
クモにまつわる世界の神話・物語・映画など
"In the beginning, there was the dark purple light at
the dawn of being. Spider Woman spun a line to form
the east, west, north, and south. Breath entered man
at the time of the yellow light. At the time of the
red light, man proudly faced his creator.
Spider Woman used the clay of the earth, red, yellow,
white, and black, to create people. To each she attached
a thread of her web which came from the doorway at
the top of her head. This thread was the gift of
creative wisdom. Three times she sent a great flood to
destroy those who had forgotten the gift of her thread.
Those who remembered floated to the new world and climbed
to safety through the Sipapu Pole the womb of Mother Earth."
(Southwestern Native American creation story)
この世の始め、存在の夜明けに紫色の暗い光がたちこめていた。
スパイダー・ウーマンは、一本の糸を紡ぎだし、東、西、北、南
のかたを産み出した。黄色い光のときに、人間は息をもった。赤
い光のときに、人間は胸を張って、創造者の前に立っていた。
スパイダー・ウーマンは、大地から、赤、黄色、白、黒の泥をと
って、人間を作った。それぞれに、彼女の頭の上方にある網から、
糸がつながっていた。これは、創造者の知恵の贈り物であった。
三度、彼女は大洪水をおこし、この糸の恩恵を忘れた者たちを滅
ぼした。それを覚え続けた者たちは、新たな世界へ、母なる大地
の子宮・シパプ・ポレを通って、安住の地へとのぼっていった。
(南西部アメリカ先住民の創造神話より)
目次:
神話・風俗編
・アメリカ大陸先住民の Spider Woman
北米の複数の先住民の間では、「スパイダー・ウーマン(蜘蛛女)」が、創造
神話に重要な役割を果たしています。共通するのは、知恵の象徴としてクモの網
がとらえられていること(たとえば、
人間に織物を教えた、など)。糸が創造神
や精霊の世界と人間世界を「つなぐ」かなめであるという考えも普遍的です。
「生命の網(Web of Life)」や
存在全体をつなぎあわす「関係性」を紡ぎだすのがスパイダー・ウーマン
であるという考え方もあります。女性がこのように重要な位置を与えられている
文化は、原初母系社会の産物であるという指摘もあり、現代においても、Spider Woman
を積極的な知恵ある女性のメタファー
として肯定する動きがあります。「オスを食い殺す悪女」型のイメージで語ら
れてきた「蜘蛛女」像を、ひっくり返すものです。
リンク
アナンシは四頭の野獣に糸をかけ、天の神・ニヤメのところに持っていきまし
た。天の神はこれを見て、天の貴族たちをみんな呼び寄せ、この蜘蛛男が世界
じゅうの誰もできなかったことをやりとげたと、天に響き渡る声で宣言しました。
"今後永遠に、我が天神の物語はお前のものだ。コセ、コセ、コセ、おめでとう。
我々は、これらを「蜘蛛の物語」と呼ぶことにしよう。"
だから、こどもたちよ、ク・アク・アナンシとその妻アソの賢さによって、物語はこの
世に来たのです。だから、いまでもアクとアソは、物語をお話しつづけているのです。
(Ashanti の神話から)
・西アフリカの「アナンシ」
アフリカ大陸においても、クモが創造神話や、昔話の主役になっています。
知恵の持ち主、神の世界と人間世界をつなぐ「糸」の役割という、アメリカ大陸先住民と共通する
モチーフは、(両大陸にまだ交流がなかったことを考えると)人類の普遍的な
原初的「蜘蛛観」といっても良いでしょう。(みるかし姫の個人的見解では)蜘蛛嫌悪(アラクノフォビア)は、
後になって発達してきた文化に違いありません。
さて、「アナンシ」(Anansi、Ananse)という固有名をもつ、蜘蛛ないし蜘蛛男は、
西アフリカの多くの民族説話に登場します。
知恵や火を人間にもたらした、飢饉・干ばつ
の際に神のくにから水や食べ物を取ってきた、など創造・救済に関わる能力を
発揮します。アナンシは、その「性格」として、悪知恵、騙し、冗談、など、
文化人類学で言うところの「トリック・スター」の条件を備えています。その
「悪知恵」発揮には二つのパターンがあり、ひとつは、神をも欺く(水を
とりかえす物語など)手段であり、もう一方は無駄な目的のための努力です
(たいがい最後は失敗談に終わる)。もっと後期と予想される物語では、
「ばかなアナンシ」
というモチーフで子供たちの愛すべき笑い者になったよう
です。しかし、子どもに語られる全ての物語は、アナンシとその妻アソが天か
ら授かったという語りによって、始まることになっています。いずれにせよ、
アナンシは、西アフリカの子供たちにとって、もっとも
ポピュラーな愛すべきキャラクターなのだそうです。
リンク:
・自然界の「アナンシ」?
