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国・無形民族文化材

環境庁指定「残したい日本の音風景百選」

チャグチャグ馬コの鈴の音

南部盛岡

チャグチャグ馬コ

チャグチャグ馬コは、6月第2土曜日の開催です。

馬コは澄んだ目をしています。

人と馬コの深いきずな、

生命の躍動感、

どこか郷愁を誘う

懐かしい光景。

それはまるで

メルヘンの世界に

まぎれこんだようです。

 みちのく岩手に初夏の爽やかな風が伝わる季節、チャグチャグと鈴の音も軽やかに色とりどりの装束をつけた百頭近くの馬コが馬の氏神をまつったお蒼前さまに集まってきます。

 参拝をすませた後、盛岡市内の盛岡八幡宮までの15キロの道のりを行進します。

 岩手山を背景に、馬につけられた大小の鈴からチャグチャグという音が、にぎやかに鳴り響く音色から、チャグチャグ馬コの名が生まれました。

 チャグチャグ馬コには愛馬の無病息災を願う人々の祈りがこめられています。

 いつの頃からか、端午の節句に農耕に疲れた愛馬を癒すためにお参りする風習がうまれ、幕末には馬に小荷駄装飾を着せて詣でる人が現れました。今日の祭りの原型です。

 祭りの当日、朝早くから蒼前神社には飾り立てられた馬コが家族と共に参拝します。家族が両手を合わせ、人馬の無病息災、家内安全、五穀豊饒などを祈願する間、馬コも神妙な面持ちで頭を垂れます。

 

 チャグチャグ馬コのパレードは鬼越蒼前神社から盛岡八幡宮までの約15キロ。江戸時代ですと約四里の距離に相当します。

 所要時間はおよそ四時間半です。

以前は、各農家が鬼越蒼前神社に参拝し絵馬などを奉納し、めいめいに帰路につくのが習わしでした。

 今日のように盛岡八幡宮まで参拝するようになったのは、昭和五年(1930)秩父宮殿下がご来県されてからだといいます。盛岡にご滞在中、蒼前祭りとかさなったことからその光景をお目にかけようと、八幡宮の神前馬場に集合させたのが始まりです。

 鬼越蒼前神社を一頭ずつ数珠つなぎのように出発した馬コたちは、のどかな田園地帯へと踏み出します。

 百頭前後ともなるとパレードの長さは時に500メートル以上にもなります。

 田園の中、チャグチャグという鈴の音に蹄鉄の乾いた音が重なります。

 馬コたちが青山町に入ると、もうあたりは街の中です。最近は近郊の都市化が進み、パレードの大半は住宅地や商業地の中となりました。

 馬コたちは引き手である家人に導かれ、まさに人馬一体、あうんの呼吸で歩き続けます。

 

 馬コたちの一部は岩手公園の東側を流れる中津川の広い河川敷へとおりて行きます。

季節は梅雨どきですが、年によっては真夏なみの暑さになることも珍しくありません。日頃はこれほど長く歩くことのない馬コにとって暑さは大敵。重装備をしていることもあって体力は消耗され、喉はからからになります。

 馬コたちは中津川のせせらぎで喉をうるおし、安心したように嘶いたり、草をはみます。

 草地の上にのんびりとたたずむ馬コの大群は、さながら、長大な錦絵を見るようです。

 初めてチャグチャグ馬コを目の前にした観光客は、ここが日本であることを知りながらも、どこか遠くの国へやってきたようなエキゾチックな気持ちになるといいます。

 中津川で憩いのひと時を過ごした馬コたちのパレードはここで終わり。トラックに揺られて家路につきます。

 一方、中津川に寄らない馬コたちは一路、盛岡八幡宮をめざします。

 

 チャグチャグ馬コには、何度見ても飽きない魅力があります。

 人と馬コとの深い絆 ・ どこか郷愁を誘う懐かしい光景

 多くのみなさまが遠方にもかかわらず、毎年欠かさず訪れる方もいらっしゃります。

 来年もまた会えますように。


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