PTA総会で


 私は、昨年四月この学校に参りました。
 この学校に来て感じたことは、いろいろあります。校舎についていえば、特別教室などまだ不足のものがありますが、一応、本校舎、体育館が完成し整備されており、生徒たちは明るくのびのびと勉強にスポーツに精を出しております。朝夕のあいさつも非常に立派であります。これは、この土地柄というか、魚津市民の一般的人柄を反映しているのであろうと嬉しく感じました。

 それと同時に一番強く感じたのは、本校の先生方のあたたかい和ということです。県下有数のベテランの先生方から新進気鋭の先生方まで、渾然一体となって和気藹々として、着実に教育の効果をあげている。私は、昨年のPTAの総会の席上で、この私の第一印象を申し上げましたが、一年たった今も、そのことについて昨年の言葉を、何ら修正する必要がないということ。これはたいへん嬉しく、有難いことだと思っております。

 こどもの教育指導については、その方法論について、いろいろ意見の違いがありますが、激論してもその底に流れる、あたたかい和というものがある。これが、あらゆる教育の基礎であります。

 そこで、先ずお願いしたいことは、父兄の皆さんが先生方を信頼してほしいということです。
 私は、たまたま校長ですが、一人の教師としてどうか。一教師として、うちの先生方よりその学識といい、識見といい、情熱といい、人間性といい、指導力といい、その他すべての点で優れたものがないのではないかと、反省しております。

 このごろ、テレビなどで「先生たちは駄目だ」などと、平気で放言している、ニセ文化人的テレビタレントがいますが、私は、この人のこどもは可哀想だなあと心から思います。こどもの先生に対する信頼を、家庭において親が一生懸命こわしている哀れな人たちが多いように思います。
 教育は、信頼関係という大地の上でしか実をむすばないと思います。

 家庭でのこどもとの親子関係について、私見を述べさせてもらいます。
 こどもたちは、
 @つねに、自分に関心をもってほしい。
    ただし、その関心は評価ではなくて、理解をしてほしい。
 Aつねに、公平にとりあつかってほしい。
    もう一人のこどもを引き合いに育てられないようではいけない。
 Bニンジンとチョコレートをうまく配分して与えねばならない。
    小遣いを十分与えるだけではいけない。
 よく食べ、よく眠り、よく休み、よく遊び、嫌なことはしないというノンビリムードがはびこり、こどもを叱ってはいけないという風潮は間違いのもとです。

 このごろ、生涯教育ということがいわれております。
 教育といえば、学校教育が全てだったという反省と、急速に変貌してゆく社会に対応するための必要感から、人間は一生涯つねに教育を受けねばならない。自己研修しなければ社会から取り残されるという考えです。
 学校を出てから青年団活動、あるいは成人教育、老人教育いろいろあります。

 この観点からしますと、中学生をもつ親ごさんは、親の立場から、家庭においてどう教育するか、そのためには、どう自分を高めるか、どう考え、どうこどもに接してゆくかを考えなければならない。これは非常に大切なことであります。ここらあたりにも、今後のPTAの進むべき方向があるのではないかと思います。

 家庭教育と学校教育が、先ほど申しました信頼という大地の上に、車の両輪のごとく、ぴったり息をあわせて進んで生きたいものだと、私どもは願っております。私どもも精一杯やるつもりでありますから、今後とも緊密な連絡をとっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

     学校長 木下 周一

       原稿より          1973年頃

      ※学校の近況など省略した部分があります。