国際刑事司法共助法

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制定91.3.8法律第4343号

第1章 総則

第2章 共助の範囲及び制限

第3章 外国の要請による捜査に関する共助

第4章 外国の要請による刑事裁判に関する共助

第5章 外国に対する捜査に関する共助要請

第6章 外国に刑事裁判に関する共助要請

第7章 補則

附則

第1章 総則

 

第1条(目的)この法律は、刑事事件の捜査又は裁判と関連して外国の要請により実施する共助及び外国に対して要請する共助の範囲及び手続等を定めることにより犯罪鎮圧及び予防において国際的な協力を増進することを目的とする。

 

第2条(定義)この法律で使用する用語の定義は、次の通りである。

 1."共助"とは、大韓民国と外国間に刑事事件の捜査又は裁判に必要な協助を提供し、又は提供を受けることをいう。

 2."共助条約"とは、大韓民国と外国間に締結された共助に関する条約・協定等をいう。

 3."要請国"とは、大韓民国に対して共助を要請した国家をいう。

 4."共助犯罪"とは、共助の対象となっている犯罪をいう。

 

第3条(共助条約との関係)共助に関して共助条約にこの法律と異なる規定がある場合には、その規定に従う。

 

第4条(相互主義)共助条約が締結されていない場合にも同一又は類似の事項に関して大韓民国の共助要請に応じるという要請国の保証がある場合には、この法律を適用する。

 

第2章 共助の範囲及び制限

 

第5条(共助の範囲)共助の範囲は、次の通りである。

 1.人又は物の所在捜査

 2.書類・記録の提供

 3.書類等の送達

 4.証拠蒐集、押収・捜索・検証

 5.証拠物等物の引渡

 6.陳述聴取その他要請国において証言させ、又は捜査に協助させる措置

 

第6条(共助の制限)次の各号の1に該当する場合には、共助をしないことができる。

 1.大韓民国の主権、国家安全保障、安寧秩序又は美風良俗を害するおそれがある場合

 2.人種・国籍・性別・宗教・社会的身分又は特定社会団体に属するという事実又は政治的見解を異にするという理由により処罰され、又は刑事上不利益な処分を受けるおそれがあると認められる場合

 3.共助犯罪が政治的性格を有する犯罪であり、又は共助要請が政治的性格を有する他の犯罪に対する捜査又は裁判をする目的として行われたものと認められる場合

 4.共助犯罪が大韓民国の法律により犯罪を構成せず、又は公訴を提起することができない犯罪の場合

 5.この法律に要請国が保証するよう規定されているのにもかかわらず要請国の保証がない場合

 

第7条(共助の延期)外国の共助要請が大韓民国で捜査進行中であり、又は裁判に係属した犯罪に対して行われた場合には、その捜査又は裁判手続が終了するときまで、共助を延期することができる。

 

第8条(物の引渡)@共助犯罪に提供し、又は提供しようとした物又は共助犯罪により生じ、又は取得した物又はその対価として取得した物は、要請国に引き渡すことができる。ただし、その物に対する第三者の権利を害することができない。

A第1項の規定により物を引き渡す場合においては、大韓民国がその物に対する権利を放棄しない限りその返還に対する要請国の保証がなければならない。

 

第9条(要請国における協助)@要請国から共助犯罪と関係ある者等に対し捜査又は裁判手続に協助するよう要請を受けた場合には、その要請の当事者が書面で同意する場合に限り要請国において協助させることができる。

A第1項の場合に協助要請の当事者に対しては、その以前に行った行為で要請国に起訴され、又は処罰されず、自由を制限されないという要請国の保証がなければならない。

B矯正施設で刑を受けている者(以下"受刑者"という。)が第1項の要請の当事者である場合に、その受刑者に対しては、第2項の規定にかかわらず大韓民国の要求通り継続拘禁され、拘禁状態で大韓民国に送還されるという要請国の保証がなければならない。この場合、要請国において拘禁した期間は、大韓民国において執行する拘禁日数に算入する。

 

第10条(外国への送還のための拘束)@外国で拘禁されていた者が共助により大韓民国に引き渡される場合には、その者を外国に送還するために共助要請した所を管轄する地方法院判事が発行した令状により拘束することができる。

A第1項の拘束令状には、外国に送還する者の氏名、住居、国籍、共助犯罪事実、共助要請の目的及び内容、引致拘禁する場所、発付年月日及びその有効期間及びその期間を経過すれば執行に着手できず、令状を返還しなければならない趣旨を記載して判事が署名捺印しなければならない。

B犯罪人引渡法第4章(犯罪人の引渡拘束)及び第5章(犯罪人の引渡)の規定は、その性質に反しない限り第1項の送還にこれを準用する。

 

第3章 外国の要請による捜査に関する共助

 

第11条(共助要請の受理及び共助資料の送付)共助要請の受理及び要請国に対する共助資料の送付は、外務部長官が行う。ただし、緊急を要する事情又は特別な事情がある場合には、法務部長官が外務部長官の同意を得てこれを行うことができる。

 

