
| 和名 | 学名 | 由来 | 解説 |
| カグヤヒメグモ | Achaearanea culcivora | かぐや姫 |
A.lunata に同定されてきたが、学名の種名語 源は「月」。 | ウラシマグモ | 浦島太郎 |
岸田久吉博士が京都府宮津湾・老人島(おしま) で発見した。 |
| オトヒメグモ属 | Orthobula spp. | 乙姫 | 上種と近縁 |
| マサカリヤチグモ | Coelotes kintaroi | 鉞(まさかり) |
学名種名、キンタローイー! マサカリ担いだ 金太郎、じゃなくて、馬場金太郎 医学博士に ちなんで、つけた。でも、マサカリは、やはり 昔話の金太郎にちなんでる。 |
| アカオニグモ | Araneus pinguis | 赤鬼 | |
| アオオニグモ | Araneus pentagrammicus | 青鬼 | |
| オニノカナボウ ケズネグモ | Gonatium nipponicum | 鬼の金棒・毛脛 |
こいつはすごい名前だ。前脚の脛節に生ずる長剛 毛と、オス触肢腿節のいぼ状突起のため。小野展 嗣の命名(1981)。 |
| フウジンナミハグモ | Cybaeus fujinensis | 風神 | 熊本県風神洞の地名から |
| テングヌカグモ属 | Walckenaeria spp. | 天狗 |
オスの頭部から前方に向けて突起が出る。小天狗ヌ カグモ、チョビヒゲヌカグモも同属。 |
| リュウノイワヤナミハグモ | Cybaeus ryunoiwayaensis | 龍の窟(いわや) | 徳島県龍窟の地名から |
| コロポックルサラグモ | Pocadicnemis pumila | コロポックル(アイ ヌ語) | アイヌ説話における「蕗(ふき)の下の人」=小びと |
| アッコヒメ シモフリヤチグモ | Coelotes acco | アッコ姫!・霜降 |
発見者の名にちなんだ献名というのはクモの学 名・和名でも多いのだが、斎藤明子さんのニッ クネームに「姫」までつけてしまったのは、1987 年命名とはいえ、ナウいといえよう(西川喜朗) |
| 和名 | 学名 | 由来 | 解説 |
| ホウシグモ | Storena hoosi | 法師 |
頭部の形態から、オデコグモ、ニュウドウグモ (それじゃ雲になっちゃう)、ヒョットコグモなど も考えられたが、一番上品な「法師」となった。 |
| ドウシグモ | Doosia japonica | 童子 | 同属のホウシグモにちなんで. |
| エンマグモ科 | Segestriidae | 閻魔(えんま)大王 |
閻魔が亡者の獄を断じて厳に罰を行うように、当 時の学会の弊風を嘆き刷新を希望して、岸田博士 が名づけた(1913)。 |
| エビスグモ | Lysiteles spp. | 恵比寿 | |
| ゲホウグモ | Poltys spp. | 外法(げほう) |
髑髏を用いてする妖術の意。腹部が髑髏に似ると 見たのだろう。筒外法グモ、襤褸(ぼろ)外法グモ 、棹(さお)差し外法グモ、ヒョウロク外法グモと 、いろいろいる。名前も形も変なやつらだ。 |
| ヌサオニグモ | Araneus ejusmodi | 幣(ぬさ) |
腹部斑紋が神社で使う幣状。当初、Nusa dubius とされた。 |
| ギボシヒメグモ | Theridion rapulum | 擬宝珠(ぎぼし) | 学名種名は、カブラ |
| カンノンホラヒメグモ | Nesticus floronoides notoi | 観音 | 群馬県観音穴の地名から |
| ボサツホラヒメグモ | Nesticus kaiensis | 菩薩 | 山梨県大菩薩峠の地名から |
| ラカンホラグヒメモ | Nesticus rakanus | 羅漢 | 愛媛県羅漢穴の地名から |
| ギョウジャグモ | Diaea gyoja | 行者 | |
| ゼンジョウホラヒメグモ | Nesticus zenjoensis | 禅定 |
心を統一する力を言う禅宗の用語。徳島県禅定窟 の地名から |
| 和名 | 学名 | 由来 | 解説 |
| オオツチグモ科 | Theraphosidae | 土蜘蛛(つちぐも) |
学名は、theraphion(小さな野獣)に因む造語か。 日本の歴史・文化における土蜘蛛の地位について は、 別稿を参照 |
| シュジュコサラグモ | Dicymbium salaptium | 侏儒(しゅじゅ) |
古語で小びとのこと。日本では武烈記や天武記に 「侏儒〈ひきひと〉」を天皇が宮廷に集めて娯楽 の対象にしたという記録がある。また、「侏儒舞 〈ひきまい〉」は猿楽の一部を構成しており、彼 らが芸人として生活していたことがうかがわれる。 * 学名種名は小びと。 |
| オツヌヤミサラグモ | Arcuphantes delicatus | 役小角(えんのおづぬ) |
修験道の祖(役の行者とも)。葛城山を根拠に大和 政権に抵抗した 宗教集団だったので、土蜘蛛と近 しいかも? 岸田博士の命名。 |
| ナリヒラグモ | Narihira delicata | 在原業平 | ヒメグモ科でnom.nudになった |
