「乗馬」Equitacion

 

 アルゼンチンと言えば、タンゴと並んで草原の自由人ガウチョを思い浮かべる人もいるでしょう。ガウチョはずっと馬の上で生活していたといいますから、むかしからアルゼンチン人は馬とは切っても切れない生活をしていたのですね。

まだ存命の老人の中には、ブエノスアイレスの市内に馬車が行き交っていた時代を覚えている、という人もいます。

 

さて、アルゼンチンで馬に乗ることは、田舎に行けばどこでも気軽に出来ますが、本格的にやりたくなったら、エキタシオンEquitacionと呼ばれる「乗馬」のレッスンを取ることになります。

ブエノスアイレス市内には、Hipico Argentinoと呼ばれる最大の乗馬クラブの他、Club Aleman de Equitacion, Club de Gimnacia y Esgrimaなど数カ所の乗馬クラブがパレルモ地区を中心に点在しています。このようなクラブでは、主に子供用のスクール形式のレッスンから、主に大人向けの個人レッスンまでさまざまなレッスンがあります。個人レッスンはクラブが主催しているものではなく、クラブに所属している騎士(ヒネーテHinete)と個別交渉して、クラブの会員になって行うものです。

乗馬クラブには、立派な乗馬場(Pista)以外にも、洒落た喫茶店やショップ、プールや子供公園まで併設されているところもあります。

 

おそらく日本の乗馬と違うのは、準備の殆どをペオンPeonと呼ばれる使用人がやってくれることです。もちろん自分でやることもありますが、だいたいはこのペオンが用意してくれます。

 

乗馬には大きく分けて二つあります。ひとつはSaltoとよばれるジャンプ、もう一つがAdiestramientoと呼ばれる歩庸競技です。

 

Adiestramientoという単語の直接の意味は訓練とかいう意味ですが、乗馬の世界では馬を正確に歩かせたり走らせたりする競技で、右足が出ているかどうか、また馬にスキップさせてそれを左右交換させるなんていう技まで競います。

事前に馬とのコミュニケーションをどれだけとって、どこまで教え込ませてあり、どれだけ正確に足先や体重の移動などでそれが指示できるかるかが勝負になります。

シルクハットに燕尾服などという出で立ちで行われるので、結構厳粛な感じがしますが、やっていることが地味でわかりにくいので、普通の人が見てもよく分からず、大きな大会でもあまり観客が入っていません。

もうひとつのSaltoですが、初めは地面に置いたバーから練習を始め、次に30センチくらいの高さに2本のバーをXにして置いたものを超え、と徐々に高くしていきます。個人レッスンを受ければ、だいたい1年で70センチくらい、2年で90センチくらい飛べるようになります。

2000年シドニーで開かれたオリンピックではだいたい150センチから160センチくらいの高さのバーを飛んでいました(アルゼンチンからもMartin Dopazoという騎士が出場し4位に入賞しました)。高さの世界最高記録はお隣のチリ人で、244センチだそうです。こうなると殆ど高飛びのようです。

 

競馬馬は3歳くらいから6歳くらいまでですが、ジャンプに適した馬というのは、この6歳くらいから調教して15歳くらいまでが一番良いとき、特に10歳くらいが体力と技術が釣り合って最もいいそうです。競馬同様血統で決まるところがあるそうで、アルゼンチンのTamanacoという血統などは高値で取り引きされているそうです。

 

さて、2000年11月12日にはアルゼンチンで最大の国際ジャンプ競技である「Derby」決勝がClub Aleman de Equitacionで開催されました。これは米国やブラジル、チリ、ウルグアイなどの選手も出場する国際大会で、最大150センチのバー以外にも、池越え、バンクの昇降、谷など、様々な環境にセットされた25本以上のバーを次々と飛ぶものです。いつもがらがらの客席がこの日だけは満席になり、特設席も用意されますが、特別席以外は無料です。

 

春の一日、緑に囲まれた乗馬場でコーヒーを飲みながら乗馬の見学というのも、のんびりしていいものです。

 

 

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