おじっちと私の出会い  その1

それは、まだアルツハイマーなどとは、まったく縁の無いバリバリ

の現役税理士のころに遡ってしまう。

 初めて会ったときからなんともおしゃれで、うわっ めっちゃダン

ディって思ったのが、第一印象。髪の毛には、きちんと櫛がいれられ、

ワイシャツの襟元もびしっとアイロンがかけられてて、なんといって

もネクタイが、クリスチャンディオールの淡い黄色!スーツの色と

ぴったりあってて、靴下にも気を使ってた。難しい色合いを、この

年齢でここまで着こなすか〜って歓心、驚き。

 我社の顧問税理士として来てくれた。顧問料x万円(差し障りがあ

ると困るからこれ以上書けないが)のみ。あんまり安くて、リッチな

んやーと思った。(蓋を空ければなんと、どこの顧問先も似たよーな

顧問料で、おじっちの生活費たるものほとんどxx万円、世界中旅行

してたから、どうしてたんやろ・・・)ともあれお金については、

無頓着だった。

 無頓着といえば、人間に対してもそーなのだ。私の長所も短所も、

私という人間さえまったく理解しようとはしないかわりに、自分の事

も解ってもらおうなどとは、まったく思ってない様子。私としては、

らくちんなお舅様だった。我が社へ来る時の昼食は、自分で買ってき

た某バーガーショップのハンバーガー、自分の分だけー。ところが、

孫(私の子供)が、そのバーガーを欲しがるようになってからは、

二つ買って来てくれる様になった。やっぱり孫にはやさしいおじっち

だった。が・・・孫に対しても案外淡々とした態度で、私をしばしば

驚かせた。孫って感じではなく、一人の人間として接してくれてたん

かな。ともあれ 私、孫、自分の息子、誰にもあまり興味なさそうな

不思議なおじっちの印象だったのを覚えている。

 我が社でのおじっちの仕事ぶりを少し書いておこう。まるで、聖徳

太子!五つ玉のそろばん(はじめて見た!)を操りながら、テレビの

二ユースを見ながら、喋りながら、孫の様子も見ており、わたしの

失敗を指摘する!計算違いはないし、二ユースの内容を確認しても、

きちんと把握してるし、孫のけがはまぬがれるし、台所で、わたしが

溢したコーヒーで火傷はないかと気使ってくれる。なななんなん???

スーパーおじっちだ。

 おじっちに出会った頃、すでに、おじっちは一人暮しだった。だから

だと思うが、話好きで、何時間も喋り続けられた。そう何時間もだ。

特に旅行から帰ってすぐの時は、長かった。楽しい旅行の報告だけに、

聞くほうも時を忘れてしまい、お昼を過ぎ、もうすぐ夕方とあいなって

しまう。家系図の説明などは、長すぎてあきてしまった。一度こんな事

があった。私の母が来た時のことだが、ちょうどおじっちとの仕事の日

で母とおじっちとの初対面の日だった。長いご挨拶の後、おじっち得意

の家系の話になった。私は、いつものように覚悟をきめて、どっしり

座って何時間か過ぎた頃、それまで、は〜、ははあー、とあいずちを打って

いた母の声が聞こえないのに気がついた。しかし、話の腰をおるわけにも

いかず はい、はい、と(嫁の立場ゆえ)聞いていた。満足したのか

おじっちは、さっさと立ちあがりバスの時間が・・・といいながら、帰って

行ったのは、もう15時を過ぎていた。10時から15時である。昼ご飯

も食べずに・・・・。母に昼抜きで悪いねーと言うとなんと、トイレに

立った隙に食べたよ・・・・なんと私は、絶句してしまった。私もおじっち

もお昼ご飯には、ありつけなかったというのに・・なんて母だ!おじっちも

おじっちだったが母のたくましさに驚く出来事で、これ以後、私も真似を

したのは言うまでも無い。

 出会いのテーマで書こうと思うとまだまだあるが、こんな感じで私とおじ

っちは、親しくなっていったのである。驚きと不安と、何だか嫁を他人

として受け入れてくれるおじっちの、妙な心地よさが感じられた。お互い

干渉し合わない事の心地よさとでも言うのか。その時私は、おじっちとなら

うまくやっていけると確信していた。確かにうまく行っていた。アルツハイマー

という病気にかかるまでは・・・・・。いやいやもしかしたら、今も・・・!

おじっち紹介 出会いパート2 同居 表紙