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《バックナンバー》


《主 張》

★ご意見・ご感想などがありましたら電子メールで件名を「主張」と書いてお寄せ下さい。 筆者 発明交友会 代表 坂本兼昭


5. 青色発光ダイオード(LED)をめぐる裁判の和解に思う(2)

◇対価の額は売り手側の発明者が決定すべきものである

特許法第29条は、「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、 その発明について特許を受けることができる。」となっている。
したがって、同法によれば、発明が発明者に帰属することは自明のことである。 当然のこととして、従業者(発明者)が使用者(企業)に特許を受ける権利を譲渡すれば、 特許法第35条3項でいうところの特許を受ける権利の承継対価として、相当の対価の支払を受けることが出来るのであるが、 その対価の額について相当の対価の解釈の違いがあって発明の対価に関わる訴訟が後を絶たない事態になっているのである。

その解決策の一つとして、前回の主張では標準の対価を具体的に明文化することを提案した。 そうすることで誰でも自分の発明の対価の額を想定し易くなることは間違いない。 更にもう一つ大切な注目点がある。それは、知的財産権に関してだけは、何故か譲渡を受ける側(企業、購入者)が対価の額を決定しようとする。それは一般の社会通念と異なるものである。 社会の慣例では、売り手が商品の値段を決定し、買い手がその価格で買うか否かの選択権を有している。 お店に買い物に行けばどこでもそうなっている。換言すれば、買い手は買う否かの選択権しか持っていない。 高すぎると思えば買わなければよいのである。 したがって、商品代金に関するトラブルは殆ど発生しないのである。

職務発明についてもこの原理原則に従えばよい。そうすれば何の問題も発生しない筈である。 そうすると職務発明の場合には、発明がなされた過程で、企業が貢献しているから、 買わないと意味がないという意見が出てくるかも知れない。 しかし、企業が発明がなされるのに貢献しているからこそ、当該発明の譲渡を受けなくても無条件に実施できることになっているのである。 無条件で実施権を有することは、極めて大きな恩恵である。 したがって、発明に貢献した代償として、何も損はしていないのである。その上で、発明の譲渡を受け、更なる上乗せの利益に結び付けたいがために譲渡を受けるのであるから、 発明の値段決定にまで権利を行使しようとするのは間違いである。権利の濫用というべきである。 また、当事者でないと深い事情の分るはずのない裁判所、例えば、発明者が発明のためにどれくらい苦労したか、 その発明がどのくらい企業に貢献したか等々は、多少の資料を検証しただけでは正確な判断が出来るはずがないのに、 その裁判所が発明の対価を決定するのであるから所詮無理な話であろう思われる。

以上のとおりであるから上記提案した2点が最も合理的な解決策であると思われる。 最後に再度上述の提案を下記に整理して記すと

(1)標準の対価の額を法文で明確化すること。
例えば売上額または利益額に対して標準の割合を決めばよい。企業にとっての有難い発明は、 ノーベル賞を受賞したか否かなどではなく、あくまで利益をあげられる発明であることが大切であるから、 売上額または利益額が対価算定の基礎となっていればよいのである。

(2)価格設定は発明者が決めること。
譲渡を受ける価値がないと思うのであれば、企業は買わなければよいのである。
対価を支払う段階になって、「払えない」なんて無法国家みたいな主張をしなくて済むのである。

以上の二点を取り入れて特許法を改正すれば、昨今頻発している対価をめぐる訴訟は、ほとんど影を潜めるものと思われる。
本年4月から施行される新特許法がその点で全く改正されていないのは残念でならない。





4. 青色発光ダイオード(LED)をめぐる裁判の和解に思う(1)

◇「相当の対価」の標準値を設定し、かつ表現を具体的表現に変えるべきである

11日、青色発光ダイオード(LED)をめぐる裁判が、和解で決着した。
昨年1月東京地裁で出された判決では、この発明の価値は600億円と認定されたが、 今回の和解額では、実に100分の1の6億円余りとされた(注記:遅延損害金を含めると8億4391万円)。

