1960〜
1970代
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人間性回復運動
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英語で Human Potential
Movement(ヒューマン・ポテンシャル・ムーブメント)。要するに、心理学や宗教をアレンジ&リミックスする、雑多な大衆的心理学ブームの総称。
そのベースとなったのが、第2次大戦以降から順次起ってきた、カール・ロジャースのグループ・カウンセリング(→
エンカウンター・グループ)やクルト・レビンのTグループ、アブラハム・マズローの人間性心理学、フリッツ・パールズのゲシュタルト療法、エリック・バーンの交流分析などだった。これらに加え、東洋宗教(禅やヨガなど)の影響も受けて、資格や学術的権威をとくだんもたない人々が、独自の経験や発想による心理療法のワークショップを開催し、サブカルチャーとしてのブームになった。
マニアの探究心に支えられるワークもあれば、ある種の能力開発技法としてビジネス化する者もいた。
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1962
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エサレン研究所設立
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カリフォルニアに設立された、人間性回復運動の発信拠点。多様なマニアが集う実験基地でもあり、心理学や東洋宗教などのアレンジ、リミックスが行われた。
自己啓発セミナーの直接の起源ではないが、自己啓発セミナー成立の文化的背景となっている。現在も、ある種の“聖地”となっている。
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1964
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ホリディ・マジック(Holiday Magic)設立
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マルチ商法で化粧品販売をする企業。アメリカでも日本でも社会問題となり、いまはもう存在しない。しかし、自己啓発セミナーの成立に直接的な影響をもっている。
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1960
代初
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LDI(Leadership Dynamics Institute)設立
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経営者は、ホリディ・マジックの経営者でもあるウィリアム・ペン・パトリック。セールスマンやマルチ商法のディストリビューター向けの研修会社で、その研修内容たるや、かなり暴力的だったとか。
後に、比較的マイルドだった、後述のマインド・ダイナミックスのプログラムを導入する。それでも、訴訟沙汰などで閉鎖。
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1966
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シルバ・マインド・コントロール(Silva Mind Control
= SMI)創業
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いまでいう能力開発系のビジネスだが、ある種の超能力開発法。Silva
Method として現存し、日本でもセミナーを開催している。
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1968
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マインド・ダイナミックス(Mind Dynamics)設立
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アレクサンダー・エベレットというオカルト・マニアが設立した、人間性回復運動系のセミナー会社。SMIも参考にしているとされる。
このプログラムがLDIに導入された後、エベレットは飛行機事故で死亡。マインド・ダイナミックスも閉鎖された。
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1971
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est(Erhard Seminars Training)設立
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マルチ商法との関連はわからないが、設立者ワーナー・エアハードは、セールスマンではあった。独学で様々な心理療法や宗教なども参考にしたらしい。
禅を取り入れたという思考ゲームを売りに、大繁盛。カルト扱いもされた。
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FTC(連邦取引委員会)がホリディマジックを告発
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1974
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ライフスプリング(Lifespring)設立
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DLIの残党が設立した自己啓発セミナー会社。ホリディ・マジック社でディストリビューター研修を請け負っていたロバート・ホワイトも、ライフスプリング設立に関わっていた。しかし、幹部同士の内輪もめがあり、設立の翌年、ホワイトは離脱している。
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1973
前後
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ホリディ・マジックの商品販売が禁止される
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複数の州でホリディ・マジックの商法を禁じる条例が作られるなど、アメリカでの商売ができなくなる。他国でも次々に、マルチ商法対策が講じられ、やがて閉鎖に追い込まれた。
支部があった香港や日本には、ロバート・ホワイトも出向していた。そこで培われた人脈が、日本での自己啓発セミナーのスタートに大きく影響している。
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1985
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ランドマーク・フォーラム(Landmark Forum)設立
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estとは別会社という体裁で、ワーナー・エアハードから
est
のプログラムを購入した。ほぼ同時に、日本にも上陸。1991年にはランドマークエデュケーションと改名している。
エアハードは、同社のリーダー的存在として対外的に登場してはいないが、現在も彼がこのセミナーのカリスマであり、彼自身がセミナーをリードすることもある。ランドマークの日本人受講者でも、エアハードがリードするセミナーを受講している例はある。
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