お知らせ

このページは公告が入らない他のURLへ移動します。
これを機会に電池関連とデジカメ関連を分離しますが、
移動先の準備が整い次第お知らせします。

特集 第一部 (技術志向版)

ニッケル水素電池と充電器
(知っていて得するお話)

筆者: アレックスのおじさん (hiro580@mvi.biglobe.ne.jp)

加筆・修正・変更の記録
加筆・修正・変更 場所 日付
初回アップロード:   平成12年8月30日
技術志向版として再編集   平成13年1月22日
急速放電器の情報を一部修正 5−4.独自開発した超小型急速放電器  平成13年10月30日
放電機能付き充電器を追加 5−3.独自開発した超小型急速放電器 平成13年10月30日
急速放電器の製作記事を追加 ニカド・ニッケル水素電池のメモリ効果や不活性状態を除去する超小型急速放電器の製作 平成13年11月20日
誤報の修正 トランジスタ技術2月号掲載は筆者の勘違いでした。
原稿がボツにはなっていませんが、掲載月は未定です。
 平成14年1月10日
情報の修正 トランジスタ技術5月号掲載に修正  平成14年4月10日
追加情報 4−3.その他の注意事項に追加 平成14年9月20日
記載内容の更新 最新の状況に合わせた記事に更新 平成15年7月10日
追加: 新型充電式電池を追加 平成16年1月1日
     


(11月11日は十一十一日と言うことで、プラス・マイナスの「電池の日」だそうです。)

このページの記事は、一般向け編と重複する部分がありますし、印刷するとA4用紙換算で17ページ以上あります。
また、お急ぎの方は、お知りになりたい項目へすぐにジャンプできるようにしましたので、ご利用ください。

目次

前書き
 
ニッケル水素電池の概要
  2−1ニカド・ニッケル水素・リチウムイオン各電池のエネルギー密度の比較
  2−2ニッケル水素電池の放電の仕組み
  2−3ニッケル水素電池の構造
  2−4ニッケル水素電池の性能
   
充電式電池の取り扱い上の注意
  3−1電池をできるだけ長持ちさせるには
  3−2充電器に表示されている危険マークついて
  3−3電池の電極の汚れについて
 

3−4購入したばかりや、長い間使用しないで放置しておいたニッケル水素電池について

  3−5不活性状態とメモリー効果について
  3−6電池の放電方法について
  3−7電池を入れたまま長期間放置しないこと
 

3−8ニッケル水素・ニカド電池などの二次電池は、買ったばかりの時には必ず充電が必要

  3−9ニッケル水素電池の自己放電特性
  3−10電池の機械的寸法について
   
ニッケル水素電池用の充電器について
  4−1各ブランドの充電器の比較
  4−2代表的な急速充電器の回路ブロック
  4−3その他の注意事項
   
ニカド・ニッケル水素電池用の放電器について
  5−1リーベックス(株)社製の自動放電器 ND300
  5−2秋月電子通商(株)の定電流自動放電器キット

5−3放電機能付き充電器
  5−4独自開発した超小型急速放電器
   
バッテリーチェッカーについて
  6−1. 能動回路を使用しないチェッカー
  6−2. 能動回路を使用しない100円チェッカー
  6−3. カード型チェッカー
  6−4. ノギス型チェッカー
  6−5. スロット型チェッカー
   
後書き
 
参考資料など
  1. 前書き

今まで使っていたデジカメをより高性能のデジカメに買い換えたのですが、取扱説明書通りの操作をしても電池がすぐに無くなってしまい、予備の電池二組(一組2本)を持っていたにも関わらず、シャッターチャンスを逃してしまうことになってしまいました。 これがきっかけで、それまではほとんど無知だった電池について猛勉強やら実験・測定などをして、筆者なりに電池についての知識を深めましたし、メーカーが公表したくない裏情報も得ることができました。

使い捨ての一次電池や繰り返して充電・放電ができる二次電池などを、日常何も気にしないで使っている人が多いと思いますが、実はすべての電池は化学反応を持った生き物なのです。
電池が生き物であるということになると、その取り扱い方法を知っているのと知らないとでは、おのずから電池を生かしきるかそうでないかが大きく変わってきます。
こうしたことから、筆者が素人なりに得た知識をこのホームページ上で読者の皆さんと共有できるようにしました。

初版はあるデジカメメーカーに対する苦情の一部でもあったのですが、このページの記述内容は、技術的な内容を含めてできるだけ正確にわかりやすいようにまとめたつもりです。 もし間違いや誤解などが発見された場合には改定します。

  1. ニッケル水素電池の概要

2−1.ニカド・ニッケル水素・リチウムイオン各電池のエネルギー密度の比較
  

Drawing of Comparison of energy density between Ni-Cd, Ni-MH and Li-ion batteries

電池メーカー各社はニカド・ニッケル水素・リチウムイオン電池のエネルギー密度をあげるために努力をしているようです。
ニカド電池のエネルギー密度上昇率はほぼ横這いになっていますが、ニッケル水素やリチウム電池の場合には年々上昇を続けています。

リチウムイオン電池の単位体積当たりの重量は、ニッケル水素電池などよりは相当大きいことが、値段が高くても電池が長持ちする必要があるデジタルムービー・携帯電話・ノートPC、そして一部のデジカメに使用されている理由です。

(SME: super metal electrode)
(Sinter: 焼結型)

2−2.ニッケル水素電池の放電の仕組み
 

drawing of Discharge mechanism of Ni-MH battery

左の図はニッケル水素電池の放電の様子を概念的に表したものです。
水素を大量に「吸い込んでいる」水素吸蔵合金とアルカリ電解液で化学反応が起きるのですが、放電時には、水素イオンが電解液の中を正極側に移動することにより電池から電流を取り出すことが出来ます。 充電時にはこれと正反対の反応が起こります。
水素イオンの移動量を多くすればそれだけ大きな電流を取り出せるのですが、電池を繰り返し充放電出来る回数とは相反してしまうそうで、電池メーカーは性能アップのための最適な構造や材料の開発を進めています。

