Basura

 

年末がやってくると、ブエノスのオフィス街では、とある恒例行事が毎年必ず行われます。どんな行事かというと、仕事納めの12月末日の正午、あちらこちらのオフィスの窓という窓から、切り刻まれた書類や不要となった紙類が一斉に路上にばらまかれるのです。真っ青な夏空の中を舞う紙吹雪は、遠目には美しいかもしれませんが、ばらまき終えた後の街と言ったら・・・ただの「ゴミ通り」でしかありません。その後、市の清掃局の人たちがやって来て、箒とちりとりで路上を片っ端から清掃していくのです。まき散らされた紙の総重量はいったいどのくらいでしょう?何十トンにも及ぶのでは・・?

 

日本ではゴミ処理場があと何年分しかないと言ったゴミ処理問題が連日新聞で取り上げられるようになりました。人口が日本に比べると3分の1で国土が7倍のアルゼンチンでは、まだまだゴミを処理する場所は沢山あり、このようなゴミ処理場用地確保の話題が出ることはまだありません。

 

さて、ブエノスアイレスのゴミの収集方法は、燃えるゴミも燃えないゴミも分別せず一緒くたに袋に入れて出します。アパートによっては、裏玄関の外に出すだけで、夜になるとアパートの管理人(ポルテーロ)が収集に来てくれたり、共有のダッシュボードに袋ごと放り込むだけなど、日本の早朝のゴミ出しに比べたらなんとも極楽とんぼなゴミ出しの方法です。それ以外に、日本と同様、マンションの共有ゴミスペースに各自が持ち込んで捨てる所もありますが、やはり最低限の分別(ガラス類は分けるなど)以上は義務づけがありません。ちょっと都心部を離れると、家と隣家との中間くらいの道沿いに、ゴミを入れるためのカゴが地面から高い位置に取り付けられていて(野良犬などがゴミを漁らないようにしているのでしょう)、みなその中に袋に集めたゴミを入れます。美観を損なっていてもまったくお構いなしです。

 

集められたゴミは道端に一カ所に集めて置かれるのは日本と同じですが、ブエノスアイレスのゴミ収集車は21時〜夜中の1時くらいの間にやってきます。

北欧製らしい巨大で頑丈なゴミ収集車が家の前に来ると、ゴーッという凄まじい音を立てながらゴミを圧縮し収集して廻るのですが、寝る間際の時間にこの轟音が響き渡ると、あまりの煩さにしばし寝られなくなることも結構あります。以前も書きましたが、アルゼンチン人はとにかく深夜の騒音に対して寛容で、ゴミ収集車の音の他、週末行われるパーティーの大音響、サッカーの試合後の絶叫などなど、比較的何でもありといった具合なのです。

 

ゴミ箱は電柱などに備えてあるのですが、通行人や車の窓からのたばこや飴の包み紙の道へのポイ捨ては当たり前で、ゴミに対する意識(モラル)は、かなり低いようです。嘘か本当か定かではありませんが、アルゼンチン人が路上にゴミを捨てるのは『そのゴミを片づけることで生計を立てている人が存在するのだから、彼らの仕事を減らしてはいけない』という理由に所以しているとか(不思議と説得力があって怖いですね)。年末恒例の紙吹雪も、同じような理屈が、もしかすると働いているのかもしれません。一方、ゴミ箱に何か有用なものはないかと、柱に付いているゴミ箱を片っ端から見て回る貧しい人たちの姿もよく目にします。問屋街の路上に出されたゴミの袋を破っては、使えそうな端切れや再生できそうな紙を集め、リアカーに乗せて運ぶ姿も日常的なものです。そうした人々の行動には、単にモラルがないと一言で片づけられない何かを感じます。

 

ゴミ問題について、世界中の国の意見が統一されるには、まだまだ莫大な時間がこの先必要かもしれませんね。

 

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