バイオの言葉 バックナンバー

Dec 4, 2000 発行(第13号)
 
 「人材不足」

 バイオ産業では人材不足が叫ばれています.例えば以下のようなことが言えます.

  バイオの分かる弁理士はほとんどいない.(例外清水初志氏)
  バイオの事業計画書を書ける人がいない.
            (日本政策投資銀行の渡辺孝氏講演から)
  横浜地域COEに関連した議論ではコーディネーターがいないという.
  新聞記者はバイオが分かっていない.
  研究者は事業性を考えていない.
  日本にはバイオインフォマティックス人材が不足している.
  シンクタンクのレポートも意味不明のものが多い.

 一方で,大学にいて,学会などに出席すると生物系の研究をしている人はかなり多いことが分かります.学会も様々な学会があり,当然重複して参加しているのですが,かなり多くの研究者&学生がいるのです.

 さて,人材不足は全てが深刻であるのですが,産業面から考えると,「弁理士」「バイオインフォマティックス」「事業計画を書ける人」とが大きな問題かもしれません.これに加えて「事業計画を評価できる」ということも大切で,結局各方面での人材が不足していることになります.

 この大学に人はいるけど,産業では...というのが根本的な問題を明らかにしています.つまり,バイオ産業の世界では当然「バイオテクノロジー」プラス「事業化」であるので,この2つの能力が必要なのです.

 そして「バイオテクノロジー」について言えば,私自身が植物のごくわずかな領域しか知らないように,その範囲が広く知識をつけるのには厳選した情報と,明確な目的が必要になるのです.

 またバイオインフォマティクスにおいては,生物学に加えて情報処理に関する知識(統計など)が必要なのです.とある先生がおっしゃっていましたが,「生物学をやっていると生物が面白いから情報をやる人が出ない,だから情報の分野から生物に興味をもつ人が出ないと..」という面もあります.

 そこで,本当の現状は知らないのですが新聞等によると,アメリカでは大学の基礎教育に生物学を必ず入れるようにしたとか...

 (ここからは「ひとりごと」ですが,)バイオ技術は基盤技術となると思います.先日の日経新聞にもDNAコンピュータというDNAを利用した計算処理の方法の実用化が記事になっていました.それはともかく,ゲノム情報が明らかになり医療に応用されると人々は嫌でも遺伝子について考えることになります.

 そして,産業として広がる時,知識不足のために,投資を出来なかったり,技術の導入が出来なかったりすればその損失は大きいと思われます.またNHKスペシャルなどで報道されているようにアメリカでは多くのバイオベンチャーが成り立ち,遺伝診断なども率先して行われており,未来の基盤技術が全てアメリカに握られてしまう危険性があります.

 産業育成も政府の方針として非常に大切ですが,それ以前に,日本人一人ひとりが,もっと生命科学に興味をもつ必要もあるかもしれません.

 これは私がメルマガを発行している一つの理由でもあります.



 バイオの言葉バックナンバー一覧に戻る  バックナンバー一覧へ戻る    最初のページに戻る