2−3.ニッケル水素電池の構造
 

photo of Construction of Ni-MH battery

左の図は円筒形のニッケル水素電池の構造図ですが、ニカド電池とほとんど同じです。
正極板と負極板とはセパレータで隔離された状態で渦巻き状に巻かれており、金属ケースの中に納められています。 負極板が接する方が電池のマイナスで、正極板は集電体を通じてプラスとなるキャップに接続されています。
絶縁ガスケットは、何らかの理由で電池内部にガスが異常に発生したときにこれを外へ逃がすためにあり、電池の破裂を防ぎます。
電池ケースの外側は、メーカーの名前や仕様を印刷したプラスチックのフイルムで被服されていますが、機器内でのショートを防ぐ役目もしていますので、これをはがしたり傷つけないよう注意が必要です。

2−4.ニッケル水素電池の性能

ニッケル水素電池の性能をアルカリ電池やニカド電池の性能と比較した下図を見てください。
ニッケル水素電池の場合には、その容量の大きさもほかの電池より大きいのですが、満充電の電池を消費していったときに1.2V近くの電圧が長く続くのが大きな特徴です。

アルカリ電池の場合には、大きな電流を取り出そうとしても内部抵抗が大きいため限界があるのですが、ニカドやニッケル水素電池の場合は内部抵抗がもっと小さいため、20〜30Aもの瞬間電流を取り出せます。 ニカド電池が充電式の電動工具や模型自動車のモーターを駆動する電源に使われている理由でもあります。

graph of Ni-MH battery performance

  1. 充電式電池の取り扱い上の注意

冒頭にも書きましたように電池は生き物です。 取り扱い方を間違ったりいくつかの注意点を知らないで使用すると、十分に電池の性能を発揮できないばかりか、危険な場合がありますので、ここにまとめました。

3−1.電池をできるだけ長持ちさせるには

デジカメで撮影時する時に光学ビューファインダーを使用して、液晶モニターを極力使用しないことが一番電池の節約になります。
一般的に1.8インチ位のTFT(Thin Film Transistor)型液晶モニターが使われています。
液晶の駆動回路を含む液晶板自体の消費電力は、時計や計算機の反射型の液晶板と同じようにごく小さいのですが、反射型では暗いところでは画像が見えませんから、バックライトといって、液晶板の裏から冷陰極蛍光灯ランプや白色の高輝度LEDで照明しています。 このランプの消費電力がカメラ全体の消費電力の大きな部分を占めてしまいます。 あるカメラの場合、モニターをオンにした状態では3.9ワットの消費電力が、モニターをオフにすると1.2ワットまで下がりますので、消費電力が半分以下になることが分かります。
日本ではカシオが液晶モニター付きの初代デジカメを販売して以来、液晶モニターを撮影時も使用することが常識のようになってしまっているため、どのメーカーも撮影時にモニターをオンにする初期設定になっています。
あるデジカメで電池の持ちが悪かったり不安定だったりしたときに、同じモデルが海外で販売されているのに、似たようなクレームがほとんどないことがわかり、メーカーに聞いてみたところ、海外向けのカメラではモニターオフが初期設定になっていることがわかりました。
モニターを使用するとシーンを決め易いのですが、はっきり言ってどんなカメラでもフォーカスをびしっと決めるのにはほとんど役に立たないことを経験をされた方も多いと思います。 それならば撮影時にモニターを使う習慣を止めることが、電池の節約には大きく役に立ちます

3−2.充電器に表示されている危険マークついて

PL法が施行されてから、ほとんどの充電器に下の写真のような「危険 他社の電池の充電に使用してはいけない!」という危険マークが付くようになったのですが、この危険マークの意味は、「取り扱いを誤った場合に、人が死亡または重傷を負う可能性が想定され、軽症または物的損害が発生する可能性が高い内容」と言うことになっています。

危険の表示例

本当にそんなに危険な製品を一般の消費者に販売して使用させているの?」という疑問を持ちますが、PL法が施行されてから、メーカーが過剰なくらいに事故が起きた場合のリスクの軽減を計っているようです。 実際に破裂したり火傷や火災の危険性がゼロではないからだそうです。
特に、10年以上の歴史を持つニッケル水素電池なのですが、初期の頃の製品の特性が揃っていなかったり、大きな充電電流を流すと電池内部が高温になってしまうものが多かったそうです。 このため、このような古い電池や他社の電池を使用されると、何が起きるか判らないと言うことでした。
安全装置が幾重にも施されている最近の急速充電器などは、この表示を外せそうなものですが、外してしまうと逆に消費者団体などからクレームを付けられる恐れがあるので、外せないと言っているメーカーがありました。

一度あるメーカーの充電器を購入すると、その充電器が壊れるかその電池が必要でなくなるまで、同じメーカー(ブランド)の指定された型番の電池を購入するしかありません。 それ以外の電池の充電はすべて消費者のリスクになります。

たとえば、松下電池製のガム型電池(HHF-AZ01)を、東芝製の急速充電器で充電した場合、電池がパンパンに膨らんでしまって、パナソニックブランドのMDレコーダーの電池ボックスに入らなくなってしまいます。 このように一時的に電池の形状が変形してしまうような場合は、電池が破裂する場合もあるので非常に危険であることが判ります。(ちなみに、MDレコーダー内で同じ電池を満充電しても電池が取り出しにくくなりますので、この電池の無理をした高容量化設計自体に無理があるようです。)

3−3.電池の電極の汚れについて

バックアップ用の電池で直接プリント基板に半田付けして使用するタイプの電池もありますが、一般的に電池は取り外しが出来なくてはなりませんから、必ず電池ボックスに挿入して使用します。 電池ボックス内の接点板と電池電極の接触面を指などで触れると皮脂等が付着する事があり、これが電気を流れにくくする(接触抵抗が大きくなる)ことになります。 電気を通さないような異物が付着した場合には、機器が動作しないことになります。
充電器の場合には大きな充電電流を流しませんが、接点に汚れがあると充電器が充電を自動的に止める電圧に狂いが生じて、満充電されないことになります。 大きな電流を消費するデジカメの場合には、汚れの部分で電圧が落ちてしまうため、カメラが「電池が無くなった」と判断してしまう結果にもなります。

電池の電極や機器の接点を斜めから見ると、指紋が付いていれば見えますが、やっかいなのは車のフロントガラスに付いた油膜のように目に見えない障害膜もありますので、これは無水アルコール(エタノール)で拭くことでしか除去できません。 ただし、良く設計されたデジタルカメラの場合には、接点板のバネの圧力を大きくしたり、電池を入れるときにこれらの汚れをこぜってクリーニングする構造にしてあります。 したがって、電池の汚れについて説明書に強調して書いてあるカメラは、電池ボックスに弱点を持っていると解釈して間違いがないようです。(違う表現で電池工業界のホームページにも書いてあります。)

