
1998年1月渡航
マレー語で”猫”という意味のこのクチンという街は、ボルネオ島のサラワク州の州都。北のサバ州のコタ・キナバルとともに、東マレーシアの主要都市として、発展してきた。特に本土のマレー半島からの観光客も多いクチンはマレーシアの中でも、KL、ペナンに次いで3番目に観光収入が多い町である。また、近年盛んなジャングルリゾート、エコ・ツーリズムの拠点としても注目されている。また、年に一度、世界中の猫好きの人達が集う祭典も催されている。
このサラワク州は、太平洋戦争中、日本軍に占領された苦い歴史があるため、今でも住民の対日感情は決してよいものとはいえない。しかし、人々は素朴で親切。マレーシアの他の都市に比べても、とてものんびりしているようだ。シンガポールからこういう町へ出かけると、本当に心がなごむ。
※観光する際の注意。
当然のことながら、蚊が多い。クチン市内やホテルでも油断できない。蚊に刺されやすい人は特にジャングルなどに出かける場合はできるだけ長袖、長ズボンを着用すること。虫除けスプレーは現地でも調達できるが、あらかじめ持って行くのが無難。スプレータイプのものを衣服に吹き付けて、肌にはクリームタイプの虫除けを塗ればなお可。マラリアの予防薬もあるが、服用する際は人によっては、高熱、頭痛、嘔吐など激しい副作用を伴うので医師とよく相談すること。市内でも外を出歩く時は(特に夜)なるべく長袖のほうが安全。
また、モスクに入る際は、必ず靴を脱ぐ事。肌を露出した服装はマナー違反。神聖な場所なので内部の写真撮影は控えること。
ロングハウスを観光する際は、部族の人の家の中に入れてもらったら、家の人にタバコやアメなどのお土産を渡すこと。
★DAMAI
BEACH(ダマイ・ビーチ) 
クチンの空港から車で40分のところにある、リゾート地。半島の付け根には標高800メートルのサントゥボン山がそびえている。かなり険しい山だが、歩いて登る人もいるらしい。ダマイ・ビーチがリゾートになる前、ここには道がなかった。それで、人々はクチンから船で岬まで渡らなければならなかったらしい。
ここにはリゾートホテルが数件あるが、今回泊まったのは”Holiday Inn Damai Lagoon”というリゾート。ホリデイ・イン・グループはクチン市内に2軒ホテルを持っているが、ここ、ダマイにもリゾートを2軒持っていて、ここは半島の一番先にあるリゾート。もうひとつの”Holiday Inn Damai Beach Resort”からは歩いてすぐ。料金も同じくらい。この両者とクチン市内のホリデイ・インのホテルの間には一時間に一本の割合でシャトルバスが出ているので、市内へ出るのも便利である。
ダマイ・ビーチ、海はちょっとにごった色で、そんなにきれいではない。ただ、ここのリゾートにはジャングルを模した大きなプールがあって、子供は喜びそう。週末をのんびり過ごすには最適かもしれない。また、夜のビーチの夜景もなかなかである。
以前、ここはクチン市内の”Crowne Plaza Riverside Kuching”(旧Riverside Magestic)と同系列の日本資本のリゾートだったのだが、ホリデイ・イン・ホテルズが両者とも傘下に入れてしまった。そのためか、ホテルのあちこちに昔のリゾートの名残があったりする。元のホテル名が書かれたところにホリデイ・インのシールが貼ってあったりした。
このリゾートの近くには、レストランとか娯楽施設はない。ただ、海鮮料理が食べたければ、運転手に「シーフード・レストラン」といえば、必ず同じ所に連れて行ってくれる。クチン市内の人にも有名なケロン・スタイルのレストランがクチンとダマイの中間あたりの海沿いにある。このあたりでは一番おいしいので、夕食はホテルより、ここをおすすめする。ダマイ・ビーチから送迎のサービスがあるので、ホテルのフロントにリクエストをしておけば、時間に迎えに来てくれる。クチン方面から車で行く人は、向かって右側。サントゥボン山の手前になる。みんな、シーフード・レストランと呼んでいたので、多分名前はない(?)。
★LONGHOUSE(ロングハウス)
ここはクチン市内から車で1時間ほど行ったところにある、ビダユウ族のロングハウス。耐久性があり、湿度にも強い竹で骨組をつくり、床を貼り、屋根には椰子の葉を葺いて作られた伝統的な高床式の住居で、その一族が代々住んできたものだ。子供が結婚して世帯を持つようになると、その脇に増築して、写真にある竹の通路を通って行き来ができるようになっている。こうして、どんどん建物が広がって行って、ひとつの村を構成してきた。首長の家は部落の中心にあり、一族が寄り合う集会所もある。
しかし、建物の老朽化と生活様式の近代化に伴い、こうした集団生活を営んでいる人々の姿も消えつつある。ここも、実際には一部しか使われていない。人々は部落の周りに近代的な家を建てて、生活している。彼らは農業なども営んでいるが、こうして観光客に家を公開することでも、収入を得ている。実際、こうしたロングハウスを建てる技術を持った職人も減ってきているのだとか。だから、修理された屋根はトタン葺きに変わっていたり、竹の替わりに違う木材が使われていたりした。
中に入ってみると、風通しが良くて、なかなか快適である。熱帯の気候に適したつくりで、床も高いので、モンスーン期の大水も防げる。また、裏手には小川が流れていて、洗濯をしているご婦人たちや、水遊びをする子供達もいた。のどかで、うらやましい。
★SARAWAK CULTURAL VILLAGE(サラワク・カルチュラル・ヴィレッジ)
