人気の理由はどこにある?

 

とにかく前代未聞の「回帰(怪奇?)現象」であることは間違いなさそうだ。

アルゼンチンの若者の間では今、かつてないほどフォルクローレ・ブームが起こっている。いくら筆者がこの分野の音楽が好きだからといって贔屓目に、大袈裟にそう言っているわけじゃあない。本当にそうなのだから仕方ないのだ。人気の理由は一体なにゆえなのか?

 

最近の傾向としてあげられるのは、従来のフォルクローレが持つアコースティックなサウンドにドラムスやシンセサイザーなどを取り入れることでより複雑なハーモニーを作り出し、ステージは軽音楽さながら、そして歌手はといえば、あくまで「現代っ子」なのである。その代表格が今人気絶頂のSoledadやLos Nocherosだ。若い彼らの音楽は「民謡」あるいは「フォークソング」の域を越えて現代(いま)にフィットしてしまっている。こう書くと「なーんだ。それじゃあロックがそのままフォルクローレに変わっただけじゃないか」となってしまうのだが、半分はYES、その通り。肝心なのはロックなど現代音楽の要素がフォルクローレにも十分生かしきれている点であり、彼らの人気がちゃんとそれを証明してくれていることだ。

 

一方、キャラクターの特徴を揚げると、例えばSoledadはどこにでもいそうな、やや中性的なイメージの女の子だが、そんなところも同世代の男女から親しみを持たれる理由らしい。そしてひとたびステージに立てばファンの熱い声援を受け、その独特の歌声とポンチョを降りまわすアクションで会場を魅了してしまう。

かつてのフォルクローレのステージではおおよそ考えもつかなかったこのアクションが若者だけでなく幅広い世代にもウケているのだから、これはもう社会現象なのではないか。1997年発表したアルバムも150万枚を超える売上を記録し、コンサートは常に超満員。いわゆる「オッカケ」も出現し、最近は1999年1月のフォルクローレ・フェスティバル「コスキン祭」などビッグ・イベントのトリも務め、益々人気は揺るがないものになって来ている。Los Nocherosはサルタ出身の男性4人のグループで(バックバンドを擁す)、アコースティックなサウンドとロックの要素を取り入れた先駆者的な存在であり、新しい現代的なフォルクローレを目指し成功を収めている。また4人が折りなすハーモニーも美しく、地元サルタはもちろんのこと、全国的に特に若い女性のファンが多いようだ。今後のフォルクローレ界に大きな影響を与えること間違いなしである(もう与えているか!)また、リトラル地方の音楽・チャマメにおいても、本来のノリの良さが共感を呼んで、アコーディオンやリードギターを手にする若手のグループが続出中だ。

 

彼らのほかにも揚げればキリがないほど、今多くの若手のグループやソリストが活躍し、若者の間で人気を博している。10代の子供を持つ母親の意識調査で「子供がロックのコンサートに行きたいと言ってお金を渡すのは抵抗があるが、フォルクローレならOK」という回答が多数を占めた話も聞き、これはフォルクローレ界にとっては又とない活性化を図るチャンスとなったはずだ。若い世代がフォルクローレを聞き、身近に感じることでフォルクローレが見なおされ引き継がれるのだから、今回の回帰現象は多いに歓迎してしかるべき!ニッポンのフォルクローレにもこんな活力を与えたいと願って止まないのであった。

 

 

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