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Happy Birthday!
本日、9月17日は、曾野さんの誕生日に当たる。
今年も無事に年を重ねることが出来たようで、嬉しい限りである。
振り返れば、「遠来の客たち」が芥川賞候補となったのが1954年上期のことである。
つまり、職業作家として51回目の誕生日を迎えることとなったわけだ。
ほどほどに健康で、こうして息の長い活躍をしてもらえることは、一ファンとして、
何より有り難いことだ。本欄では、既刊の文庫本などが次々と書店から姿を消し、
入手が困難となっていく様を嘆くことが多かった。その気持ちは今も変わらないが、
新刊が一年に何点も刊行されていることを認識し、これを感謝せねばなるまい。
(某番組冒頭の「暗いと不平を言うよりも、進んで灯りをともしましょう」、というのは
いいフレーズだと思う。なかなか実践は難しいことではあるのだが。)
今年は、まるでバースデイプレゼントのように、曾野さんの誕生日にあわせて、
文庫の新刊が刊行された。集英社文庫の「狂王ヘロデ」がそれにあたる。
これは文芸誌「すばる」(集英社)に連載された長編小説で、
単行本として同社から刊行されている作品である。円熟期に入った曾野さんは、
「悪」を一大テーマとしているようだが、本作品はその典型的なものだろう。
ヘロデ王の偉大さと、スケールの大きな悪とが共に描かれた近年の力作である。
ところで、昨日の毎日新聞にはこんなコラムが載っていた。
「(前略)、北京の会合で先日、中国当局者が日本人記者に
「記者は日中友好に役立つ記事を書くべきで、
マイナスになる報道は放棄すべきだ」と説教した。
中国の新聞は共産党の宣伝機関だから、当局の思惑をはずれる話は書かない。
事実を伝えた上で、読者と一緒に考えようという発想もない。
だから勘違いした当局者が、日本人の記者にまでおかしなことを要求するのだろう。
(後略)」
至極まっとうな書き方である。大多数の読者は同感したであろう。
ただ、ここで私が言いたいのは、この記事に共感したということではなくて、
「署名にある上村幸治さんという記者は、おそらく若い方なのだろう」ということだ。
そうでなければ、当の毎日新聞が、
30年ほど前にどんな記事を発表していたか知っているだろうし、
まして自分が当時執筆していたのなら、こんな事は書けないであろうからである。
縮刷版で振り返ればすぐに分かることでもあるが、当時、日本の大多数の有力紙は、
中国当局に不利な記事は一切掲載していなかった。自社の記者による記事のみならず、
外部の人間による署名記事でさえ、その方針は貫かれていた。
そのため、「中国にはドブネズミがいないから、えさがなくて野良ネコもいない」
というような滑稽ともいえる提灯記事さえ載る一方で、
中国の体制に疑問を投げかける文化人の発言は封じられていた。
そして曾野さんも新聞から「干された」ひとりであった。
そんな曾野さんにも再び発言の機会が与えられ、
さらに連載小説まで依頼されるようになったのだから、今は良い時代である。
しかし、日中国交回復からしばらくの言論界の不自由さは忘れられるべきではない。
そして所や時が変わると人間や組織は如何様にも立場や発言を左右させる存在であることは、
教育の場などでも強調されていいことだろう。新聞の縮刷版などは格好の教材ではあるまいか。
2004.9.17 updated
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