昨今の雑文界隈について考えてみたこと

 ちょっと長いですが、前後の事情を理解する助けにでもなればと思い、いっしょうさんの許可を得て、やりとりしたメールをここに書いておきます。

 まず、あの文章の公開前に、いっしょうさんからメールを頂きました。




>最近感じた事を正直に『破竹』に書いてみました。
>http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/4860/137.html
>これを読んでみて欲しいのです。
>こんなに堅く考えなくてもいい話しなんですけどね。
>
>
>まだネットにアップしただけでリンクはどこからもしてません。
>こんなのアップしちゃうとやっぱりまずいかなって思ったので。
>忌憚なき意見きかせてください。
>いきなり雑文日記にて紹介してもらってもかまいません。
>俺の考えはどれくらい標準からずれているのか。
>それが知りたいだけなのです。
>
>
>でわでわ。



 で、読んだ感想をいっしょうさんに送ったのがこのメールです。



>ううむ、今回のはギャグのつもりで、自分で書いちゃったのです。
>でも、雑文祭にするつもりはまったく無かった、と言えば嘘だな。
>日記がどのくらい読まれているのか、確認できたら嬉しい、
>というような思い上がりがあったことは確かです。
>まあ、せっかく書いてくれたのを読めば、紹介しないといけないし。
>というようなことで増えています。
>
>敷居が低すぎる、というのは確かです。
>縛りは無いですしね。
>雑文祭にするつもりはないから、それはそれでいいのでは、と思っています。
>まあ偽物には違いないのですが、本物にそれほどステイタスを認めている
>わけでもないので、「雑文祭」と言ってしまったことには、
>正直、そんなに罪悪感はありません。
>
>予定調和の内輪うけ、というのはもっと大きな問題ですね。
>雑文書きたちがなんとなくそんな世界にいる、という感じは確かにします。
>ひょっとしたら「雑文日記」がそれを促進してしまっている、のかもしれません。
>まあ、雑文書きが集まって宴会するのはいいのですが、
>文章がお互い似てくるのはちょっと問題ありですね。
>最近「勝手にリンク」に登録したような人も、数回目あたりから
>なんというのか、笑いの取り方が似てくるんですよね。
>「いやんいやん」「しくしく」なんて多用するようになったり。
>(あ、私だ。何ともはや申し訳ない)
>まあ、だいたい、先輩の誰かに憧れて書き始めたのだし、
>そもそも雑文の定義が曖昧で、私の場合基本的に、「笑いを取りに行くもの」
>だけを紹介してしまっているので、やむを得ない点はありますが、
>やはり自分独自のスタイルを持たないとね。ゆくゆくは。
>(まだ持てないんだよなあ)
>
>心理的に何となくまとまってしまっている閉塞感。
>これが一番の問題なのかも知れないですね。
>「雑文日記」を始めたのも、そもそもは日記猿人がよくまとまっていたので、
>少数派の雑文人を糾合して日記界に対抗しよう、などと考えたからです。
>いや、冗談でそう考えたのですが、どんどん雑文参加者が増え、
>今ではなんだか本当にそうなってしまった感がありますね。
>
>集団が最初は内輪のまとまりのように見える、というのは、
>ある程度仕方ないと思います。
>SF作家も最初の頃は、毎晩のように集まって飲み、
>「SF作家はメダカの群だ」などと悪口されていました。
>ただ、物理的にまとまっても、心理的にまとまっては駄目ですね。
>SFも内部の切磋琢磨があったからこそ、星、小松、筒井、豊田、光瀬など
>独自性溢れる作家が輩出したのですから。
>あそこで馴れ合ってしまったら、SFは同人誌以上にはならなかったでしょう。
>ただ、「心理的に切磋琢磨を忘れないために」どうすればいいのか、
>具体的にはお手上げです。どうすればいいんでしょうね。
>
>正式な雑文祭については、先日の飲み会で新屋さんが言っていた、
>「たとえばディズニーランドにみんなで行って、そこで見たものを書く。
>観察力と描写力を競う場になる」という提案がいいのではないかと思います。
>これはかなりシビアな競い合いになると思います。
>遠いところの人をどうするかという問題はありますが。
>いっそ、北海道・東北ブロック、関東ブロック、北陸・中部ブロック、
>近畿・中国ブロック、四国・九州ブロック、海外ブロックに分かれて
>地区予選をするとか。
>
>なんだかとりとめもなく長々と書いてしまいました。
>正直、「雑文日記」って、いま存在する必要があるのかしら。
>むしろ有害だ、とお思いでしたら、ストレートに教えてください。
>私自身としては、あそこで他人の文章にツッコミを入れるのが
>楽しいので、続けてはいきたいのですが。
>
>それでは。ワンマンライブも頑張ってください。