一審原告の中村氏は、共同通信に寄せた手記の中で、「昨年一月、正義に基づいた東京地裁の判決に『これで日本が変わる』と大きな喜びを感じた。 だが、東京高裁の裁判長は最初から上限額を決めて『これ以上払えば会社がつぶれる』の一点張り。 何の根拠も示さぬまま、まず結論ありきだった。判決を待っていても同じで、最高裁は法律論しか争わないとなれば、 私としては和解に応じる以外にない。企業の利益を圧倒的に優先させた封建時代そのままの対応に、日本の司法制度の悪い部分を見た気がして、大きなショックを受けた。 ・・・日本がいかに企業寄りの司法制度なのかがよく分かる。発明者の私は、必要な証拠を丸ごと企業に押さえられたままで、 証拠開示にも応じてもらえない。」と述べている。

私も法廷闘争の経験がある。私の場合には、平成8年から約8年間、中村氏よりも遥かに長期間に渡って闘った経験があり、 やっと昨年9月に東京高裁で判決により決着した。 参考

その経験に基づいて考えると、中村氏の意見には大部分同意できるところがある。 しかし、残念なのは、折角だからあと2ヶ月ほど頑張って判決に持ち込んで欲しかった。 そうでないと裁判所の考えが一般の人には伝わらないからである。

私の場合には、裁判所の強い和解提案を受けて、代理人からも「判決となると、一審判決は取り消され、請求棄却が出る可能性が高い」と説得された。 しかし、ゼロ回答も覚悟の上で、私はどうしても裁判所の判決理由書が欲しかった。 中村氏にも大なり小なり、同様の圧力があったことだろうと推測できる。結局中村氏は相当に悩んだ末、和解に同意したのだと思う。 本件訴訟結果から分るように、担当裁判官の判断で結果がこれほど乱高下したのでは、日本の裁判は、まるで運に左右されているとしか言いようもない。 これで法治国家と言えるのだろうか。

12日付け朝日新聞社説では、この裁判について、「まず、これをきっかけに発明訴訟が相次ぎ、社員の発明に企業がどう報いるかが真剣に議論され始めた。 特許法の改正は何よりの成果だ。 あらかじめ社員と会社が設けた算定基準を、訴訟になった場合も尊重することが盛り込まれた。 」と述べている。

確かにこの裁判で、これをきっかけに発明訴訟が相次ぎ、社員の発明に企業がどう報いるかが真剣に議論され始めたことはそうであろう。 しかし、特許法の改正は成果と言えるだろうか。私は少しも問題は解決していないと考える。 特許法第35条の最大の問題点は一体何であろうか。

私は発明の承継対価について「相当の対価」という抽象的な表現になっている事に最大の問題点があると思う。 抽象的な表現になっているからこそ標準の対価が定められない。 人それぞれの判断で主張する。 過去の判例も判断がまちまちであるから厳密には参考にならない。 今回のように、裁判官の判断も個人差があまりにも大きすぎる。 当然ながら、譲渡人(発明者)も譲受人(企業側)も標準を定められないため、対価の額設定がまちまちとなる。 もし標準が定まっていれば、それを基準にして比較検討出来るため、高い、安いの議論が出来ることになるのではないだろうか。

新しい職務発明制度では、契約、勤務規則その他の定めにおいて対価について定めていない場合や、 定めてはいるが定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められる場合には、これまでの制度と同様に、 その発明により使用者等が受けるべき利益の額等を考慮して「相当の対価」の額が定められる旨改正されたが、 サービス残業の賃金についてさえ会社に物を言えない弱い立場の従業者が、使用者と対等に契約、 勤務規則その他の定めにおいて合理的な話し合いが出来るとは到底考えられない。標準の対価が分らない法律の下ではなお更のこと、 発明の対価をめぐる訴訟は今後も減ることはないであろうと考える。





3. 報奨金の上限撤廃は当然

武田薬品工業が、職務発明の報奨金の上限を撤廃した。 今年4月にさかのぼって適用する。 これまでの上限は年間3000万円、支払期間5年間で1億5000万円としていた。 また、マツダも約100万円だった上限を既に4月に撤廃している。 このような動きはほかの企業にも見られる。 発明者にとって有難いことではあるが、 そもそもこれまでに何故上限が決められていたのか、全く理解できない。
売上や利益に対して一定の割合で支払われる報奨金であれば、 報奨金が売上や利益を超えることは絶対にないのであるから、 支払う報奨金がどんなに高額になっても、決して報奨金を出し惜しみする理屈にはならない。 報奨金が高額になるということは、売上や利益がそれだけ高額であったということの証明であって、 企業にとっては上限を設けて報奨金を抑える理由など全くないというべきである(2004/7/8)。