| コマチグモ属 | Chiracanthium spp. | 小野小町 | |
| マイコフクログモ | Clubiona rostrata | 舞子 |
踊り子の意。C.maikoae はシノニムになっ た。 |
| シンゲンナミハグモ | Cybaeus singenni | 武田信玄 | 山梨県にちなんで |
| シノビグモ | Cispius orientalis | 忍び |
忍者の意。伊賀地方にちなんで。三重県クモ談話 会は、「しのびぐも」という雑誌をだしている。 |
| ハヤテグモ属 | Perenethis | 疾風(はやて) | |
| シャラクダニグモ | Opopaea sharakui | 写楽 | 発見地の徳島にちなんで |
| カチドキナミハグモ | Bansaia nipponica | 勝鬨(かちどき) |
日中戦争の最中(1938 広東陥落の日という)に、真 属新種として「日本万歳」を学名に、「カチドキグモ 」を和名に発表された(植村利夫)。その後、ナミハ グモ Cybaeus属とされ、Cybaeus nipponicus カチドキナミハグモに落ち着いた。 |
| センショウグモ | Ero japonica | 戦捷(戦勝) |
日露戦争後、Bos et Str.により記載され、岸田 博士により和名命名。この戦争において、戦場と なったばかりか、日本の植民地とされた歴史をも つ韓国では、戦勝と呼びつづけることを嫌って、日 本植民地からの解放後、「解放蜘蛛」と呼びかえ た。 |
| ミカドヤチグモ | Coelotes micado | 帝・天皇(みかど) |
ヤチ(谷地)グモって、みんな黒くて同じようにみ えるけど、色んな名前がついてます。C.michikoae もいるけど、これは皇族の美智子じゃなく、八木 沼健夫博士のおつれあいの美智子さんです。 |
| 和名 | 学名 | 由来 | 解説 |
| チャボハグモ | Dictyna procerula | 矮鶏(チャボ) | 色がにているという |
| ネコグモ | Trachelas japonicus | 猫 | |
| イタチグモ | Itatsina praticola | 鼬(いたち) |
Alopecosa スジコモリグモ属が狐、Arctosa ミズコモリグモ属が熊の意であることから。 |
| イノシシグモ科 | Dysderidae | 猪 | 学名のギリシャ語源は「喧嘩好き、短気な」。 |
| マシラグモ科 | Leptonetidae | 猿(ましら) |
猿の住むような森林にいる、と岸田博士の命名。 髭長猿蜘蛛、手長猿蜘蛛、黒毛猿蜘蛛もいる。 |
| アカショウジョウグモ属 | Hypsosinga spp. | 赤猩猩(あかしょう じょう) |
これも猿の意。Singa属はショウジョウグモ属 という。 |
| ヤエンオニグモ | Araneus macacus | 野猿 | 東京野猿峠の地名から。学名も日本猿属名を拝借 |
| トドヌカグモ | Scotinotylus eutypus | とど(大型哺乳類) | 形が似てるって...学名種名は「良い形の」である |
| コウモリオニグモ | Araneus patagiatus | 蝙蝠(こうもり) | |
| カラスゴミグモ | Cyclosa atrata | 烏(からす) | 黒い...学名種名もカラス |
| ワシグモ科 | Gnaphosidae | 鷲 |
ドイツ名Griefspinneに因む。グリフォンは鷲の 翼をもつライオンの怪物。以下の2属も本科所属。 |
| ハイタカグモ属 | Haplodrassis spp. | 鷂(はいたか) | |
| トンビグモ属 | Poecilochroa spp. | 鳶(とんび) | |
| トリノフンダマシ | Cyrtarachne属 | 鳥の糞騙し | これ名前だけでなく、本気の擬態です |
| ワクドツキジグモ | Pasilobus bufoninus | ワクド(ヒキガエ ルの方言) | 腹部のいぼ状の外見から。珍種。 |
| カニグモ科 | Thomisidae | 蟹 | |
| カザミグモ | Pistius undulatus | ガザミ(蟹の一種) |
植物周辺に住むのだから擬態してるわけではない のだが、腹部をとったらそのもののソックリさん |
| エビグモ科 | Philodromidae | 海老 | 以下二属も本属所属 |
| ヤドカリグモ属 | Thanatus spp. | 宿借り | |
| シャコグモ属 | Tibellus spp. | 蝦蛄(しゃこ) | |
| キツネハエトリ | Pseudicius vulpes | 狐 | 学名種名は狐の意 |
| 和名 | 学名 | 由来 | 解説 |
| ドクグモ科 | Lycosidae | 毒蜘蛛 |
1973年東亜(現、日本)蜘蛛学会大会で改名が決ま るまで、コモリグモは科、属、種ともに、みなド クグモとよばれていた。たとえば、「黒腹毒蜘蛛」 とか、「海賊毒蜘蛛」とか 「疼(うず)き毒蜘蛛」(本当 は、卯月)とか、おどろおどろしい名前が通ってい た.実際は、 子育て行動をする毒も弱いクモなので 、誤解を解くため改名された。 |