 本当にとりとめがないな。
 この長いだけの駄文に、いっしょうさんから返事を頂きました。



>いっしょうです。いっしょうです。
>
>
>雑文日記で雑文サイトの裾野が広がったという意味では、
>功績として誇れるのではないかと思います。
>存在意義については、正直よくわかりません。
>俺は、『雑文日記』の事を批判したわけではないのです。
>ただ、ちょっとだけ違和感を感じたのであの文を書いただけで。
>
>
>俺は音楽でも雑文でも、常に問題児でいたいだけなのかもしれません。
>ただ、以前の雑文サイトにはこうなんというか、
>反主流派みたいな反骨精神を共通して感じたのです。
>俺もそうありたいと思っています。
>だけど、最近そういうのがないなあ。
>なんてつい思ってしまうのですよ。
>まあ、遊びなんだからそんな堅苦しく考える必要ないんですけどね。
>でも、だからこそ敢えてこんな事を書いてみるのも
>『破竹』らしくていいかなあ。
>そう思ったので、昨日相談した例の文章、正式にアップしちゃいました。
>まあ、うちみたいな中途半端なクラスのサイトがこんなの書いても、
>失笑レベルで終わってしまうと思いますけどね。
>
>
>これからも雑文日記でとりあげてもらうのを楽しみにしてます。
>でわでわ。



 読者=作者という図式がほぼあてはまる点、今の雑文の世界は内にこもった世界になりやすい傾向はあると思うんですよ。
 書道界もそんなところだとよく聞きます。展覧会には、お弟子さんしか見に来ないとか。

 私の大学時代のことをちょっと書きます。漫研に入って漫画を描いていたのですが、ペンを取ったのは高校時代という履歴なので、お恥ずかしい限りのものでした。それでも、
「おお、俺の描いた絵が、三百部も印刷され、こんなにきれいに製本されて!」(同人誌なんですけどね)
 という程度のレベルの低い感激を味わっておりました。同輩や先輩も、技術レベルははるかに上ながら、やはり「共同作業で本を出す」ということに喜びを見出していたと思います。締め切りにわざと遅れて、部室で徹夜の締切合宿したり。徹夜というものが、わけもなく嬉しかった憶えがあります。描いた漫画を部員全員で批評する合評会があったのですが、批判はありませんでした。「ここのところが面白い」というような、ポジティブな褒め言葉のみでした。
 でも、漫画の文化的可能性とか、漫画で表現できることの限界とか、そういうことを真面目に考えていた一部の部員からすれば、それはぬるま湯に浸かった同人誌ごっこに過ぎなかったのでしょう。あるとき爆発し、クラブに対する激烈な批判をはじめました。それと同時に、描かれた漫画にも痛烈な批評を部誌に書くようになりました。それはそれは、細田さんが温厚に見えるほどに激烈なものを。
 同じ漫画でも、「トキワ荘」でしたら、みんな漫画で飯を食うことが目的ですから、最初から覚悟があるのですね。ボロクソに言われても、それが正当な批判である限り甘んじて受ける。そして上達し、手塚先生のような立派な漫画家になる、と。
 大学漫研は、将来漫画で食おうと思っている人の方が少数派なので、いろいろなレベルの人が集まるのですね。ある人は共同作業が愉しくて入ってきた。ある人は自分の描いたものが本になる愉しさで入ってきた。またある人は、漫画などまるで興味がなく、麻雀のメンツを揃えるためにのみ入部した。漫画について真剣に考えている人からすれば、それがとんでもなく不純に思えたでしょう。

 ごめんなさい、ちょっと話がずれてしまったような気がします。
 いっしょうさんは雑文の世界をクラブでなくサロンにしたいのだと思います。
 クラブは英国原産。海軍が「水交社」を作ったのが日本では初めかな? いまも会社に「○○クラブ」というものがあるように、基本的には同じ軍人、同じ社員、同じ性(男性)というような同質のメンバーが集まっています。同じ価値観を持ち、同じ言語で、同じ興味について同じような話をするところ。だいたい、仕事の話や昇進の話ですね。海軍軍人は助平だから、女の話もよく出たようです。
 フランス原産のサロンは、それと逆に、異質なメンバーにより構成されます。貴族夫妻に、音楽家、海軍将校、詩人、銀行家といった、まるでバラバラな人間が集まってきます。外国人も来ます。そこではクラブのようにツーカーで話が通じません。異質なもの同士がぶつかり合います。そこに新しいものが誕生します。
 雑文の人も、結構バラバラですよね。年齢は十代から四十代まで、男性も女性もいる。職業は会社員からミュージシャン、教師、主婦、神主、無職などなど。ミステリマニアもいれば歴史マニアもいる。コンピュータマニアから声優マニアもいればアイドル好きもいる。(でも、これって、世間一般では全部、「オタク」で括られちゃうんだろうな)

 ああ、また文脈もなくずらずらと書いてしまった。
 皆さんはどうお考えですか? ご意見聞かせていただければ幸いです。