パスコンって何?

デジタル回路を見ると、電源ラインにいっぱいぶら下がっている小容量のコンデンサをたくさん見つけることができます。
これらを「パスコン」と呼びますが、一見すると「こんなにたくさん必要なの?」と思ってしまいます。
しかし、それにはちゃんと理由があるのです...

 

 パスコンは「バイパスコンデンサ」の略称
パスコンはただの略称で、「バイパスコンデンサ」というのが正式名称です。
いったい何をバイパスしてるのか?ということを含めて説明していこうと思います。
 
 電源電圧の瞬発的な変化を吸収する
デジタル回路は'H''L'が反転すると、ICが消費する電流が若干変わります。CMOSでは'H''L'と変化する瞬間にとくに電流が多く流れるので、この現象はとても顕著です。
1秒間に数回しか信号レベルが変化しないような用途ならそれほど問題にはなりませんが、数kHzオーダーになってくると問題が発生します。とは言っても必ず問題が起こるというワケではなく、パターンの太さとか基板の静電容量とかいろいろな要因が重なって問題が発生する可能性が高くなる、という感じです。この辺がデジタル回路のアナログ的な要素でもあります。
数kHzオーダーになってくると、かなり頻繁に'H''L'が反転するので、それだけ消費する電流が変化します。ある瞬間、その部品に流れ込むことができる電流量が少ない場合、消費電流の変化はそのまま電源電圧の変化になってしまいます。'H''L'の変化を電源電圧を基準として決定するデジタルロジックでは、電源電圧の変化は誤作動の原因になります。
パターンを太くすれば流れ込む電流量を多くすることができるのですが、実際は電源ラインだけそんなに太くするワケにもいきませんし、いくら太くしても少なからずパターンには抵抗があるので、絶対的な瞬発性を確保することは難しいのです。
そこで、ICの電源ラインにコンデンサを付けます。
ICの電源端子から離れた位置に付けても、パターンが持っている微妙な抵抗で意味が無くなってしまうので、普通はICの電源端子のすぐそばに付けます。これで、瞬発的に消費電流が変動してパターンを流れる電流が不足したとしても、電源電圧の変動は抑えることが出来ます。これがパスコンの役割の一つです。
しかし、一般的にパスコンは0.01〜0.1μF程度の比較的小さい容量のコンデンサしか使われません。これは、容量が大きすぎると、次に説明する役割を満足することが難しくなるためです。どちらかと言うと、パスコンというのは次に説明する役割の方がウエートが大きいのです。

 

 グランドラインにノイズを逃がすもの
頻繁に信号レベルが変わるとノイズが発生します。そのノイズが隣接する信号ラインや電源ラインに乗ってしまうと、信号レベルが誤認識されてロジックが正常に動かなくなったりします。
そこで、そのノイズをGNDラインに逃がしてやる手法が考えられました。
‥‥とは言っても、そのまま電源の両方の極を繋いだだけではショートしてしまいますから(笑)、そこは少し考えなければなりません。
ノイズは信号レベルが頻繁に変化することによって起きるので、一種の交流信号と見なすことができます。
DC信号(電源)は通さず、交流信号を通す物 = コンデンサ というわけで、ICの電源端子のできるだけ側にコンデンサを付けます。これは、ノイズ分をできるだけほかのパターンに放出せず、その場で相殺して消してしまおう、という考えからです。
この用途では、あまり大きなコンデンサを付けると高周波ノイズが全然通らなくなってしまうので、素子の高速動作を妨げる原因になります。そこで、通常は0.01〜0.1μFのコンデンサが使われます。
 
 普通は1個のLSIに1個付ける
以上のことをふまえると、1個のICに1個のパスコンを付けるのが普通です。PLD(Programable Logic Device)などでは1個につきパスコン4〜8個付けます。また、IC何個かに1個の割合で、少し大きめのコンデンサ(47μFくらい)を付けて、電源ラインの発振を防止すると共に、リップルを除去します。
パスコンは、
・できるだけ容量の小さなものを、(容量が大きいと素子の高速動作を妨げる)
・できるだけ素子の電源ピンの近くに
配置することが理想とされています。
ただし、これはデジタル回路での話。アナログ回路に何も考えずにパスコンを付けると、高周波特性が悪くなったり、ときには動かなくなってしまうこともあります。この辺りは経験とカンが物を言う世界になってしまいますが...

 

* ありがとうございました *
ご意見・ご感想をお待ちしています
[←戻る]

Copyright 2003 TomaToma. Allrights Reserved.
お問い合わせはこちらへ...