善光寺御開帳 「浄土宗 中日庭儀大法要」 ( 2003. 5. 10 ) 

中日庭儀式大法要 (浄土宗)


 御開帳「浄土宗 中日庭儀大法要」 ( 2003. 5. 10 )
 午前七時の気温が 5. 2 度と、この時期としては少し肌寒く感じた十日、善光寺御開帳の一連の儀式のなかでは二度目のハイライトとなる「中日庭儀大法要」(ちゅうにちていぎだいほうよう)が行われました。この法要は、御開帳期間中の中日(四月下旬から五月上旬)に催されるもので、天台宗と浄土宗がそれぞれ一回、日程を変えて行われるもの。回ごとに順番を入れ替えることになっており、二十六日の法要は先ず「大勧進」(天台宗)が、そして今回の法要は「大本願」(浄土宗)が執り行うこととなりました。

 この日の法要では、午前十時に、四月に行われた天台宗による法要同様に、「笙」(しゃう)「篳篥」(ひちりき)を奏でる人々を先頭に、お母さんに手を取られた可愛いお稚児さん、一山住職の方々の順に行列が大本願を出発し、最後に御上人さまを乗せた御駕篭が、ゆっくりと三門をくぐり、石畳の参道を進まれました。左右の参道脇には、全国各地から訪れた参拝者らが埋め尽くし、御上人様と一山住職らによって厳かに営まれる法要を見守ります。解説によれば、この「中日庭儀大法要」が行われる善光寺境内の場面設定は、人々が願う極楽浄土を表したものとのこと。つまり、善の綱で「前立本尊」と繋がれた「回向柱」に触れることと同等に、いやそれ以上に仏様にお近づきになれるということなのかもしれません。したがって、この法要は、御開帳期間中に数ある法要のなかでも、重要な法要でもあるのです。
浄土宗の衣装
 さて、ここで少し余談になりますが、儀式に参列されていた貫主様と上人様、またそれぞれの宗派のご住職の方々の服装は、デザイン的にも全く違ったものだったことにお気づきになられたでしょうか。
 天台宗による「中日庭儀大法要」の際には、あまり気にも留めていなかたため、比較するための写真がないのですが、今回の「浄土宗」による「中日庭儀大法要」では、その煌びやかなお姿に感動しまして、失礼とは思いつつも、参列されていたご住職のお姿を一枚撮影(写真右)させて頂きました。
 なかでも、特徴のあるお舟のような形をした「帽子」は、「水冠」と呼ばれるもので、正面から見るとその折り目が「水」という文字に見えることから名付けられたそうです。衣装も、私たちからしますと、お坊様は袈裟(けさ)しか着ないというイメージが強いのですが、今回の服装は、まるで宮中にでてくる公家の姿に似ていて、それはそれは豪華絢爛だったように思いました。

 さて庭儀法要は、回向柱前で行われる法要に続き、地元の小学生たちが練習を続けてきた「礼讃舞」(らいさんまい)が披露されました。三月頃から練習を重ねてきたということですが、さすがに大観衆を前にして些か緊張気味ではありましたが、立派にお役目を果たしていました。
 「礼讃舞」が終了すると、上人さまと一山住職の方々は本堂に上がられ、再び法要が執り行われるわけですが、その前に、浄土宗では行われないとされていた回廊からの「散華」(花)が行われ、この日だけでも三十八万人という参拝者が一斉にご利益のある「散華」を手に入れようと回廊下に詰め掛けました。「散華」は、花の香りで邪気を払い、法要周辺を清め、仏様をお招きするという場面で使われるもので、善光寺では「蓮華」を模った紙製の花びらが撒かれることになっています。紙でできた「散華」は、風に乗って舞うことも多々あるため、適当な距離を保っておくと手に入れることができるわけですが、とにかく一枚ゲット!したいとのことで、回廊下を幾重にも取り囲むように人の波ができました。その光景たるや、もし本堂を極楽と例えるなら、回廊下は、まさに現世の<浴>に満ち溢れた世界…という状況を目の当たりにする一瞬だったように思いました(笑)。


行列は大本願を出発し、三門を抜けて、回向柱のある本堂前へ
この日の参拝者は、期間中最多となった三十八万人 (三門)
「回向柱」前で行われる法要大本願 鷹司誓玉上人
華やかに行われた「散華」御上人さまからも「散華」を…


 「中日庭儀大法要」の感想
 さて、当日のレポはここまでですが、幾つか気付いたことを記してみます。まず、当日は事故があったこと。それは、行列の写真を撮るために男性が、載っていた台か鉄柱の上から滑り落ち、その下にいた参拝者を後ろかドミノのように押してしまったようです。数人は逃げられたようですが、女性はそのまま倒れ、肩が外れたか骨折したようで、法要中に救急車が二台駆けつける事態となりました。管理人も、この法要の様子を撮影するためにカメラを持参しましたが、人ごみのなかでは、なかなか頭越しに撮影することは難しく、脚立を用意しての撮影となりましたが、一般の旅行者や参拝者のなかには、石垣や大灯篭の脇にしがみ付き写真を撮影している姿は数多でみられました。誰もがベストショットを撮影したい気持ちはわかりますが、無理な体勢は事故に繋がりかねませんし、一人だけの怪我だけでは済まない場合もあります。
 また、関連して、このような人ごみのなかを狙って、スリも横行しているようです。善光寺でスリなどというのは、もってのほかなのですが、世情を反映してか、ここが稼ぎどきとばかり、被害もかなりの数に上っているとのこと。こちらも十分注意したいものです。
 そして、この時期に善光寺を観光ルートに加えた旅行会社へ。善光寺御開帳は、「大法要」が行われる時だけがその期間ではありません。今回、撮影中に遠くから見えられた旅行者の方々とお話をする機会がありましたが、これだけ多くの参拝者が訪れますと、ゆっくり参拝もできない、何しに善光寺に来たのかわからない、とボヤいる方々がほとんどでした。また、団体旅行よりも、個人で善光寺を訪ねたほうがよかった、と話される方もいて、団体旅行にこの「中日庭儀大法要」を組み込んだことに対する不満もありました。
 これでは、はるばる遠くからバスに揺られて訪れた観光客の方々に対し残念でなりません。本堂への参拝は、法要が行われている間はできませんし、回向柱に触れることはできないのです。それでは、何のためのツアーか意味がありません。善光寺ツアーに申し込みされた皆さんの思いをよく理解された上で、スケジュールを立案されたほうがよいのではないかと思います。
 さて、二つの「中日庭儀大法要」が終了すると、七年に一度の盛儀「善光寺御開帳」もラストスパート。次の見どころは、二十五日に行われる賑やかな山車が繰り出す「屋台巡行」となります。


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