公開質問状 

1997年10月21日

高鷲村村長
硲孝司殿

長良川源流クラブ
代表 松井陽介

 去る10月15日高鷲村企画財政課簑島課長及び吉田課長補佐と会見した際、長良川源流かます谷地区にスキー場を建設するために10月末よりブナの原生林を含むかます谷の森林を伐採することを知りました。
 私たちは、この伐採が開始されることに大きな不安と疑問を抱いています。つきましては、このスキー場建設に関わる疑問に答えるべく、下記質問に誠意を持ってお答え下さいますようお願いします。

  1.  高鷲村に源を発する長良川は、流域の人々の暮らしを彩り、全国の自然を愛する人達の共有の財産として注目を集めてきました。このことについてどう思いますか。
  2. 高鷲村の長良川源流域の大部分は、5つのスキー場・2つのゴルフ場・大規模別荘地、農地開発や道路建設などによって開発が進み環境が悪化しています。そのような現状の中で、かろうじて豊かな自然が残されてきた長良川最源流かます谷地区は、長良川の清流と周辺の動植物を育んでいる命の源であることは間違いありません。このことについてどう思いますか。
  3.  今回のかます谷開発計画について、長良川流域住民には知らされていません。しかし、かます谷の自然の重みを考えると、具体的な計画を説明し、広範囲な意見を聞き、合意を得る必要があると考えられます。それについて、どのように考えますか。
  4.  もし、必要があると考えるのなら、工事の着工前に説明・合意が行われるべきですが、具体的に予定を示して下さい。
  5.  平成8年4月1日、岐阜県においても環境影響評価条例(環境アセスメント条例)が施行される等、開発が環境に与える影響を科学的根拠をもって調査し、一般の人々に公開されることが常識となっています。施行以前の計画であるとしても、流域住民及び全国の理解を得るためには、アセスメント調査・公開が必要と考えられます。それについて、どのように考えますか。
  6.  もし、必要があると考えるのなら、工事の着工前にアセスメント調査・公開が行われるべきですが、具体的に予定を示して下さい。
  7.  開発計画の決定後、かます谷からひるがの地区の水道を取水するようになり、白鳥町もかます谷から続く本流より取水することになりました。そのような状況になり、水道を利用している住民に水道への影響を科学的に調査し、説明する必要性がでてきたと考えられます。それについて、どのように考えますか。
  8.  もし、必要があると考えるのなら、工事の着工前に調査・説明が行われるべきですが、具体的に予定を示して下さい。
  9.  株式会社イーグルがスキー場駐車場の経営を行って高鷲開発インター建設費の返済をするということですが、株式会社イーグルの採算見通しと返済計画を示して下さい。
  10.  約10年前の計画時と現在とでは日本の経済状況は大きく変化しています。計画当初と現在のスキー場収客見込み・収支見通しについてその根拠とともに具体的に示して下さい。
  11.  アクセス道路と駐車場・競技場の建設は、村費によって賄われることになっていますが、これまでに投入してきた費用および完成するまでに必要な予算についてそれぞれ具体的に示して下さい。
  12.  事業主である大日白山リゾート開発(第三セクター)の役員及び出資者とその額について示して下さい。同様に株式会社イーグルについても示して下さい。また、それぞれの会社について村からの今までの出資額及び今後の出資額についても明確に示して下さい。
  13.  もし赤字が出た場合、誰が負担するのですか。
  14.  スキー場・付属施設・アクセス道路の用地買収・工事の進行状況に具体的に示して下さい。

なお、上記質問の回答は10月31日までに書面でもって下記住所までご郵送下さい。この質問状とその回答は、新聞等報道機関を通じて公開する予定です。

〒501-51            
岐阜県郡上郡白鳥町528-3
長良川源流クラブ      
代表 松井陽介        
電話 (0575) 82-6598    

以上

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高企内71号
平成9年11月12日

源流クラブ代表
松井陽介様

岐阜県郡上郡高鷲村
高鷲村長 硲孝司


公開質問状に対する回答について

平成9年10月21日付けの公開質問について、別紙のとおり回答します。

回答書

 かます地区における今般のスキー場開発計画(以下「かます開発計画」という。)の経緯は、次に述べるとおりでありますので、この経緯をもご理解いただきますようお願い申しあげます。

