CHARANGO

 

  このコーナーでは、各国のチャランゴの名手を中心にお勧めのCDをご紹介します。

グスターボ・パティーニョ Gustavo Patin~o 「Pueblo Hermano」(1999)

イエス・キリストを彷彿させる風貌。チャランゴを弾きケーナやサンポーニャを吹きまくる。日本ではあまり有名ではないが、アルゼンチンでは1998年辺りからブレイクした。年齢から考えても長い下積みがあったことが想像されるが、技術的にもかなりしっかりしたものがあり、チャランゴも独自の世界がある。このCDは1作目の「Tawantinsuyu」に続く2作目で、1曲目の「春の恋」はヒット曲となった。楽器の演奏だけでなく声もなかなか良い。コンサートでもバックバンドを従え一人で歌い、演奏しているが、ほとばしるリズムを全身で表現する姿は印象的だ。(DBN CDM-51.604)

 

ハイメ・トーレス Jaime Torres 「Amanta」(1995)

ハイメ・トーレスはアルゼンチンで最も有名なチャランゴ奏者で、70、80年代に日本でもコンサートをしたことがある。1964年から演奏を続けている大ベテランの、作曲家でピアニストでもあるアリエル・ラミーレスと演奏するようになってアルゼンチンの代表的なチャランゴ奏者の地位を築いた。このCDはその集大成といえるもので、古くは1965年に録音された曲に始まり幅広く同氏の演奏を集めている。現在でも首都圏を初め各地でバックグループを従え意欲的にコンサートを行い、北部(アンデス系)フォルクローレ音楽の普及に努めているようだ。フフイのフォルクローレ祭典「タンタナクイ」の主催者としても知られるが、この祭典が1998年から開催費用等の問題で中止となったのは非常に残念。(Polygram 529157-2)

フリオ・ベナベンテ・ディアス Julio Benavente Diaz 「Charango et chants du Cuzco」(1988)

ペルーのクスコの音楽を、スチール弦のチャランゴで演奏している。1913年生まれで、7歳の時から演奏しているという。CDを聞いていると、クスコの街角で弾いている盲目のハープ弾きの哀しい音色や、田園風景が思い浮かぶから不思議だ。しかし、かなり「田舎の民謡」なので、聞き慣れない人にはもしかしたら退屈かも知れないが、都会の喧噪に疲れた心を休ませてくれるのは案外こういう素朴な演奏なのかも知れない。Ocora C 559037

 

 

ウイリアム・エルネスト・センテージャス William Ernesto Centellas 「Concierto Andino」

ボリビアの環境音楽系チャランゴ奏者といえば、やはりセンテージャスをおいて他にいないだろう。チャランゴとギター、それにパーカッションのみの小編成で、歌も入れずに独自作品を並べている。卓越した技法というのはないが、一音一音を大切に弾く弾き方は好感が持てるし、少ない弦の中で音を組み合わせる方法はチャランゴを知り尽くした技とも言える。80年代に何回か来日しているので日本にもファンが多い。写真のCDは5ドルで販売されていた廉価版で、アルゼンチンで制作されたもの。ボリビアのラパスを訪ねた際、彼のチャランゴのプライベートレッスンが一時間5ドルという張り紙を見て心が揺らいだ思い出がある。日本からすれば激安だが、ボリビアではそれでも十分に生活できるのかも知れない、などと思った。(Soundtape CD 2516) 

アレハンドロ・カマラ Alejandro Camara 「Charango Iridiscente」(1995)

アルバムのタイトルは「虹色のチャランゴ」。題名通り、とにかく弱音から強音、流れるような音の作りから激しい音まで、チャランゴを自由自在に使う音の厚みは間違いなく現在のチャランゴ奏者の中でNo.1の技術だろう。彼はボリビアの美空ひばりZuruma Yugarのバックチャランゴを長く務め、このときに私は初めて彼の演奏を聞き、その虜になってしまった。特に4曲目の「ベニの浜辺で」は何度もその演奏を真似ようと練習した特筆に尽くしがたい素晴らしい演奏だと思う。その後彼は独立して、自身のグループSemillasを作った。このCDは来日を記念して日本のミュージック・アミーゴスから発売されていたもので、日本を代表するフォルクローレギタリスト木下尊惇氏とのドゥオで録音されたもの。来日の時には既にアルゼンチンにいたので、その場に居られなかったのが本当に残念だ。(FB-6001)

エルネスト・カブール Ernesto Cavour 「La Partida」(1992)

チャランゴという楽器を弾いている人で彼の名前を知らない人はいない。かつては伴奏にしか使われなかったチャランゴを、まさに独立したひとつの楽器として確立した一人者で、ボリビアの人間国宝的存在だ。現在ボリビアのフォルクローレといえば、彼が30年も前に始めたグループ「ロス・ハイラス」の流れを組む演奏スタイルが一般的だ。チャランゴの弾き方も前衛の人らしく、ありとあらゆる事を試している。ボディを叩くのは序の口、独自の形の違うチャランゴや、調弦の違うチャランゴを何本も用意して演奏される。コンサートではこうした多彩な面を見せてくれるし、同氏がボリビアのラパスに開いているチャランゴ博物館も一見の価値がある。また、80年代には多数来日している。このCDは同氏が作曲した曲が殆どで、同氏の作品の集大成になっている。余談だが、同氏が同じラパスで開いていたライブハウス「ペーニャ・ナイラ」が1997年に閉店してしまったのは、ある意味で彼が築いたフォルクローレの一時代が終わってしまったようだ。(Tudor 885)

 

 

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