第12条(共助要請書)@共助要請は、次の各号の事項を記載した書面(以下"共助要請書"という。)による。

 1.共助要請と関連した捜査又は裁判を担当する機関

 2.共助要請事件の要旨

 3.共助要請の目的及び内容

 4.その他共助を実施するのに必要な事項

A証人訊問、物の引渡、要請国における証言等協助に関する要請の場合には、それが捜査又は裁判に必ず必要であるという要請国の疏明がなければならない。

 

第13条(共助の方式)要請国に対する共助は、大韓民国の法律が定める方式により実施する。ただし、要請国が要請した共助方式が大韓民国の法律に抵触しない場合には、その方式によることができる。

 

第14条(外務部長官の措置)外務部長官は、要請国から刑事事件の捜査に関する共助要請を受けたときは、共助要請書に関係資料及び意見を添付してこれを法務部長官に送付しなければならない。

 

第15条(法務部長官の措置)@法務部長官は、共助要請書の送付を受け、共助要請に応じることが相当であると認める場合には、第2項に規定する場合を除いては、次の各号の1の措置を採らなければならない。

 1.共助のために相当であると認められる地方検察庁検事長(以下"検事長"という。)に関係資料を送付して共助に必要な措置を行うように命ずること

 2.第9条第3項の場合には、受刑者が収容されている当該矯正施設の長に受刑者の移送に必要な措置を命ずること

A法務部長官は、共助要請が法院又は検事が保管する訴訟書類の提供に関するものである場合には、その書類を保管している法院又は検事に共助要請書を送付しなければならない。

B法務部長官は、この法律又は共助条約の規定により共助できず、又は共助しないことが相当であると認める場合又は共助を延期しようとする場合には、外務部長官と協議しなければならない。

 

第16条(検事長の措置)第15条第1項第1号の規定による命令を受けた検事長は、所属検事に共助に必要な資料を蒐集し、又はその他必要な措置を行うように命じなければならない。

 

第17条(検事等の処分)@検事は、共助に必要な資料を蒐集するために関係人の出席を要求して陳述を聞くことができ、鑑定・通訳又は翻訳を嘱託することができ、書類その他物の所有者・所持者又は保管者にその提出を要求し、又は公務所その他公私団体にその事実を照会し、又は必要な事項の報告を要求することができる。

A検事は、共助に必要な場合には、判事に請求して発行を受けた令状により押収・捜索又は検証をすることができる。

B検事は、要請国に引き渡さなければならない証拠物等が法院に提出されている場合には、法院の引渡許可決定を受けなければならない。

C検事は、司法警察官吏を指揮して第1項の捜査をさせることができ、司法警察官は、検事に申請して検事の請求で判事が発行した令状により第2項の規定による押収・捜索又は検証をすることができる。

 

第18条(証人訊問の請求)検事は、共助要請が証人訊問に関係となる場合であり、又は関係人が第17条第1項の規定による出席又は陳述を拒否した場合には、判事に証人訊問を請求することができる。

 

第19条(令状等請求時添附書類)検事が共助のために令状、引渡許可又は証人訊問を請求するときは、第14条の規定による共助要請書の謄本を添付しなければならない。

 

第20条(管轄法院)@第17条第2項の規定による令状の請求及び第18条の規定による証人訊問の請求は、その検事が所属した地方検察庁に対応する地方法院の判事にしなければならない。

A第17条第3項の規定による証拠物等の引渡許可請求は、その証拠物等が提出されている法院にしなければならない。

 

第21条(共助資料等の送付等)@第15条第1項第1号の規定による命令を受けた検事長は、共助に必要な措置を完了したときは、遅滞なく蒐集した共助資料等を法務部長官に送付しなければならない。

A第15条第1項第2号の規定による命令を受けた矯正施設の長は、受刑者を移送するのに必要な措置を完了したときは、遅滞なく法務部長官に報告しなければならない。

B第15条第2項の規定により共助要請書の送付を受けた法院又は検事は、遅滞なく意見を添付して訴訟書類又はその謄本を法務部長官に送付しなければならず、送付することができない場合には、理由を付してその共助要請書を法務部長官に返送しなければならない。

 

第22条(法務部長官の共助資料送付等)@法務部長官は、第21条の規定による共助資料等の送付を受け、又は報告を受けたときは、共助に必要な資料を外務部長官に送付しなければならない。

A法務部長官は、第1項の規定により資料を送付する場合にその資料等の使用・返還又は機密維持等に関して要請国が守らなければならない遵守事項を定めてその履行に対する保証を要求するように外務部長官に要請することができる。

B外務部長官は、法務部長官から第2項の規定による要請を受けたときは、適切な措置を行い、その結果を法務部長官に通知しなければならない。

 

第4章 外国の要請による刑事裁判に関する共助

 

第23条(法務部長官の措置)@法務部長官は、法院で実施しなければならない刑事裁判に関する共助要請書の送付を受けたときは、これを法院行政処長に送付しなければならない。ただし、この法律又は共助条約の規定により共助することができず、又は共助しないことが相当であると認める場合には、この限りでない。

A法務部長官は、第1項ただし書の規定により共助しないことが相当であると認める場合には、法院行政処長と協議しなければならない。

 