1.経緯
 高鷲村においては、昭和40年代のいわゆる「列島改造ブーム」の時代において、別荘用地としての土地開発が進み、これらの土地が村内に点在することとなり、管理のされない小区画の土地が散在する結果となりました。
 このことは、計画的土地利用の促進を困難にしていると共に、昭和58年に村の総合計画を策定する頃において、近い将来東海北陸自動車道の建設が具体化するに伴い、以前の土地ブームの再来が懸念されておりました。
 また同時に、過疎化対策や地域振興などについても高齢化の進む中で、今後の村作りにとって重要な課題として検討をしてきました。
 このような中で若者の定住化促進や計画的土地利用をはかるという観点から、通称「かます地域」は、スキー場やスポーツ・レクリエーションゾーンとして整備することが適切として構想の位置づけがされてきました。
 その後、地域とも基本的事項について協議をし、今までの開発事業の反省に立って、行政、土地所有者及び地域全体の意志が反映されることが望ましいとして、企業単独による方法を避け第三セクターを設立し、事業を進めることとしました。
 また、環境保全に対しても自然環境と調和が図られるよう最大限の努力をしていくものであります。

2.個別の質問事項に対しての回答

  1. について  長良川流域のそれぞれの自治体を始め、地域住民の方々が長い歴史の中で努力を重ねられ、各分野の基盤整備を進められ、それぞれの地域の特色ある振興を図られてきた結果、今日の産業や文化が定着し、これらの地域の特色と相まって長良川の知名度が高まってきたものと思い、先人を始めそれぞれの方々の努力に対し敬意を表します。
  2. について
     長良川は、その流域の幾つもの支流をもって成り立っています。
     それぞれの地域には、それぞれの歴史に裏打ちされた産業や文化が定着し、人々の営みがあります。
     高鷲村においても先人の努力によって今日の生活基盤がありますが今後とも地域住民の生活の安定と向上を図りつつ、自然と共存していくことは重要な事と思います。
  3. について
     かます開発計画は、開発計画立案後の昭和63年及び平成2年にかけて、各社の新聞報道により、その概要が発表されておりますし、地域では村広報紙などでも周知をしてきております。
  4. について
     開発許可の必要な範囲は合意を得ております。
  5.  
  6. について
     かます開発計画については、広範囲にわたり植生調査を実施し、指導を仰いで計画しております。また、環境影響評価については岐阜県環境影響評価条例の適用はありませんが、環境保全については細心の注意を払い工事を進めていくこととしております。
  7.  
  8. について
     当スキー場の営業に伴う水処理については、法令で定められた方法で処理をします。
     なお、ひるがの地区の取水位置は、上流で水系も違います。
     また、説明会を開く予定はありません。
  9. について
     (株)イーグルについては、商法に基づく別組織であり、ご質問の内容についてはお答えできません。
  10. について
     スキー場の収容見込みについては、交通アクセスやスキー場としての魅力などいろいろな要素とともに、多様化するニーズにどれだけ対応することができるか等によっても異なり、一概に言うことはできませんが、最大限の努力をし集客を図り、活性化につなげたいと思います。
  11. について
     高鷲村の活性化を図る施策として実施している事業であり、本質問の意図が理解できませんので、お答えしかねます。
  12. について
     大日白山リゾート(株)及び(株)イーグルについては、商法に基づく法人であり、村長としてその役員や出資者を示すことはできません。また、それぞれの会社に対する高鷲村からの出資額は、大日白山リゾート(株)に対し2千万円及び(株)イーグルに対して4千5万円であります。
  13. について
     会社経営は、株主の負託に応えるべく経営がなされるべきであってご質問ような事態が生じないようにするのが大前提であります。
  14. について
     用地買収等については、個人のプライバシー保護のため、お答えできません。
     工事の進行状況は、スキー場関係については測量設計を行っております。アクセス道路については順次施行をしております。

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叺地区森林伐採についての抗議ならびに公開の質疑応答会の要請文

1998年4月
高鷲村長
硲孝司殿

長良川源流クラブ
代表  松井陽介

 これまで昨年10月21日の公開質問状、今年2月2日の8団体連名による意見書の提出によって叺地区のスキー場開発がもたらす環境ならびに地域社会への悪影響の危惧を表明してきましたが、依然として計画の詳細については不透明であり、悪影響をさけるための調査や施策がなされていることが確認できません。このような状況下において昨年中より大規模な森林の伐採をおこなうという姿勢は、単に自然破壊を進行させるにとどまらず、地域の声を聞く首長としての責任を無視する態度としてうけとらざるを得ません。
 昨年来、本計画について高鷲村企画財政課吉田課長補佐をとおして幾度か質問をさせていただきましたが、吉田課長補佐の把握している情報があまりにも不明確かつ少ないため、基本的事項についてすら正しい情報を得ることが困難になっています。このことは公開質問状に対する回答書において「行政、土地所有者及び地域全体の意志が反映されることが望ましい」とされている高鷲村の姿勢にとっても望まざる状態であると言わざるをえません。
 つきましては、私ども団体はもとより高鷲村住民や村外の自然保護団体の質議について、公開の場において、計画を把握し責任ある発言のできる方をもって応答していただくよう要請します。
 公開の場における質疑応答会は、なるべく早い時期に(少なくとも4月下旬までに)おこなわれるべきと考えます。開催日について早急に検討してお知らせください。なお、開催時間は、地元高鷲村の住民の方々の多くの参加が望ましいので19時以降の時間帯が適切かと思われます。

