Chamame

 

 

アルゼンチンには「タンゴ」Tango以外にも、日本の民謡と同じように古くからチャマメを踊る人形の伝承音楽や踊りが存在します。米国などではこのような音楽を「フォークソング」と呼びますが、これをスペイン語では「フォルクローレ」Folkloreといいます。

フォルクローレというと、一般的に「南米アンデス地方の民族音楽」として認知されていますが、実際はアンデス地方に限らず、中南米諸国の伝承音楽と、その流れを汲む音楽全てを総称してフォルクローレと呼ぶと考えて良いでしょう。

そして、日本の民謡が地方毎に異なる特色を持っているのと同じように、それぞれの国でも多種多様な特色が存在します。アルゼンチン・フォルクローレも地方によってそれぞれ特徴のある音楽、踊りがあり、今現在も人々の間では(こと地方においては)盛んに演奏されたり踊られたりしています。

有名なところではチャカレーラ、サンバ、ガトなどがあります。

 

その中でも「チャマメ」は、ブエノスアイレスから北へ500キロくらい行ったコリエンテス州(Corrientes)を中心に、エントレ・リオス州(EntreRios)、ミシオネス州(Misiones)の3州(メソポタミア地方Mesopotamiaとか、リトラル地方Litoralいいますが)と、サンタ・フェ州(Santa Fe)などに広がるフォルクローレです。

 

フォルクローレと言っても、チャマメは比較的歴史が浅く、1930年代にメソポタミア地方と国境を接する隣国・パラグアイの代表的なリズムである「ポルカ」と、ヨーロッパからアルゼンチンへ渡ってきたドイツ人やスイス人移民らが持ち込んだ自国の民謡とを融合させた音楽と言われています。

 

(チャマメの音楽)

チャマメの音楽は軽快な三拍子で、聞いていると誰もが楽しく愉快になるようなリズムです。メロディーラインを奏でるのにアコーディオンを使用するあたりがドイツやスイスの民謡そのもので、非常にルーツが分かりやすい音楽とも言えるでしょう。チャマメはその殆どがアコーディオンの「ジャーン」という音で始まり、間奏では、誰ともなく「奇声(これは表記のしようが無いですね。ご想像にお任せします)」をあげて雰囲気を盛り上げます。これは、もう既にお酒がまわって気持ちよくなってるよ、という雰囲気を伝えているのです。使用されるアコーディオンは2種類あり、日本で見かけるような普通の鍵盤式アコーディオン以外に、フランス式と呼ばれるボタン式のアコーディオンがあります。

ここ数年のフォルクローレ・ブームに乗って、チャマメを演奏するグループが増えてきました。その中でもロス・アロンシートスLos AlonsitosやアンボエAmboeなどの若いグループが人気を集めるようになり、若者の間でもチャマメが見直されるようになりました(CDもよく売れているようです)。

往年のラモラ・ガラルサRamora Galarzaなどもラジオから頻繁に流れています。

 

(チャマメの踊り)

チャマメの踊り方は極めて単純です。男女が向かい合って胸を合わせ、お互いの顔をお互いの肩に乗せるような感じに頬もぴったりと合わせて、男性の左手と女性の右手は肘を90度に曲げた状態でしっかり握り、男性の右手、女性の左手はお互いに相手の腰にまわします。かなり密着度の高いこの姿勢でリズムに合わせて体を左右に動かし、押したり引いたりしながら少しずつ足を動かせばオーケーです。お尻はちょっと付き出し気味になります。

繋いでいる手の肘をリズムに合わせて上下にバタバタ動かしたりすると、田舎臭い雰囲気が出て、なかなか見ていていい感じです。

1930年頃から1970年頃までは、カンポ(牧草地)で働く若い男女が

出会うフィエスタの場でこのような踊りが盛んに踊られ、恋の仲介をしていました。というのも、この地方は湿地帯で河が多く、道路も整備されていなかったこの時代、隣町まで行くのにも何時間も船に乗って行かねばならず、男女の出会いの場が極めて限られた中で、チャマメという踊りが唯一の「触れ合い」であり「恋のきっかけ」だったからだと思います。

1980年代になって舗装道路がブエノスアイレスまで整備されると、町から町へ自由に行き来できるようになり、徐々にこのような風習が廃れ、カンポではもはや年輩の人だけが集って踊るものになってきています。

 

(チャマメの衣装)

祭の場では好き勝手な衣装で踊るのですが、そこは普段カンポで働く男女、ちょっとしたステージでも作業着さながらの衣装で踊ります。

男性は麦わら帽子に着ざらしのチェックのシャツ、そして派手なダボダボのボンバチャ(作業ズボン)にアルパルガータと呼ばれるサンダルです。

女性は「大草原の小さな家」の子供たちが着ていたような服装、といえば想像しやすいでしょうか。アメリカの開拓時代の女性の服装そのものです。

 

最近は日本でもチャマメのアコーディオンを本格的に弾く方がいるそうです。

あまり日本では馴染みのないチャマメですが、アルゼンチンにお越しの際は是非一度聞いてみてください。

 

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