第24条(法院行政処長の措置)法院行政処長は、法務部長官から第23条第1項の規定による共助要請書をの送付を受けたときは、これを管轄地方法院長(以下"法院長"という。)に送付しなければならない。

 

第25条(管轄法院)刑事裁判に関する共助は、書類等の送達に関する要請の場合には、送達をする場所を管轄する地方法院が実施して、証拠調査に関する要請の場合には、証人等の住居や証拠物又は検証・鑑定目的物の所在地を管轄する地方法院が実施する。

 

第26条(移送)共助要請書の送付を受けた法院は、要請事項がその管轄に属すない場合には、決定で共助要請書を管轄法院に移送とその事実を法院行政処長に通知しなければならない。

 

第27条(証拠等の送付)@第24条の規定により共助要請書の送付を受けた法院長は、書類等の送達に関する要請の場合には、送達結果に関する証明書を、証拠調査に官一要請の場合には、証人訊問調書その他証拠調査の結果を記載した調書又は証拠調査が不可能にされた事由を記載した書面を法院行政処長に送付しなければならない。

A法院行政処長は、法院長から第1項の規定による資料の送付を受けたときは、これを法務部長官に送付しなければならない。

 

第28条(準用規定)第11条(共助要請の受理及び共助資料の送付)、第12条(共助要請書)、第13条(共助の方式)、第14条(外務部長官の措置)、第15条(法務部長官の措置)第3項及び第22条(法務部長官の共助資料送付等)の規定は、外国の要請に伴う刑事裁判に関する共助にこれを準用する。

 

第5章 外国に対する捜査に関する共助要請

 

第29条(検事の共助要請)検事は、外国に捜査に関する共助要請をする場合には、法務部長官に共助要請書を送付しなければならず、司法警察官は、検事に申請して法務部長官に共助要請書を送付しなければならない。

 

第30条(法務部長官の措置)法務部長官は、第29条の規定による共助要請書の送付を受けて外国に共助要請することが相当であると認める場合には、これを外務部長官にこれを送付しなければならない。ただし、緊急を要する事情又は特別な事情がある場合には、外務部長官の同意を得て共助要請書を直接外国に送付することができる。

 

第31条(外務部長官の措置)外務部長官は、法務部長官から第30条の規定による共助要請書の送付を受けたときは、これを外国に送付しなければならない。ただし、外交関係上共助要請することが相当でないと認める場合には、これに関して法務部長官と協議しなければならない。

 

第32条(翻訳文の添付)外国に共助要請をする場合には、その外国の公用語でされた共助要請書その他関係書類の翻訳文を添付しなければならない。ただし、当該外国の公用語を知ることができない場合には、英語でされた翻訳文を添付することができる。

 

第6章 外国に刑事裁判に関する共助要請

 

第33条(法院の共助要請)@法院が刑事裁判に関して外国に共助要請をする場合には、法院行政処長に共助要請書を送付しなければならない。この場合法院は、その事実を検事に通知しなければならない。

A法院行政処長は、第1項の規定による共助要請書の送付を受けたときは、これを法務部長官に送付しなければならない。

 

第34条(法院行政処長との協議)法務部長官は、第33条第2項の規定による共助要請書の送付を受け、外国に共助要請をすることが相当でないと認める場合には、法院行政処長と協議しなければならない。

 

第35条(準用規定)第30条(法務部長官の措置)、第31条(外務部長官の措置)及び第32条(翻訳文の添付)の規定は、外国に対する刑事裁判に関する共助要請にこれを準用する。

 

第7章 補則

 

第36条(費用)@外国の共助要請に必要とする費用は、要請国と特別な約定がない限り要請国が負担する。ただし、大韓民国の領域内において発生する費用は、大韓民国が負担することができる。

Aこの法律又は共助条約により要請国が共助の実施のために必要とする費用を負担することとなっている場合には、要請国からその費用支給に対する保証を受けなければならない。

 

第37条(検察総長経由)この法律の規定により法務部長官が検事長又は検事にする命令・書類送付及び検事長又は検事が法務部長官にする報告・書類送付は、検察総長を経ななければならない。

 

第38条(国際刑事警察機構との協力)@内務部長官は、国際刑事警察機構から外国の刑事事件の捜査に対して協力を要請を受け、又は国際刑事警察機構に協力を要請する場合には、次の各号の必要な措置を行うことができる。

 1.国際犯罪の情報及び資料交換

 2.国際犯罪の同一証明及び前科照会

 3.国際犯罪に関する事実確認及びその調査

A第1項各号を除外した協力要請がこの法律の規定による共助に関するものであった場合には、この法律の規定に従う。

 

第39条(刑事訴訟法の準用)この法律により法院又は判事が行う裁判、判事が行う令状発付又は証人訊問又は検事・司法警察官が行う処分等及びその不服手続に対しては、この法律に特別な規定がある場合を除いては、その性質に反しない限り刑事訴訟法の規定を準用する。

 

第40条(大法院規則)この法律による令状発付、証拠物の引渡許可決定、証人訊問等の手続に関して必要な事項は、大法院規則で定める。


附則 

この法律は、公布後30日が経過した日から施行する。


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