はじめに


 入試という関門を突破して、わが富山東高等学校に合格された三百五十二名の諸君、入学おめでとう。諸君は、第十八回入学生として、今日からの三か年の青春を、校歌にある「山脈冴えて光を放つ」この「東の窓べ」においてすごすのであり、今その第一歩を踏み出されたのであります。

 さて、これからの三か年は、諸君の人生にとってどんな位置を占める時期となるでしょうか。
 諸君の現在の時期を、ルソーという人は、「心身の能力がありあまる時代」であり、「能力が願望をうわまわるただ一度の短い時代」であると言っています。

 この時期以外のどの時期をとってみても、例えば早く走りたいとか、正確に記憶したいとか願っても、体がついてゆけないのが通常なのに、諸君の時期には、鍛凍次第では、願望以上の高水準まで能力を高めることが可能というまことに不思議な時代であると言うのです。

 二百年前のこの天才の予言は、現在の医学・生理学・心理学によって、確認されました。即ち、ちょうど高校の三年間こそ、努力によっては、諸君の能力は、偉大な飛躍をとげるはずであり、そして、ありあまる能力を眠らせていては、後日全くとりかえしがつかないことを知るべきであります。

 本校の校訓は、「高きを求め、誠に生きん」であります。これは、諸君に向かって、大きな希望に燃えよ、未来は偉大なχである、と呼びかけているのです。

 貧しい木こりの子、荒野になたをふるっていたA.Lincoln。
 成績不良で小学校の先生から見はなされたT.Edison。
 クラスの最下位であり、ある日腕力も上の子に蹴とばされて目がさめ、猛然と勉強したというI.Newton。

 彼等は、それぞれに、諸君と同じ年頃の時期に、自己改革のきっかけをつかみ、強い意志を持って、ひたむさな努力を続けたのであります。

 この小冊子が、今後の高校生活の指針となり、諸君の自已改革のきっかけとなることを期待するものであります。丹念に読んで、できるだけ早く本校に順応してください。


     学校長 木下 周一
       富山県立富山高等学校 「入学のしおり」
                  1979年