Fondo Monetario Internacional

 

 

 

中学校の社会科の時間に「国際通貨基金」という国際機関の名前を暗記した覚えがありませんか?アルゼンチンは、この「国際通貨基金」とは切っても切れない関係にあります。

 

「国際通貨基金」は英語でInternational Monetary Fund、略してIMF、スペイン語ではタイトルの通り英語とは順序が反対になってFMI(エフェ・エメ・イーと発音します)と呼ばれています。日本では学校でIMFについて習っても、その後の生活とは関わりが少ないので、実際のところ何をやっているのか分からない人が多いと思います。何を隠そう私もアルゼンチンに来るまでは、世界銀行とIMFの違いは殆ど分かりませんでした。しかし、アルゼンチン人にとって"FMI"という言葉は、誰でも知っている「尊敬」、「諦め」と「憎悪」を含んだ言葉なのです。

 

では何故、アルゼンチン人に「国際通貨基金」という言葉がそれほど浸透しているのでしょう?それは、「国際通貨基金」がアルゼンチン政府の政策を決めている、といっても過言ではないほど、アルゼンチンの政治を左右しているからです。

 

「国際通貨基金」は、例えば「財政赤字をいつまでにいくら減らしなさい」とか、「年金改革をやりなさい」とか「労働市場を自由化しなさい」と、こと細かにアルゼンチン政府に対し注文を付けることができます。

何故このように国際的な機関が一国の重要な政策に干渉できるか、というと、アルゼンチンが経済危機に陥った際、政府にお金を貸しているのが他ならならぬ「国際通貨基金」だからであり、アルゼンチンの後見人になっているからです。

言い変えれば、アルゼンチンが作ってしまった借金を「国際通貨基金」が肩代わりするのと引き替えに、アルゼンチンが「国際通貨基金」から借りたお金が返済出来る国となるように、あれこれと注文を付けているわけです。

人間で言うなら、借金の肩代わりをしてくれた親が、息子の行動に「仕事しろ」とか「ちゃんと3食きちっと食べろ」とか、あれこれと指示している状況と同じですね。放蕩息子としては、借金を返してくれた親は有り難いけど、口うるさいのはかなわない、と思っている状況と全く同じで、アルゼンチン人の中には口うるさい「国際通貨基金」を目の敵にしている人が存在しています。

 

では「国際通貨基金」があれこれ言ったことが、一般国民にどういう影響を与えているのでしょうか。

 

例えば「国際通貨基金」が「財政支出を減らしなさい」(人間ならムダ使いは止めなさい)と言ったとします。政府は支出の中で減らせる項目を考えるわけですが、例えば去年は国家公務員の給与を12%-15%カットしました。給料が翌月から12%以上いきなり下がるわけですから、直接生活に影響があるわけで、「国際通貨基金」が目の敵になり「Basta FMI!」(IMFはもうたくさんだ!)というスローガンになるわけです。

 

今のアルゼンチン政府の税収入は、一般歳出と言われる金利の支払いを除いた支出を上回っています。つまり過去の借金がなければ、毎月の収入の方が支出より多い状況になっているわけです。過去に巨大な借金(1280億ドル=約15兆円)をしてしまった悲しさで、利息がどっしりと重くのしかかっているのです。

サラ金で借金をさんざんした人にお金を更に貸さないのと同じで、アルゼンチンにお金を貸してくれる人がいなくなったとき、最後に手をさしのべているのが「国際通貨基金」なのです。

再びお金を貸してくれるようになるには、放蕩息子が更正した、という姿勢を見せなくてはなりません。朝ちゃんと起きて、休まず仕事に行きます、と親への誓約書を書くように、アルゼンチン政府も「国際通貨基金」に対して「赤字を削減します」「経済を活性化させます」と誓約書を書いています。

 

この「国際通貨基金」にお金を出しているのは誰なのでしょうか?

最大の出資国は米国、そして日本です。日本も政府は首が廻らなくなるほどの借金を抱えて公共投資につぎ込み、経済活性を図ってきましたが、新しく首相になった小泉首相は構造改革を唱えているそうです。

アルゼンチンの「国際通貨基金」に頭が上がらない悲哀を見ると、日本も適当なところで借金を減らしておいた方がいいのかもしれませんね。

 

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