| ユウレイグモ科 | Pholcidae | 幽霊 |
薄暗いところに不規則網を張り、脅かすとからだ を小刻みに素早く震わせて、「ぼやけて」見える様 子は確かにオバケチック。家幽霊、曙(あけぼの) 幽霊、熱帯幽霊の名も考えてみると怖い。 |
| ゴケグモ属 | Latrodectus spp. | 後家 |
猛毒で殺された人の妻が後家になる、という意味 で.は.な.い。クモのオスが交尾後に食べられ てしまう様子からの命名。 |
| ワスレナグモ | Calommata signata | 勿忘(わすれな) | 日本での記載が二頭あった後、採集されなか ったので、岸田博士が「忘れずに覚えておこう」と いう信条で名づけたとか。 |
| ビジョオニグモ | Araneus mitificus | 美女! |
緑と赤の美しい蜘蛛。これを美「女」と名づけた人 がえらい。 |
| ケワイグモ | Herennia ornatissima | 化粧(けわい) |
学名種名は、「非常に美しい」(ornatus の最上形) の意。 |
チブサトゲグモ | Gasteracantha mammosa | 乳房 |
学名種名は、「大きな乳房」。腹部のトゲが乳房状 の膨らみをもつ。 |
| オオアナヤチグモ | Coelotes grandivulva | 大穴 |
アナって、これ、Vulva だから、ヴァギナのこと なんですね。まあ、クモ分類学者は、毎日オスメ スの生殖器を顕微鏡で覗いてるわけですが...何も 大アナなんて、つけんでも。 |
| デベソヤチグモ | Coelotes tumidivulva | 出臍(でべそ) | 学名種名は「突出した生殖器」の意 |
A. Smith's I.D. Guide 参照。私は標本で9.5インチを見たことがあります。 Ian Wallace が'92年に 9.5インチをやはり採集しているとか?ジャイアント・ピンクスターバースト(Vitalius roseus) 9.5インチ
A. Smith's I.D. Guide 参照。ブラジリアン・ピンク(Vitalius platyomma) 9インチ
A. Smith's I.D. Guide 参照。うちに8インチのメスがいます。飼育しやすく、 さらに大きくなりそう。コロンビアン・ジャイアント(Megaphobema robustum) 9インチ
A. Smithi's I.D. Guide 参照。オスは小さい(5.5-6.5")。アイボリー・オーナメンタル(Poecilotheria subfusca) 10インチ
P. Carpentier's Exothermae publications 参照。この情報源はクモ学者には信用 されてませんが、私もこの種が巨大になるとの情報を得ています。 フリンジド・オーナメンタル(P. ornata)と スレータード・オーナメンタル(P. rufilata) のメスも9インチになります。アフリカン・ゴライアス・バブーン(Hysterocrates hercules)と同属の didymus, scepticus 7.5-10インチ
ATS Forum vol.5 no.5 R. Blauman 参照。Acanthoscurria gigantea, geniculata, & atrox 8-9インチ
アフリカの Sao Tome島に10インチを越す巨大なのがいて、木の幹に5-6インチの巣を張り、 鳥を獲っているというのを、ドイツ人が観察したと聞いています。
後記:98年、サントメ・ジャイアント・オリーブブラウンバブーンの名でタランチュラ市場に登場!
A. Smith's I.D. guide と Vogelspinnen by Schmdit 参照。コロンビアン・ジャイアントブラック(Xenesthis monstrosa) 9.5インチ
Smith's Guide 参照。うちにも9インチがいます。Phoneyusa sp.
アフリカに7インチを越すものがいますが、コンゴなど奥地にはさらに大きくなるものが いるでしょう。チキン・スパイダー(Pamphobeteus species) 10インチ
見かけはT. blondiに似ていてペルー南部の Madre de Dios 地方に見られる。 BTS Journal vol. 12 no. 3 "The Hunt for the Chicken Spider" by M. Nicholas 参照。」これらの情報に関わる、さらに根源的な疑問は、「最大種」の定義とは何か、 ということ。レッグスパンというあいまいな測定法(脚を延ばせったって、クモ はじっとしてません)。野生個体よりも、パワーフィーディング(過剰給餌)によ ってより大きい個体になるのではないかとか、一番多くの個体を見る機会のある 輸出入業者が種を特定する知識を持ち合わせているのかとか、彼らの測定が信用 できるか(特にクモは、手にとって測定できないため)、とか。とにかく、「最大 のタランチュラ」は、いつでも、謎に包まれたお話でありつづけることでしょう。