LA CASA

 

南米屈指の大都市・ブエノスアイレスの市内にはおよそ300万人、グラン・ブエノスアイレスGran Buenos Airesと呼ばれる郊外も含めれば1000万人の人が住んでいます。飛行機で上空からブエノスの街を見下ろすと、その規模の大きさに驚かされますが、大都市のご多分に漏れず、高級住宅街もあれば貧民街もあります。

 

マンションDepartamento

ブエノスアイレスの中でも、ミクロセントロと呼ばれる商業・経済の中心地や、ベルグラーノ、レコレータなど高級住宅地、そして各国の大使館が建ち並ぶパレルモ・チコといったバリオ(地区)では、一戸建ては極めて少なく高層マンションが主体です。

一戸建てが少ない理由に泥棒など治安上の問題もありますが、それらの地区の地価が高いことも手伝って、マンションはだいたい10階建て以上が普通です。

マンションには「ポルテーロ」(守衛・管理人の役割をする人)が常駐する所もあれば、そうでない所もあり、ベルグラーノやレコレータ地区のマンションでは大半が「ポルテーロ」常駐型と言えます。

それによってより安全で便利な暮らしが確保されるため、多少家賃が高くても、こうしたマンションを選択する人がいるわけです。

反対に、居住者が自主的に管理を行うタイプのマンションでは、玄関の開閉に始まり、ゴミ出しや郵便物の受け取りに至るまで全て本人がやることになります(日本のマンションとほぼ同じと考えていいでしょう)。

居住者は夫婦、家族、または独身者が友人と共同で借りたりするケースも多く、ペットを飼うことも日本に比べて寛容だと言えるでしょう。

 

マンションの構造と住所の表示

 

 まず階の数え方ですが、日本で言う「1階」はプランタ・バハPlanta Bajaと呼ばれ、エレベーターのボタンでは省略して「PB」とか「0」などと表示さ

れています。

高級マンションだと「PB」には玄関と、その隣に駐車場の入り口だけで住居はありませんが、一般的なマンションだとプランタ・バハにも部屋がある場合があります。

ただしこちらのマンションは建物と歩道の境に植木や花壇などが無く、道路側に面した窓を開ければすぐに行き交う人が見え物騒で、しかもあまり落ち着く雰囲気ではないので、結局は窓があっても一日中ブラインドを降ろしたままなってしまいます。

希にコの字型をした造りの場合だと、隣のマンションとの壁に挟まれて、中庭(Patio)のように吹き抜けの小さなプライベート・スペースが持てたりします。

日本式の2階はプリメール・ピソPrimer Pisoと呼ばれ、「1階」という意味になります。以降Segundo Piso, Tercer Piso,・・・(2階、3階・・・)と呼ばれます。

地下がある場合には、「地下一階」をプリメール・スブスエロPrimer Sub-sueloと呼んでいて、通常は駐車場や機械室になっているところが多いようです。

 同じ階に一軒しかないという超高級マンションも存在しますが、複数に分かれている場合には、A,B,C,・・・と番号が付きます。ですから、3階のCに住んでいる場合には、簡単に3-Cと書く場合もありますし、契約書などちゃんとした文章ではPiso 3* Dept. C と書く場合もあります(注:*の部分は、数字の肩の部分に白丸、白丸の下に線を引いた記号(○)を書く。この記号は序数を表す。Dept.はDepartamentoの省略形)

 

部屋の広さ

 

   部屋の広さは、どんなに安いところを借りても(買っても)日本よりは圧倒的に広い感じがします。

というのも天井が日本のマンションに比べ遙かに高く、特に古くて50年以上経っているマンションの場合は、昔冷房設備がなかったせいで天井が3メートル以上もあるからです。

不動産屋さんの表示方法は、例えば2dormitorios(2寝室)や3ban~os(3洗面所)と書かれていれば、頭の数字は寝室や洗面所(トイレ以外にバスタブとシャワーが付いているかどうかは尋ねないとわからないですが)の数を示しています。

ちょっと大きなマンションだと、それ以外に必ず住み込みのメイドさんの部屋が付いています。

一人暮らしのマンションでも60平方メートル、中にはパレルモ地区にある高級マンションのように700平方メートルなんていう、掃除するだけでも気の遠くなるようなマンションも存在します。

 

マンションの値段

 

  それこそ「ピン切り」ですが、借りると月200ドルくらいから7000ドルくらいまであります。

買う場合は、20000ドルから700000ドルくらいまで、つまり月の家賃が買値の1%くらいが相場になります。これは年率12%ですから、管理費を差し引いても、投資としては非常に効率のいいもので、アルゼンチンの資産家は不動産投資によって生計を立てている人が大勢います。

月200ドル以下のものは古かったり、水回りや日当たり、地域の治安が悪いなどの理由で安い訳ですが、広さは十分あるのが日本のマンションと違うところでしょうか。

日本で言う「億ション」の値段帯に相当する百万ドルマンションも無いわけではありませんが、本当に数えるくらいでしょう。

こうした超高級マンションは買値もそうですが、維持費も大変なものです。

プールやテニスコート、レセプションルームはあたりまえのようについていて、エレベーターが何基も設置してあり、警備員を何名も24時間常駐させているため、管理費も数千ドルになるなど相当なものです。

 

郊外の家

 

ブエノスアイレス市内を少し外れると、大統領官邸のある地区があり、その一帯は郊外でも特に高級住宅街として知られています。

都心の喧噪を離れ、緑も多く静かで理想的な環境の中、立派な一戸建ても多いのですが、治安対策から周囲を高い塀や格子で囲っています。

また、個人でホームセキュリティーサービスを契約したり、地区単位で自衛警備員を雇ったりと、安全対策には余念がありません。

敷地内には庭や花壇もあり、人目に触れる場所はいつも整然として大変美しいです。

それが引いては地区の美観を担っていると言っていいでしょう。

もちろん、郊外にはそうした高級住宅街ばかりでなく、所得の低い層が暮らしているマンション群も多数あります。

それでも広さは日本の2DK以上はあるのではないでしょうか。

ただ、一度入居すると簡単には住まいを替えないらしく、かといって修理・補修を行うゆとりもないためか、水回りなどはかなり古くなってもそのまま使われているのが現状のようです。

こうした地域では建て替えの問題も深刻になっています。

そして、地図では緑地になっているにもかかわらず、実際に行ってみるとブロック煉瓦を積み重ねただけのバラックの平屋が隙間の無いほど連なっているような不法占拠の貧民街もまた多数存在します。

このような場所では、アルゼンチン人ばかりでなく、周辺の国からの不法滞在者も混在しています。

 

家の値段

 

ブエノスアイレスの家は他の地域に比べると大変高いですが、それでも10万ドルくらい出すと一戸建てを買うことが出来ます。

東京で家を買い求めるように40万ドルも出せば、ここではかなりの豪邸が購入できてしまうのです。地方なら2万ドル程度から探すことが出来るようです。

ただし、日本の「実質ゼロ金利」と違い、住宅ローンの金利は最低でも10数パーセントと非常に高いですから、借金で家を買うには自ずと限界があるかも知れません。

 

国は諸問題を抱えて貧しくても、住居は広く、意外と豊かな生活を送っているのがアルゼンチンかもしれませんね。

 

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