2. 公知技術存在の後出し議論は無意味である

http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/manufacture/jinvent20040621.html
日経BPに上記の記事が出ていた。そこで私は以下内容を趣旨とする反論を返信した。いろんな考えがあっていいのだから・・・。

執筆担当者のご意見はご意見として、1つの考え方であるかも知れませんが、私には単なる結果論としか評価できません。
何故なら、当該青色発光ダイオードの技術に、公知技術が存在したか否かの論争は、実社会においては、全く無意味であるからです。 それは、スポーツに例えるなら、審判の判断ミスでAチームが勝ち、その結果Aチームが優勝すれば、あとで審判のミスで負けたことをBチームが如何に声高らかに叫んでも、 優勝したAチームは実際には優勝の恩恵を受かられることになっており、Bチームの負け惜しみ(?)は何の意味もない負け犬の遠吠え程度の評価しか出来ないからです。

実際の問題として捉えても、「公知技術の存在が認められた」と、後でいうのであれば、所定の期間内に異議申立、無効審判、審判取消訴訟等々いくらでもチャンスがあるにも拘わらず、 その権利を放棄したのですから、権利を放棄した者は、法的にも何ら保護される権利は存在しません。

実際に日亜化学自身は、これまでに法的に保護されてきたのですし、日亜化学の利益の源泉を齎した中村修二氏は、発明譲渡人として保護される権利が当然あるはずです。
また、審判のミスジャッジであろうと、実社会では結果が全てであり、中村修二氏の発明に起因して、日亜化学が1兆円規模の売上見込みを推定できる現状の存在が、最も重要な部分であると考えます。

極端な言い方するなら、単なる運だけで齎された事実であったと仮定しても、たとえば、仮に宝くじに当たった1兆円であったとしても、その1兆円という数字の価値に何ら変わりはないからであります。 担当者殿の意見を尊重することになれば、真面目に仕事をしていて、運悪く会社に大きな損害を与えた場合なら、 責任をとらなくてよいことになり、結果責任を重視しなければ、実社会では成立たない話です(2004/6/23)。






1. 相当の対価は売上を算定の基礎とする限りほぼ正当に反映されている

青色発光ダイオードを開発した米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授(49)が、 日亜化学工業に発明の対価(一部)を求めた訴訟の控訴審,第1回口頭弁論(4月22日)東京高裁(山下和明裁判長)で, 控訴した日亜化学工業は「対価の認定を誤った1審判決は是正されるべきだ」と主張し,「中村教授の発明は青色発光LEDの基本技術ではない。 1審判決は発明の価値を過大評価しており,認定した対価も相当額を超えている」ということを理由としている。

しかし果たして青色発光ダイオードの基本技術であるか否かの論争は,譲渡対価の相当性を論じる上で,どれほど必要であろうか。 私は対価の額を大きく左右する重要な要素とは考え難い。

何故なら、基本技術であるか否かは,概ね売上や利益に必然的にその要素が織り込まれるため, 相当の対価を算定するに当たって,売上額を基礎とする限り,相当の対価にも必然的に反映されていることになるからである。
その上で,更に基礎技術であるか否かを論じたら,その要素が2重に拡大され,かえって相当性は失われる危険性があると考える(2004/4/23)。





個人発明の実施化促進および個人発明家の地位向上のための活動


坂本兼昭の発明の部屋では,個人発明家の発明実施化促進支援の一環として,発明相談,発明のPRなど,個人発明家を無償支援しています。
ご相談を受けられる方は,発明交友会の会員の方のみです。ご入会ご希望の方は発明交友会へどうぞ!!
入会金,会費など全て無料です。

未出願の発明はトラブル防止のため,出願前には絶対に公開しないでください。
特に未出願の場合には,特許庁,発明協会,弁理士会,発明学会等に先ずご相談されることをお勧め致します。
上記特許庁,発明協会,弁理士会,発明学会等においては,無料で相談が受けられます。
なお, 上記各機関の検索は, 当サイトの「Perfect Search」のページからどうぞ!
また, 特許等の出願が完了している発明等のPRには, 本サイトのご利用が無料で行えます。




