Asistencia medica

 

「外国で病気になったらどうしよう?」

こうした不安は誰にでもきっとあるもの。特に南米のように、先進国から見て医療が不備・不十分に思えるような国々で暮らしていて病気や事故に遭った場合、その土地での医療制度を十分に理解することが何より大切であり、出来ればより安心できる手だてを確保しておきたいと考えるものです。

南米きっての先進国と言われるアルゼンチンの場合はどうでしょうか?

 

(健康保険制度)

アルゼンチンにも、日本のような医療保険制度(健康保険制度)があります。

国の医療保険はPAMI、また産業別の健康保険組合をObra Socialというのですが、これらの公的健康保険のカバー範囲が少ないことなどから、もっと広範な病院などをカバーしている様々な民間の健康保険(Medicina Prepagaと呼ばれています)が発達しています。加入単位は個人だったり、家族全員が一枚のカードで医者に掛かれるプランだったりと、いずれを選ぶこともできます。

この健康保険会社のカードを提示すれば、提携病院では無料で診療が受けられる他、その他の病院にかかった場合でも後々、一部払い戻しが受けられたりします(Reintegroと呼ばれています)。

加入している保険プランなどによって、利用できる提携病院の数や無料となる医療行為には当然のことながら幅が出ます。また、処方箋のもとに薬を購入する際にも最高50%の割引が受けられますし、松葉杖や車椅子をレンタルする際も同様の割引が受けられます。

ところで、病院に電話して予約をするとき、必ずCoverturaはどこか、といったような聞き方をされますので、自分が加入している健康保険会社の名前をいいます。

医療機関によっては、その健康保険会社に登録している医師のいる・いないで患者がそこで診察を受けられなかったり、完全に実費になってしまったりすることもあるのです。ですから、予め受付に保険会社名を伝えることはたいへん重要です。また、医者に掛かる時、処方箋の上に医者が患者の提示した健康保険番号を記入し忘れると、薬の割引や医療費の一部払い戻しが受けられないので、忘れずに申告する必要があります。また、日付も重要ですから必ずチェックしなければなりません。処方箋や「払い戻し」の際の有効期間は一ヶ月です。

 

(医療の受け方)

アルゼンチンでは、なにか病気などで医師に看てもらいたい場合、2つの方法を取ります。1つは急病の場合、自分の加入している医療保険会社の窓口に電話し、加盟している医師の中から、適当と思われる医者を探してもらい往診を依頼するやり方です。健康保険に加入するときには、科目別の医者の一覧表が本になったものを受け取るので、自分で探すことも出来ます。往診はこの国では珍しい方法ではなく、リスト以外の町医者でも電話をして来てもらうことはできますが、保険に入っていれば、掛かった費用全体の一部負担、時には全額免除になる場合もあるので、緊急時は利用すべきでしょう。

そうでなければ、病院や診療所(Consultorio)に予約を入れてから行きます。

この場合も、健康保険のリストの中から条件に当てはまる適当な医師を選べば、費用面でのメリットがあります。

私立病院や個人の診療所の多くは完全予約制なので、医師との対話の中で自分の症状を納得行くまでじっくりと伝え、相談できます。日本のような3分診療はあまり聞きません。ただ、診療所には通常、専門的な医療器械の設備がないので、必要最低限の簡単な検査の他、今後続けるべき治療方法のアドバイス、病院や検査機関の紹介などを患者に対し行います。風邪を引いた、というような場合はもちろん、必要な薬の処方箋を出し、場合によっては再度の来診を求めたりします。

市立病院などは初回の予約の必要がないかわりに待ち時間も長いのが欠点です。

しかし、特別な健康保険に加入していない人々の多くはやはり市立病院を利用し出来るだけ費用を抑えた医療を求めます。

こうして書くと、民間の健康保険に加入している者のみが優遇を受けられるように伝わってしまいますが、実際、諸処の問題で公共の健康保険が破綻している現在では、圧倒的に民間の健康保険加入者の方が有利と言えるでしょう。突き詰めればそれは、個人の金銭的余裕のあるなしに拘わる切実な問題なのです。

 

(総合病院)

診療の結果、さらに詳しい検査をしたりする必要がある場合には、施設の整った総合病院、あるいは特別な専門検査機関に行くことになります。

日本と違うのは、個人医が大病院に紹介状を書くケースは専門外の医療行為を行わなければならない場合などに限られていることです。通常は、個人医が大病院の整った施設を借りて引き続き診療にあたってくれます。この制度は患者と医師の信頼関係を築くのに非常に優れたものだと思います。初診の時から同じ医師が診てくれているので、日本で最近問題になっているような他の医師への引き継ぎによる医療ミスが起こりにくくなっています。

この制度のいいと思うところが他にもあります。それは、非常に高価な医療機器を個人医が時間を区切って共同で使用することで有効活用できるということです。高価な医療機器をある病院だけで使用するのでは、使用しない時間が多いばかりでなく非効率ではないかと感じます。日本では患者が医療施設の整った大病院に診察してもらいに行こうとする傾向がありますが、それは病院の知名度もさることながら、高価で優秀な医療器具を独占して持っているのがまた大病院だからではないでしょうか。

 

(検査の方法)

血液検査やレントゲン検査は、医師の処方箋を持参の上で、検査専門の医療施設を訪れ、行います。こちらも予約制となっている場合があり、指定された時間に行くと待たされることなく検査が受けられます。また、その場ですぐに出来る検査もあります。

それから、検査に必要な薬品や器具を患者自身が持ち込む場合も希にですがあります。

検査結果は通常数日で分かりますが、日本のように病院側が所持するのではなく、レントゲンのフィルムを含めて全て患者が管理します。

ですから患者は、同じ検査結果を持って別の医師や病院に行っても、問題なく看てもらうことができます。仮にその後、別の検査が求められることはあるにせよ、日本のように病院を変更する毎に検査をやり直すことはありません。

 

このように、アルゼンチンの医療が必ずしも進んでいるわけではありませんが、制度面では日本が見習うべきところも数多くあるような気がします。

 

 

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