10/22 岐阜新聞
高鷲村・西洞
かます高原スキー場計画
県内最大級、290ha 概要固まる 99年度オープン目標

 郡上郡高鷲村の第三セクター・大日白山リゾート開発(社長・硲孝司村長)が事業主体となり、長良川源流部の西洞かます高原に計画していた大規模スキー場の建設概要が21までに固まった。開発会社の設立から13年目で、開発対象面積は、県内でも最大級の290ha。東海北陸自動車道・高鷲インターが開通する1999(平成11)年度のオープンを目標としている。【関連記事26面に】

 同高原一帯のリゾート計画が具体化したのは87(昭和62)年。ダイナランドスキー場を経営する平安(本社名古屋市千種区)や地権者と第三セクター会社を設立し、ダイナランドスキー場に隣接する同高原(開発対象面積550ha)に100億円の巨費を投じ、スキー場やゴルフ場、リゾートタウンを造る計画だった。

 しかし、バブル崩壊などの影響を受け、ゴルフ場とリゾートタウンは構想から外され、開発対象面積も290haに縮小。今年になって平安の代わりに、鷲ヶ岳スキー場などを手がけている東和開発(本社高鷲村大鷲)が計画に参入した。

 村と関係者の話によると、煮詰まった計画案の対象地域は同高原の標高850〜1550mに位置。地権者と沈滞契約を交わし、開発対象面積のうち、110haをゲレンデ整備する。山頂まで一気に登れるゴンドラリフト(延長2.7km)が自慢の施設といい、全面オープンされると、シーズン中は50万人の入場者を見込んでいる。

 スキー場開発は村にとって観光立村に弾みをつけるとともに、開発インターである高鷲インターに対する村の施設負担金(13億8千万円)を捻出する大きなプロジェクト。スキー場建設は東和開発が手がけるが、村は第三セクターのイーグルが駐車場(3000台収容)の経営などに当たり、収入をインター建設費の返済に充てるという。

写真:構想から10年目にしてスキー場計画が固まった西洞かます高原の一部。左のゲレンデはダイナランドスキー場(資料写真)

地図:大日岳リゾートスキー場予定地

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10/22 岐阜新聞
高鷲村のスキー場計画
自然保護へ質問状 住民団体、村長に14項目

 県内最大規模のリゾートスキー場開発の計画概要が明らかになった郡上郡高鷲村西洞のかます高原スキー場をめぐり、地元の自然保護団体・長良川源流クラブ(松井陽介代表)は21日、村役場を訪れ、「10月末から森林伐採が始まると聞いているが、建設予定地の山頂付近には残り少ないブナの天然林がある。建設計画が住民に公開されないのは納得できない」とし、硲孝司村長あてに14項目の質問状を提出した。
 同クラブは「長良川に残された最後の自然を守ろう」と、高鷲村と同郡白鳥町の住民らが9月に結成。かます高原のスキー場計画に疑問を持ち、「計画地は白山国立公園に隣接し、残り少ないブナ原生林が広がっている。長良川の清流と周辺の動植物をはぐくむ命の源」として、スキー場計画に反対している。
 質問状は▽長良川は流域の人々の暮らしを彩り、自然を愛する人の共有の財産だがどう考えるか▽村内に5つのスキー場と2つのゴルフ場、大規模別荘地などがあり、環境が悪化しているが、どう思うか▽かます高原の開発計画は流域住民には知らされていない。住民に具体的な計画を説明、広範囲な意見、合意を得る必要がある−などが主な内容。
 質問状提出について松井代表は「計画がだれも知らないままに進んでいいのか疑問だ。多くの人に関心を持って欲しい。これ以上、スキー場を造るのはどうかという大勢の人の気持ちを伝えたかった」と訴え、村に今月末までの回答を求めている。
 県自然環境保全研究会が、同スキー場の当初の開発計画(面積550ha)について、1989(平成元)年にまとめた西洞かます谷(標高850〜1550m)の植生調査報告書によると、一帯はスギ、ブナ、ヒノキ、ミズナラなどの広葉樹林が広がり、このうちブナの原生林は標高1300m以上の尾根づたいに分布し、全体の5%に相当するという。
 この日、村では出張中の村長に代わり、職員の山下公明総務統括が質問状を受理した。