《トピックス》

・今度は10億円訴訟(発明の対価) ・巨額判決の波紋 ・世界最高レベルの迅速・的確な特許審査 ・知的財産検定要綱 ・特許報奨金制度を全面的に見直し---島津製作所 ・三菱電機の元社員も提訴(提訴額:一部にあたる約2億円) ・キャノンの元社員が10億円訴訟(対価の一部)を提起 ・特許審査官を大量採用へ---経産省方針 ・請求額が100億円,さらに200億円に拡張---「青色発光ダイオード」 ・知的財産権,東京高裁で判断統一のため,専門委員100人を登用する ・特許法第35条の職務発明規定が消える? ・特許訴訟・判決速報(未公刊判決)


《発明の報奨金が高騰化》

・日本労働研究機構の調査 ・藤沢薬品工業 ・発明協会の調査 ・住友金属鉱山 ・文部科学省 ・大日本スクリーン ・日本弁理士会の見解 ・結論


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トピックス


<トピックス>

【今度は10億円----発明の対価で(東芝)】

デジタルカメラや携帯電話に不可欠な半導体の「フラッシュメモリー」の発明者で元東芝社員の舛岡富士雄・東北大学教授(60)が3月2日、 「正当な発明の対価を受け取っていない」として、元勤務先の東芝に対し、発明の対価の一部として10億円の支払いを求め東京地裁に提訴した。

訴状によると、舛岡教授は東芝在職中の1980年と87年、それぞれ異なる2種類のフラッシュメモリーを開発し、東芝に発明を譲渡した。 同社は、2つの半導体の特許を出願し、02年度末までに100億円の特許使用料を受け取ったほか、特許による優位性を生かした製造・販売で、 国内外で100億円、計200億円の利益を上げたと算定。発明に対する会社側の貢献度を80パーセント、同教授の貢献度を20パーセントとし、 未払いの発明対価は40億円にのぼるとしてその一部を請求したものである。


<トピックス>

【巨額判決の波紋----2004年1月29日(東京高裁),30日(東京地裁)】

青色発光ダイオード(LED)の開発者中村修二氏(米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授49歳)が勤務していた 日亜化学工業(徳島県阿南市)に発明の対価の一部として200億円を求めた訴訟の判決が30日東京地裁であり, 三村量一裁判長は,発明の対価を約604億円と認定し,請求額通り日亜化学に対し,200億円の支払いを命じた。
日亜側は直ちに控訴するとしている。
前日の29日には,光ディスクに係る発明で,東京高裁が日立製作所に対し,約1億6千2百万円の支払いを命じたばかりであるが, これを大幅に上回り,文字通り史上最高額を一気に更新した。

判決ではまず,中村氏の特許発明が「青色LEDの製品化を可能にした」と指摘。特許権の効力が切れる2010年10月までに 日亜が権利を独占することで得る利益を約1208億円と算定し,その上で,中村氏の貢献度について「小企業の貧弱な研究環境で, 独創的な発想で世界中の研究機関に先んじて産業界待望の世界的発明を成し遂げた全く稀有な事例」と述べ「貢献度は50%を下回らない」とした。

このように一気に巨額の対価支払い命令が言い渡されたことに対し,「これでは企業がもたない」 との意見も出ているが,発明者の立場からいうと,如何に巨額な対価であろうと利益の一部を請求したものであり, 利益額を超える対価を請求したものではない。つまり,利益額がそれだけ大きかったという意味でしかない。 もし中村修二氏の発明がなかった場合を想定して,それとの比較論を展開すればよいのではないだろうか。

また,巨額の対価の影で,他の社員のサポートがあったことも事実であろうが,しかし,混同してならないのは, 本件は発明を譲渡したことへの譲渡対価であり,発明者は中村修二氏1人であること,そして他の社員はサポートしたといっても, 発明をしたのではなく,雇用契約の中で社員として頑張ったという次元の話でしかない。
つまり,中村氏がいなかったら,青色発光ダイオード(LED)から得られるであろう利益の 1208億円は0円であるということを忘れてはならない。資源の乏しい日本においては,国家の繁栄がこれまでにもそうであったように, 今後も発明に対する依存度は高いはずである。研究者・技術者,特に若い人たちに夢を与えた判決に拍手をおくりたい。



<トピックス>

【世界最高レベルの迅速・的確な特許審査の実現を目指す----特許庁】

特許庁は4月から、「世界一速い特許審査」など、知的財産立国に向けた態勢強化に乗り出す。
審査に入るまでに2年待たされている現状を改善し、10年後をめどに「世界に類のない」(同庁)審査待ち期間ゼロを実現する方針。
今後5年で現在1100人の審査官を5割増やし1600人態勢とする。
また、審査の一部を外注し、効率化を図る。特許法改正案を含め「特許審査迅速化法案」を19日召集の通常国会に提出する。

