1999/09/23:「三重県で発掘会社を効果的利用」の新聞記事を読んで

 久々の案内人日記の更新です。

 9月20日付けの地元紙「東奥日報」に三重県で発掘調査に民間の発掘会社を活用して効果を上げている記事が掲載されていました。青森県では、まだ、発掘会社を活用したことが無いので、その効果のほどが実感としてわかりません。三重県での活用の仕方を大いに参考にする意味からも、今回の紹介記事をじっくり読んでみることにしましょう。

 新聞記事によると、全国では年間約8000件の発掘調査が行われているが、それの調査に携わる自治体の専門職員は全国で約6500人と少ない。従って、一人の専門職員が何件も発掘現場を掛け持ちで担当するケースもあり「忙しくて報告書を書く時間さえない」という、悲鳴が聞こえるという。

 三重県でも、悩みは同じで、1997年に始まった第二名神高速の建設で発掘調査面積が増え、44人の職員では対応しきれない状態になり、発掘会社の参入を求めた結果、「発掘できる面積が二倍近くに増えた」という。

 三重県方式は、県側で調査計画を立案し、職員が発掘現場で実際の作業をしながら発掘会社側の作業を監督する方式。この方式の導入で発掘現場の県職員を2人から1人に減らせるようになったため、同時に多くの遺跡の発掘調査が可能になったという。新聞記事では、「三重県方式」と独自性を強調していますが、元々は文化庁が発掘会社を導入するのであれば、このような方法で行いなさいと指導したことで、さほど独自の方式とも思われません。

 また、民間の発掘会社導入をめぐっては、発掘作業開始から報告書の作成までのすべてを一括委託する自治体もあり、遺跡の破壊やずさんな報告書の作成など問題を起こすケースが少なくないと、報じています。そもそも、このような一括委託は文化庁が厳しく戒めていることで、あってはならないことなのです。一括委託は文化財保護側の主体性の放棄ととられても仕方のないことです。発掘会社はいうまでもなく、無償援助会社ではなく、利潤追求会社ですから、当然のことながら赤字がでるような調査はするはずがありません。第三者的に監督する立場の人がいなければ、手抜き調査を行っても外部にはわかりません。ビルや道路を作って、その完成品を事後に検査できる仕事と違って、発掘調査はそれとはまるっきり逆の、毎日が「遺跡の破壊行為」ですから、日々、監視を怠ると何をしたのかは検査できません。−もっとも、そのような行為に及んで、事後にばれた場合は、会社自体が信用を失い、次の仕事がまわってきませんから、自分の首を絞めるようなまねは、しないとはおもいますが。

 景気が悪く、発掘調査の件数の減少に伴って、組織維持に躍起となっている財団法人の埋蔵文化財センターもあると聞いています。このような中、民間の発掘会社がどこまで伸びていくのか、注目していきたいと思います。