『ラジャー』って何じゃ? (2002/05/18)
 
ギモンの背景■

ある時、Emailを通じて何か用事を頼まれ、その返答として「ラジャー」と書き送った後、

ところで「らじゃー」ってなんだよ

と思った。私が持った初期の「ラジャー体験」は、もちろん「ガッチャマン」である。

 
■ラジャーへの目覚め■

その後、ハリウッド映画などを見るにつれ、軍用機パイロットが管制官や司令部との通信の時に「Roger,over」とか言っているのを聞き取るようになる。その時、

「待てよ、『Roger』って『ラジャー』のことじゃないのか?」
「なんだよ、英語だったのかヨ」

と気付く。もちろんそれまでは完全にガッチャマン語だと思っていた。

 
■リサーチ開始■

「研究社リーダーズ+プラスCD−ROM」によると、

roger
int. 【通信】 了解 (received (and understood)); 《口》 よろしい, 了解 (all right, O.K.).

とある。よろしい、そこまでは分かった。でもなんで「Roger」なんだ。誰だよ、Rogerって。なんでGingerやDanielじゃダメなんだ?何かの省略にも見えないし・・・。というわけで調べてみた。

 
検索語:roger received and understood
検索結果:http://www.google.com/search?sourceid=navclient&q=roger+received+and+understood
 
■ラジャーの真相■

その昔、無線通信が利用され始めた時代、あまり感度がよろしくない環境下で言葉を伝達するために、単語を一文字ずつスペルアウトする必要があった。今でも電話で自分の名前を伝える時なんかによくやるけど。そう、例えば、

「(以下英語)えーっと名前はですね、タナカです、タ・ナ・カ。ティ、エィ、エンヌ、エィ、ケィ、エィ。いえ、ディじゃなくて『ティ』です。『トム(Tom)』のティ・・・」

なんていう具合に。こんな風にして、電話や無線で音声を伝送する時に、文字の確認のために、その文字がアタマについた単語を言って相手に理解させている訳なんだけど、通信の世界では使用される「標準単語」の組があって、それを「phonetic alphabet(フォネティック・アルファベット、直訳すると『音標文字』)」という。よく使われるのが、

Alfa, Bravo, Charlie, Delta, Echo, Fox-trot, Golf, Hotel, India, Juliett, Kilo, Lima, Mike, November, Oscar, Papa, Quebec, Romeo, Sierra, Tango, Uniform, Victor, Whiskey, Xray, Yankee, Zulu

という1セットで、他にもいろいろある

このAlfa, Bravo・・・は1955年ぐらいから使用されているモノらしいが、それより以前にもphonetic alphabetは存在した。1941年から米国海軍と英国空軍で使用されていたphonetic alphabetでは、「R」を表すのに人名の「Roger」を用いていた。それまでは「Robert」を使っていた場面もあったらしいんだけど、第2次大戦では、「Roger」が多くの場面で標準として使われたんだそうだ(ちなみに日本語にもあるらしい。「朝日」の「ア」、 「上野」の「ウ」、 「切手」の「キ」・・・)。

時期を同じくして、「R」はモールス信号のオペレーターが、通信文を送ってきた相手への返答として、「message received(メッセージ受け取りました)」の意味で使っていたらしい。それはただ「受け取りました」を意味するだけでなく、「理解しましたor了解しました」までをも含んだ応答であるのだ。いいですか?ここまでついて来てますか?

私は通信者。メッセージが来たぞ。返事しなくては。

「received and understood(受け取って了解しました)」と送りたいところだが、

長いし、時間ももったいないから、文の頭文字とって「R」と送ろう

でも、一文字送っただけで間違えられては困る。phonetic alphabetだと「R」「Roger」

だから「received and understood」なんて長ったらしく言わないで、かわりに短く「Roger」と言えばいい決まりにしよう

科学忍者隊でもこれを採用すべし


とにかく、この「Roger!」がステレオタイプになってしまったため、ホントは「R」phonetic alphabetの1セットの中では「Romeo」なんだけど、「received and understood」の時だけはどうしても「Roger」になるという現状なのだ。

 
■ちなみに■

映画観てると、同じ意味で「Copy that」なんて言ってる時もある。でも「Roger」の方がカッコイイっす。それから「Roger, Wilco!」なんて叫んでる場合もあり、この場合の「Wilco」はphonetic alphabetではなく、「I will comply(従います)」の省略になっている。意味は「I have received your message and understood it and I will carry out your orders.(そちらのメッセージを受け取り、理解し、これから命令を遂行します)」となり、かなり長い。でも一言で済むわけだ。

 
■ところで■

調子に乗って「らじゃーっ!」なんて言ってると、やらなくてもいいことまでやるハメになったりしないであろうか?断りたい時は「No」ではなく「Negative」といいましょう。もちろん、相手がそれをわかってくれないとダメだけど・・・。

 

■類義語■
「アイアイサー」(わたし的にはタイムボカン語)
NEW Hさん(30代男性・足立区在住)より:「アイアイサーは『シャザーン』語です。『出てこいシャザーン』」
  アイアイサーに歴史を感じます。ありがとうございました。
(2002/05/19)
 
■出典■
http://www.worldwidewords.org/qa/qa-rog1.htm
http://www.btinternet.com/~kessler/Airsoft/WASPS/communications.htm
 
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