審査の迅速化で、優れた発明の事業化を早め、日本企業の国際競争力の強化を目指す。
任期付き審査官を一気に投入して審査待ち件数をゼロにし、請求から数カ月で審査結果を伝えられるようにするのが目標だ。
さらに、特許に必要な新規性を判断するため、すでに認められている特許など先行技術の有無を調べる業務の外注とともに、審査官OBらを非常勤の調査員として採用することを拡大する(2004-1-18付朝日新聞朝刊より)。


<トピックス>

【知的財産検定要綱----2004年3月7日に明治大学(駿河台キャンパス)】

知的財産教育協会から「知的財産検定」の第1回試験要綱が発表されました。
この検定は, 主に企業の法務部門や研究者を対象に、業務上頻繁に必要とされる実務知識や法律知識の有無とスキルを認定するもので,「1級」「準1級」「2級」「準2級」の4段階に設定される。
まず、第1回目は2級を対象として, 2004年3月7日に明治大学(駿河台キャンパス)で実施されます。

今までは知的財産に関する問題発見能力や解決力を評価する標準化された基準がなく,知識を習得したり,その到達レベルを証明しにくい状況にありました。
そこで,知的財産検定は,知的財産の知識の習得や到達レベルの指標となることを目的とし,実際の実務において発生しうる課題(問題)を発見できる力,また解決するために必要な力の前提となる知識を評価する基準を作成し,検定を開発しました。
2級においては「知的財産に関する課題(問題)を発見する力」を,1級においては「課題(問題)を解決する力」を中心に検定するものとなっており,それぞれの実力を証明することが可能となっています。

【問い合わせ先】
知的財産教育協会事務局: kentei@ip-edu.org



<トピックス>

【特許報奨金制度を全面的に見直し----島津製作所】

年間売上高が百億円を超える製品に関する特許を対象に,最低1千万円を保証し, 上限額は定めない制度を新設するとともに,特許出願に対する報奨金も増額した。

職務発明について,かつては企業も社員も数万円から百万円程度の報奨金で十分と考えていた。 だが近年,特許の戦略的価値が高まり,職務発明裁判で元社員が10億円以上の対価を求めて企業を訴えるケースが相次いでいる。

国は特許法第35条の改正を進めている。企業が合理的な報奨制度を設け,社員の意見を反映していれば訴訟を回避できる仕組みを 検討中で,2004年の通常国会での法改正を目指す。

相当の対価については,社内規定に定められされていても,相当の対価といえない場合には, その社内規定は無効とする考えが定着してきた。現在はいったん企業と発明者が対立すると, 相当の対価は裁判で争って決めるしかない。

  日本には1億円クラスの特許報奨金を獲得した技術者はいない。プロ野球のように実際に「1億円プレーヤー」が実現してこそ, 研究開発の現場は活性化する(2003-12-26 日本経済新聞より)。



<トピックス>

【三菱電機の元社員も提訴(提訴額:一部にあたる約2億円)----フラッシュメモリーの発明の対価で】

10月28日,携帯電話などに広く使われているフラッシュメモリーの一部特許を持つ三菱電機(本社・東京)に対し,同社の元社員が,約2億円の発明の対価の支払いを求め,那覇地裁に提訴した。

訴えによると,元社員は,同社から約500万円の対価が支払われたが,元社員は製品の売り上げなどを考慮すれば,約58億円が相当であると主張。このうちの一部にあたる2億円の支払いを求めた。
元社員は01年に退職し,その後対価の支払いをめぐって同社と話し合いを続けていた。
(2003-10-29 asahi.comより)。



<トピックス>

【キャノンの元社員が10億円訴訟(対価の一部)を提起---東京地裁】

レーザービームプリンター(LBP)などで用いられている高画質印刷を可能にする技術に関し「発明の正当な対価を受け取っていない」として,キヤノンの元社員が二十日,同社に対価の一部として十億円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。
社員の職務発明を巡っては,企業側の報酬に納得できない社員が退職後に訴訟に持ち込むケースが相次いでいる。

