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山口美はとからあなたへ

心臓病の子どもたちへの支援に向けて

 

 
 全国心臓病の子どもを守る会は1963年11月、150家族が参加して設立総会を開き誕生しました。
そして、今年2006年10月第44回全国総会を開催し今に至っています。
現在会員数は5500名で多くは先天性の心臓病を持つ子どもたちの親の会です。
内部組織として心臓病者本人が参加する心臓病者友の会(心友会)があります。

【設立総会決議文が原点】
 44年前の設立総会決議文には次のことが掲げられています。

「わたくしたちは、ここに「全国心臓病の子供を守る会」を結成いたしました。
ひる、よその健康な子供と一緒に遊べない我が子を見ては心を痛め、
よる、子供の寝顔を見ては涙を流し、寒くなれば食欲不振と伝染病を恐れ、心の安まる日とてありません。
それに高い治療費や不便な病院などの事情も、親にとっては耐えきれない負担となります。
このような苦しみを負って、明日ともしれない子供を抱き、誰にも相談する人もなく、独り心を痛めているのが、
今までの日本の親と家族の姿でした。
しかし、心臓病の子供を抱えて、ただ、嘆くだけでは何も改善されません。
私たちはそういう哀しみの底に沈んでいる親たちが、連絡し合い、経験を交流し、
専門家の先生方の意見を伝え合い、激励し合ってゆくために、この会を結成したのです」。

 この決議文は当時も今もかわらず、私たちの活動の原点となっています。
当時救われなかった命も、医学の進歩で救命が可能の時代になりました。
しかし、心臓病児を生み育てている親の苦悩はかわりません。どんなに医学が進んでも、
適切な治療、手術ができるまでの不安ははかりしれません。
延命できない子もいます。
また術後遠隔期においてどのような障害が出てくるかもわかりません。
先天性心臓疾患は幼児、小児期だけでなく一生涯にわたって医療を必要とし、ケアを必要としているのです。
 医療的なケアだけでなく、日常生活、学校生活、社会生活での活動制限などもさまざまな問題となっています。

【情報の交換】
 情報交換の一つとして毎月発行の会報「心臓をまもる」があります。
この会報は会の設立以来発行を続け2005年11月に500号となりました。
医療、福祉、教育、就労などの体験を綴った全国の会員からのお便り、
子どもたちの絵、作文、各地の支部活動の様子、守る会本部の活動報告、
そして専門医による最新の医療講座、教育講座など掲載しています。
症状、病名は違っても同じ心臓病児を育てているからこそ、
喜びも哀しみも共有、共感できる「心臓をまもる」によってどれだけの会員が勇気づけられ、
励みになってきたかわかりません。 
また全国50支部も支部報「心臓をまもる」を発行し、お便り、行事の案内など身近な情報を提供しています。
 支部の行事として行われている
療育キャンブ、クリスマス会などは病児のきょうだいも一緒に参加し、
きょうだいが心臓病児であることを理解することにもつながっています。 
親は行事に参加することで、独りではないことがわかり、勇気を持つことができるのも支部活動があるからこそです。支部では医療講演会も開催しそれがセカンドオピニオンにもなっています。

【心臓病児者の幸せのために】
 循環器、心臓血管外科医など専門医による解説と守る会が執筆した
福祉制度、日常生活、教育、仕事までを掲載した、会員の手による書籍
「心臓病児者の幸せのために」はこれまで5回の改訂を重ね、患者家族の心強い書籍となっています。

【声を要望として行政へ】
 設立当初から、医療・福祉・教育・仕事の向上をめざした活動をしています。
 医療については、年間100例以上の手術をしている病院は限られており、
またその中でも難手術まで対応できるのはさらに限られています。
そのため遠く、遠隔地から家族をおいて子どもの入院手術に付き添わなければならない状況もあります。
医療費よりも滞在費が数倍もかかる例は数知れません。
滞在施設の充実が必要になっています。また小さい子どもの心臓移植手術は未だ国内では不可能です。
一日も早く、小さい子どもでも心臓移植手術が国内でできるようになることが願いです。

 福祉については、2006年4月障害者自立支援法が施行されました。
それまで心臓手術は守る会が結成された翌年に会の活動の成果でもある、
育成医療が心臓手術にも適応になりました。
そのため医療費の心配なく手術に臨むことができました。
しかし、障害者自立支援法は患者家族に負担を強いています。
この法が成立するまで一年間守る会は、厚生労働省と話し合いを重ね
、国会議員に陳情し、当初示された負担額よりも大幅に改善されたのは守る会の活動があってこそですが、
成人した心臓病の人たちの医療費に関しては多くの問題を残しています。

 教育はどの時代も大きな課題です。学年が上がっても教室は常に一階にしてもらうとか、
体育の授業方法などは親が学校と話し合い、
一人ひとりに適切な教育が受けられるように情報を交換しあっています。

 2004年に特別支援教育が実施されましたが、校外学習に親の付き添いを求められたり、
心臓病児が支援教育の対象になっているのか、
援助の手が差し伸べられているのか疑問が残っています。
 教育の次の問題は就労です。心臓病が内部障害者である理解がまだまだ社会的にも浅く、
外見的には健常者とかわらないことなどから、
せっかく就労としても無理をして辞めざるを得なかった例は多々あります。
そして健康を守るためには定期的な通院は欠かせませんが、
通院保障がないために有給を使わざるを得ないのが実情です。

 こうした会員から上がってきた要望や願いは、
毎年厚生労働省、文部科学省などへ届け、懇談会を開き解決の道を求めています。

【おわりに】
 心臓病の子どもは100人に一人生まれているといわれています。
子どもたちが自立していくためにこれからも、医療を信頼し教育に希望を持って会活動を進めていきます。
以前は医師に質問することさえ赦されず、医療さえよければ全てよしという大学病院もありました。
しかし、現在は子どもの入院環境まで考えた病院が増えています。
子どもたちが豊かに成長できるように、さらに医療機関の方々に期待しています。
 
《支部長の山口さんが本部幹事として、ヘルス出版(「小児看護」2007年1月号)の依頼で執筆した
記事を紹介しました》

全国心臓病の子どもを守る会幹事 神奈川県域支部支部長 山口美はと


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