FUTBOL (COPA LIBERTADORES)

 

Boca Junior5月24日、南米クラブチーム選手権ベスト8(4試合)のうちの1試合が行われました。この選手権はコパ・リベルタドーレス(リベルタドーレス・カップ)と呼ばれていて、南米各国を独立(libertad=リベルタ)に導いた2人の英雄で、シモン・ボリーバルとサン・マルティンの名前が付いています。この選手権で優勝すると、今年11月に東京で開催されるトヨタ・カップの南米代表として招かれ、欧州代表と「クラブ世界一」をかけて闘うことになります。

 

ベスト8は皮肉なことにアルゼンチンのチーム同士の対決となりました。それも名門チーム同士であるボカ・ジュニア(Boca Juniorこちらの人の発音だとボカ・フニオール)とリバー・プレート(River Plateこちらの人の発音だとリーベル・プレート)の対戦でした。ボカはマラドーナがプレーしていた名門チームで、ブエノスアイレスの港町・ボカ地区(南部)に本拠を置いており、最も人気のあるサッカーチームです。対するリーベルもボカと人気を二分する名門チームで、ブエノスアイレスの山の手(北部)ヌニェスに本拠を置いています。この2チームの対戦を観たのは、3年前にリーベルの競技場で行われたマラドーナ最後の試合(事実上の引退戦と言われていたもの)を観て以来のことでした。

 

ボカの経営は数十億円の赤字だと言います。南米のクラブチームはどこも赤字を抱えていますが、ボカに関しては有力な若手選手を要しており、このような選手がイタリアやスペインなど欧州の名門チームに移籍すれば、移籍金としてボカに数十億円が支払われることになるので、有力選手を2人も移籍させれば黒字になる、と言われています。例えば、まだ10代にして天才プレーヤーと囁かれているリケルメ選手は、欧州のチームへの移籍が常に噂されており、その移籍金はアルゼンチンの有力紙によれば50億円も夢ではないそうです。リーベルにもサビオラという有力選手がおり、リケルメ選手同様に数年以内には欧州の有力チームへ移籍することになるでしょう。このように、アルゼンチンの名門チームは、国内の有力選手を育て上げ、選手の見本市としての機能を果たし、その上で名が売れた選手をやがては欧州のチームへ移籍させることで経営が成り立っているのです。

 

さて、試合の話ですが、場所はボカ・スタジアム。サッカー専用の競技場で、客席と競技場の距離がリーベルの競技場のそれに比べると近くて観やすいのが特徴です。コーナー・キックなどは助走できる場所が3メートルほどしかなく、選手は客席のネットに張り付くように接近してから助走をつけて蹴っているほどです。コパ・リベルタドールでは公平を期すため、対戦相手とは自分のホームグラウンドで1試合ずつ、計2試合行います。この試合はボカ対リーベルの2試合目で、前回はリーベルの競技場で行われ、リーベルが2対1で勝利を収めました。これでリーベルが勝てばベスト4進出。ボカが2点差以上で勝てば、ボカがベスト4進出ですが、1点差ならば得失点差同点になり、PKでベスト4進出が決まります。

 

競技場へはタクシーで向かいました。しかし、ボカ対リーベル戦はブエノスアイレス屈指の好カード、すぐに渋滞に巻き込まれ、両側の車の中ではボカやリーベルのユニフォームを着た熱狂的なファンが、興奮気味にクラクションをうるさいほど激しく鳴らしています。競技場の付近は交通閉鎖されており、最低500メートルは歩かなければなりません。しかもあちらこちらに警官が立っており、暴動が起きないよう、常に警戒しています。競技場に入る前には、警察騎馬隊らによって3回に分けて止められ、最後はボディー・チェックまで受けて、ようやく中に入ることが出来ました。これはかなり疲れます。

 

座席の最上部は車椅子の人たちがずらっと並んでいます。あくまで推測ですが、身障者に対しては無料の招待があって、指定の場所から観戦が出来るようです。

 

午後9時過ぎに例によって空気で膨らませたチューブから選手が入場。敵側の選手が出ると観客席からヤジの嵐です。チューブも観客席からものが投げられ、選手が怪我をしないために用意されているものなのです。そして10分後、試合開始。最初こそ座っていた観客はすぐに興奮して椅子の上に立ち上がります。

罵声と共に独特の「汚い言葉」が飛び交うのはいつものことで、また、どうやってボディー・チェックをくぐり抜けたのか、客席から花火が上がったり発煙筒がたかれたりして、危険なムードが漂います。

 

前半はボカが終始押しっぱなしでしたが、決定的な得点にはならず、0対0のまま終了。15分の休憩を挟んで後半45分が始まりました。開始後20分過ぎにボカの若手スター選手リケルメが最初のゴールを決めました。ボカの観客席は大いに喜び、興奮のあまり一斉に客が前方になだれ込んで来たので、ネット脇にいた人の中に怪我人が出たのではないかと心配になります。

 

そして30分も過ぎたところで、今シーズンは怪我のために一試合も出場していなかったボカのスター選手パレルモが交代で登場しました。ボカの客席は興奮のるつぼ。ちなみにパレルモは、1998年の世界選手権の時、対日本戦でもアルゼンチン代表として出場した選手です。

 

リーベルは防戦一方になり、結局は耐えきれずゴール前でペナルティーを犯し、リケルメが慎重に決めて2対0。このままいけばボカのベスト4進出、リーベルが1点入れれば同点でPKになるところです。

 

しかし終了直前、パスを受けたパレルモがボールを押し込み3点目。ボカの英雄が最後に得点した、ボカのファンには嬉しさこの上ない試合展開でした。このゴールで試合終了。結局3対0で勝ち、ボカが準決勝に進みました。

 

その夜は一晩中、外が騒々しかったのは言うまでもありません。アルゼンチン人のサッカーに掛ける情熱と意気込みを肌で感じ、また彼らの明日の活力(エネルギー)の源となっているのもこのサッカーであることを改めて実感したものです。今後の展開が益々楽しみになってきました。さて、南米代表なるか?!

 

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