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こども
未来財
団報告




むかし むかしのお話です。
日本によく似た小さな国に、大人になることを拒否した子供たちが現れました。
それは言ってみれば はしか のような勢いで国の子供たちを席巻しました。
わたしも。わたしも。 ぼくも。ぼくも。
次々に大人になることを拒む子供たちは増えていきました。

だって子供なのだから、働かなくても良いし、受験もしなくて良いのです。
「そいつぁバアさん、イイこと聞いた」
それならぼくもって事で、次々に大人になることを拒む子供たちは増えていきました。

大人になることを拒否した子供たちは、
いくら大人になることを拒んでも、体は自然と成長していく。
それじゃあ子供でいる意味がないってんで、
成長ホルモンを操って、からだの成長も止める薬なんてものまで開発してしまう始末。
この技術力には大人たちも正直おどろいた。
子供の柔軟な発想は科学の進歩をも凌駕するものかと青息吐息。

そうなると、いつまでも美しくありたいオネーサンたちがお金を出してこの薬を買い求めるようになりました。
子供は頭が良かったので、とても高額をふっかけて、この薬を売って大儲け。
日本によく似た小さな国に、こども未来財団を築きました。

大人はこの こども未来財団 に入ることは許されず、子供たちは子供たちだけで、どんどん私腹を肥やしました。
子供たちはそのお金で大人社会の株を買い占めました。
子供たちはそのお金で外国と貿易をはじめました。
子供たちはそのお金で大人を雇いはじめました。
子供たちはそのお金で武器を買って戦争を始めました。

いつのまにか、この日本によく似た小さな国は、子供たちの言いなりに動く国になりさがってしまいました。

街のおしゃれなカフェは子供たちの為に、大人たちがお茶を煎れます。
夜の繁華街は子供たちの為に、大人たちがお酒をついで接待をします。
そしてその路地裏では、大人たちがお金の為に子供相手に体を売ってました。

子供たちはブタが大好きでした。
自分たちの科学力で手の平サイズのミニブタを開発してペットにしました。
あまりに多くミニブタを作ったので、都会にも、田舎にも、ミニブタが溢れかえってしまいました。
右を向いてもブーブー。
左を向いてもブーブーブー。
後ろを振り返ってもブーブーブーブー。
ふと足元見降ろしゃブーブーブーブーブー。

良識のある大人たちは嘆きました。
こんな事ではこの国はダメになる。
子供に支配されたダメダメ王国だ。
こんなことでは諸外国に顔向けできない。
大人の社会を取り戻そう。
ある日こっそり大人たちは集まって秘密の会議を開きました。
この国に大人の威厳を!
この国の大人に明るい未来を!

大人たちは偽物のセレモニーで子供を一箇所に集めて一網打尽を考えました。
そこで大人たちは全国の子供たちに宛てて招待状を書きました。
「未来はキミたち子供のためにある。その事をミニブタの銅像に託して未来永劫に語り継ぐお祝いをしよう!」

そしてセレモニーの日がやってきました。
子供たちは自分たちの新しい門出に大喜びで全国から式典会場に集まります。
ミニブタを連れて。
ミニブタはさすがに動物なので、この不穏な雰囲気を察知してブーブー鳴きました。
でも、子供たちは浮かれているのでミニブタの哀しそうな鳴き声には気付きません。
子供たちはとても上機嫌でお酒に舌鼓を打ち、マスゲームに興奮し、手拍子をしました。
ラッパを吹き鳴らせ!
小太鼓を打ち鳴らせ!
ピエロよ歌い踊れ!
紙吹雪よ舞い上がれ!

さあ、セレモニーもクライマックス。
ミニブタの大きな銅像の除幕と同時に沸き上がる子供たちの歓声と、放たれる炎。
一瞬にして会場は火の海です。
子供たちは何が起こったのか分からず泣き叫びましたが、ミニブタたちの鳴き声で掻き消されてしまいました。
大人たちはその光景を見ながらワインを飲んで乾杯しました。

あっけない こども未来財団 の幕切れでした。
大人が3人ほど火に巻き込まれて死んでしまいましたが、
名誉ある殉死として後日表彰されました。

もう死んでるのにね。おかしいね。

もう死んでるのにね。おかしいね。



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