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あっと驚くクモの事実あれこれ(1)



・「益」虫・クモ利用の極致: 中国の蜘蛛農法
・クモの惑星 --- 蜘から蛛まで...クモの多様な生態
・「ヘン」な形の蜘蛛
・真のクモと偽のクモ
・クモと親戚は誰? 昆虫、カニ、三葉虫、ムカデ? --- 分類上の地位
・1メートルの巨大古代蜘蛛を見た?!--- クモの化石
・クモは一匹狼か? --- 社会性クモ
・アリとクモ --- ムシに見る奴隷制と民主主義
・クモの和名にみる日本むかし話(お姫様と鬼と戦争と植民地)
・最大のタランチュラは何か? --- 果てしなき論争
・セアカゴケグモに噛まれたら・・・ --- 毒虫との共生のススメ
・クモの糸 --- 自然界最強のファイバー
・参考文献
・クモ一般のサイト(Links)

・「益」虫・クモ利用の極致: 中国の蜘蛛農法

農地や家のクモはQ虫lるのでv虫驍樓る。害とか益とか、 人間の一方的な、しかも限られた利害関係からのレッテルばりで、まあ差別 ともいうべきものだが、ともかく、クモの役割が農業・林業において重要で あることは想像に難くない。杉の害虫であるスギタマバエの発生を押さえる のにササグモが有用であるとか、身近なところでは東京の家庭でもかつては よく見られたアシダカグモがゴキブリとりの名人であるとか(いずれも日本 のクモ学者による研究がある)、クモは我々の「味方」である。

化学工業会社の陰謀で農薬がかくも大量に用いられる様になる以前の農業 においては、「クモを大切に」は常識であった。稲の苗のひとつひとつの根 元に不規則網をはりめぐらして害虫をとるサラグモ・クサグモ類や、田畑の あぜでせっせと虫を獲ってまわる徘徊性のコモリグモ類(以前は「ドクグモ」 などという和名をつけられていたが、20年ほど前に「名誉回復」した)は、 どれだけ害虫発生を押さえる歯止めになっているか知れない。農薬の使用に よって農業害虫は一時的に減少するが、クモ等の捕食者をも殺してしまうた め、翌年には害虫が大発生する(しかし、クモはもう戻ってこない)という 恐ろしい事実も知られている(が、もうとり返しが付かない)。

そうしたクモの効用を最大限に利用しようというのが、中華人民共和国の w蛛農法」である。人民公社という農民の集団的参加形態がこの方針の徹底 を可能にしたのだろう。私は農学方面でのその実態まで詳しく知らないが、 中国のクモ学の発展において、「農区蜘蛛」の果たしてきた役割は甚大である ことが、クモ分類の専門書をみるだけでも、良く分かる。たとえば、


「二千年前の中国の書に<蜘蛛集、則百事喜>とある。当時から、蜘蛛が
多ければ、よい収穫の徴と考えられていたのである。にもかかわらず、ク
モ利用に関する調査が着手されたのは1975年のことであった。動物学者、
農学者と人民公社の同志たちが、組織的に、水田、綿花畑、大豆畑、果樹
園、茶畑、桑畑のクモ調査に加わった。クモの種類、習性、発生リズム、
主要害虫との関係、化学農薬他の条件とクモの関係、クモの人口的養殖な
どが探求された。その結果、w蛛治虫」を利用した総合防治は、水田、綿
花畑において、クモの数を増加させた生物平衡に達し、害虫発生を抑制す
るのに有効であって、化学農薬の使用を減少させ、さらには無農薬に達す
るという効果があがった。」
「中国蜘蛛原色図鑑」(Feng Zhong-qi著,湖南科学技術出版社)


ただ、近年の事実上の資本主義経済化政策を経験している中国において、 こうした蜘蛛農法の思想がどこまで守られているか、確認を要する。(韓国語の読める ブラウザの方は、 建国大学のページも参照。) 東南アジアのクモ一般の専門書として、"Riceland Spiders of South and Southeast Asia" が出ているのも、蜘蛛農法の普及を願ってのことと思われるが、どこまで我々は クモなどの生き物を尊重した、「持続可能な」農業を続けられるのだろうか。。。 人間が地球にとってのもっとも害虫である、ということが、取り返しのつかない 結果をもって証明される前に、クモの復権を願うものである。


・クモの惑星 --- 蜘から蛛まで...クモの多様な生態

「漢字源」によれば、w/Font>とは、Font size=5>脉 =小きざみに進むA小きざみに動いては止まるクモを意味する。また、 Font size=5>AFont size=5>株≠鰍ているA網の真ん中にじっとしているクモを意味するという。こうし てみると、w蛛A小きざみに動いては止まる徘徊性のクモ(ハエトリ グモなど)および網の真ん中にじっとしている造網性のクモ(コガネグモなど) という、異なる生態のクモたちを総称した包括的概念である、と考えられる。 この漢字二字にさえ現れているように、クモ類は、様々な環境に適応し、その 生態を様々な形に発達させた、バラエティに富む生きものである。進化系統樹 上の古さ、適応環境の広さ、目立ち度(?)からいっても、地球は「クモの惑星」 である、といっても過言ではない。

以下に、クモの住む環境とその生態の多様性について、例をあげてみよう。


ナゲナワグモ

蜘蛛の「蛛」にあたる造網性クモのなかでも変わり者。先端に粘液球のついた ただ一本の糸を垂らし、ガが近づくと、これを振り回してカウボーイよろしく鰍ナワ轤驕Bひたすら待ち伏せしているところへ、ガを積極的に引き寄 せるために、特定のガのオスが出すフェロモン(におい化学物質)を発する「化学 擬態」をとっている。

ミズグモ (英語) (日本語)

