官能山岳スキー小説風「四阿山」
           お・ち・て・い・く    


    あっ。
   突然の激しい愛撫に呻いた。
   首筋といわず目蓋といわず、熱い吐息が襲う。その度に身体を硬く 
  した。
     ちぎれるほど舌を吸われ強く耳を噛まれた。
   荒々しくのびた手が衣服を剥ぎ取ろうとしている。
   もっと・・・。
   声を振り絞ったつもりが、ブリザードにかき消されたかのようにか
  すれていた。
   押し寄せる波がひとつ通り過ぎると、次が来るのを待っている自分
   がいた。
    男の呼吸の合間を縫って薄く目を開いたが、深い霧の中を彷徨って
  いるかのように判然としない。ただ不規則で忙しない息使いだけが身
   体中を這っていた。
   私は本当に目を開いているのかしら。もしかしたらまだ瞑ったまま
   なのかも知れないわ。
   そんなことを意識の底で思っていた。しかしそれも次第に乳白色に
  かき消されていった。
   女は手に触れたものを夢中で握りしめていた。何度も揉みしだくと
   熱いものが溢れた。 

   気がつくと暖かな腕に抱かれていた。耳元で安らかな寝息が聞こ
  えている。
   あれほど乱れた姿を見せた恥ずかしさから顔を向けることができ
  なかった。
   男はもうそんなことは忘れしまったかのように眠り込んでいる。 
 
   ばか。
   男の顔を盗み見て、呟いた。
  照れ隠しのように男の足許に顔を近づけると甲に頬を
 擦り寄せ、つま先から唇を這わしていった。
  膝のウラから腿の奥へと愛おしむように舌先を尖らせ
 て辿った。
  抱え込んだ男の足が胸のあたりを滑り、敏感なった部
 分を刺激されて小さくのけぞった。
  ひしゃげるまで強く胸を押しつけ、もう一度先ほどの
 快感を求めた。
  その途端、髪を掴まれ、強引に核心部に導かれた。
  夢中で頂を極めると再び官能の嵐が襲ってきた。
   お・ち・る。
  遠いどこかでピシッとなにかが裂けるような音がした。
  どこまでも深く雪崩落ちていく自分を見た。
  雪刳れの中で溺れながら・・・


官能の谷深く雪崩落ちていく女(中央左下)



男は勝ち誇ったように快楽の余韻に浸った。