偏見のかたまりのような本


『気持ちの良いモノ、気持ちの悪いモノ』
Todd Parr 著 1999 Little, Brown
and Company, Boston NewYork London


「良い、悪い」なんてのは、かなりヒトや文化によって相対的だが、「モノ」 に対して良いとか悪いとかレッテルを貼ることほど、自分勝手な偏見はない。 まあ、世の中には蟲に対する偏見が満ち溢れているが、よりによってこんな、 とことん蟲嫌いな偏見を植え付けそうな本があった。神保町の洋書店でを見 つけ出したのだが、1000円以上もこんな絵本に支払ったのが悔しくて、ここ で紹介するから、疑問をもってみてほしい。


ペット:良い / カメムシ:悪い
(カメムシをペットで飼ってる人とかいるのに。-_-;;)


太陽:良い / 暗闇:悪い
(夜行性動物とか、どうせいっちゅんじゃ。-。-#)


キス:良い / 蚊に刺される:悪い

波:良い / サメ:悪い
蚊やサメだって食っていかにゃァ。「悪い」とか言われても ねぇ。


寝る前のおはなし / かいぶつ
(おいおい、寝物語に怪獣や物の怪は出てきてはいかんのか。)


でっかい誕生日のプレゼント:良い / でっかい毛むくじゃらのクモ:悪い
(やっぱり、決め手はこれか。トリを飾ったのが誇りだな。-_-#)


さて、2,3歳の子どもたちにこの本を読んで聞かせたら、どんな反応を するのだろうか。はじめは、きっと「どうして?」って問い返すだろう。 海でサメに襲われた経験のある幼児は少ないだろうし、クモに噛まれた子 も少ないだろう。繰り返し読み聞かせたら、擦りこみ効果で、見知らぬモノ なのに「悪い」と決めつける、ミニ・オトナのいっちょうあがりだ。めでたし めでたし。

物の怪は、嫌われてこそのモノノケ。自然に親しんで、自然に「毒虫」や暗闇 への畏敬を身をもって学んで行く術のない時代には、まず正しく文化的偏見を学んで、そのあとでいかにそれがつまらない嘘だったかを学びなおす、という ややこしい過程が必要なのかも。

なーむーぅ。


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