 なお、私たち流域住民の開発に対する懸念が解消するまでは、これ以上の森林伐採は中断すべきです。貴村の当初の目的どおり、地域全体の意志が反映されるような配慮を切に望みます。

現在の長良川源流クラブからの主な質問事項は次の通りです。

(質問事項)

  • 11月12日付回答書(以下回答書)に、「環境保全に対しても自然環境と調和がはかられるよう最大限の努力をしていくものであります。」とあるが、具体的にどんなことか。
  • 村では叺地区開発を若者の定住化促進のための通年雇用の確保の場と位置付けていたが、実現されそうもないのはなぜか。
  • 少なくとも最近5年間の村の広報誌には、この計画の内容や変更について具体的な記述がいっさいにないにもかかわらず、平成2年以前の新聞報道や昨年11月13日の記者発表を村民への情報公開と言い張るのはなぜか。
  • イヌワシ、クマタカ、オオタカの生息が確認されているほどの豊かな自然を残す地域であり、また「環境保全については細心の注意を払い工事を進めていく」(回答書)としていながら、動物調査を全く行わないままに森林伐採を進めていくのはなぜか。
  • スキー場へのアクセス道路の建設を村道として村が負担するのはなぜか。
  • アクセス道路の建設費について何度質問しても答えないのはなぜか。
  • アクセス道路である村道下野新線はまだ開通していないにもかかわらず、現在の工事名が「改良工事」となっているのはなぜか。
  • アクセス道路建設が村の単独事業となっているのはなぜか。
  • アクセス道路の建設費はいくらか。
  • 「ひるがの地区の取水位置は上流で水系もちがう」(回答書)としながら、取水場所のすぐ下流に砂防ダムを建設するのはなぜか。
  • すでに伐採の行われた箇所が、明らかに叺谷の斜面でありかつひるがの地区水道取水位置の上流であることが確認できるが、このことについてどう説明するのか。
  • 赤字が出た場合、村税から補填することはないと言うことを誰がどういう形で保証するのか。
  • スキー場経営に当たる会社が、(株)平安から(株)東和観光に変更された理由について、村民への広報はいかにしてなされたか。
  • 開発反対の声があるにもかかわらず、伐採を行っているのはなぜか。
  • 村民の中にはこの開発について疑問をもっている人が少なからずいると察せられるが、こうした疑問にどのように答えていく用意があるのか

 このほかにも細かい点で多くの疑問が残されています。公開の場において態度と事実を明らかにしていくことが、本開発にかかわるすべての人にとっての利益になります。今後の誠実な対応をお願いします。

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質疑応答会についての回答

平成10年4月30日
長良川源流クラブ
代表 松井陽介 様

高鷲村村長 硲 孝司


質疑応答会について

 先に連絡のありました質疑応答会については、公務日程の都合により開催できません。
 つきましては、別紙のとおり叺開発に対する高鷲村としての基本的な取り組みについてご報告を申し上げますので宜しくお願いします。

叺開発に対する高鷲村の基本的な取り組みについて

 高鷲村は、戦前・戦中・戦後とそれぞれの時代の背景の要請による開拓の歴史をたどり、昭和30年代には、自衛隊演習場設置問題で大きく揺れてきました。
 これは、経済的基盤のない本村の宿命的なものであったかもしれませんが、このことは昭和40年代末まで、村でも出稼ぎ就業の斡旋等の業務を担当してきた経緯があります。

 自衛隊問題は、約8年に亘り国の施策に活路を求めようとする考えのもと、賛否両論が出され、村の将来展望と直面している生活問題の中で、長年に亘り議論され、結果的にこの問題に終止符を打つこととなり、以降村民の経済基盤を作り、特に出稼ぎ等の二重生活の解消を図るため、スキー場を中心とした観光産業の導入を図ってきました。
 当時、行政は企業に対し地元雇用面について協力を求めてきましたが、その他のことはどちらかというと企業任せの面もありました。また、東海北陸自動車の建設の噂が先行した頃は、外部資本により買収された土地が別荘用地として細分化され、この影響は現在でも残っております。
 このような経緯をふまえ、今後の開発に当たっては、外部資本の活用は必要でありますが、経営に対しても行政としての意志を反映すべきとの意図があり、叺高原の開発についての一番の原点は、地権者を中心として地域や行政も意志を反映することができるようにと、第三セクターとして会社を設立したのであって、地域に貢献できる観光産業としてやって行くべきとの考えが基本になっています。
 また、自然環境を守ると言うことについては、村としてもそれ相当の努力を払っており、たとえば森林施行では、国県補助金以外についても村費を充てて山林の手入れをしたり、対価を支払って山林を借り上げ保護しているところもあり、これが村の一部を開発し、観光で生活している本村の重要な施策の一つであると考えております。
 人間の活動と自然環境の保全は表裏一体の関係にありますが、経済基盤を持たなければ山村の過疎化や高齢化はいっそう進むことになり、地域振興が図られず村民には理解されません。
 これらの経緯や状況をよくご理解いただきますようお願いします。

