
大陸中国では、鳥の餌にクモを七匹一元で売っている、という話をチャットで知り あった、チャイニンさんが教えてくださいました。クモ七匹一元(約15円)安いか、高いか。 香港では、鳥の餌には普通、ミルワームを大人の手ひと盛り程で五元位、バッタは 3-40匹で20元といったところですが、大陸中国では、ミルワームが50グラムで一元 というから、まあ餌としては使いやすいところでしょうか。でも、準肉食性の蟲で すからクモの栄養価は高いはず。チャイニンさんから 送ってもらった写真を紹介します。 ![]()
北京のチャイニンさんへ。
大陸中国で鳥の餌に
七匹一元で売っていたという
クモのこと
これは、おそらく「クロハラコモリグモ(Pardosa coeleus)」ですね。 腹下面は黒色ですか?そこから命名されたんですが。成体は体長(頭の先から お尻まで、脚は除く)が15ミリ位になる、まあ大型のコモリグモです。上の写 真がメスで、左の死んだのはオスでしょう。
コモリグモ科の仲間は、「徘徊性」といって、餌を取るための巣を張らずに、 ウロウロ動き回って餌に襲い掛かります。それで、英語ではウルフ・スパイ ダーというのです。日本では、以前、「ドクグモ」などと不名誉(?)な名を つけられていました。というのも、ヨーロッパ産の元祖"tarantula"は、この 科に属するからです(舞踏病のもとになったという伝説のあるやつ)。舞踏 病自体は、クモ嫌いからくる集団ヒステリーで、クモは冤罪(毒はほとんど ない)なのですが、この「タランチュラ」が熱帯産のトリクイグモ科全種に も一般化された呼称になってしまって、さらに「大毒蜘蛛」の誤った固定イ メージが世間に生まれてしまいました。日本の「ドクグモ科」のほうは、誤 解を招くということで、80年代に日本蜘蛛学会が、呼称変更して「コモリグ モ」となりました。
実際、生まれた子を背中にしょって歩くなど、愛くるしい保育行動を見せる ステキなクモなので、「コモリ」のほうが、ずっとよい名です(クロハラコモリグモなんか、 以前は「腹黒毒蜘蛛」なんて呼ばれてたんですから、おどろおどろしい)。私は、子ど ものころ、卵のうをお尻につけたコモリグモを子が孵るまで飼ってみたこと があります。背中からころころと転がり落ちた子グモが一生懸命母親の脚からまたよじ登 る様は、本当にかわいいものです(右の写真は、オーストラリア産のコモリグモ)。 でも、一・二週間ほどすると、子グモは 皆ひとり発ち、ということで、お尻から糸をひいて空に舞い上がる「空中飛 行」へ旅発ちます。部屋の中でやってしまうと。。。壮観です!(経験者は 語る。)クモの子散らす、とは、このこと。
大きいお腹のは、別にとっておいて、様子を見たらいいかもね。プラスチッ クタッパーかなんかに小さな空気穴開けて、中にビンの蓋かなんかで水容器 を常置しとけば大丈夫。コオロギやミルワーム食べる様ならあげてもいいし。 白い卵袋をつくったら、万々歳。お尻につけて、しばらくは歩き回るはず。 もし授精してなければ、卵自分で食べちゃうこともある。
このクモは、私が中学生のとき、はじめて観察日記をつけた記念すべきクモ でもあるんですよ。ペットとして考えれば、アフリカのコモリグモは、 何百香港元で売ってますから、七匹一元はめちゃくちゃ安い。餌として消費する前に、 何匹か飼ってみては? うまくいったらコオロギみたいに自家繁殖で餌自給 できる?(クモの餌が大変か?! あはは。)
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さて、その後、チャイニンさんから、メールで、コモリグモが卵のうを作った、という 連絡をいただいた。ところが、驚いたことに、一頭が卵のうを放したスキに、別の 母グモがそれを奪取、自分のお尻に二つの卵のうをくっつける、という不思議な 行動が観察されたという。卵のうをなくした方の母親は、ウロウロして、大体に 土の玉をくっつけていたという。「卵のう盗み」の行動は初耳だったので、クモ・ネット・メーリングリストで クモ学者の皆さんにたずねてみたところ、やはり珍しい観察だ、とのお返事を いただいた。スゴイぞ!大発見だ、チャイニン!
卵のうを二つくっつけたクロハラコモリグモ