尿一般検査

 「尿」は、体内循環している血液が腎臓によって濾過されつくられます。このため、尿がつくられる腎臓や尿路の異常を見つけるだけでは無く、全身の情報を得る事が出来ます。
 「基準値」は、各医療機関により若干の違いがあります。ここでは、参考の値として表示しています。        
    *「基準値」:一般的に健康と判断された個体の95%を含む中央部分を基準範囲とします。

 疾患名についても記していますが、これも参考程度になさって下さい。一つの項目が、「基準値」から外れたからといって疾患とは限りません。最終的には、ドクターが色々な情報を総合的にとらえて診断されます。

 尿定性 尿蛋白・尿糖・潜血・ウロビリノーゲン
 尿沈査 「尿沈査」は、尿を遠心分離器にかけて沈殿させた有形成分(沈査)を顕微鏡でみる検査です。

尿定性

 尿定性は、試験紙を尿に浸すことによって検査されます。
 尿蛋白  尿中の蛋白は健常人でも少量含まれていますが、通常の定性検査ではほとんど検出されません。蛋白尿は、生理的蛋白尿(運動後・入浴後・発熱時などに出る事があります。)と病的蛋白尿に分類されます。
 基準値:(-)
 高値疾患:ネフローゼ症候群・腎盂腎炎・糸球体腎炎・膠原病・妊娠中毒症・尿管、膀胱、尿道の炎症、結石、腫瘍・心不全など
 尿糖  通常、ブドウ糖はほとんど全てが尿細管で再吸収され血中に戻されますが、糖尿病をはじめとする 色々な原因で血糖値が上昇(正常な腎では、血糖値170〜180mg/dl以上)すると再吸収されきれずに残った糖が尿中に排泄されます。
 基準値:(-)
 高値疾患:糖尿病・膵炎・甲状腺機能亢進症・重篤な肝障害・先天性又は後天性の尿細管における再吸収障害など
 潜血  血尿は、全身性の出血傾向、腎、尿路、泌尿器系の腫瘍、炎症、異物、先天性異常など色々な成因によって起こります。また、尿に対する血液の割合が0.1%を超えると肉眼的血尿となります。
 基準値:(-)
 高値疾患:急性腎炎・腎うっ血・ネフローゼ症候群・腎、尿管、膀胱、尿道の炎症、結石、腫瘍・ヘモグロビン尿を伴う疾患・ミオグロビン尿を伴う疾患など
 ウロビリノーゲン  ビリルビン(赤血球中のヘモグロビンが変化して出来ます。)が分解されて出来たものです。健常人でも尿中に一定量排出されます。
 基準値:(+-)
 高値疾患:肝硬変・肝細胞障害・うっ血性心不全・悪性貧血・溶血性貧血・便秘など
 低値疾患:胆道閉塞・膵頭部の腫瘍など

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 尿沈査



 赤血球  多くの腎・尿路系疾患および出血性疾患で尿中に出現します。その形態により出血部位がわかる場合もあります。
 白血球  尿路の炎症性疾患(腎盂腎炎・膀胱炎・尿道炎・前立腺炎など)の場合に著明に増加します。その他、尿路の結石・腫瘍などでも増加します。




 扁平上皮細胞  外尿道口に由来します。細菌、トリコモナス原虫による尿道炎、尿道結石症などで出現します。女性の場合は、外陰部や膣部由来の細胞の混入の場合もあります。
 移行上皮細胞  腎盂・腎盃から尿管、膀胱、内尿道口までの粘膜に由来します。由来部位の炎症、結石症などで出現します。
 尿細管上皮細胞  近位尿細管からへレンの係蹄、遠位尿細管、集合管、集合管、腎乳頭までの内腔を覆う上皮細胞に由来します。糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、ループス腎炎、のう胞腎などで出現します。
 卵円形脂肪体  尿細管上皮細胞が脂肪変性したもので細胞中に脂肪顆粒が含有しています。ネフローゼ症候群の尿中に出現します。


   円柱は、尿が尿細管内に停滞した場合に、尿細管から分泌されるTamm-Horsfallムコ蛋白と少量の血清アルブミンが結合して産生されます。尿細管を鋳型としているためその数や大きさなどの形状、含有成分によって尿細管の病態変化と重症度を知ることが出来ます。
 正常尿中には、通常認めませんが、過激な運動後や入浴後に少数の硝子円柱が認められることがあります。



 細菌  健常人でも通常の排尿の場合、尿道などからの混在があり、ある程度の細菌は存在していますが、多数の細菌(通常10万/ml)が存在する場合は細菌尿になります。
 大腸菌が最も多く出現し、膀胱炎・腎盂腎炎・腎炎の主な起因菌となります。
 真菌  尿中にみられるものの大部分は、Candida albicansです。尿路感染症(カンジダ症)の原因菌になりますが、外部からの混入の場合もあります。
 トリコモナス原虫  男性より女性に多く見られます。男性の場合は尿道炎・前立腺炎、女性の場合は、膣炎、尿道炎の原因となります。





 通常結晶  食事や生理的な塩類代謝で出現し、健常人でも見られるものです。多量に出現した場合には、尿路結石などの病的な場合もありますが、一般的には疾患とは直接結びつきません。 
 結晶の種類:シュウ酸カルシウム結晶・尿酸結晶・リン酸カルシウム結晶・リン酸アンモニウムマグネシウム結晶・尿酸アンモニウム結晶・尿酸ナトリウム結晶・炭酸カルシウム結晶
 異常結晶  なんらかの病的疾患があって出現する結晶です。
 ビリルビン結晶  尿中ビリルビンが陽性で認められますが、陰性でも認めらる場合があります。いずれの場合も肝・胆道疾患が考えられます。
 チロジン結晶  一般にビリルビン陽性尿で認められ重症肝障害で出現します。
 ロイシン結晶  重症肝障害で出現します。
 コレステロール結晶  ネフローゼ症候群、乳ビ尿など高脂肪尿で出現します。
 シスチン結晶  先天性アミノ酸代謝異常のシスチン尿症で出現し、尿路結石の原因となります。
 DHA  プリン代謝に関与する酵素であるAPRT欠損症で出現し、尿路結石の原因となります。


 粘液糸  細長いひも状の成分です。正常でも少量認められますが、慢性尿管炎・慢性膀胱炎などの場合に多くみられます。
 精液成分  精子、前立腺や精嚢由来の分泌物です。精液成分が尿中に混入すると尿蛋白が擬陽性になることがあります。

 

成分 基準値
 赤血球  3/HPF以下
 白血球  M 3/HPF以下 F 5/HPF以下
 上皮細胞(扁平上皮が主体)  M 1/HPF以下 F 5/HPF以下
 円柱(硝子円柱のみ)  5/WF以下
 結晶  通常結晶のみ
 HPF:強拡大(400倍)  WF:全視野

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