3−4.購入したばかりや、長い間使用しないで放置しておいたニッケル水素電池について

買ったばかりの新品の電池でも流通在庫期間(製造してからユーザーの手に渡るまでの期間)がメーカーや販売店によって異なりますから、製造してから1年以上の長期間放置されていた電池は、程度の差こそあれ間違いなく不活性化状態になっているそうです。 この事は、ニッケル水素電池のイメージダウンになりますので、電池メーカーは積極的に公表していません。

長期間使用していなかった(不活性化状態になっている)ニッケル水素電池は、2〜3度充電・放電を繰り返し行うことにより元の状態に戻ります。(正に活を入れることになります。)
ただし、一般的にカメラに付属している充電器は、満充電にするのに13時間以上かかるものが多いですから、「充放電を繰り返して下さい」と簡単に言われても、放電作業と充電作業は非常に面倒です。 高価でも急速充電器を購入するしかありませんし、しかも現在のところ誰でも手に入り信頼できる急速放電器はありませんから、ニッケル水素電池は高性能でもやっかいな電池と言うほかありません。 放電方法については3−6.を参照して下さい。
長い間放置しておいた電池は、いずれにしても機器を使用する前に必ず充電する必要があります。

3−5.不活性状態とメモリー効果について

ニッケル水素電池が不活性状態になる「不活性化状態」という表現は、メモリー効果とともに学術的な用語ではなく、厳密に言うと正しくないそうですが、電池自体の自己放電により電池の内部電極表面に電流が流れ難くなる膜が出来てしまう現象を言い、「メモリー効果」とは異なるそうです。
ニカド電池ほどではないにしても、ニッケル水素電池にもメモリー効果が出るそうです。
「メモリー効果とは、電池を使い切らずに継ぎ足し充電を繰り返すと、見かけ上の電池の充電容量がどんどん減って行き、電池の寿命が来ていないのに短時間しか使用できなくなってしまう現象」だそうです。 主にニカド電池で起こりやすいのですが、どんな形状のニッケル水素電池でも起こります。 セットメーカーが「継ぎ足し充電が出来ます」と表記しているのは、電池メーカー側から言うと実際には無理があるようです。 ただし、メモリー効果の影響を受けることをはっきりと指摘している機器は、その設計が最適でない事を表すひとつの指標になります。(電池工業界のホームページにも違う表現で書いてありますが、通常、製品を購入してパッケージを開けてから始めてわかります。)

ここで注意しなければならないのは、使い切るというのは、電池の放電終止電圧の1.0Vになるということであって、懐中電灯などが完全に灯かなくなるまで放電させてしまう事(過放電)ではありません。 1V以下まで放電させてしまうと電池寿命を短くしてしまいます。 代表的な電池の放電終止電圧を下の表にまとめました。 2CR5は、フイルムの自動巻き上げ機能やズームレンズのついた従来のカメラや、デジカメの一部に使用されています。
一次電池 アルカリ・マンガン電池(単1〜単5、1.5V) 0.8V〜0.9V
2CR5 リチウム電池(6.0V) 4.0V
二次電池 ニカド・ニッケル水素電池 (1.2V) 1.0V
リチウムイオン電池(3.7V) 3.0V/セル

また、電池を直列に接続して完全放電させたときに、直列接続の電池の中で他の電池よりも充電電圧の低かった電池の+と−が反転してしまうこともあるので注意が必要です。
メモリー効果が発生した(充電してもすぐに充電が終了してしまう)電池も、2〜3度充電・放電を繰り返し行うことにより元に戻ります。

3−6.電池の放電方法について

筆者の経験上から分かったのですが、不活性化状態やメモリー効果の除去には完全放電の必要がありません。 デジカメを撮影状態にしたまま放置するのは少々抵抗がありますが、読者の皆さんは次の方法で放電してみて下さい。
デジカメで電池が消耗したときに自動的に電源を切ってしまう機能が付いているモデルの場合、次の手順で安全に放電できます。

  1. パワーセーブ機能をオフにして、一番消費電力が大きい撮影モードで電源を入れ、自動的に電源が切れてしまうまで放置します。

  2. 一度電池ボックスを開いてから閉じて、今度は再生モードで自動的に切れるまで放置します。 一度電池ボックスを開くのは、カメラが「ダメ電池]を覚えてしまう機種があるからです。

消費電力が小さい機器・電源の自動オフの設定機能が付いていない機器・MDプレーヤーのようにディスクを使用する機器では、この方法を使えません。
なお、
ある一定の電圧まで放電させても放電を止めると、内部の化学反応のために少しずつ電圧が上昇して来て、安定な電圧まで復帰します。 放電が終わってすぐに取り出して電圧を測定すると、徐々に電圧が上がってくるのはこのためです。

3−7電池を入れたまま長期間放置しないこと

電池を機器に入れたまま長期放置すると、電源を切っていても電池が機器に内臓されている時計を動かしていますから、電池がごく少しずつ消耗します。 通常、電源を切っている時の内臓時計用の電流は、専用のCMOSのICを使った場合50mA(mA:100万分の1A)以下なのですが、クロックの回路を他のICに取り込んでしまった結果、平均電流で450mAも常時消費しているデジカメがあります。 このようなデジカメの場合、電池の自己放電と時計のバックアップのための消費がありますので、2週間以上は電池を入れたままにしないほうがよいのは言うまでもありません。 一々電池を取り出すのは面倒で、電池を入れる度に時計(日時)を設定するのでは、このデジカメに時計がついている意味がなくなります。

また、デジカメ以外の電子機器でも、その機器の機能によっては時計とは別の電子回路の一部が常時働いているものがあります。 このような場合には、充電式電池を入れたまま長期間放置しておくと、電池の放電終止電圧以下にまで下がってしまいますので、電池がなくなっていることに気づいたときには、充電ができないか電池寿命が短くなってしまうことがあります。
さらに、最近の一次・二次電池は液漏れが起きないようにシールドが改善されていますが、マンガン・アルカリ・安物のニカド電池などは必ず液漏れすると思ってください。 強アルカリ性の漏れた液は、手に付くとやけどをしたようになりますし、電池ケース内の接点版を腐食して使えなくしてしまいます。

