「文化行政長期総合計画懇談会中間まとめ」について


 「中間まとめ」を通読して気付いたことを、非礼を恐れず直言すれば、多彩な顔ぶれの割には、結論があまりにも文化庁サイドなことであり、新味に乏しく、魅了がないことである。しかも その結論を出すための基礎データが全く提示されていないことである。

 国民の文化に対する意向・意識・ニードは何か。文化団体の実態はどうか。何万人の都市には、どんな文化施設がどれほど必要か。それに比して現状はどうか。それらのデータが全く無くして委員の討議がなされたとは思わないが、例えば「文化拠点の多極集中化」という項は、いかにも東京文化人の中央意識からくる発想であり、やはり濃度を薄めた中央志向である。

 なぜならば、各地方の文化には、それぞれ特色があり、文化の度合いやバランスが異なるようにニードも異なり、従ってそこに今後積み上げられるべき文化の態様もまた異なるはずである。

 それゆえ、これからの国の施策は、各地の特色ある文化も最大限に伸ばすよう努力すべきなのに、単に小東京文化をいくつかばらまき、その周辺都市もまたそれに追随させ、以って文化が向上したと考えられるような発想は全然的はずれといえよう。文化行政の長期総合計画を呼称するにしては、この会に提出された資料といい、話題といい、地方の実態を全く知らないものと言えるのではなかろうか。

 今後、この懇談会が、行政能力の未だ強力でない文化庁を叱咤激励し、「ポスト福祉行政は文化行政時代である。」というくらいの意気込みを以って抜本的な改革を提言されることを切に期待したい。そのためには、むしろ審議会に切り替えて、十分な資料と調査をもとに、文化の普及・振興に関する基本方策について強力で大胆な答申がなされることが肝要と思われる。

    原稿から             1976年頃