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10/22 中日新聞
岐阜・高鷲村のスキー場計画
反対住民が質問状 村長に情報公開要求

 岐阜県郡上郡高鷲村西洞の「かます高原」に計画されているスキー場建設に反対する同郡内の住民らのグループ「長良川源流クラブ」(松井陽介代表)は21日、同建設計画に対する公開質問状を硲孝司村長あてに提出した。
 同クラブによると、一部地権者の反対などから計画が住民に秘密にされており、早急な情報公開が必要と、村に求めている。このほか、スキー場予定地の頂上付近は長良川源流に残る最後のブナ原生林を含む広葉樹林帯であるなどの理由から、スキー場建設に反対している。
 スキー場を建設するのは同村と東和観光(本社同村大鷲)などからなる第三セクター「大日白山リゾート開発」(社長・硲孝司村長)。村の説明では、開発総面積は約290万m2。ゴンドラリフトの頂上駅は標高約1500m付近で、白山国立公園のすぐ南西部に位置する。オープンは東海北陸自動車道の高鷲インターが完成する平成11年度を目指しており、すでに今月4日には、関連工事の起工式を行った。
 平成元年11月にまとまった「西洞地域職制調査報告書」によると、標高1300m以上の尾根部には直径30〜90cm程度のブナの原生林があり、面積は約275,000m2。開発面積の約9%を占める。
 硲村長は「内容をよく検討し、来月中旬までには開発計画なども発表したい」とコメントしている。

見込まれるため、「これに合わせてスキー場を完成させ、若者の地元定着を図って、過疎化、高齢化を脱却しよう」という第三セクターの事業。10年越しの計画が具体化しつつあるが、下流域の自然保護グループから情報公開を求める質問状が出されるなど、反対運動も広がっている。

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11/14 岐阜新聞
高鷲村のスキー場計画
観光基盤は必要村長が住民質問状に回答

 郡上郡高鷲村西洞の長良川源流部、かます高原で第三セクター・大日白山リゾート開発(社長・硲孝司村長)が進める大規模スキー場計画をめぐり、硲村長は13日、建設に反対する自然保護団体から出されていた公開質問状の回答を公表。「自然を守ることは当然の理念だが、村は観光で成り立ち、その基盤づくりが必要となる」などと理解を求めた。
 スキー場計画は十年ほど前に具体化。開発対象面積約460ha内にスキー場経営会社と一大リゾート構想を掲げた。しかし、一部地権者の反対、バブル経済の崩壊などで、開発対象面積を大幅に縮小。当時のスキー場経営会社も撤退し、現在は村と鷲が岳スキー場を経営する東和観光開発などが引き継いでいる。
 計画によると、ダイナランドに隣接するかます高原の標高960-1575m間、約290haを開発対象面積とし、うち約1/3にあたる96haをゲレンデや駐車場などに利用。定員6人のゴンドラリフト(2.5km)などリフト8基の建設を計画し、既にアクセス道路建設や現地立ち入り調査が始まっている。
 これに対し同郡白鳥町や高鷲村などの住民でつくる長良川源流クラブ(松井陽介代表)は「計画区域には貴重なブナ原生林があり、伐採は疑問」として先月21日に▽長良川は流域住民の暮らしを彩り、自然を愛する人達の共有の財産だが、どう思うか。▽村内はスキー場やゴルフ場などの開発が進み、環境が悪化、かます谷は清流と動植物を育む命の源だがどう思うか−など14項目の公開質問状を硲村長に提出していた。
 この日、村役場で会見した硲村長は「村は豊かな緑と水が売り物。決してむやみやたらに森林伐採することは考えていない。問題ならば原生林を残したり、ゲレンデの一部変更など検討する。村は長年、農業と観光によって村の生活基盤が成り立ち、行政に携わる人間として、経済的な生活基盤をつくりたい。」と理解を求めた。
 同村は、スキー場の駐車場経営により、東海北陸自動車道・高鷲インターの建設負担金(13億8千万円)の捻出を考えている。

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11/30 中日新聞
高鷲村が
10年越しの第三セクター計画
スキー場建設
自然と共生図れるか

