心の旅をはじめたきっかけ

 一番大きなきっかけは、父が躁うつ病(※注)という病気だったことです。そして、とても悲しいことに、父は自殺という手段で亡くなってしまいました。
 父が病気であることは知っていましたが、その病気がどういうものであるか、 私はあまりわかっていませんでした。何もわかっていなかったことに気付いたときは、父を失った悲しみと同じくらい大きなショックでした。父をそんなふうに苦しめた「躁うつ病」って、いったいなんなのでしょう。私は父の病気についてもっとわかってあげられたのではないだろうか。
 いろいろな本を読んでいるうちに、躁うつ病だけではなく、もっといろいろな心の病気や症状があることがわかってきました。この病気でつらい思いをしている人が、 たくさんいることもわかりました。

 私は心について、勉強しようと思いました。はじめるのは遅すぎたけれど、今は自分の ために、勉強をするつもりです。
 ゆっくり、(多分休んだり、さぼったりしながら)旅をしていきます。 どこへたどりつくのかわかりませんが、前へ進んでいこうと思います。

木のライン

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※注:躁うつ病(双極性障害)は「躁状態」と「うつ状態」の両方か、または躁だけが見られる場合をいいます。父の場合、はっきりした「躁状態」が起きたのは1度だけ(最後のうつになる前)でした。私はそれまでずっと父は「うつ病」なのだと思っていました。母からもそう言われてきました。
初めて見た「躁」に母も私もとてもとまどったのですが、それまでと別人のように活動的になった父は、躁がうつに変わったあと、躁の時期のことを「やりたいことが何でもできた」と母に話したそうです。いつも慎重で積極的に自分のやりたいことをするような人ではなかった父にとって、幸せなときだったのではないかと母は私に話してくれました。私もそう感じました。