3−8.ニッケル水素・ニカド電池などの二次電池は、買ったばかりの時には必ず充電が必要

電池のパッケージには「工場出荷時には充電されていません」と書いてあるメーカーが多いのですが、これは「満充電されていません」、あるいは「すぐには使えません」と言うことです。 電池の検査のために製造ラインで必ず全数テスト充電するようですので、OKになった後、完全放電をしないで出荷します。 このため製造後、強度の不活性状態になっていたり、自然放電が大きかったりしない限り、少しの間は使える機器が多いようです。
面倒でも必ず満充電をして使用を始める必要があります。 最初の1回目の充電で使用できる時間は一般的に短いようです。 使い込んだ電池の方が電池の持ちがよいと言うのが、一般的な感覚です。
ちなみに実際に充電容量を測定してみましたが、メーカーによっては約50%の容量まで充電されているものがありました。

3−9.ニッケル水素電池の自己放電特性

ニッケル水素電池もニカド電池も自己放電をします。 この自己放電量は電池の保存温度に大きく影響されます。 電池の特性についての説明の中には、保存温度範囲:−20°C〜30°Cとか10°C〜30°Cと表示してあります。 この30°Cという保存温度の上限は見落とされやすいのですが、自己放電を最小にするために重要な意味を持っています
電池メーカーのデータによって少し異なりますが、20°Cで満充電した電池の電池容量の減少率を下の表に示しました。

ニッケル水素電池
保存温度 2週間保存 4週間保存
45°C 24% 32%
ニカド電池
保存温度 2週間保存 4週間保存

0°C

1% 6%
20°C 8% 14%
40°C 26% 50%

ニッケル水素電池の保存温度0°と20°Cの特性は表示されていませんが、ニカド電池とほぼ同じと考えて良いようです。
これから判ることは、30度を越える真夏には、車の中にデジカメを放置するのは避けた方がよいのと、満充電して使用しないで2週間以上放置して置いた電池でも、使用前に充電する必要があることがわかります。

3−10.電池の機械的寸法について

電池を使用する装置を自作しない限りほとんど必要ない情報ですが、単3型電池の機械的寸法規格と実測値をご紹介します。

JIS規格では、電池の長さは50mm+0/−1.0mmとなっています。 1mmもの幅の公差は大きいように思ったのですが、実際には−0.5mm以内で、実測値でも49.62から49.75mmでした。 少しでも高さを高くした方が充電材料が多く入りますから、このようになっているそうです。
同じように電池の直径は14.5mm+0/−0.7mmとなっています。 プラス電極(キャップ)は少しテーパーがついていますが、知る必要があって調べた直径の実測値では、4.8mmから5.3mmと0.5mmの差がありました。

  1. ニッケル水素電池用の充電器について

ニッケル水素電池用の充電器には、低速(準定電流充電)型や急速充電型があり、ニカド電池の充電と共用できます。(従来のニカド電池の充電専用に設計された充電器は、できるだけニッケル水素電池の充電にしないほうがよいといわれています。)

充電式の電池の場合、一般的にチョロチョロ充電する準電流充電の方が電池の性能劣化を防ぐためには適しているそうですが、満充電が終わるまでに10時間以上かかるデジカメにオマケ的に付属している低速充電器は、実用上あまり歓迎されません。
急いで充電したい場合がほとんどですから、本体だけでも3000円以上しても、これを購入するしかないようです。 最近の急速充電器は比較的高価でも、電池の寿命を縮めてしまわないように充電電流をマイコンで精密に制御したり、火傷や液漏れを防止するというような色々な安全機構を装備していますから、それだけの値打ちはあると思います。

信頼できる急速充電器を選ぶ必要がありますが、ほとんどの急速充電器は、電池メーカーやその関連会社が開発したものばかりですから、電池の特性をよく考慮した設計になっているはずです。
ここでは、自分で使用する目的がないにもかかわらず、この特集の内容を最新状態にするために、新たに購入した充電器について説明しています。 ただし、
この項は特定のメーカーの製品を推奨したりするための比較や説明ではありませんので、お断りしておきます。

4−1各ブランドの充電器の比較

更新前に取り上げていましたデジカメに付属している充電器や、相当古くなってしまった充電器は、今回削除しました。 電気店やホームセンターなどで最近販売されている充電器の仕様や特徴などを下の表にまとめました。 全モデルともニカド電池の充電にも使用可能です。
今回の更新で2モデルを追加しました。

ブランド名 パナソニック 富士フイルム 富士通
型番 BQ−370(本体) ワールドタイプ FC44F
実買価格 3,980円

3,800円(本体)

3,980円(本体)
外観 パナソニックのBQ−370
入力電源 AC100V, 10VA, 50/60Hz AC100~240V, 8VA,
50/60Hz
AC100~120V, 13VA,
50/60Hz
出力 DC1.6V, 1000mAhx2 DC1.2V, 490mAhx4 DC1.2V, 450MAx4
対応電池 HHR-6UPS (1550mAh) HR-AA (1500/1600mAh) HR-3UW/UZ
(1450/1550mAh)
充電時間 約100分 1個あたり約110分 約210分(3UW)
充電完了時の自動オフ 緑ランプ点灯 充電表示ランプ赤が消灯 一番時間を要した電池の充電完了でオフ
他社電池の充電 禁止(説明書と本体に
危険表示)
禁止(本体に警告を表示) 禁止なし
特徴 単4電池対応 海外使用対応 アメリカ・カナダで使用可
備考 (松下製)*1 単3のみ(松下製) 単3・単4(三洋製)*2

上の表の3モデルは旧型になりました。

*1: 単3のHHR−3HS、単4のHHR−4UPS/4HPSを含めて同時充電が可能。 ピーク充電電流は2A/2.6V。 単3・単4混在または同一電池4本の同時充電可。

*2: 蓋を閉めないと充電を開始しない構造。

ブランド名 サンヨー サンヨー ソニー
型番 NC-M55 NC-M60 BCG-34HRC
実買価格  4980円(単三4本込み)  4280円(本体のみ)  4980円(単三4本込み)
外観
入力電源 AC100240V, 50/60Hz AC100240V, 50/60Hz AC100240V, 50/60Hz
出力  DC1.2V, 565mAx4他 DC1.2V, 1090mAx4他 DC1.2V, 1050mAx4他
対応電池  HR-3UA (mini. 2000mAh)
HR-3UA (mini. 2000mAh)
 同社ブランドの2100mAh
充電時間 HR-3UA (mini. 2000mAh)
1-2本で約130分
HR-3UA (mini. 2000mAh)
1-2本で約64分
単3形(min.2100mAh)
1-2本で約130分
充電完了時の自動オフ  充電表示ランプ消灯 充電表示ランプ消灯 充電が完了した箇所の
ランプが消灯
他社電池の
充電
 禁止(説明書と本体に
危険表示)
禁止(説明書と本体に
危険表示)
禁止(説明書と本体に
危険表示)
特徴  mini. 2000mAh電池対応
海外使用対応
 残量チェック機能付き、
急速充電
海外使用対応
 リフレッシュ機能付き
海外使用対応
備考 *3 *4 *5