訴状などによると, 元社員は一九六八年に入社。LBPに使う走査光学系の開発に従事していた際,LBPを小型化する開発の過程で,印刷画像に線が入るという商品化に致命的な画質の低下が発生。
元社員は画像全体の鮮明さや精細さを保ちつつ,線を取り除く技術を編み出したという。
(2003-10-21 日本経済新聞 朝刊より)



<トピックス>

【特許審査官を大量採用へ,来年度から5年間で計500人の審査官を緊急採用---経産省方針】

経済産業省は25日,特許審査手続きを大幅に迅速化するため,来年度から5年間で計500人の審査官を緊急採用する方針を固めた。
現行1000人体制を1.5倍にする異例の大量採用する。
近年の審査請求の急増で審査待ちが約50万件も滞留している状況を解消し,政府の知的財産推進計画に盛り込んだ「世界最高レベルの迅速・的確な審査」の実現を目指す。

採用は毎年100人ずつとし,来年度の定員要求に初年度分を盛り込む方針。ただ,国家公務員の定員削減を進める総務省の抵抗は必至で,両省による厳しい駆け引きが予想される。
(2003-8-26 時事通信)



<トピックス>

【請求額が100億円,さらに200億円に拡張】

「青色発光ダイオード」を発明した中村修二・カリフォルニア大学教授が,特許権をもつ日亜化学工業(徳島県阿南市)に発明の対価を求めている訴訟で19日,請求額を100億円,さらに200億円に増やす変更をした。
17日に20億円から50億円に増やしたばかりだが,再び増額した理由について,中村教授側は「特許の独占で日亜化学が02年度までに得た利益は639億円にのぼるため」と書面で述べている。
「100億円」の裁判にかかる収入印紙代は2111万円で,東京地裁に増額分の印紙とともに訴額変更の書面を提出した。
(2003-6-20付 朝日新聞朝刊より)



<トピックス>

【知的財産権,東京高裁で判断統一のため,専門委員100人を登用する】

複雑化する特許権や著作権などの知的財産権をめぐる争いを迅速・的確に解決するため, 来年4月から東京高裁の機能を高め, 実質的な「知財高裁」にすることが決まった。同じような争点をもつ訴訟の判断が事実上, 高裁段階で統一されることになる。同時に, 最新の専門知識を訴訟に反映させる「専門委員」を幅広い領域から100人規模で登用する。

「何が特許侵害にあたるか, 早く知りたい」「知財訴訟に専門家の知識を生かしてほしい」と経済界から要請を受け, 最高裁と東京高裁が協議。来年4月に改正民事訴訟法の施行で, 知財訴訟の控訴審が東京高裁に一本化され, 専門委員制度が導入されるタイミングに合わせた (詳細は2003-5-17付 朝日新聞朝刊をどうぞ)。



<トピックス>

【特許法第35条の職務発明規定が消える?】

2003/05/12付け日経新聞によると,政府の知的財産戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)が7月にまとめる推進計画の原案が11日明らかになった。
それによると,社員が企業相手に発明報奨金の増額を求める裁判が相次いでいることを踏まえ,特許法を改正し,報奨額を企業と社員があらかじめ契約で確定できるようにすることなどが柱となっている模様である。

これだけのニュースでは詳細が分からないので推測でしかないが,もしそうであれば,企業で働く技術者にとっては大変厳しい法律になることが予想される。極論すれば発明家にとっては法律の改正ならぬ改悪といえるのではないだろうか。

現行の特許法第35条の立法趣旨は何であるのか,簡単に言えば「弱い立場の従業者保護」が主たる目的の一つである。つまり,職場で頑張って素晴らしい発明をし,会社や国にどんなに貢献しても,従業者はやはり弱い立場にあることに間違いはない。このことが忘れられようとしているような気がする。

従業者というものは,会社を生活の基盤にしている以上,会社に対等に物が言えないのが現実の世界である。それが証拠に,未だ労働対価のないサービス残業が後を絶たないのを見ても明白であろう。労働法に反する無償の強制残業の代金でさえ会社に請求できない弱い従業者が,発明の対価で会社と対等の契約ができるであろうか,甚だ疑問というほかはない。
もしそれが出来るのであれば,そもそも特許法第35条の職務発明規定は必要でなかったはずだし,同規定があっても多くの企業で対価を支払わない現状を十分認識した上で,関係者は法整備にあたって頂きたいものである。



