善光寺御開帳 「前立本尊御還座式」 ( 2003. 6. 1 ) 

大勧進に向かわれる「前立本尊」を乗せた輿


 前立本尊御還座式 ( 2003. 6. 1 )
 善光寺の御本尊「一光三尊阿弥陀如来像」の分身として、御開帳の期間中公開されていた「前立本尊」を大勧進の宝庫に戻す「御還座式」が、一日、大勢の観光客が見守るなか行われました。本堂から大勧進まではおよそ二十分ほど。御本尊は、白装束の男性たちが担ぐ輿に乗せられ、ゆっくり三門を下り、大勧進に入られました。
 次回、「前立本尊」が姿を現すのは、平成九年の御開帳の予定です。


本堂を出発した輿
三門を下る輿
右折して大勧進へ静けさを戻した境内


 御開帳が終わって思うこと
 善光寺の御開帳では、3月 30日の「回向柱受入式」、4月 6日の「開闢大法要」から5月 31日の「結願大法要」までの期間中、そして最後の 6月 1日の「御還座式」まで、ご覧頂きましたように、じつにさまざまな儀式が執り行われました。地元に住んでいる管理人も、これまで幾度かの御開帳を経験していたはずだったのですが、これほどの儀式が期間中に執り行われているとは知らず驚いた次第です。「長野に住んでてそんなもの?」などといわれてしまいそうですが、やはり近くにあると、いつでも出かけられるという考えがあり、執り行われる儀式ひとつひとつの意味など考えることもないのが地元民の意識なんですね。
 ただ、今回は、地元のケーブルテレビ局やコミュニティーFM局、さらに地元のメディアでも頻繁に特別番組や記事を組んでいましたので、否応無しにも、地元の貴重な文化財である善光寺への意識を高めさせられた…というのがホンネだったりしています。また、オリンピック以降、沈滞ムードが漂っていた長野市内の経済状況に、善光寺の御開帳が明るさを取り戻してくれるのではないか、という期待がちょっとだけあったことも事実だったりしています。

 善光寺御開帳による経済効果がどれほどだったか、詳しいデータはあまり公表されていません。ただ、地元紙の信濃毎日新聞が六月半ばに掲載した、長野商工会議所などでつくる善光寺御開帳奉賛会と長野経済研究所による御開帳期間中の経済効果についての記事を読むかぎり、やや独善的ではないのかなぁと思いました。長野新幹線と高速道路の利用により、多くの経営者は「日帰り客が増えたはず」という意見に反し、実際には日帰り客よりも宿泊客のほうが前回の御開帳よりも増えていたというのです。
 確かに、善光寺御開帳を旅行のスケジュールに組み入れて、泊まりで信州を訪れた観光客は多かったのかもしれませんが、それが御開帳の効果(対象を長野市の主たる宿泊先とした場合)と判断してよいものなのかどうか、とても疑問です。海外テロの影響で、たまたま国内旅行に変えたかもしれないし、一泊二日程度で首都圏や中京・関西圏から訪れるのに、ちょうど適当な位置に長野があったからで、善光寺には訪れたのかもしれませんが、ほんとうは別のところに泊まっていたというのが実情ではないかと思うのです。善光寺参拝が含まれていたからといって、安易に経済効果として捉えるのは、どんなものなのでしょう。
 そのようななか、善光寺表参道沿いに軒を連ねる「蕎麦屋」さんや、天候に恵まれ、そこそこの暑さとなったことが幸いした「ソフトクリーム屋」さんなどが、訪れる観光客には人気だったようです。また、地元タウン紙のプロジェクトでオープンした信州名産の「おやき屋」さんも好評でした。特に、信州各地の「おやき」を扱ったこのお店は、「おやき」の「いろは」をパネルなどで紹介され、訪れた県外の観光客に「おやき」が信州を代表する食文化のひとつであることを理解させるのに、とても重要な役割を果たされていたように思いました。

 さて最後に、御開帳期間中、列ができるほど人気のあったあるお店で聞いた話を紹介しておきます。そのお店は、管理人が日ごろからお世話になっている先なのですが、今回の御開帳期間中、訪れた観光客にアンケートをお願いしたのだそうです。そして、住所と名前を記入してくれた方々には、最近の長野の話題を記したお便りとともに、通信販売を視野に入れたDMの発送を送ると…。社員のなかには「今さらながらDMなんて」という意見もあったようですが、社長さんは、それを承知した上でこの計画を進めたとのことでした。理由は、何かのついでに長野を訪れることがあったなら、立ち寄ってもらえるような先になりたい、からなのだそうです。
 善光寺御開帳は七年に一度。このイベントをそのまま過ごすか、それとも長野五輪での失敗を生かし、次回の御開帳に結びつくような管理を行っていくか、五十数日間は、大きな分岐点にあったのかもしれません。



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