*3: 説明書に「過充電ゼロを目指した独自の機能を更にグレードアップし、従来あった充電ミスを大幅に減少しました」という興味深い記述があります。

*4: 左から二番目のスロットに電池を挿入すると、電池残量の目安を三色のランプで表示し、その後充電モードに移行します。 1.35V以上で緑、1.30V以上でオレンジ、1.28V以下で赤の表示になります。
ニカド電池の充電にはスイッチを切り替える必要があります。

*5: 国内メーカーが始めてリフレッシュ機能を搭載した充電器です。 リフレッシュ(充電前の放電)を行うときには、電池を入れてからリフレッシュボタンを押し、蓋を閉めます。 2000mAhクラスの満充電された単三電池の場合、放電が終了するまでに約8時間かかります。

ブランド名 パナソニック テクノコアインターナショナル(株)
型番 BQ-390 TC-S40A
実買価格  3980円(単三4本込み) 5000円
外観
入力電源 AC100〜240V, 50/60Hz AC100〜240V, 50/60Hz
出力  DC1.5V, 2.2A/0.86A 1.8V, 3.5A
対応電池  HHR-3PPS (mini. 2000mAh)他 10ブランド23種類の電池について動作検証済み
(同社ホームページを参照してください。)
充電時間 HHR-3PPS (mini. 2000mAh)
1-2本で約120分
mini. 2000mAhタイプ2本の場合、約60分
充電完了時の自動オフ 緑ランプ点灯 充電が完了した電池箇所の赤ランプが点灯
他社電池の
充電
 禁止(説明書と本体に
危険表示)
仕様と目的上必要としないので、
一般的な注意事項のみ。
特徴  mini. 2000mAh電池対応
海外使用対応
過充電にならない画期的な新方式の急速充電器
備考 *6 *7

*6: 他のモデルと同様、単4型も充電可能。

*7: 大電流充電をするので、充電開始と共に内蔵の小型ファンが作動。 ニカドとニッケル水素電池を自動的に判別しますが、1000mAh以下の低容量電池を充電するときには、スタートボタンを二度押しして切り替える必要があります。 電池残量が多い電池をセットした場合には、緑ランプが点灯。 単4電池を充電する(2本まで)ときには、付属のアダプターを使用します。 挿入してある電池を取り出すときには、各電池用の緑色のイジェクトボタンを押します。
現在は購入可能な販売先が限られていますし、他社の製品よりは大型ですが、コスト・パーフォーマンスがすばらしい製品ですので、しばらくすればもっと容易に購入できるようになると思います。

最新型の興味ある充電式電池と充電器(平成16年1月更新)

平成15年の後半には興味ある電池とその充電器の販売が開始されました。 既にいろんな電池がゴロゴロしている我が家ですが、これらをまたまた購入してしまいました。
ただし、ネクセルジャパンのRCR-V3は、今まで使っていたCR-V3(2個で1680円)と比較すると1個2800円と高価ですが、600回の充電が出来るとなると経済的な筈ですので、これからの実績を期待しています。
一方、アメリカのレイオバック社の15分で充電が出来る画期的な電池と充電器(I−C3と言う技術を採用)は、昨年の3月頃からアナウンスされていましたがやっと発売になりましたので、アメリカへ出張したときに購入しました。 他の電池メーカーにとっては驚異的な製品のようで、電池の温度上昇が少し気にはなりますが、確かに2000mAhの電池(IC3715)が約15分で充電できます。 写真は単3型電池と2本用の充電器ですが、4本用の充電器(PS6)もあります。 以前は電池の構造などの紹介を同社のHPで紹介していましたが、現在は見ることが出来ません。

ブランド名 ネクセルジャパン レイオバック
型番 RCR-V3 PS-5B
実買価格  4800円(電池1本込み) US$25.00(電池2本込み)
現在はアメリカとヨーロッパのみで販売
外観
入力電源 AC100〜240V, 50/60Hz AC120〜240V, 50/60Hz
出力  DC12V〜13.5V/0.6A 1.6V, 15A
対応電池

 RCR-V3 (nom. 1200mAh)

同社製単3・4のみ急速充電。
その他のタイプは低速充電
充電時間 約2.5時間 mom. 2000mAhタイプ2本の場合、
約15分
充電完了時の自動オフ 充電時はオレンジ、終了で緑ランプ点灯 充電完了で緑ランプが消灯
他社電池の
充電
特に表示なし アルカリ電池(1次・充電式)
の充電禁止。
特徴  3Vのリチウム電池CR-V3と互換有り 充電時間が15分の画期的電池
備考 *8 *9

*8: 人気商品で現在はなかなか入手できない。

*9: 電池挿入部の構造はしっかりしており、電池の着脱は硬くしてある。 急速充電中は内部の空冷ファンが動作し、ファンが停止後トリクル充電に切り替わって数分後終了する。

4−2.代表的な急速充電器の回路ブロック

三洋電機技報の31号(創刊30周年記念 電池特集 1999年)に、同社の急速充電器の紹介記事がありましたので、お借りしてここに紹介します。
この充電器の外観は4−1.の表にある富士通ブランドの充電器と全く同じです。

同時充電可能な電池本数
4本

充電方式
4スロット独立充電センサ方式
(ピークセンサと−ΔV併用)