<トピックス>

【特許訴訟・判決速報(未公刊判決)】
平成15年4月10日判決言渡 水戸地方裁判所 土浦支部
★平成8年(ワ)第202号 契約代金等請求事件

【主   文】

1 被告ら(Y1、Y2)は,原告に対し,連帯して金1708万円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Y1は,原告に対し,金69万0114円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告Y2は,原告に対し,金130万8980円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 原告のその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の,その1を被告らの負担とする。
6 この判決は,仮に執行することができる。

【注 目 点】

特許権等について,実施権を設定したり,権利そのものを譲渡したりする契約は,原則として,有償でなされたものと推定するのが相当であるところ,まして,実施権の設定を受けたりする者が,実施品の製造,販売等を計画しているような場合には,対価の支払についての合意が明示的になされていない場合でも,対価の請求をしないとする特段の事情がない限り,実施権の設定を受けた者或いは権利そのものを譲り受けた者との間では,合理的な額の対価を支払う旨の合意がなされたものと推定するのが相当である。

【コ メ ン ト】

本件訴訟は請求額500,371,000円に対し19,079,094円の判決。 本件は平成8年6月11日に提起され,実に6年10ヶ月を費やしてやっと一審判決に至ったものである。
その間,口頭弁論35回,原告から提出された準備書面が36回,被告らからは32回の準備書面が提出された。 証拠書類だけでも原告から152点,被告から55点が提出され,判決文は実に71頁の長文となった。 どの数字を見てもトップクラスの高い水準の訴訟と言える。

平成8年当時は,未だ個人の特許訴訟事件としては5億を超えるものは見当たらず(原告調査範囲での認識), 本件訴訟が個人の高額特許訴訟の始まりとして位置づけられるのではないだろうか。
事件当事者として痛感したことは,個人レベルで一つ一つ証拠を集め立証し,企業と対等に闘っていくには, 本人でなければ分からない実に大きなハンデがある。 特に当該事件のように長期化した場合には尚更のことと思う。

現在高額な特許訴訟が相次いでいる中,事件の原告当事者として闘っておられる発明者諸氏の頑張りによって, 将来,発明家の地位が少しでも向上するようこれからも益々頑張って頂きたく切望する次第である。

本件は原告,被告双方から東京高裁へ控訴されました。
特許訴訟・判例



発明の報奨金が高騰化


<報奨金の高騰化>

【日本労働研究機構の調査】
62.1%の企業に発明に対する報奨金制度があり、うち3分の2が実績補償を実施、 最近5年間に3割の企業が報奨金額を引き上げ、今後、引き上げを予定している企業も約4割となっている。
また発明等を報奨金以外の処遇にも反映する企業は72.3%に達する。
(平成14年9月 日本労働研究機構の調査より)



<報奨金の高騰化>

【藤沢薬品工業】
藤沢薬品工業は1月20日、研究者らの発明に対する報賞金について、 支給額の上限を撤廃すると発表した。 同社は2年前に現在の制度を導入したが、上限は200万円で、製薬業界だけでなく、 ほかの業界からみても見劣りしていた。 上限をなくすことで研究者らの意欲を引き出す。
(平成15年1月21日 朝日新聞ニュースより)



<報奨金の高騰化>

【発明協会の調査】
職務発明に関する会社と従業員との権利関係はどうあるべきか――。 発明協会(会長・豊田章一郎トヨタ自動車名誉会長)が研究者を対象に職務発明についてのアンケートを実施した。 企業が特許を受ける権利を承継するため、従業員に支払う「相当の対価」を巡り訴訟が相次ぐなか、 研究者の約半数が「相当の対価は双方が自由に合意して決められるようにすべき」と考えていることが分かった。
(平成15年1月24日 日経産業新聞より)



<報奨金の高騰化>

【住友金属鉱山】
住友金属鉱山、優れた特許は青天井、 三菱ウェルファーマ、新薬売り上げに連動
産業界で従業員の職務発明に対する報酬額の上限を撤廃する動きが広がってきた。 一件の特許でも製品の競争力を大きく左右する製薬業界や素材業界などで上限をなくす例が目立つ。 研究者の意欲を高めて技術開発力を強化するとともに、発明の対価を巡って頻発する会社と社員の係争を未然に防ぐ狙いもある。
(平成15年1月27日 日本経済新聞 朝刊より)



