大工(でーく)サトーさんへ              

 サトーさん、やっと稲包山登れたよ。
 よくサトーさんの小屋に寄る前に登りに行ってた山だけど、
いつも山頂は踏めなかった。
 気がついたら3年越し5回目の挑戦だった。
 でも今日は天気は風もなくてサイコーで、
おまけに登山口まで除雪されていてラッキー!
 歩き出しは夏道通りに行くけど、
すぐに右の尾根に取り付くのがポイントなんだ。
 ツボでほんのヒト登りで着くよ。
 それからアトはもう尾根を一気に詰めるだけ。

     

 最初の送電鉄塔からは見晴らしも良くなり、平標もすぐそこ
に見える。
 きっと一緒だったらこの辺で、
「ビール、しえてっかんネ」
 って声が掛かるんだろうね。
 そしてメスバチが
「そうか、しえてっか」
 ってマネするんだ。

 二つ目の送電鉄塔から上は主稜線になだらかに繋がる尾根で、
サトーさんの好きなブナも立派なのがたくさんあるよ。
 ここまで来たらブチブチ文句言いながらついて来るイノさん
ちも
「ヨッちゃん、きれーネ」
 って感謝するさ。

        

 頂上部は端正な三角形でソフトクリームみたい。そういえば、
鳥海でソフトクリーム、アイスクリンと立て続けにゴーモンの
ようにおごってくれたよね。
  サトーさんの行ったマッターホルンには及ばないけど、
群馬のマッターホルンさ。
 ほんのちょっとだけビビリながら狭い山頂に立つと、それこそ
360度の展望。このまま遠く白砂山までもいける気分。
 六合村のおっさんちまで行って驚かせたいね。
 勿論ここでもとーぜんビールといきたかったけど、今日は一人、
滑降も心配なのでぐっと我慢。今度行ったときは飲もうね。
 
 二本の鉄塔の間は狭い尾根。あのおとぼけスッチー、デコッパチ
の旦那のコバちゃんが滑りたいと見上げていた尾根なんだ。
 そこを申し訳ないとつぶやきながら一人で滑った。
 ターンの度に雪玉が出来てそれが後を追いかけてくる。昨日降っ
た雪がまだその下の雪と馴染んで無かったんだ。
 ボンなら奇声を上げて転げ落ちるように滑るところだ。

 下の鉄塔からは右に雪田があるので少し踏み上がる覚悟で滑り
込む。
 これが二つ目のポイントかな。
 後はスキーにはうっとうしい植林になるので、さっさと担いで
降りた方が賢明だった。
 おっとその前にビールで大休止。

 車に着いてもまだ1時でさ。これはお手軽だよ。
 今度一緒に行こう。大好きな法師温泉にも入れるよ!
 じゃ。
                   平成13年4月5日 
 
     


山旅