保護機能
寿命電池(ショート電池)保護
充電保護タイマ−
温度異常保護(65°C)
乾電池誤挿入保護
マイコン暴走保護

4−3.その他の注意事項

  • 充電器を買うときには、充電できる容量を確かめること

    これまでの単3型ニッケル水素電池は、容量の公称値が1600mAh(最小値:1550mAh)がほとんどでした。 ところが、松下電器(松下電池)が平成15年の2月に発売開始した「メタハイ2000シリーズ」は公称容量1900mAhと従来品よりも高容量で、これ以降各社が2000mAhの製品の販売を始めています。ここで注意すべき事は、この電池を従来の充電器で充電しても、空っぽの状態からの充電では満充電されませんから、基本的にはこの電池に合った充電器も購入して使用する必要があります。 理由は、ほとんどの充電器が過充電による電池寿命の劣化を防ぐため、一般のマイナス・デルタVという充電完了の検出方法と、タイマーによる充電停止方法を併用しているからです。 2000mAhクラスの電池を放電終止電圧から充電し始めた場合、満充電に時間がかかるために、充電器がマイナス・デルタVを検出するまでにタイマーが働いて「時間切れ」となってしまいます。 2000mAhの電池を充電できる充電器は、これよりも小さな容量の電池の充電に問題なく使用できます。
     

  • 充電器に電池を入れる前に電極をクリーニングすること

    ほとんどの充電器は電池の誤挿入を防止してあったり、電極の汚れを挿入時にクリーニングする構造になっていますが、急速充電器の場合には大きな充電電流を流します。 充電器の接点や電池の電極が汚れていると、汚れによる電圧降下が起きてしまい、充電器が充電を止める電圧に狂いが生じてしまいます。 プラスとマイナスの電極に手を触れないようにすることが一番ですが、指紋が付いてしまった場合には、乾いた布などで力を入れて拭いてください。(普通は衣服に電池の電極を強くこすりつけてクリーニングしてしまいます。) 無水アルコールがあればもっと確実です。
     

  • 充電器を海外へ持って出かける可能性があるときには

    今までの充電器のほとんどが日本国内の電圧の100V用でしたが、最近販売されている製品は総て世界対応になっています。
    ただし、付属してある脱着型の電源コードのプラグは日本仕様のものですから、現地で電源コードを購入するか、訪問先の標準コンセントに合った変換プラグを用意する必要があります。 変換プラグは、空港内の店や旅行用品店や大手の家電量販店で入手できます。 お店には各国で使用されているプラグの形状のリストがありますし、ソニーのSonyDriveのホームページに大変役に立つ資料があります。
    短期間の海外旅行の場合には、充電した電池を1組持って行くほうが経済的な場合もあります。
     

  • 二次電池の充電器に乾電池の充電機能が付いている場合の注意

    一部の雑誌や新聞のメールオーダーに、マンガンやアルカリ電池などの一次電池が充電できるという機能をうたった充電器があります。 使い捨ての一次電池といえども、外部から電圧を与えることで可逆の化学反応を起こせますので、充電できることは事実です。 ただし新品のようにはなりませんし、電池メーカーは一次電池の充電を一切認めていません。
    理由は、充電した一次電池は、電池内部の圧力が上がっており容易に液漏れを起こしてしまうためです。 充電をして節約したつもりでも、電池の液漏れにより機器を壊してしまったのでは大損と言うことになります。 充電した電池の様子を十分に観察できないような状態で充電した乾電池をするのは避けた方が賢明です。

  1. ニカド・ニッケル水素電池用の放電器について

模型のレーシングカーなどに使用する市販のニカド電池用放電器の中には、放電終止電圧以下まで放電させてしまって、電池の寿命を縮めてしまう恐れのあるものがありますから注意が必要です。 また、懐中電灯を放電器として使用すると、ランプの明るさが暗くなるまで長い時間がかかるため、点灯したまま放置してしまって、気が付いたら消えてしまっているようになりがちですが、これも電池の寿命を縮めてしまいますますから、付きっ切りで監視できない限りこの方法はお勧めできません。 3−6.にデジカメを使った放電方法を紹介しましたが、一般に手に入り安全で急速に放電できる放電器は今のところありません。
ここでは東京の秋葉原で購入した放電器と、自作の放電器の一部をご紹介します。

5−1.リーベックス(株)社製の自動放電器 ND300

右の写真のような外観の製品で、単3型のニカド・ニッケル水素電池共用の放電器として販売(実買価格は3、040円)されています。 4〜6本の電池を同時に放電できますが、正常な満充電された電池には使わないように説明が付いています。 4本以下の電池用には回路が動作しないため使用できず、6本以下の時には同社のダミー電池(270円)を不足する個数だけ使用します。
回路図は省略しますが、赤色LEDに点滅型を使用しているため、放電中はこれが点滅します。 また、内部回路は抵抗3本、ツェナーダイオード1本、それに前述のLEDと大きな電流を流せない1個のトランジスタ使用しているだけです。

回路図から推測できるんですが、この放電器の性能を測定してみました。 結果は少し心配です。 6本の電池を放電したときには、300mAの放電電流が流れますが、これでは放電に時間がかかりすぎるかもしれません。
また、LEDが暗くなって点灯しなくなる電圧(放電終了)は、電池1本当たり0.56Vでしたから、LEDが暗くなってきたときには放電を中止した方がよいと思います。

5−2.秋月電子通商(株)の定電流自動放電器キット

いろいろな楽しくて実用になる自作電子キットを取りそろえている秋月電子が販売しているキットで、組み立てると左の写真のようになります。 この放電器キットは以前トランジスタ技術誌で紹介されたもので、1、100円で購入しました。 自分で部品を寄せ集めて似たような物を作ったとしてもこの価格では製作出来ませんから、お買い得なキットです。 ACアダプターは付属していますが、電池ボックスは必要なタイプと個数だけ別途購入します。 電池ボックスは同社がアメリカから直輸入している金属製のものをお勧めします。(写真のボックスは安物です。) 接触抵抗が20mΩ以下と小さいためです。 もちろんこれはキットですから、放電終止電圧の切り替え回路などを追加したりして、完成後はちゃんとした入れ物に収納した方が安全です。

回路図は下の図の通りで、性能の方ですが、オペアンプで正確に放電終止電圧を設定できますから、直列に接続する電池の個数に対する電圧設定を間違わなければ、非常に正確に放電を終了することが出来ます。 放電電流は電池を何本接続しても500mAの一定値にする設計になっています。 Q3のエミッターの抵抗を半分にすれば1Aまで増やせますが、電池端子に1000μFの電解コンデンサーを接続しないと、回路がブロッキング発振を起こしてしまいます。 説明書にも書いてありますが、電池を直列にして放電するため、各電池の電圧が出来るだけそろったものを接続する必要があります。