アナンシ説話には、ところどころ、クモの生態を反映していると思われる描写
があります。たとえば、
知恵をつめた入れ物を前に抱えているよりも背中に抱えた方がよい、と忠告さ
れる場面がありますが、徘徊性のクモの中には、卵のうを触肢で抱えるも
のと、お尻の糸いぼの先につけるものとがあり、ちょうどこの話に合致します。
また、天神の処罰をうけて逃げる
アナンシが水の上を走っていくという物語のあとには、「だから、こどもたち、
いまでもアナンシは水の上を走っているのだよ」と続くのだそうです。ハシリ
グモ、コモリグモなどの徘徊性種は、水上を走る能力をもっています。
さらに、こちらは現代の神話(あるいはブラック・ジョーク)に属すると思いま
すが、Arachnids メーリングリスト(1997年5月)で、アフリカのクモと初期人類の関係
について面白い投稿がありました。
「Miep O'brien wrote:
>「蜘蛛嫌いが考えるのは、クモは二ヶ所に同時に出現するということ(例えば、
>ケージのなかと同時に、2、3メートル先の部屋の反対側にも...といった具合)
私の信ずるところでは、これは、巧みに洗練された捕食者からの防御機構なのです。
旧世界種は二ヶ所に同時に出現する能力があるとする心理投射の背景にあるメカニズ
ムを、私は解明しようとしています。彼女らは、捕食者になりうる旧世界の霊長類
とともに進化したため、霊長類の神経経路と認知過程(旧世界ザル同様、ヒトの場合も
これが主観的な視覚による認知をつかさどる)と交信するように適応したかも
しれません。よって、彼らの存在の変質した身体的全体 (transubstantiated corporeal gestalt)
をクモ飼育者の精神に投影する能力は、同時に離れた数ヶ所に現れ、擬似認識(或い
は、我々がのんきにも「タランチュラ」と呼んでいる現象を局地的に正しく把握する
能力の欠如)の危険によって、
逃亡へとつながります。もしこれらのクモがあなたの家で大勢逃げ出し、秘密裏に会合し、
集団精神へと集合し、精神マトリクスを形成すれば、全ての現実は吹き飛び、「タランチュラ」
の集団が身体変質的投影(transcorporeal projection)を行い、あっちにもこっちにも
意のままに「出没する」ことになります。これは、これらのクモたちが野生で集団や
コロニーで現れることの説明でもあります。彼女らの集団精神は、恐るべき武器なのです。
また、これで容易に、蜘蛛嫌悪(arachnophobia)がヒトの進化の上で理由をもつことを説明で
きます。できれば想像してみてください。東アフリカ・サバンナのの初期類人猿たちが、
先の尖った火入れで固くした棒を手にして、固い土を掘り返し、まるまるとしたバブーンスパイダーを探し
まわっている。すると、突然、彼らの目に、何百という蜘蛛があちこちで、牙を
すりあわせ音を鳴らしているのが、映る。初期類人猿たちは、恐怖で逃げだす!!!
私はさらに、これが、ある種のHarpactirinae亜科の角の真の機能であると
信じています。これは、超感度アンテナで、我々が不覚にも彼女らの「真の」位置と
呼んでいる場所から、離れたところによりよくイメージを投影するために機能して
います。これらの角は、クモの神経システムの中心である副食道および上食道神経節
の真上に位置していることに留意してください。これは、私の推測を確証するもの
と信じます。さらに、これらの種は、アフリカの乾燥潅木地でバブーン(アヌビスヒヒ Papio anubis)
の多いところを棲みかとします。ヒヒは、これらを美味な餌として熱心に食べます。
つまり、ここには自然選択の条件がそろっています。火を見るより明らかな進化過程と
言いましょうか。角の大きさから言って、ストレート・ホーンドバブーン(Ceratogyrus cornuatum)
は、最も危険でしょう。私は、この種を注意深く監視し、必ず少ない数だけ飼うこと、
それも現実をしっかり把握している人だけが飼うことを、強く推奨するものです。
私は飼いません。
ほら、そこにも、もう一頭 !
Samuel D. Marshall
Department of Zoology
Miami University」
・カリブに渡った「アナンシ」
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