************ 血管内治療 ************ 

急性脳梗塞の最新治療3

緊急・経皮的脳血管形成術

頸動脈ステント術


(1)緊急・経皮的脳血管形成術

症例:67歳男性。突然、完全失語(話すことも、言葉を理解することも出来ない)、右半身完全麻痺の発作に襲われた。本院での血管内治療を希望して、発症2時間30分で当科に緊急入院された。

 

Q:何と言う脳血管が閉塞していますか?

A:左中大脳動脈完全閉塞です。

Q:治療はどうするのですか?

A:多くの病院では、いわゆる点滴療法が行われます。患者さんの中には、それで効果がでる方もおられますが、上のような典型的な完全閉塞病変の場合、現状の控えめな点滴療法だけでは、本当に良くなることは難しいと思います。

「急性脳梗塞の治療は非常に難しく、1分1秒でも早く行わなくてはなりません。それは、脳細胞が虚血に非常に弱いからです。この患者さんのように非常に症状の重い方は、点滴治療だけで回復させることは極めて困難であります。アメリカ合衆国では、「tPA」という薬剤を発症3時間以内の投与が1996年から行われるようになりました。しかし、我が国ではtPAが脳梗塞の治療に「保険適応」となるか否か全く不明です。一方で、世界的にも急性期の血管内治療による早期血行再建が行われるようになり、良好な結果が得られつつあります。」

「急性脳梗塞の最新治療1」では血栓溶解療法を行いましたが、急性期の血管内治療を用いた緊急血行再建として、緊急・経皮的脳血管形成術も行うことが出来ます。

緊急・経皮的脳血管形成術を行いました。

風船で閉塞部を拡張すると(上左図)、さっきまで閉塞していた左中大脳動脈が流れ出しました(上右図)。

再開通に成功した直後から、右半身(手足)が動きだし、言葉も徐々に理解し話せるようになってきました。ほとんど後遺症ない状態まで回復され、歩いて退院することが出来ました。数年前までは、考えられない治療法です。

(2)頸動脈ステント術

Q:何と言う脳血管が狭窄していますか?

先の患者さんは、もう一カ所悪いところが有りました。完全閉塞だった左中大脳動脈の近位部である左内頸動脈に高度の狭窄が有ったのです。

・中大脳動脈と同じように風船で拡張したのですが、弾性がありすぐに元の狭さに戻ってしまします。従来なら、全身麻酔をかけて頸動脈内膜剥離術という「頸を切って、頸動脈内のゴミを削り落とす」手術を行うのですが、我々の施設では血管内治療のさらに新しい試みである「ステント」という金属を狭窄部に留置することにしました。

網目状に見えるのがステントです。

ステントを留置した結果、狭窄はきれいにそして十分に拡張できました。

以上の全ての治療は局所麻酔だけで行いました。全身麻酔は用いていません。患者さんの負担は軽くなったと思います。

 


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