5−3.放電機能付き充電器

このホームページをご覧いただいた読者の方から、つい最近試験的に販売され始めた放電機能付き充電器をご紹介いただいたほか、ドイツの友人に頼んで現地で入手できる優れ物を入手しましたので、ここで簡単にご紹介します。

(1)台湾製放電機能付き充電器 ネクスセル社 NC−10FC(旧型)

私が以前に購入した製品は、左の写真のような外観で、同社製単3型ニッケル水素電池4本、ACアダプタ、それにカーバッテリコードが付いているものは4,200円(税・送料別)で、電池やカーバッテリーコードなしのものは2,460円(税・送料別)でした。 同社のホームページの激安商店街から購入できます。 非常に小型で電極も内部もしっかりしており、単3と単4電池用です。
電池を2本または4本を入れて放電ボタンを押すと放電が始まり、1本当たりの電池の電圧が1.0Vになると、自動的に充電モードに切り替わります。 放電ボタンを押さなければそのまま充電が開始されます。

現在は、NC−20FCNC−30FCというモデルに変わっています。 日本で放電機能付きの充電器を販売しているメーカーとしては初めてのモデルですので貴重な存在だったのですが、最近コンディショナー機能付きの急速充電器がソニーから発売されました。

(2)マイコン付きインテリジェント充・放電器 独コンラッド社 KC−983
(コンラッド社は有名なドイツのホビーエレクトロニクスのメーカーですが、同社のホームページには現在このモデルが公開されていませんのでご注意ください。)

左の写真のように構造や電極などががっしりとした相当大型(L x W x H: 205 x 154 x 58mm)で、電池もACアダプタも付いていませんが、日本円で約6,800円(税込み)。 友人に頼んで購入しました。 ACアダプタは押入に転がっていた12V/500mAが使用できました。
公称電圧1.2Vのニカド・ニッケル水素電池であれば、単1から単4までが使用できます。 電池は1本から4本まで充電できますが、電池の本数が多くなるだけ充・放電時間が長くなり、空の1600mAhのニッケル水素電池1本の場合、約90分で充電できます。
写真が小さいので見にくいかも知れませんが、本体にはカバー・LCD表示・放電ボタン・電池分析ボタンが付いています。 マイナス側の電極はスライド式になっていて、500g・cm以上の圧力があります。 電池を入れて蓋を開けたままで分析ボタンを押すと、約十秒後にLCDに電池の残量が5段階のバーグラフで表示されます。 詳細は省略しますが、中途半端に使用した電池を入れて蓋を閉めると、I.D.S(インテリジェント ディスチャージ システム)が働いて先ず放電し、ソフト充電→急速充電→ちょろちょろ充電→充電終了(ちょろちょろ充電は続行)と自動的に進みます。 強制的に放電したいときには、ソフト充電中に放電ボタンを押します。
左側の写真は単2電池を分析しているときの状態、右側の写真は単3電池2本を充電しているときです。 その時々の電池の電圧が小数点以下2桁まで表示されます。
以上のように、この製品は相当優れ物ですが、日本で販売されていないのが残念です。 ただし、このモデルは2000mAhクラスの電池を充電できません。

5−4.独自開発した超小型急速放電器 (平成14年3月10日一部更新)

 

筆者は5−1.や5−2.でご紹介した放電器では満足できなかったため、これらとは全く異なった「瓢箪から駒」的な放電方法を思いつき、急速放電器を独自に開発しました。
詳しい資料は放電器の製作記事を参照してください。
左の写真ように手のひらに乗るサイズの放電器です。 単3電池2本または単4の電池2本を挿入して同時に放電できるようにしたもので、左側が標準サイズのプリント基板の試作品です。 放電電流は電池1本当たり最大で2A流せます。 正常に満充電されている電池の場合、完全放電にかかる時間は55分以内ですが、放熱用のフィンを付ければもっと早く終了させることも可能です。 放電終止電圧は電池の個数とは無関係に無調整設定されています。 写真は5台の試作品の内の1台ですが、2次電池用の簡易バッテリーチェッカーとして使用するためのスイッチは取り付けてありません。 充電中と充電完了は各電池用の赤色LEDで確認できます。 この急速充電器は、遊休(不要?)の準電流充電型(低速充電型)の充電器に取り付けて使用するか、MDレコーダー用のACアダプター(1.8V,500mA)を接続して使用するため、これ自体の電源(1.6V〜1.8V)を持っていません。 従って、蓋を閉めなければ放電を開始しない急速充電器や、間欠充電をする急速充電タイプの充電器では使用できません。 電池の誤挿入防止や放電器の誤挿入防止は構造的に配慮してあります。 量産された製品になれば1、500円くらいの製品になるのではないかと思います。
下の写真は3種類のパターンをパワーポイントで作図して感光基板に焼き付け、エッチングしたものです。 上の写真の放電器には小さい方の基板を使用しています。
なお、CQ出版社のトランジスタ技術誌平成14年5月号(4月10日発売)に、急速放電器の6V〜12Vバージョンの製作記事が掲載さていますので、合わせてご覧ください。 下側の写真の右下は感光基板にパターンを焼き付けてエッチングした物ですが、この回路についての記事が掲載されます。

  1. バッテリーチェッカーについて
    筆者が開発した万能型電池チェッカー2機種もご紹介しています。
    (平成15年10月16日)

今回の更新に際してバッテリーチェッカーの種類を増やしました。 いずれもニッケル水素電池のチェックには使えず、単一から単五までと006Pのマンガンやアルカリ乾電池用です。 1.5Vのボタン電池もチェックできるモデルもあります。 6−1の製品を除いては総て中国製です。 総てのチェッカーの回路図は作成済みですが、ここでは省略します。

6−1.能動回路を使用しないチェッカー

右の写真のチェッカーは、私が東京の秋葉原で購入したベレックスオーディオ(株)のBDC−22(実買価格1、400円)です。
このチェッカーは針式のメータがついており、A/Bの二つのレンジがあります。 Aは乾電池用でBはニカド電池用です。 電池のタイプは単1から単5の一次・二次電池、ボタン型一次電池(2種類)、006P型一次電池までの8種類をチェックできるようになっており、5−1.でご紹介した放電器よりは相当割安感があります。 内部回路図は省略しますが、単1から単5までの各タイプの電池に対する一次と二次の電池用と、ボタンと006P用のダイオード1個と抵抗1本からなる回路が12回路が入っています。
このチェッカーが本当にニカド電池のチェックに有効かと言いますと、2−4.の各種電池の放電カーブから分かりますように、必ずしも正しい電池の残量状態を表せないことが分かります。 このチェッカーをニッケル水素電池用に使用出来るとはうたっていませんが、ニッケル水素電池の場合には表示が参考にならないといっても間違いがありません。
電池自体に電池残量を表示(電池の外装の2カ所を指で押さえて表示素子に電流を流し、温度上昇を色に変換して表示)する乾電池がありますが、乾電池のチェックには十分使用出来る製品です。

