計画地の植生概要

 叺谷スキー場の計画地は、白山国立公園に隣接する長良川の最源流部に位置している。計画面積は約290ヘクタール、スキーコースやゴンドラ・リフト敷設のために伐採等の開発が行われる面積は約90ヘクタールに及ぶ。
 平成元年に岐阜県自然環境保全研究会が行った植生調査によると、計画地の大部分はブナ、ミズナラ、サワグルミなどの落葉広葉樹の森である。9割以上は一度伐採されたことのある2次林ではあるが、天然更新によるブナの成育状況は良好で、やがて原生林に劣らないブナ林に遷移していくことは間違いない。原生林には直径90センチにもなる太いブナの巨木もある。計画ではそこにゴンドラリフト頂上駅が作られる。
 長良川本流の源流域を一手に引き受ける高鷲村は、面積約1万ヘクタールの小さな村に5つの既存スキー場、2つのゴルフ場、大規模別荘地、農牧地などが広がり、森林も植林が目立つ。源流の村としては、決して自然が豊かな方ではない。そのような状況の中で、この地が比較的良好な自然環境を保ってきたのにはわけがある。昭和三十七年、白山国立公園が指定されるにあたり、このスキー場計画地のほぼ全域を含む高鷲村内850ヘクタールも指定された。この地は、国立公園に指定されるほどの自然を備えていたのである。ところがその後、高鷲村はこの地を開発・利用できるようにするため、国立公園指定域を現在の標高まで引き上げ、面積を七分の一にまで縮小させてしまった。
 国立公園の指定を解除されても、この地が長良川源流部の中でかろうじて残った豊かな自然の森で、長良川の大切な水瓶であることに変わりはない。
 このスキー場建設に伴い、長良川源流の本支流に5つの砂防ダムが建設される。保安林を解除して伐採を行う部分さえある。水源の森林を伐採すれば、大量の土砂が長良川に流出し国土保全能力や保水能力が失われることを計画は自ら物語っているのである。

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