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レオン(完全版)

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レオン
スタッフ 監督・脚本 リュック・ベッソン
撮影監督 ティエリー・アルボガスト
音楽 エリック・セラ
キャスト レオン ジャン・レノ
スンタスフィールド ゲイリー・オールドマン
マチルダ ナタリー・ポートマン


 敵役が特徴的な映画は面白いですね。
 この「レオン」でゲイリー・オールドマンが演じるスタンスフィールドの強烈さはどうでしょう。 上を向きながら首をひねって緑と黄色のカプセルに入った薬を噛み砕く時の恍惚とした表情・ 虚ろな目、そして吐息。カメラは、わざわざ真上からその顔をとらえています。 かなり個性の強い役作りを監督と共にしていることが分かります。
 そんな強烈な印象に残すスタンスフィールドの台詞から。

「嵐の前の静けさは最高だな。ベートーヴェンだ」
 このベートーヴェンと暴力という組合せは、「時計じかけのオレンジ」を思い出させてくれます。 そう言えば「雨に唄えば」も……。
 この「レオン」には、ジーン・ケリー、マリリン・モンロー、チャップリン、ジョン・ウェインなどが出てきて映画ファンを楽しませてくれます。

 続けてスタンスフィールドの台詞をもう一つ。
「まるで面白くないからな、生きていたいと思わないものを殺すのは」


 次にレオンとマチルダの会話を並べてみましょう。 こんな風に並べただけで、二人の性格や心情が浮かび上がってきそうです。

マチルダ 「大人になっても人生はつらい?」
レオン 「つらいさ」

レオン 「“オーケー”はよせ!」
マチルダ 「オーケー」
レオン 「よし」

レオン 「何歳だ?」
マチルダ 「18よ」
レオン 「18?」
マチルダ 「免許を見る?」
レオン 「いいよ。もう少し若く見えた」
マチルダ 「ありがとう」

(観葉植物について)
マチルダ 「大事なの?」
レオン 「最高の友さ。無口だからいい。俺と同じで根がない」
マチルダ 「大地に植えれば根を張るわ。私も、その鉢植えと同じね」

マチルダ 「あなたに恋をしたみたい。初めての経験よ」
レオン 「初めてで、なぜ分かる?」
マチルダ 「感じるの」
レオン 「どう?」
マチルダ 「ここが温かいの。絞めつけられるような感じが消えたわ」
レオン 「マチルダ、腹痛が治って何よりだ。恋とは関係ない」

レオン 「人を殺すと、すべてが変わる。取り返しがつかない。 目を片方開けて寝るはめに」
マチルダ 「そんなこと、どうでもいい。私が欲しいのは愛か死よ。それだけ」

マチルダ 「私が勝ったら、生涯、あなたと一緒にいさせて」
レオン 「負けたら?」
マチルダ 「前みたいに一人で買い物を」

マチルダ 「私が死んだら悲しむの?」
レオン 「いいや」
マチルダ 「それは本心ね? 私への愛がないことを願うわ。 もし私への愛がひとかけらでもあったら、このことを後悔するから」

マチルダ 「あなたの初仕事は何歳の時?」
レオン 「19だ」
マチルダ 「私の勝ち」

レオン 「君に会ってから、すべてが変わった。だから少し自分だけの時間が欲しい。 君も、もう少し大人に」
マチルダ 「もう大人よ。あとは年を取るだけ」
レオン 「俺は逆で、年だけは取ったが、これから大人に」

レオン  「君は俺に生きる望みをくれた。大地に根を張って暮らしたい。 独りにはしないよ」



 昔の映画と最近の映画で、格段に違っていることの一つに音響効果が上げられます。 個々の楽器の音色や言葉が明瞭に聞き取れるほど音質は良くなり、 映画館が地響きするほどの大音響も出せます。 しかし、むしろ派手な音などない方が万感の思いは伝わってくると、 あらためてこの映画「レオン」は教えてくれます。

 それは、クライマックスでのことです。
 警官隊の重包囲網をまさに突破しようと レオンが向かっていく明るい戸口が、一瞬さらに明るくなり、 ゆっくりと傾いでいきます。 この時、真後ろに迫っているスタンスフィールドが放った銃声は明瞭には聞こえません。 音もなく静かに傾いでいく映像は、気持ちがまだ戸外に向かいながら、 その心に反して体がゆっくりと倒れていくレオン本人の眼に映っている悲しい情景です。 私たちは、レオンとまったく同じ情景を見ていることになります。

 この映画「レオン」は、レオンのマチルダに対する心の変化を追っていきながら、 最後のこの視点によりレオンになりきってしまう心憎い映画です。

レオン 完全版 アドバンスト・コレクターズ・エディション レオン / LEON : walk

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