6−2.能動回路を使用しない100円チェッカー

100円ショップで有名な(株)大創産業が販売しているメーター式のチェッカーです。 「エッ、針式のメーターが付いているのに100円?」とびっくりしますが、内部はメータ以外には抵抗が4本乗っている小さなプリント基板だけで、うっかり電池の極性を間違えると、メーターが破損する可能性があります。 また、内部配線の半田付けが幼稚なため、15個購入した製品の内2個に配線が外れている物がありました。 メーターの感度は安定していますが、ステーターや針が錆びていたりするものが4個ありました。 日本製の同様のメーターであれば300円はする部品でも、生産管理が充分にされていない中国のメーカーで生産すると、50円以下になるのだなーと驚かされます。
100円なので、買ってから動作しなくても返品することなく捨てられてしまうのかも知れませんが、私はメーターが欲しくて15個購入しました。

正常に配線の半田付けがされているチェッカーだと、ちゃんと電池の消耗具合のチェックの目安になります。

6−3.カード型チェッカー
BC-332D BC-333S

ソニー製のカード型一次電池チェッカーの外観は右の写真に示します。上は旧型で下が最近の製品で、実売価格は880円でした。
名前の通りすごく薄型で、マイナス側の電極板が共通になっており、これを電池で押し下げるとスイッチが入る構造になっています。 内部にはコンパレータ4個入りのIC一個・コンデンサ一個・抵抗16個・LEDが4個が使われています。 実際に外部から見える赤・オレンジ・緑の三色のLED以外に、外部からは見えないLEDが低電流駆動で基準電圧発生用に使用されています。 この回路を3Vのコイン型リチウム電池一個で駆動しています。
0.87Vまでが赤、1.16Vまでがオレンジ、1.17V以上が緑ですが、この種のチェッカーはあくまで電池の消耗具合をチェックする目的に使用する物です。 単一から単五までと006Pのマンガンやアルカリ乾電池用です。

6−4.ノギス型チェッカー

FDK(富士通)製のノギス型チェッカーNBC2FXの外観は右の写真の通りです。 特徴としてはノギスという寸法を測る工具の構造をしていることと、電池の消耗具合が5段階で表示されることです。
内部回路は、レベルメータ用のIC一個・トランジスタ三個・抵抗11個で構成されており、3Vの
コイン型リチウム電池二個を使用しています。測定する電池に0.9V以上の電圧が残っていると、回路の電源が入るようになっています。

実売価格が他社の約二倍の1980円で、機械的構造と五段階表示ということでこの値段が付いていると思われます。 単一から単五までと006Pのマンガンやアルカリ乾電池用です。

6−5.スロット型チェッカー

右の写真はパナソニックブランドのチェッカー(FF-991P、実売価格980円)で、スロット型と名付けました。 単一型を除いては各スロットに電池が確実に納まりますので、他のタイプのように電池の接触を気にすることが無くなります。
内部回路は、コンパレータ2個入りのIC一個・抵抗13個・LEDが4個が使われていますが、ソニーの製品と同じように外部から見えないLED一個を基準電圧発生用に使っています。 内蔵する電池は
3Vのコイン型リチウム電池一個です。 マイナス電極を押し下げると電源が入ります。

単一から単五までと006Pのマンガンやアルカリ乾電池用ですが、0.94Vまでが赤、1.29Vまでがオレンジ、1.3V以上が緑で表示されます。

  1. あとがき

初版を出してから少しずつ改良を加えてきましたが、今回の改訂版で新しい充電器と蛇足ながら電池チェッカーを加えたため、更に長くなってしまいました。

ニッケル水素電池は容量が大きくて比較的安価な電池なのですが、カメラの小型化のために2本しか使用しないデジカメなどでは、はっきり言って使いにくい電池だと思います。 この電池は不便ですが、買った時に必ず2〜3回充放電を繰り返して使用しなければならないことを再認識しました。 ただ、二次電池の新品は充電して使うことは十分理解できても、買ってすぐ使える民生用電子機器が常識になっている昨今、あまり歓迎できない電池だと感じました。

電池を販売している側からは、ニッケル水素電池を使用した高機能のデジカメが販売されて以来、実際に電池メーカーへの苦情が増えており、 返品された電池を調べてみるとどこも悪くないものばかりだという声が聞こえてきました。

この特集をお読みいただいて電池の取り扱いに注意しても電池の持ちが悪い場合は、充電器の不良かデジカメ本体に問題がある可能性があります。

なお最後に、ここにあげました各社のホームページと問い合わせ先の電話番号を列記しておきます。 筆者はお問い合わせに即答できないと思いますので、お急ぎやもっと詳しく電池のことをお知りになりたい方は、直接メーカーにお問い合わせ下さい。 (アルファベット順)

ブランド名

電話番号

備考

電池工業会 03−3434−0261 民生用小型電池のメーカーの団体
日立マクセル 03−5467−9198 電池に対する問い合わせ
富士通 0120−03−0422 富士電気化学(株)
パナソニック 06−6991−1141 松下電池(株)
三洋 03−3837−6246 三洋電気(株)
ソニー 03−5448−3311 お客様相談センター経由
東芝 03−5460−7577 東芝電池(株)
ユアサ 0726−86−6181 (代表)

(註)電池工業会というのは、主に日本の小型電池メーカーが構成員の団体です。

  1. 参考資料など

  • Matsushita Technical Journal Vol. 44 No. 4, Aug. 1998

  • Sanyo Technical Review Vol. 31 No. 2, Nov. 1999

  • 「最新電池ハンドブクック」 朝倉書店 1996年

  • [電池の本] 西村昭義著 CQ出版社

  • 電池工業会のホームページ

  • 電池メーカー各社のホームページ

  • ソニーブランドの充電器のパッケージ

  • パナソニック 電池総合カタログ (2000年10月)

  • 秋月電子通商(株)の定電流自動放電器キットに添付の資料


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