Montar Caballo

 

アルゼンチンといえば広大な草原パンパPampaを思い浮かべる方も多いでしょう。地平線の彼方まで続くパンパを馬に乗ってひた歩く−いかにもアルゼンチンらしい、雄大な時の過ごし方、楽しみ方です。とはいえ、普通の家庭で車を持つように馬を持っているのかと言えば、もちろんそんなわけはありません。アルゼンチン人は一般的にどのようにして馬と親しむのか、今日はそんな話題です。

 

エスタンシアEstanciaと呼ばれる、数百年一族の間で代々受け継がれてきた荘園や牧場の中で週末などを観光用に解放しているもの、あるいは大きい郊外の公園を訪れると、大抵は端の方に数頭の馬Caballoが繋いであって、そこを訪れる人にしばしば貸してくれます。値段は1時間で6ドルくらい。エスタンシアなどは予め入園料に含まれている場合もあります。経験者は問題ありませんが、乗馬の心得のない初心者でも、こういった場所ではペオンPeonと呼ばれる荘園の使用人やガウチョGaucho風の牧童が鞍や手綱を調整し、自らも馬に跨(またが)って先導してくれたりするので安心です。基本的には一頭につき一人が原則ですが、小さな子供や一人で乗るのが不安な人は、牧童が操作してくれる4頭立ての馬車に乗り込んだりして行くことも出来ます。

 

さあ、準備が出来たら広い敷地の中を仲間と馬に跨って散策の開始です。大抵はおとなしい馬ばかりで突然走り出すような危険はありませんが、逆におとなしすぎて脇腹を靴で叩いても蹴っても一歩も動かないものもいたりします。そういう時はあたりを見回して手頃な枝を探し、再び馬に跨るといいでしょう。不思議なもので、まだ叩いてもいないのに馬はパカパカ歩き出します。「後ろに目が付いている」とはまさしく馬のことで、それでも止まったりするなら、枝を思いっきり振り上げます。少々乱暴なようですが、そうすると叩きもしないのにまた歩き始めるから不思議です。これは比較的、乗馬の心得がある人たちだけが行った方が無難。馬が「自然が呼んでいる」理由で止まっている時にこれをやるのは避けましょう(何のことか、わかりましたか?)。馬は一列になってぞろぞろと歩き出し、ほんのちょっとの手綱さばきだけで進行方向を操作し、あとは気の向くまま、ゆっくり景色を堪能しつつ、パカッパカッと蹄の音に耳を傾けてみたり・・・馬は賢い生き物ですから、跨っている人のことをすぐに理解すると言います。出来るだけ不安な気持ちを捨てて、馬を支配しているように振る舞うようにします。アルゼンチン人はこうした態度を取るのに長けているのか、数時間であっという間に上達する人がけっこういるようです。

 

田舎(カンポCampo)で馬に乗る遊びは通常カバルガータCabalgataと呼ばれます。パンパだけでなく、バリローチェBarilocheのような緩やかな山間の地やサルタSaltaのような乾燥した山岳地を行くなど、アルゼンチンでは至るところでこのカバルガータができます。

地元の旅行社に行くと、出発地から馬に乗って2時間行き、そこで昼食の焼肉アサードAsadoを楽しみ、暫くくつろいで、また2時間馬に乗って帰ってくる、なんていうツアーをあちらこちらで取り扱っており、バスツアーとはひと味違った楽しみ方が出来るのも嬉しいです。ただし、このツアーは体力的にも若干きつく、途中でイヤになって馬を放棄することが出来ないので、それなりの覚悟は必要かもしれません。お尻も痛くなること必須です。

 

アルゼンチンのあまたある美しい光景を馬の視線から眺めてみる、なかなか素敵だと思いませんか?

 

 

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