 長良川の源流に近い高鷲村の広葉樹林帯に、県内最大規模のスキー場が建設される。東海北陸自動車道の高鷲インター開通が平成11年度に見込まれるため、「これに合わせてスキー場を完成させ、若者の地元定着を図って、過疎化、高齢化を脱却しよう」という第三セクターの事業。10年越しの計画が具体化しつつあるが、下流域の自然保護グループから情報公開を求める質問状が出されるなど、反対運動も広がっている。

 スキー場計画があるのは高鷲村西洞のかます高原。白山連邦の大日ヶ岳の東側に当たり、白山国立公園にほぼ隣接する標高960〜1,575mの樹林帯だ。10月4日には工事の安全祈願祭があった。
 一帯では今、ブナ、ミズナラ、などが枯れ葉を落として冬支度を整えたが、スキーリフトの支柱建設に向けた測量が始まっている。測量のための草刈り作業もあり、広大な山林に草刈り機の音だけが響いている。
 開発主体は、村などが出資する第三セクター「大日白山リゾート」。開発総面積は約292haで、このうちスキーコースは約72ha、最大3000mのコースなど、10コースほどを造成する。長さ2.5kmの6人乗りゴンドラリフトなど、リフト8基を計画している。
 当初の計画は昭和62年ごろ、大日白山リゾートが立案。平成4年に最終案がまとまり、件の許可を受けた。バブル経済の崩壊を経て、計画浮上からほぼ10年後に具体化したのは、高鷲インター開通が迫ったため。村内には既に5ヶ所のスキー場があり、年間約100万人のスキー客が訪れるが「インターの完成後は200万人前後が詰め掛ける。それに備える」という。
 この計画に対し、長良川流域の住民グループ「長良川源流クラブ」(松井陽介代表)が「「一帯は源流域最後の広葉樹林帯。水源を守るために重要だ」「平成元年に簡単な職制調査があっただけ。環境影響評価は行われていない。」「イヌワシ、クマタカなど希少な動植物が生息する可能性が極めて高い」「水質汚染の恐れがある」などとして反対を表明。ことし10月21日、村に公開質問状を出した。
 村側は「県環境影響評価条例の制定前に許可されたので、条例は適用されないが、環境保全に細心の注意を払って工事を進める」などとした回答書を11月12日に発送したが、源流クラブは「環境影響評価を含まない調査は、現代の環境思想では受け入れられない。あらためてアセスメントをするべきだ」などと不満を示している。今後はブナ林をはじめとする計画地の生態系保護を流域の住民に呼び掛けていく方針だ。
 これとは別に八幡町を中心とした「長良川水系・水を守る会」も、今冬からかます谷の水質調査などを実施してデータを公表する。さらに、鳥類などを調査する友好団体と協力し、広範な調査に取り組む方針。11月中旬には現地を見した。
 植物生態に詳しい学者からも「源流域の生態系が問題なのに、平成元年の調査では鳥類やほ乳類、両生類などを含む総合的な調査が欠落している。あらためて総合的な調査を実施し,樹木のない区域を造るのは考え直した方がいい」という指摘が出ている。
 こうした声に、大日白山リゾートの社長でもある硲(はざま)孝司村長は「若者に喜んで住んでもらえるよう、村の経済基盤をつくることが不可欠。農業を基盤とした観光立村を理念としており、自然は村の観光の一番の売り物だから、開発は必要最小限に止めたい」と説明している。
 村の観光関係者は「かつては出稼ぎの村だったが、今ではスキー場のおかげで1年中、村で働けるようになった。スキー場は村の生活基盤。自然との共生を図り、今後の観光開発のモデルとなるようにして欲しい。それには問題を1つひとつ、あわてずに解決していくことだ」と話している。

素直に言って
 現地では9月下旬、「緑のダム」といわれる広大なブナ林の葉が揺れていた。紅葉が終わると、11月初旬には既に、木が灰色に輝いていた。山の生命を感じた。山では多くの生物が生活するが、この中に、人間の生活のためにスキー場が造られる。豪雪地帯の高鷲村には、自然を生活の糧に転換させてきた開拓の歴史があるが、新たな開拓が「地球環境・生態系の保全」という現代の価値観の下で問われようとしている。

写真:リフトの支柱を建設するための測量が始まったスキー場予定地=高鷲村西洞で

地図:かます高原スキー場予定地

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