<報奨金の高騰化>

【文部科学省】
文部科学省は1月29日、国立大学や大学共同利用機関の教官が得る特許収入の上限 (1人年額600万円)を撤廃することを決め、1月1日にさかのぼって実施した。 努力が収入につながる仕組みにすることで、政府が掲げる知的財産大国の実現につなげる狙いだ。
(平成15年1月30日 朝日新聞ニュースより)



<報奨金の高騰化>

【大日本スクリーン】
2003年2月20日、大日本スクリーンが100回目の職務発明審査会を開催
大日本スクリーン製造株式会社(本社:京都市上京区/社長:石田明)は、このほど、職務発明報奨制度の制定40周年を迎え、 社員が発明した製品に対する貢献度を審査し、等級を付ける職務発明審査会の100回目を開催した。

大日本スクリーンの職務発明報奨制度は、1963年に制定された規定で、技術者一人ひとりの研究・開発を奨励し、開発考案された発明の活用を促進するもの。 この規定に基づいて、各部門から選出された特許審査委員で構成される職務発明審査会が年4回開催され、個々の発明がもたらした製品の売上・利益や工業所有権の独占性などを評価し、7級から特級までの8段階に分類。その等級に従い、7級の3万円から特級の100万円以上で上限がない報奨金を発明者に支給します。発明者が審査までに退職したり、故人となった場合も給付される。
この制度により、前年度は約200件の発明が審査の対象となり、総額約2,000万円の報奨金が支払われている。 なお、この40年間でのべ約2,000人の技術者が報奨されている。



<報奨金の高騰化>

【日本弁理士会の見解】
日本弁理士会では、職務発明制度(特許法第35条)のあり方についてこのたび日本弁理士会としての見解をとりまとめて公表した。 (この見解は、今後の議論により修正することがある。平成15年1月27日、日本弁理士会)
日本弁理士会としては、この見解が、職務発明制度に関する議論と理解の深まりに寄与することを期待している。
特許法第35条について、日本弁理士会の見解内容は以下のとおり

日本の特許法は発明の保護を図ることにより発明を奨励し、産業発展を目的としている。この発明の保護は、 発明をした者或いはその発明の承継人を保護することを意味している。現在の特許法に定める職務発明規定(特許法第35条)は、 企業の従業者等に代表される発明者を保護することで発明を奨励し(インセンティブを与え)、産業発達を促すことを目的としている。 しかし、戦後日本は、順調な技術革新に基づく経済発展のおかげで、過去数十年間にわたってこの発明に対するインセンティブを引き起こすための 職務発明の規定が経済活動の表舞台に登場する機会はほとんどなかった。つまり、それほど発明に対するインセンティブを必要としてこなかった。
しかし、バブルの崩壊という過去にない経験と、中国を始めとする発展途上国であった国々による技術力の向上、即ち、 技術活動と経済活動がグローバル化し、発展途上国といわれてきた国々による追い上げが激しさを増す中で、 日本が更なる発展をとげていくためには、これまでにない強力な技術力の向上が必要である。 そして、そのためには、産業競争力を強化する発明へのインセンティブが今もっとも求められている。

ところで現行特許法第35条を簡単に説明するならば、「従業者等が職務上の発明をした時は、 使用者等はその発明について実施をする権利を有するのはもちろん,その発明についての特許権を使用者等に承継する契約や勤務規則等を定めることができる。 また職務発明について上記契約や勤務規則などにより使用者等に特許権を承継させた場合には、従業者等は、相当の対価を得る権利を有する。」ということである。 この規定に言う相当の対価を受ける権利は、第35条第4項に定める使用者等における利益と貢献度を考慮した相当の対価を請求することの出来る従業者等の権利である。



<報奨金の高騰化>

【結論】
このように実施補償金が注目或いは高騰化する中で,それを反映して最近では特許訴訟も大型化している。
例えば味の素の「20億円訴訟(平成14年)」,日亜化学工業の同じく「20億円訴訟,その後100億円,さらに200億円に変更(平成13年,変更平成15年)」,及び昭和産業・敷島スターチの「16億円訴訟(平成14年)」,日立製作所の「9億円訴訟(平成10年)」などがある。
また,上記トピックスの項で記載した水戸地裁 土浦支部で,平成15年4月10日に判決の言い渡された平成8年(ワ)第202号事件の係る訴訟も,請求額が5億円を超えるので高額訴訟と言えるでしょう。
このような個人の高額特許訴訟の中で,上記202号事件が一番早い時期に提起されていることは,高額訴訟の元祖として特に注目に値するところである。
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