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質問事項に対する回答

Q:
11月12日付回答書(以下回答書)に、「環境保全に対しても自然環境と調和がはかられるよう最大限の努力をしていくものであります。」とあるが、具体的にどんなことか。
A:
スキーコースについては、林間コースを基本として必要最小限を利用し、伐採跡地などに植栽をする場合は、現地に適した広葉樹を基本として考えております。

Q:
村では叺地区開発を若者の定住化促進のための通年雇用の確保の場と位置付けていたが、実現されそうもないのはなぜか。
A:
スキー場の管理を行うため、通年雇用者を置く必要がありますし、スキーシーズンには多数の雇用者が必要になります。

Q:
少なくとも最近5年間の村の広報誌には、この計画の内容や変更について具体的な記述がいっさいにないにもかかわらず、平成2年以前の新聞報道や昨年11月13日の記者発表を村民への情報公開と言い張るのはなぜか。
A:
報道されてきた事実を述べました。また村では、村議会や区長会等を通じて関係地区にはその都度報告をしております。

Q:
イヌワシ、クマタカ、オオタカの生息が確認されているほどの豊かな自然を残す地域であり、また「環境保全については細心の注意を払い工事を進めていく」(回答書)としていながら、動物調査を全く行わないままに森林伐採を進めていくのはなぜか。
A:
工事を進めるに当たり、工事関係者が高鷲村の地理的・自然的条件などを理解して施行するよう指導しておりますし、開発許可を受けた範囲で工事を進めております。  また、動物調査の一部については、基礎的範囲について実施しています。

Q:
スキー場へのアクセス道路の建設を村道として村が負担するのはなぜか。
A:
道路は、多目的に使用されるものであり、社会基盤の根幹をなすものでもありますので、村道として施行しております。

Q:
アクセス道路の建設費について何度質問しても答えないのはなぜか。
A:
村では道路建設について、議会とも十分協議して進めておりますので、ご理解を頂きたいと思います。
Q:
アクセス道路である村道下野新線はまだ開通していないにもかかわらず、現在の工事名が「改良工事」となっているのはなぜか。
A:
工事名については、既存の道路の取り付け部の改良であるので、改良工事です。

Q:
アクセス道路建設が村の単独事業となっているのはなぜか。
A:
行政として充分研究し、その判断で行っています。
Q:
アクセス道路の建設費はいくらか。
A:
<回答無し>

Q:
「ひるがの地区の取水位置は上流で水系もちがう」(回答書)としながら、取水場所のすぐ下流に砂防ダムを建設するのはなぜか。
A:
堰堤は、開発計画の中で計画しているものであります。前回の質問は、水処理についての質問と理解しています。

Q:
すでに伐採の行われた箇所が、明らかに叺谷の斜面でありかつひるがの地区水道取水位置の上流であることが確認できるが、このことについてどう説明するのか。
A:
<回答無し>

Q:
赤字が出た場合、村税から補填することはないと言うことを誰がどういう形で保証するのか。
A:
前回の回答の通りです。

Q:
スキー場経営に当たる会社が、(株)平安から(株)東和観光に変更された理由について、村民への広報はいかにしてなされたか。
A:
スキー場経営に当たる会社が変わったことは、大日白山リゾート(株)の会社内の事柄でありますが、必要と判断した範囲については、説明がしてあります。

Q:
開発反対の声があるにもかかわらず、伐採を行っているのはなぜか。
A:
工事は着工しており、計画的に進めていく必要があります。

Q:
村民の中にはこの開発について疑問をもっている人が少なからずいると察せられるが、こうした疑問にどのように答えていく用意があるのか
A:
質問をされているような村民がおられれば、質問に対してはお答えし、ご理解が頂きたいと考えております。

 このほかにも細かい点で多くの疑問が残されています。公開の場において態度と事実を明らかにしていくことが、本開発にかかわるすべての人にとっての利益になります。今後の誠実な対応をお願いします。

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