ミズグモ(Argyroneta aquatica)は、淡水中に棲息するただ一種類のクモ。腹部の毛のまわりに空気の泡を付着させ て、長時間水中に潜ることができる(クモの呼吸器官は書肺というもので、腹部 にある)。さらに、こうして運んだ空気を水中のドーム状網のなかに溜めて、水中 ステーションをつくってここで生活する。交尾も子育ても水中でするが、うっかり すると、溺れてしまうこともあるという。
満潮時に海水の浸る岩場に巣を作るウシオグモの場合には、海中で生活するのでな く、巣穴を糸でふさいで水の侵入を防いでいる。なお、「 ウミグモ」というのは、クモ形綱に属さない遠縁の親戚であって、クモではない。


ハナグモ各種

美しい花に蜜を求めてやってくる昆虫たち。これを待ち伏せするクモがいる。 花に集まるたいがいの昆虫は視覚で花の種類を見分けているから、Bれて待ち伏せするには花に似せた色や姿(擬態)である方が好都合。というわけで、 腹部が花びらの形や模様ににた、カニグモ科の美しいクモたちが生まれた(長 年の進化の淘汰過程を経てである)。
日本のハナグモはうす緑色だが、脚を空中に広げてじっと獲物をまつ。熱帯に いくと、ランに擬態した優雅な連中もいて、真っ白で腹部から7つの突起がでた Epicadus heterogasterなどは、丁寧に突起の先に黒い点と、黄色の帯 までランの花の雰囲気そのものの美種である。

アリ・ハチに似たクモ

アリに酷似したアリグモは結構多いが、よく見ると(模様・サイズなど)特定の種 に擬態しており、一対多すぎる脚を触覚よろしく上にふり上げて、本物のアリの 巣の中まで堂々と入り込んでいくヤツさえいる。アリは一般に蟻酸がつよく餌と しては敬遠されがちなので、アリに擬態することで捕食者をさけている、という 説もあるが、アリを食うクモもいるので、本物のアリをさえ騙そうとし ているとしたらスゴイ話しだ。また、ハチの特定の種に擬態した派手な色のクモ もおり、やはり捕食者を避ける効果があると考えられる。ハチの頭に似た腹部と、 ハチの腹部に似た頭をもつ、何を間違えた(?)か「前後反対向け擬態」という、 とんでもないクモ(
Back-toFront Jumping ハエトリグモ Orsima formica) もいる。

イソウロウグモ

クモが余りにも多様な環境に多数広がったので、世の中クモだらけで、「この 際、他のクモの餌を横取りしてやろう」という、ずぼらなクモも現れた。 イソウロウグモ科のクモたちである。たとえば、巨大な円網をはるジョロウ グモなどの巣に曙するシロカネイソウロウグモ。銀色の仁丹の粒のような 小さなきれいなクモだが、自分で ムシをとることはせず、ジョロウグモの食べ残した餌をつまんでまわる。体が ちいさいので、大型の宿主クモに気づかれる心配はない。宿主と対等な大きさ になってくると、もはや居候ではなく、網に同居しといて宿主から餌を無理に 横取りするという、瀬というべき「イソウロウグモ」もいる。

クモ食いのクモ

イソウロウ・強盗が過ぎて、他のクモを餌に狙うクモもいる。
オナガグモ、 センショウグモ、などがそうだが、こうなると相手のクモも必死で牙をむいて 逆襲してくるのであるから、クモ食いには特別の技術が必要である。たとえば センショウグモ科の長い脚は、相手に逆襲の機会を与える前に糸で絡めとって しまうための武器。ポルティア・ハエトリに至っては、ぎくしゃくした動きで 他人の網に入り込み、餌と思わせて、出てきたところを逆に飛びかかって捕ら える、という離れ業をやってのける。

飛行グモ

空を飛ぶクモ、といっても雲ではない、蜘蛛である。たいがいのクモ(原始 的なタランチュラなどは除く)は、卵のうから出てきた幼体が、そこらへんの 高い枝なりによじ登り、そこでお尻から糸をくりだして、パラシュートよろし く上昇気流にのって、空に舞い上がる、という芸当を、一生に一回だけやって のける。こうして、分布をひろげるのだ。太平洋上の島から島へとこの方法で 分布を広げていった(と思われる)クモもいる。
ハエトリグモのなかには、成体になってからも同じ方法で空を飛ぶものもお り、東北地方ではこれを
雪迎え・雪送りなどと呼んでいる。

脊椎動物を襲うクモ

大型のクモは脊椎動物を食べることもまれにある。学名 Avicularia は、 トリクイグモの意であり、最初に記録された樹上性タランチュラである。小型 のトカゲ、カエルなどは、しばしば大型クモの餌になっている。飼育下の大型 のタランチュラには、ピンクマウスを与えるのが当たり前のようになっているが、 実際、野生のクモがマウスを襲うのは、尖った歯による逆襲を考えるとかなり危険であると思 われる。もちろん、ヒトを食べようとして襲うクモなど恐怖映画の中以外どこ にもいない。逆に、 クモを食べようとして襲うヒトはいます。

・「ヘン」な形の蜘蛛


UFO?Gasteracantha sp.



アリ? あしは6本?8本?Synemosyna formica
Copyright 1995 W. Maddison


バルタン星人?Paramarpissa piratica
Copyright 1995 W. Maddison


おまえは一体どっちが頭だ!simprulla sp.
Copyright 1995 W. Maddison


ニコニコグモ(?)
Theridion grallator


マレーシアの人面クモ(カニグモ科)

テントウムシ?Paraplectana tsushimensis
      

シリキレトンボ? ...じゃなかった、
本名はシリキレグモ(Cyclocosmia torreya)
です。

驚くべき事実(2)へ続く


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