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この資料は、日本の伝統模様事典 片野孝志著より転載させていただきました。


千鳥文様ついて
千鳥文様
昔は水辺に集まる多くの鳥を総称して、千鳥といっていたようだ。ただし、文様では複数の鳥を描いていないので、やはりある種の鳥を特定していたようだ。千鳥はチドリ科の美しい鳥で、日本にもコチドリ、ムナグロなど多くの種類が渡ってくる。数多い千鳥の文様で種の特定は難しいがこの文様はしっかりしたフォルムで描かれていて、どうやらシロチドリのような気がする。 千鳥は抽象的に描かれる事が多いが、比較的具象的な千鳥文様の例として取り上げた。シロチドリはわりに細身で、浪打ち際などに群れをつくって砂中の虫などを餌にしている。飛ぶ姿も美しく、かなり速いスピードで飛行する。鴎(かもめ)や都鳥(みやこどり)とは明らかに区別できる。
波に千鳥文様 1
多くの人たちに好まれた文様である。そのためか、千鳥というとこのふくれあがった鳥を連想してしまう。オリジナルは蒔絵だが、直截的な絵柄は訴えかけが強く、あらゆるものに使われた。普通は商品と多少関係のある図柄を使うものだが、この文様はだけはひとり歩きして、千鳥とまったく関係のない茶の缶や掛け紙に使われたり、和菓子の包装に使われたり、町中で氷屋や豆腐屋の暖簾になったりている。水に鳥を配しているので、涼しさを演出するのに氷屋や豆腐屋が使うのは理解できるが、茶屋や和菓子屋までもが使うのは、ちょっと理解しがたい。いい文様だから、つい取り入れてみたいという気を起こさせるのかもしれない。普遍的文様の所以だ。
波に千鳥文様 2
江戸小紋の系統にある文様。江戸小紋ほど緻密ではないが、図柄が大きいぶん、表現が広がっている。江戸小紋を絵画的に少し広げるとこうなるという好例である。どちらがよいということでなく、作者の意識の動きの中での必然性で、両者の間に優劣をつけることはできない。観世水文様(かんぜみず もんよう)は川の流れをとらえた秀作だが、これは平安期に制作された海の波から新しい創作を試みている。波頭が海の波の激しさをうまく表現している。波の周辺にある点は海を表現するよりも、現実の作業で必要な糊置を平均化するための点である。このあたり突鑿でなければもっと動きがだせたかもしれない。絵が交互に天地が逆になっているのは着物にするときの配慮である。
波に千鳥文様 3
浪打ち際にいる鳥はほとんどが千鳥の名称になる。かなり無理なフォルムで描かれていても千鳥になる。名前がよい点、群れで描ける点、水辺という描きやすいモチーフだという点、理由はさまざまだが、とにかく伝統的な文様に鴎(かもめ)や鵜は使われない。可愛くない鳥は使いたくないのかもしれない。それでも純粋な絵画の世界では、千鳥よりも鴎や鵜のほうが圧倒的に多いのは面白い。多くの人に愛される文様と、一部の人の好みに合わせて描く絵画の違いがこのへんにありそうだ。この文様、波は平安時代につくられた海の波から形を変えて川にした。千鳥は良く見ると千鳥文様より具体的に描かれている。夏の着物柄などに、涼し気でとてもよい文様である。
千鳥格子文様
千鳥というモチーフはとても不思議だ。太ったり細くなったり、あげくは翼が交差したりで、全く自由に描かれる。しかもこれが千鳥といわれるとすべて納得させられてしまう。何とも不思議な存在の鳥である。この文様も原形がわからないくらい抽象化されて、白い部分が千鳥なのか黒い部分が千鳥なのか判別がつかない。この千鳥格子文様は平安時代の重要な絵画にたくさん見られる。赤と黄の組み合わせの派手な色彩で四天王寺所蔵の「扇面法華経冊子」の下地や「伴大納言絵巻」に描かれている群集の着物柄に見る事ができる。貴族の衣装では見られないので、庶民に流行していたと思われる。最近の洋服地にも同じような図柄が見られるのも、よい文様だからだろう。



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