EL CASAMIENTO

 

アルゼンチンでは、15才の誕生日が来ると、事実上の成人式にあたるパーティーを行います。このパーティーは親戚、友人を集めて盛大に行われ、この行事の後は男女とも一人前の大人として扱われます(ただし法律上の参政権は18才から、免許証取得、飲酒、タバコは21才からです)。

 

フランスなどでも同じのようですが、アルゼンチンでは結婚する前に長い恋人時代や同棲時代があります。その後、出産や就職などをきっかけに、正式に市役所に行って入籍の手続きをし、結婚することになります。

したがって、結婚したときには既に子供がいることも希ではありません。

さて、結婚を決めると、「独身さよならパーティー」というのが盛大に催されます。内容は、読者の方が寄せてくださいましたので引用させていただきます。

(独身さよならパーティー)

この前、Despedida de la soltera(結婚前に行う独身さよならパーティー)に行きました。日本ではありえない、こちらならではのものです。

結婚する女の子に、友人が持ってきた服を着させ、胸とおしりに布を入れて、赤いタイツに黒いハイヒール、ミニスカート。

髪は緑色のスプレーをかけ、化粧ははでというよりこわい、あとは、ちょっと書けないような・・・。

そういう格好で、車の後ろのトランクに乗せ、クラクションを鳴らしながら街を走り、レストランに行きました。その格好だから注目を浴びるのは当然。

そこは、踊るスペースもあり、11時半ごろから踊り、彼女はいろんな男の人に誘われて一緒に踊っていました。彼女とほかの人達はきっと明け方までいたことでしょう。

(結婚式)

宗教にも依りますが、おおよそのアルゼンチン人の場合、結婚式は夜9時以降よりカトリックの教会で行います。そして、日本のカトリック式同様、約30分で終了。

1日3組くらいは結婚式が同じ教会であるので、時間を間違えたり早く行ったりすると、別のカップルの結婚式に立ち会ってしまうことになります。

新郎新婦、証人、両親らが神父の前に並び、聖書の言葉や誓いの言葉を聞き、指輪の交換をして台帳にサインをそれぞれ行うと、結婚式が一通り終了します。

結婚式の後は、新郎新婦を教会の入り口でライスシャワーを浴びせてお迎えです。

その後、出席者と教会の前で30分くらい歓談し、用意された飾り付きの車に乗ります。

Puerto Madel(記念撮影)

この車でブエノスアイレスの名所で記念撮影をして回ります。先日ご紹介したウォーターフロント「Puerto Madero」の白い帆船などもよく利用されるスポットです。そのほか、パレルモ地区の日本庭園でもよく新郎新婦の姿を見かけます。

(披露宴)

披露宴は0時くらいから始まります。会場にはレストランやイベントスペースの他、郊外のエスタンシア(牧場)の宴会場が利用されることもあります。食事はアサード(アルゼンチン風炭火焼き肉)が中心で、ワインも半端な量ではありません。

 

食事が終わると新郎新婦によるワルツが披露され、終わると今度は新郎とその母、新婦とその父の組み合わせで続けます。続いて新郎と新婦の母、新婦と新郎の父の組み合わせで踊り、さらに両家の兄弟、親族と続き、友人らへと次々に相手を替えて最後の一人まで残らず全員がワルツを踊るのです。

 

その後は新婦がウェディングドレスの下に付けていたガーターを新郎が自ら外し、新郎の友人達は2人を囲んでひやかしながらも祝福の拍手を送ります。

新婦は持っていたブーケを後ろ向きに投げると、集まってきた独身女性達がそれを求めて手を伸ばし大騒ぎになります。受け取った人が次に花嫁になる、という話は日本でもしばしば聞きますね。そしてケーキカット。ケーキは大概、新婦の友人や親戚が手作りします。ケーキの中には、いくつもの紐の先に小さな飾りのついた「ソルプレッサ」を埋め込んでおいて、やはりこちらも独身女性全員で一斉にケーキからそれらを引きます。紐の先に指輪が付いているものを引いた人が意中の恋人と近々結婚する、と言われ、相手がその場に居合わせれば「キスしろ!」と周りが2人をくっつけたりと、またまた会場が盛り上がります。

 

3時くらいからはディスコタイム。サルサやクンビアのリズムで踊りは朝まで続き新郎新婦の両親や親族はくたくた、という光景に出くわすことになります。

(プレゼント)

さて、結婚プレゼントですが、アルゼンチンには「Casa de regalo」という贈答品専門店がたくさんあって、「Lista de casamiento」と呼ばれる「結婚式用贈答品リスト」の中から贈りたい物を選ぶのが普通です。実用的な食器セットなどを新郎新婦の希望に従いあげるケースも多く、ラッピングなども綺麗にしてくれます。

贈る際、内容の個数はあまりこだわりがなく、2組でも6組でも構いません。

また、お金を包んで渡すという習慣はアルゼンチンには一般的に無いようですが、両親が結婚した2人に家を買い与えることはしばしばあるようです。

 

披露宴に出席してくれた人たちへのお返しは様々ですが、一例として、新婦と友人らで作った小さな飾りものがあります。新郎新婦が一人ずつ来客の胸にピンで留め、抱擁しあって互いを祝福します。

 

「人生最良の日は手作りで」

 

Jany y Jaime年の瀬も押し迫ったとある日、友人の結婚式に招待された。アルゼンチンに来て2年9か月が経つが、結婚式にはなぜか今回を含めこれまでに3度も出席している。どれもこれも縁あっての「ご招待」なのだろうけれど、振りかえって自分がこの短い滞在期間中、人生の新たな旅立ちの瞬間によくもこんなに立ち会えたものだと思う。そしてその都度、日本との大きな違いを感じてしまうのだ。

その大きな理由は、結婚式が彼らにとって特別なものであっても決して閉鎖的な雰囲気を持たないこと、そして余計なお金を必要以上にかけないことだ。披露パーティー後の2次会もない。私が出席した結婚式(披露パーティー共)に限って言えば、どちらかというと「一人でも多くの友とこの日を共有したい」という発想から成り立っていて、もちろん誰でも彼でもOKではないだろうが、少なくとも本人達に縁があった人々は知らせを受けて喜んで出席し、そしてパーティーを本人達と共に作り上げていくというものだった。

料理を分担して用意し、部屋を飾り付け、その他あらゆることをなるべくプロの手を借りずに親しい者達の間だけで済ませようとする。

花嫁は既婚の女友達からドレスを借り、花婿は一張羅のスーツを来て教会へ繰り出す。神父の祝福の言葉と参列者の拍手を浴びて今日の日の幸せを噛み締める姿は彼らも日本も他の国も変わらない。ただ、彼らの場合すべてがとてもアットホームで、それ故に出席する者にとっても心温まる結婚式となったのだった。

私も2度花嫁にブーケを作って贈った。それに感激して抱きついて喜んでくれる度に、かつて花の仕事に携わっていたお陰で役に立って、しかもこんなにも喜んで貰えて良かった!とこちらも思わずじーんとしてしまう。そして同時に自分も単なる出席者ではなく、この結婚式を築いた仲間の一人になれたような誇りを多少なりとも感じるのだった。

 

彼らから学んだこと、気づかされたことはとても大きい。日本人が忘れてしまったものをまたひとつ見つけたと言ったら過言だろうか。新たな人生のスタートを切った彼らの前途を心から祝福したいと思う。

 

先頭へ