青い目をした人形

日米親善の目的で、1927年(昭和2年)にアメリカから贈られた人形は、
長野県内で286体であったが、現在23体が確認されている。
[全国で12,739体、195体現存(昭和60年7月10日現在)]
その後6体が発見され、29体が確認されました、1体紛失のため
現存するのは28体です。(平成16年)
その内の1体を紹介します。

上田市立第四中学校蔵
 
プロフィール
上田市立第四中学校の人形は川辺小学校に贈られたものだが、戦後、川辺中学校が併設され、
のち1958年(昭和33年)に統合して、上田市立第四中学校となった。このおりに人形が同校へ保管された。
人形受領時のことや、戦時中にどのようにして保存されたかは不明である。
校長室や事務室の倉庫、そして英語研究室で保管され、現在は校長室に保管されている。
1984年(昭和59年)には生徒たちが人形について調査し、10月の文化祭のとき、人形展コーナーをもう
けて、公開展示した。
1999年(平成11年)、上田市制80周年記念事業の一環として「学校の宝物展」を開催、その際に人形の
写真展示。10月の学校の文化祭には人形を展示した。信濃毎日新聞に掲載されました。
人形の背中には、下記のような印が押されています。
GENUINE MADE IN USA
MADAM HENDREND DOLL216
抱いたら… 写真のようにお座りをしたまま、ガラスケースに保管されています。
1体1体名前が付けられ、本物そっくりのパスポートとともに贈られたそうですが、四中の人形の名前は
不明です、また、パスポートの存在も不明です。
当時、履いていたと思われる靴下は、片方しかなく、かわいそうだとどなたかが、靴下を新調してくださったの
でしょう。
壊してはならぬと恐る恐る抱いて寝せると、目を閉じ、起こすと「マー」と声を出しました。
作りもしっかりしていて、70数年前の人形かと驚くと同時に、その歴史の重みをヒシヒシと感じました。
青い目とありますが、贈られた人形、全てが青い目ではなかったそうです。この第四中学校の人形の目も
青ではありません。

生い立ち
1926年(大正15年)
世界児童親善会は、シドニー・ギューリック師を中心にアメリカ人形を日本の子どもに贈る計画を立てました。
ギューリック師は滞日20年の大の知日家で、アメリカ全土に広がる排日運動に心を痛めていました。この関
係が少しでも好転するようにと「日本の子どもたちへ人形を贈ろう」キャンペーンが始められ、12,739体に
上る人形が集められました。
1927年(昭和2年)
3月3日、ひな祭りに人形を迎えた全国の小学校、幼稚園で盛大な歓迎会が開かれた。
おがくずや紙などを練り合わせて作ったもので、丈夫で、抱き起こすと「ママー」と声を出した。
衣装はアメリカの子どもたちやお母さんたちが思い思いにそろえた手作りであった。
子どもたちに喜ばれ、かわいがられたそうだ。
答礼として子どもたちが、1銭醵金し、58体の市松人形を贈った。この人形は健在だという。
1941年(昭和16年)
太平洋戦争が始まると、「にくい適だ、許さんぞ」と多くの人形が処分されてしまった。     
「人形に罪はない」と必死で人形を守ろうとした人々もいた。
1973年(昭和48年)
NHKで「人形使節メリー」という番組が放映され、これを機に各地から人形健在の知らせが
寄せられた。
保管施設

赤字の部分です
施 設 名 愛 称 施 設 名 愛 称
東御市立滋野小学校 ローズ・マリー 千曲市立埴生小学校 不明
飯田市 山田家 メリー 松本市立筑摩小学校 不明
飯田市 林家 不明 名古屋市 三ツ松家 プリシラ・キングスレイ
佐久市立泉小学校 メアリー・ヘンドレン 松本市旧開智学校 ジェーン
小諸市立東小学校 メアリー 松本市本郷小学校 メアリー・ロー
小県郡青木中学校 シンシア・ウェーン 諏訪郡原小学校 ローズ・マリー
上田市立第四中学校 不明 諏訪市立中州小学校 メリー・アン
埴科郡村上小学校 不明 諏訪教育会館 ヘレン・ジュリア
長野市立綿内小学校 メリー 上伊那郡七久保小学校 不明
長野市立川田小学校 メリー 下伊那郡大鹿小学校 マートル・ルイーズ
飯山市立泉台小学校 エリザベス・エッセル 下伊那郡根羽小学校 エミー
飯山市立東小学校 アロア 木曽郡木曾幼稚園 不明
北安曇郡南小谷小学校 ミミー 木曽郡大桑小学校 マーサ・メイ
南安曇郡安曇小・中学校 メリー 木曽郡読書小学校 メリー
南安曇郡梓川小学校 メリー(紛失)
お披露目
昭和55年8月
篠ノ井市立南部図書館(現長野市南部図書館)で、飯山東小・川田小・綿内小・村上小の
人形4体を集めて展示公開。
この時点では県下9体の健在が確認された。初の人形展として人々の関心を集めた。
平成12年12月12日〜平成13年1月28日
長野県立歴史館にて、「長野県の20世紀展…信州に生きた20世紀の女たち」の中で
川田小・綿内小・村上小の3体が展示される。
平成13年11月15日〜平成13年12月14日
信濃教育会博物館にて、「青い目の人形」展開催。
長野県内に現存している23体と関連資料を集めて展示。小学校の総合学習でも教材
として、活用されている。人形が現在の私たちに何を語りかけているのか。
平成16年7月4日〜平成16年12月23日
「長野絹子と青い目の人形」展開催。
青い目の人形の答礼人形としてアメリカに贈られた「ミス長野(長野絹子)」が、多くの子ども達や
長野県民の理解・協力を得て77年ぶりにお里帰り。(1月27日)
修復が行なわれ、県内9会場で28体の青い目の人形とともに展示される。
パスポート
小県郡青木中学校のシンシア・ウェーンの複製です、外側の右上にはNo.が、内側の右側には名前・目の色・髪の色等が記載されています。 外側 内側

全国の青い目の人形を知りたい方は、青い目の人形ホームページへ

アメリカのコネチカット州在住のビル・ゴードン(Bill Gordon)氏作成の「青い目の人形・日本の答礼人形」HPへ
ビル・ゴードン氏による本HPの英訳はこちらへ



 
参考文献:「青い目の人形」武田英子編著 山口書店