ダマイに宿泊している人もそうでない人も、是非行って欲しいのがここ。サラワク州の人口の3割を占めるイバン人を始め、イバン人との抗争が激しかったビダユウ人、オラン・ウル人、メラナウ人、そしてマレー人と華人の住居が池を囲むように再現されている。住居の中に入ると、それぞれの民族の踊りやパフォーマンスの後に、歴史についての説明や、工芸品の製作実演販売が行われる。また、ホールではダンス・ショーも1日2回催される。行く前に、サラワク博物館で予習をしてきたので、説明もわかりやすかった。
マレーシアというと、マレー人の国だとばかりおもっていたが、ボルネオには20以上の民族が住んでいるとは驚きである。しかし、近代化の波に飲まれるように、地方の部族の生活は解体し、人々は豊かさを求めて、都会へと移住し始めている。仕方がないことかもしれないが、それでも部族の文化に誇りを持ち守り伝えようと努力されておられる方々には敬服させられる。
★AROUND KUCHING(クチンからの旅)
地元の旅行社などで、クチン発のツアーが出ているので、ロングハウスやジャングル・ツアーに参加してみたいひとは尋ねてみるとよい。クチンから車で30分ほどのところには、オランウータンのリハビリテーションセンターもあって、気軽に訪ねることもできるし、ロングハウスも各地にあるが、伝統的なロングハウスは、やはり市内からはかなり遠い。車で6時間ぐらいかかるところもあるので、宿を備えたロングハウスで1泊することになる。
また、クチン近郊には、バコ国立公園があり、こちらへのツアーも市内から出ているが、個人で行く場合は、クチンのビジターズ・センター(博物館前)で許可証をもらうことになる。宿泊などの予約もこちらで済ませることになるので、事前に連絡をして確認をしてください。ちなみにこのビジターズ・センター、営業時間内でも閉まっていることがあるのでご注意。
★CITY TOUR(クチン市内観光)
サラワク州の州都、クチンは、実は2つの行政区に分かれている。つまり、中国系の市長とマレー系の市長とふたりいるらしいのだ。中国系の行政区には、中国語の地名表記がある。
クチンの観光スポットはサラワク川両岸を中心に徒歩で回れる市街地に集中している。
クチンとサラワク州の歴史に触れるには、クチン博物館(Kuching Museum)がおすすめ。東南アジア一といわれるこの博物館では、サラワク州を含むボルネオの民族分布、それぞれの民族の風習、歴史、文化について知ることができるほか、ジャングルに生息する動物たち(ちょっと可哀相だが剥製も展示されている)も紹介されている。また、ロングハウス内部を忠実に復元した実物大の模型もあるので、ロングハウスツアーに参加できなくても、ここでロングハウスに行った気分を味わえる。

左の写真は、サラワク川。手前に写っている小さい幌のついた船が、クチン名物の渡し舟である。この船は手前のウォーターフロント地区と対岸のマルガリータ砦(Fort Margherita)の船着場を行き来している。橋の掛かっていないこの地区では貴重な交通手段として、重宝されている。
ウォーターフロント地区とは、クチンの中心街に当たる場所で、一流ホテルやショッピングセンターなど、主だった施設はこの地区に集中している。ここから、クチン博物館も徒歩圏にあり、クチン市内の植民地時代の建築物も見て回ることができる。
川沿いの遊歩道は綺麗に整備されていて、夕暮れ時になると、クチンの人達はそろって夕涼みに出かけてくる。近くにはみやげ物屋やアンティークショップ、コーヒーショップなども無数に建ち並んでいて、クチンを拠点に観光をしたい人は、この周辺に宿を取ると便利である。また、ホテルは3星以上の快適なホテルがたくさんあり、値段も地方都市なので、比較的リーズナブルに設定されている。
渡し舟で川を渡ると、対岸のマルガリータ砦下に到着する。ここは現在警察博物館(Police
Museum)になっている。この博物館は、かなりユニークなもので、サラワク州の警察の歴史を制服や武器類を見ながら追って行くことができる。植民地支配や戦争といった歴史の中で、様々な理由で殉職していった警官たちの写真も展示されている。また、風変わりなのは、刑罰に関する展示物。左の写真の下にある井戸のような建物。実はここで以前、絞首刑が行われていたのである。梁からぶら下がっているのは、布で作られたダミー人形(!)。しかもちゃんと服を着せられていて、実に生々しい。なお、上に立っているのは見張り矢倉である。ここからは、対岸のウォーターフロント地区を一望できる。
博物館からサントゥボン方面へ歩いて行くと、噴水もある小さな公園があり、そこから再び渡し舟で、ウォーターフロント側へ渡った。
★SUNDAY
MARKET
ちょうど週末に滞在したので、サンデーマーケットにいくことができた。ここのマーケットは写真でみるように、かなり大規模で、実に多様なものが売られているので、見ていて飽きないし、行く価値十分である。地方の農家の人達や商人が土曜の昼前から集まってきて、日曜の昼過ぎまでマーケットで品物を売っている。農作物や肉、魚、日用品に加えて、小動物も取引されている。犬などのペットも専門店よりかなり安い。
また、マーケットのまわりには屋台も並ぶので、おなかがすいたら屋台で腹ごしらえができる。
サンデーマーケットに行くには、バスが便利。ホテルや地元の人に尋ねてみれば、バスの番号を教えてくれるはずである。クチンの中心街から歩いて20分は見ておいた方がいい。
(Last update: 26Jan2000)