脳内麻薬

脳内物質のなかにエンドルフィン類があります。これは、モルヒネと同じような働きをする物質で、「脳内麻薬様物質」とも呼ばれています。もともと脳内にある物質で、麻薬に比べて分解も早く、人間に必要なものです。
例えば、走るのが好きで好きでたまらない人は、雨が降って走れない日などはうずうずして落ち着かなくなります。これはエンドルフィンの
鎮痛効果がもたらす快感によって、走ることに「はまってしまっているからなんです。長時間走り続けて体が痛みや疲労を感じだすと、脳内でエンドルフィン類の分泌が増し、痛みを和らげてくれるのです。そのおかげで走り続けることができます。そして、さらに「快感」や「恍惚感」を感じ、いわゆる「ランニングハイ」とよばれる陶酔状態に陥ります。 この快感が、人を「また走りたい」という気持ちにされるのです。
パチンコの場合でもそうですが、実は3年ほど前に、パチンコをしている時の脳内物質の変化を調べて習慣化のメカニズムを解明する実験をしたんです。
その方法はパチンコ好きのボランティアを募って、安静時、パチンコ開始時、大当たり開始時、大当たり終了時、終了後の安静時、の5回に分けて血液を採取し、いつどの物質の分泌量が多いかを測定しました。
血液からの脳内物質の放出量は、間接的な方法ではありますが、脳で放出されてから20秒以内には静脈中に現れますし、血液1ml中悪1ピコグラム(1/1兆g)の変化まで分かるので、脳内の変化を反映します。 その結果、実は、大当たりすると「ほっとする」「安心する」といった「安堵」の快感をもたらすβ-エンドルフィンの分泌量が増加したんですが、その増加量がパチンコをよくする人ほど多かったんです。それに、心拍数も大当たり直前にピークを迎え、大当たり開始後に急速に低下したことも意外な結果でした。
大当たりすると、しばらくは興奮状態が続きそうですが違っていました。リーチがかかると大当たりを予期して興奮し、心拍数も上がります。そして、期待通り大当たりすれば、β-エンドルフィンの分泌量が増し 鎮静効果となって「良かった」と思い「ほっとする」わけです。
パチンコをよくする人ほどβ-エンドルフィンの増加量が多いということは、パチンコに打ち込めば打ち込むほど、この「ほっとする」度合い、得られる快感が大きくなるというわけです。
つまり、パチンコにはまる人は、
「ドキドキして楽しい快感」よりも「ほっとする快感」にはまってしまうのです。(篠原菊紀著「僕らはみんなキレている」から引用させていただきました)

β-エンドルフィンは「脳内モルヒネ」という意味で、釣りや温泉など好きなことをすれば分泌されることが知られている。体をリラックスさせほっとする感覚を与える一方、無くなるとイライラするなど、体が分泌を欲する習慣性がある。
これまでの研究で、パチンコの大当たりが出ると、β-エンドルフィンが多く分泌されることや、頻繁にパチンコする人ほど量が多くなることが分かっており、パチンコ依存症に陥るメカニズム解明の足掛かりとして注目されている。
実験ではパチンコ経験が異なる男性6人に、パチンコを打ってもらい、安静時や大当たり時など計6回血液を採取した。その結果、大当たり時のβ-エンドルフィンの平均値は安静時の約1.5倍に増えた。また、最も頻繁にパチンコする男性の場合、1.9倍になるという結果も出た。篠原さんは「β-エンドルフィンの習慣性がパチンコへの依存を形成する可能性がある」と話す。