失した家の主は完全に賠償して物の主に返し、紛失中の物を探して彼の盗人より取る。

    虚偽(このページの先頭へ)

     126、もし人が何物かが紛失していないのに「紛失している」と言い、彼の門に虚偽の訴えをした場合は、彼の門は神の前に於いて彼に証明し、その後、彼は請求した物の2倍を彼の門に与える。

    貞操・結婚・相続(このページの先頭へ)

     127、もし人がエントム(高位の尼僧)または人の妻に対して、貞操に関する悪評をして、確証出来なかった時は、その者を裁判官達の前に連行し、彼の耳を切る。

     128、もし人が妻を娶とって、その女に関する契約書を定めない時は、その女は決して妻では無い。

     129、もし人の妻が他の男と共に横たわっていて取り押さえられた時は、彼らを縛って水に投ずる。もし、妻の主が彼の妻を生かす時は、国王または彼の奴隷(人民は国王に対しては全て奴隷)を生かす。

     130、もし人が人の妻であって男を未だ知らないで、その父の家の中に滞在している者に暴力を加えて、彼の女の膝に横たわった時、彼を取り押さえた時は、その者は殺され、その女は放免される。

     131、もし人の妻がいて、夫が彼の女に疑いをかけたが、他の男と共に横たわるのを取り押さえられなかった場合は、彼の女は神のもとに誓って、彼の女の家に帰る。

     132、もし人の妻がいて、他の男との貞操に関する悪評があるが、他の男と共に横たわるのを取り押さえられ無かった時は、彼の女は彼の夫の為に河神のもとに潜る。

    (後半に続く)

     ● 後文(要約)

    これらの法文はバビロンの基礎確固である神殿エーサギラに 国の法とし、裁決の為に碑として確固に設置した。 虐げられた者は、記載された碑文を読み、碑文の内容によって 訴訟の見通しや法を彼らに見出させることによって、彼らの心を安心させる。 「ハンムラビこそ、人民の福祉を、人民の為に、永遠に確立することによって、 バビロニア国に正義を得させる」と高らかに声に出して祈るがよい。

    前文逐語訳(抄訳)

     崇高なる天上の神々の王であるアヌム神と天地の主であり天命の主催者であるエンリル神が、エア神の長子であるマルドックの神に全人類の運命の決定権を与え、イギギ神等の承認を得てマルドックを偉大な神として、バビロンをその崇高な名で呼び世界の只中にバビロン市の主権を最高のものとして確立した。この時にあたり名声赫々とした大公であり、神々を敬う私ハンムラビに正義を国の中に輝かしめるため、悪者とずるい者を無くす為、人々の福祉を増進させる為にアヌム神とエンリル神は、私ハンムラビに支配権を委ねたもうた。私ハンムランビは牧人であり、エンリル神に天命を受けたもの、あまねく豊富をゆきわたらせるもの、天地の結び目ニップール市の再建者エ・クルルム神殿の名声高い擁護者である。有能な王であり全世界を支配下に置いたもの、バビロンの名声を偉大ならしめた者、主なるマルドックの心にかないし者、偉大なる神に敬虔な祈りを捧げる名声高らかな司、スムラエルの後裔シンムバルリットの強大なる嗣子王朝の永久の礎、強大なる王、バビロンの太陽神にして、光をシュメール国とアッカド国に投げかけるもの、全世界の主権者、イシュタル女神に愛されるものである。・・ 私ハンムラビ国王は、法律と正義を、以下のようにアッカド語で規定することによって人々の福祉を増進させた。

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